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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 一章 「魔王と裏切りと復活と復讐」
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1-5 攻防戦

かすかな空色の光が漂う。

この光に戦闘中にもかかわらず、目を奪われる。

そして青い光が消えば、強大な魔力が戦場を支配する。

これを見た魔王が今まで見せてくれた笑いの中でも一番大きく笑っている。


「本当に正気ではないな。

まさか『ディアブロズ・レ(悪魔の)ンディング(質屋)』を使うとは。」


「勝ちたいから仕方ないだろ?」


「単純に勝ちたいというには無理しすぎるんじゃないか?

勝つために『禁止された魔法』まで使うなんて。」


「どういう意味ですか、禁止された魔法だなんて?」

オフィーリアの問いかけに答えず言う。


「今からは防御は考えずに攻撃だけに集中しろ!」


「何の間抜けなことを言うんだ!」

「さっき死ぬところだったのに防御するなというのが話になる?」

「そして全員で攻めて通じたならもうそうしたぜ!」


当たり前のように納得できず叫ぶ奴らの後ろにまた魔王が動く。

魔法弾が炸裂する。


「戦闘中なのを忘れるな。」


直撃する。

一瞬の集中力の低下で防御が遅い。

と思ったが、一つの魔法弾も届かないまま消滅した。


「これくらいみせてやったら十分だろ?!

攻撃隊形を広げて!」



その中でも魔王の攻撃は続く。

もう一度魔王の攻撃を防ぐ。


「このまま死ぬつもりかい?!生きたいなら勝たないといけないんじゃない?

複雑なことは忘れて攻撃しろよ!」


「いや、ならもっと防御を…」


「ぶつぶつうるさい!」


俺が言ったのではない。

音がした所にはオフィーリアが夜叉のような形状をしている。


「さっき倒れた時、光の柱が下りてくるのも防いでくれて、今度の魔法弾も阻止してくれたのに!

そんなに仲間を信頼できないんですか、 あなたさんたち!」


そして最前方に出る。

あくまでも回復と防御が主力のオフィーリアがここまですると、誰も言い出せなかった。


「あなたたちがしなければ私がします!

そこで負け犬のようにうずくまっていてください!」


「え……オフィーリアさん?

こんな性格だったのでしたけ?」


「こんな言葉を聞いても出てこなければ使うこともできない人間たちでしょう。こののろまめ!」


その声に全員の目がまた魔王の方を向かう。

今魔王と戦わなければオフィーリアに殺されるかもしれないと心から皆が思った。

…二度とオフィーリアをからかうのはやめよう。



その瞬間、また魔王が攻撃姿勢をとる。

反射的に防御しようとするが。


「攻めろ!」


俺の声に一瞬、再び攻撃をかける。

防御の姿勢から攻撃したので、中途半端な攻撃となり、魔王なら簡単に防いだり避けられたりした。


そんなつまらない攻撃が魔王に差し込まれる。


ジェラードの槍も、 レイナの剣も、エリーゼの矢も、ブリンの短剣も、デリックの弾丸も、ローレンのナックルも。

魔王に差し込まれた。


魔王がよろめきながら距離をあける。

この状況に、魔王よりもパーティー員の方が驚いているようだ。

ただ魔王だけはまた笑っている。


「その瞬間にも少しずつ詠唱したのか。

素敵な魔力分散魔法だった。

魔法の防壁を全部散らばらせるとは。

やっぱり『禁断の魔法』を無駄に使ったのはないようだな。」


これに対してオフィーリアが俺に聞く。


「さっきから言うあの『ディアブロズ・レンディング』と魔法は一体何ですか?

禁止魔法とか無理とか不吉な言葉ばかりじゃないですか?!」


「うん?おじょうさんは知らないのか?」


なぜか魔王が答えてあげている。


「『ディアブロズ・レンディング』は自分の生命力を魔力に変換して使う魔法。

そうして変換された魔力の量と質は想像を超える。

魔力量、出力量、キャスティングの速度まで全ての魔法的な能力が大幅に上達する。」


これだけなら、誰もが使おうとする魔法になったはずだ。

この魔法は禁止された魔法になったその理由は…


「生命力の変換量を自分で制御できないのが問題だ。

手のひらサイズの火炎弾を一つ作ろうとしても、『ディアブロズ・レンディング』の状態なら、村の一つは軽く燃やせる大きさの火炎弾になってしまう。

すなわち魔法を使うたびにおびただしい量の生命力を強制的に奪われるのだ。」


つまり…


「そうやって自分の生命力の限界まで魔法を使ってしまうとそのまま死ぬのだ。

その限界がいつになるかは誰にも分からない。自分自身さえも。

これが禁止された魔法になった理由だ。」


これを聞いたパーティー員たちの顔から血の気が消える。

こうだから言いたくなかった。

士気に影響を与えるのは嫌だった。

しかし、どうせ明らかになったなら仕方がないのか。


「それがそんなにおかしい?

どうせてめえに勝てなければ死ぬんじゃない?


お前たちも何をそんなに驚いているんだ?

命をかける覚悟でここに来ただろ。

俺はそうする覚悟をしたし、これさえ使わかなければならない状況だと思っただけさ。


負けて死のうが、自分が力尽きて死のうが、どうせ死ぬなら、俺は戦って死ぬ道を選ぶぞ。」


雰囲気が粛然としてきた。

魔王だけが依然として笑いながら話す。


「勇者よりもずっと勇者らしいな。

いよいよ少しは戦いらしくなりそうだ。

正直、少しがっかりしていたところだった。


よし、待ってやる。

すべての力を注ぐ準備をした後でぶつかってみろ。」


こっちも正直言って、長く持ち堪える自信はない。

魔力はまだ回復していない。

ただ残っている体力だけで勝負しなければならない。

幸いに体力が足りないわけではない。


…15分。

それ以上時間を使えば体力が尽きる。

ジェラードに作戦を伝える。


「15分以内に勝負する。

15分を超えたら敗北だとかんがえろ。」


「それで具体的な作戦は?」


「魔力出力を上げてもあの魔法防御の前では『ヘルファイア』も普通な火炎弾になる。

だから逆に考えを変えて攻撃のほかにすべてをやる。

防御も俺がやって回避や防御魔法を使うなら全部俺がぶっ壊すぞ。だから直接攻撃にだけ集中しろ。


オフィーリア、お前もこれからは攻撃のためのバフだけに気を使ってくれ。

回復魔法には気を使うな。 回復魔法を使うような状況がないようにするから。

戦略は大体こういうものだから、細かい戦術は勇者のお前がうまくやってみろ。


「簡単に言わないでほしいんだけど、あの怪物の前では。」


続いてオフィーリアが魔力を集める。

この状態の俺でさえ不可能な最上級バフを発動させるために。


ケラピン(聖体降臨)』 


マチェアリア(一瞬劫)』 


2種類のバフが身にしみる。

身軽でオフィーリアの口の動きが遅く見える。


「ケラピンは純粋な身体能力の限界を高めるバフであり、マチェアリアは超感覚付与ですべての感覚が極度に敏感になります。

いまからおっしゃったとおり、適材適所のバフで対応いたします。

うまくいったらいいですね。」


「よし、もう時間がもったいないからまた行ってみようか。」


その言に魔王がゆっくりと頭をもたげる。

それからまた笑いが溢れた声で。


「準備は終わったか?

もう少し待ってあげてもいいが。

とにかく、さっきより楽しめると良い。」


話が終わって、威圧的な魔力が感じられる。

『ディアブロズ・レンディング』状態の俺に確実に匹敵する魔力。


もう一度迷ってもおかしくない。

しかし、そんなことはない。

ジェラードが飛びかかる。


ロンツェ(残閃)


槍先が明るく光る。

対して魔法弾を作って飛ばす魔王。


グラビティ・ラウンド(重力場)』 


俺の詠唱が同時に響く。

黒い球体が魔王とジェラードの間に現れて振動し、破裂して魔法弾を押し出す。

これを見て素早く防壁を作る魔王。

続いて、


「ショット」


魔王の前で骨を鳴らす音とともにジェラードの槍が防壁を粉々に砕く。

防壁が割れる音と共に、直ちにエリーゼとデリックの攻撃が飛んでくる。

矢玉が打ち込まれた空間にひびが入っている。


予備用に防壁をあらかじめ作っていたか。

このような気がしないうちに、残りの3人が同時に飛びかかる。


ジュピートロア(雷神の怒号)


魔王の手に稲妻の槍が握られ、近づいてくる3人を照準する。

俺も対応して、


レイジングボルト(電磁具)』 


稲妻魔法を詠唱して魔王の横に投げる。


「あほうめ!照準がはずれたじゃねか!」


ローレンが絶叫とともに稲妻の槍が飛んできて、稲妻の槍は変なところに刺さる。


魔王が戸惑いの表情を初めて見せる。

稲妻魔法は稲妻魔法を引く。

他の稲妻魔法で照準を少し狂わせるだけで十分だ。

そして3人の攻撃が魔王に当たる。


クラッシュブレイカー(粉砕者のめった切り)

スプレンドラッシュ(卑怯者の奇襲)』 

ファウストブロー(根乱打)


魔王がよろめく。

これだけやられたら、明らかにワープに逃げるタイミングだ。

ワープする位置に異物があったらワープはできない。

金属玉が周りに撒き散ると,魔王は平常心を失う。


ワープがキャンセルになったに違いない。

すなわち今がチャンスだ。


『ショット』


ジェラードの槍がも一度触れて,魔王が初めて地面に転がった。


「いまの流れを逃さず攻撃を続けろ!」


ジェラードの叫びにブリンとレイナが素早く飛びかかり,残りはその後に続いた。


「さすが。もう遊ぶのは無理か。」


確かに聞こえた魔王の声に防御魔法を展開する。

それとともに、魔王が上半身のみを起こす。

そして詠唱する。


デトネーション・(巨大滅)スペア()


倒れた魔王を中心に大爆発が起こる。

魔力防壁を作ったがすべて壊され、パーティー全員が爆風に押し流される。


飛びかかる者たちを全部ぶっ飛ばして、身体を引き締める魔王。

ひどいけがはないが、冷や汗が流れる。


「オフィーリアのバフがなかったら…」


驚愕が出る魔法だ。

この魔法の威力を減らすだけで、たった一度で半分以上の生命力を使った。

エリクサーを飲んでいると、魔王が立ち上がる。

しかし、その姿にこれまで見せた笑いはなかった。


「なるほど。この程度なら真剣に戦いに臨む程度では足りないんだな。

これからは全力を尽くすようにしよう。」


不気味な空気があたりに漂う。


「その言葉は… 今までは戦力ではなかったというのか?!」

だれも驚きを隠せない。


「本気で戦ったが、100%の力は一度も使っていない。

誤解はしないでくれ。

本気で戦ったのは本当だから。


ただ、相手の力に最も適当な力で相手するだけだ。

つまり君たちの力が100%の魔王と戦えると認めたわけだ。」


そして魔力が爆発する。


「がっかりさせるな。」

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