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もし生まれ変わったら

作者: 相浦アキラ
掲載日:2021/01/27

「もし生まれ変わったら、あんたじゃない人と結婚したい」


 真奈の口癖だった。


「俺だってそうだ」


 いつものようにそう返す。


 それからどちらともなく口づけて、小さく笑ったりしながら、眠りにつくんだ。


 そして……


「もし生まれ変わったら、あんたじゃない人と結婚したい」


 それ前の世界でも何度も聞いたよ、と言いかけて止める。


「俺だってそうだ」


 俺と真奈は、何度生まれ変わっても結ばれた。

 ある時は燃えるような恋に落ち、ある時は静かな優しい恋。

 禁断の恋や、親の決めた相手だった事もあった。


 運命なんて信じていなかったが、多分運命なんだろう。


 そして決まって、哀しい別れ方をするんだ。

 コンピュータが管理するディストピア世界でも、中世ファンタジー世界でも、瓦礫が広がる世紀末でも、決まって哀しい別れ方をするんだ。


 病で早世したり、戦乱に巻き込まれたり、家の都合で引き裂かれたり。

 こんな哀しい別れ方をするなら、もう出会わなければいいんだ。


 それでも気付いたら、真奈と結ばれている。

 心の底から、恋して、愛してしまっている。


 運命なんて信じたくなかったが、多分運命なんだろう。


「もし生まれ変わったら、あんたじゃない人と結婚したい」


 俺だってそうだ、そう言いかけて口をつぐんだ。

 真奈をそっと見つめた。


「俺は生まれ変わっても、真奈と結婚したい」


 少し意外そうに目を見張る真奈に、俺はそっと口づけた。

 真奈の黒い瞳が、暖炉の灯で揺らめく。


 そして俺は皮鎧を身に着け、剣を取った。


「もう、行くのね」


「ああ」


 強く抱きしめる。小さく口づける。


「真奈。次の一回だけでいい。もし生まれ変わっても、俺と結婚してくれ」


 俺は真奈をずっと見つめ続けた。真っ直ぐに見つめ続けた。


 やがて、真奈は少し照れ臭そうに俯きながら……はい、と小さく呟いた。

 それだけで、誰にも負ける気がしなかった。


「行ってくる」


「行ってらっしゃい」


 俺は荒野を一人進み往く。

 真奈の小さな震え声を、そっと胸に抱きながら。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ロマンチックでもあり、悲惨でもある運命ですね。主人公がいつもと違う台詞を言ったことによって、今回は今までとは異なる結末を迎えられたらいいなと思いました。
[良い点] これは良い物を読ませていただきましたっ 色々考えさせられますね~(*´ω`*)
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