もこもこさんをさがして
「こーくん、どっちにいけばいいのかな?」
「うーん、どうだろうね?」
「きいてるんだから、はっきりしてよ!」
「わ、わかったよ、みーちゃん! じゃあ、みぎにいこう!」
みーちゃんは、こーくんの前を楽しそうに歩いてます。
「ねえ、みーちゃん」
「どうしたの?」
「さっき、いってた『もこもこさん』ってなんなの?」
「しらないわ。ちずに『もこもこさんのばしょ』ってかいてあったから、さがしたくなったの」
「そうかー、しらないのかー」
「そうよ。だから、みてみたいとおもわない?」
みーちゃんは足を止めて、後ろを振り返りました。こーくんも足を止めました。みーちゃんはこーくんに顔を近づけて言いました。
「わたしは、いきものだとおもうのよね。きっと、かわいいわよ~」
「そ、そうかな? ぼくはなにかのようかいだとおもうんだけど」
「なら、かわいいようかいね」
「かわいいのは、かわらないんだね」
「だって『もこもこさん』というなまえなんだもの。こわいいきものに、そんななまえはつけないわ」
みーちゃんはそう言って、また歩き始めました。こーくんも慌てて後をついていきました。
「うーん……」
突然、こーくんが足を止めました。前を歩いていたみーちゃんは、すぐに気づいて話しかけました。
「どうしたの、こーくん?」
「どのみちをいけばいいかわからなくなった」
「えー! みせて、みせて!」
2人は足を止めて地図を見ました。しかし、2人ともどう行けばよいか分かりませんでした。
「ねえ、やっぱりふたりじゃここにいくのはむずかしいよ」
「しかたないわね」
みーちゃんは地図をもって、近くにいたおじいさんに話しかけました。
「こんにちは!」
「こんにちは。一体、どうしたのかな?」
「わたしたち、このばしょにいきたいんだけど、どういけばいいの?」
みーちゃんは、おじいさんに地図を渡しました。おじいさんはポケットに入れていたメガネをかけました。
「どれどれ……ああ、この場所に行くのかい。なら、この道をまっすぐ行くと、大きな木があるんだ。それを左に曲がってすぐのところだよ」
「ありがとう!」
「しかし、とても古いものだね。どこで見つけたんだい?」
「おとうさんのへやの、つくえのなかにあったの!」
「そうなんだね。気をつけてね」
「はーい!」
みーちゃんは、おじいさんから地図を受け取ると、こーくんのところに走って戻りました。
「こーくん、行くわよ!」
「う、うん」
おじいさんの言うとおりに2人は道を進みました。みーちゃんの足取りはどんどん軽くなりました。こーくんの顔にも笑顔が出てきました。
すると、野原に出ました。タンポポやナズナなど、たくさんのお花が咲いていました。
「こーちゃん! きっとここだとおもう!」
「ほんとうに?」
こーちゃんは、みーちゃんが持っている地図を見ました。「のはら」という言葉のところに矢印が書かれていました。
「ぼくもそうおもう!」
「やったわ! それじゃあ、さっそく『もこもこさん』をさがすわよ!」
2人は手分けして、あたりを探し始めました。
「うーん……いないわね……こーくん、どう?」
「ええと……」
こーくんが遠くをきょろきょろと見回していると、白いもこもことした固まりがありました。
「みーちゃん! あれみて!」
みーちゃんはこーくんが指しているところを見ました。みーちゃんは飛び上がるように走りだしました。
「ただいま~」
「おかえり。おや、こーくんも一緒かい」
「こ、こんにちは」
みーちゃんの家には、おとうさんがすでに仕事を終えて帰ってきていました。
「それで、今日はどこに行っていたんだい」
「ここに行ってきたの!」
みーちゃんはポケットに入れていた地図をお父さんに見せました。
「ほほう、これは懐かしい。『もこもこ山』への地図じゃないか」
「『もこもこさん』って、いきものじゃなかったの!?」
「そうだよ。あの山はね、たくさんの野ヒツジがのんびり生活しているところなんだ」
「そうなんだ! かわいいヒツジさんがたくさんいたのよ」
「そ、そうなんだ……『もこもこさん』がようかいじゃなくてよかった……」
「ははは! 妖怪がいるんだったら、私も一緒に見てみたいものだ!」
みーちゃんのお父さんが笑うと、2人にある提案をしました。
「ならば、今度は妖怪を探しに一緒に行くかい?」
「さすが、おとうさん! そうしましょう! ね、こーくん!」
「えええ……」
笑うみーちゃんとみーちゃんのお父さんのとなりで、こーくんは困ったように笑っていました。
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