怪談絵本コンテスト応募作品「おやこ」
「ねえおかあさん!テストで100てんとったよ!」
「あら、すごいわね」
「へぇー100てんか。すごいな」
「おとうさんもいたんだ。じゃあ、こうえんにいってきます」
「いってらっしゃい!」
「じゃあね!またあした」
「バイバイ!」
あーたのしかったな。きょうのごはんはなんだろう。
「もうすぐかえってくるとおもうので」
いえのまえに4にんのひとがいた。しらないおじさんと、おとうさんと、おかあさん。そして、ぼくのおとうさんとおかあさんと、なかよくおしゃべりしてる、しらないこ。
「あ、かえってきましたよ」
「では、こちらのほうでつれていきますので」
「よろしくおねがいします」
なんのはなししてるんだろ
「じゃあぼくちゃんはこっちにおいで」
しらないおじさんにうでをつかまれた。
「おとうさん!たすけて!!」
「だいじょうぶ。そのひとはこわいひとじゃないから。ついていくんだ」
どうしてたすけてくれないの?こわいよ。こわいよ。
「ねえ!おかあさん!」
「あなた、もういったほうがいいんじゃない」
「そうだな。おい!よくきけよ。おまえはもうおれたちのこどもじゃなくなったんだ。きょうからはこのヒトシくんがおれたちのはじめてできたこどもになるんだよ。こどものかわりなんていっぱいいるんだからな」
なんで?なんでそんなこというの?
「いやだ!いやだよ!」
ぼくはトラックのなかにとじこめられた。これから、どうなるんだろう。やさしかったおとうさんやおかあさんはどこへいっちゃったんだろう。もうみんなともあそべないんだろうなぁ。あそびたかったなぁ。また、おかあさんのハンバーグ、たべたかったなぁ。おとうさんにどうぶつえん、つれていってもらいたかったなぁ。
いろんなことをかんがえた。いろんなたのしかったことを。
そしてぼくはひとつのことにきづいた。
ぼくのものなんて、なにひとつないってことに。
ぼくのだいすきなりょうりも、ぼくのだいすきなおもちゃも、いえだって、ふくだって、ぼくのものじゃない。おとうさんとおかあさんのものだ。ぼくだけでつくったり、かったりはできない。
ともだちだって、ぼくのものじゃない。こんなかんたんにあえなくなるんだ。みーんな、みーんな、おとうさんとおかあさんがいないとなくなるものなんだ。ぼくはなんにももっていなかったんだ。そうおもってただけで。
おもいでだって、ひとつもぼくのものはない。みんながいないと、おやがいないと、だれかがいないと、できなかったんだ。
ぼくひとりではなんにもできないんだ。ぼくなんのためにうまれてきたんだろ。そういえばどこでうまれたんだろ。ぼくのかわりのあのこも、どこでうまれたんだろ。
「そのばしょにいまむかってるよ」
しらないおじさんがきゅうにはなしかけてきた。
「きみと、きみのかわりがうまれたばしょ。こどもがうまれるばしょに、いまからいくよ。おとなしかしらないばしょ」
「おじさんはだれなの」
「おじさんがだれかって?おじさんにももうわからないな。おじさんがしってることはひとつだけ。このせかいは、おとなのつごうのいいようにできてるってことだけかな」
「とつぜんだけど、このえほんをよんでいるそこのきみ!そうそうきみだよ!きみ!このはなし、うそだっておもってない?そうおもうこは、いちどおとうさんかおかあさんにきいてみて「こどもってどうやってできるの?」ってね。そしたらきっとわかるよ。おとうさんもおかあさんも、こたえられないだろうね」




