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19才  作者: mame
21/27

彼との時間

ユウスケは実家に帰った。

今日から5日間は会えない。

よく考えてみると、彼と二人で過ごす時間は少なかったものの、ほとんど毎日のように顔を合わせていた。

そんな私にとってこの5日間という時間は決して短くはなかった。


彼女になってからほんの1週間。

しかし私の毎日は驚くほど変わった。

見える景色や時間の流れ方さえ違って見えた。

それくらい大きな出来事であり、幸せな時間だった。


ユウスケは私たちの関係が変わってからもいつもと同じだった。

ただ確実に変わったのが、毎日のメールだった。

学校から帰った時、寝る前、簡単な内容だったがいつも連絡をくれた。

そんな変化に喜びを感じ、また安心する自分がいる。


これから彼と過ごす時間はたくさんある。

以前のようにナオコの存在を気にしたり、アキコの行動に惑わされたりすることもない。

私の中で芽生えていた小さな独占欲が満たされた瞬間だった。

恋愛は勝ち負けではない。

しかし、ユウスケが選んでくれたのが自分だということに自信をもつべきだと思った。

これまで何に対しても自信が持てずにいた私に手を差しのべてくれたのは彼だ。

そんな彼の気持ちを絶対に無駄にしてはならないと思った。


できる限りのことをしよう。

彼のことをもっと知って、彼が喜ぶことをしたい。

今の私はそんな気持ちでいっぱいだった。


ユウスケが実家に帰ってから3日目。

夜メールがきた。



  携帯の調子がおかしいねん。

  メールもやっとできたわ〜

  帰るまで使えんなるかもしれんけど。

  オレは何もないから心配せんとってや



それっきりだった。

いきなりのことで驚いたがとりあえず待つことにした。

それから約2時間後、ユウスケから電話がかかってきた。



「もしもし??」



「もしもし?!聞こえるか?」



「よーく聞こえてるよ。」



「マジおかしいねんか。何回もかけてんねんで。」



「見てもらったら??データ消えたらマズイでしょ。」



「ええかなて思ってほってたんやけど、どんどん画面も暗くなるしやな。ヤバいかも。」



「今日のうちに行ってみたら?ショップならどこでもいいんでしょ。」



「そうやなぁ。めんどいけどしゃーないな。マキに連絡できんなったらあかんし。」



「・・・・・まぁそうだけど中身が消えたら大変よ。」



「たいして入ってないからええんやて。友達ならどうせかかってくるし。」



「そう??ならいいか…ってやっぱよくないし。」



「そっち変わりないんか??」



「なーんにもないよ。店もそこそこ忙しいだけ。」



「なんかマキに会いたいわ。」



「・・・どしたの??」



「いや。付き合ってるっぽいことしてないやん??」



「また帰ってきたらどっか行きたいね。」



「地元の友達に言うたったわ。彼女できてんて。」



「なんか恥ずかしいし。」



「こっちってか岡山一緒に出て行ってる友達3人おんねんけどまた会ってや。」



「うん…でも何か何話していいか分かんないけど。」



「ええねんて。勝手に騒ぐだけやから。普通にしとったらええで。」



「ほなとりあえず明後日帰るからすぐ会おな。」



「すぐって??」



「マキ休みやろ?オレんち来たらええやん。」



「う…うん。忙しくないの??」



「帰るだけやし、実家も3日おったら十分やわ。」



「じゃあまた連絡してね。」



「おー。携帯屋行ってくるわ。」



「はいはい。じゃーね。」



「ほい。ほなな。」



ユウスケはこんな感じだっただろうかと少し思ってしまった。

会いたいとかそんな言葉を言う彼がやっぱりしっくりこなかった。

悪い意味ではない。

そんなことを普通に言う彼の顔を想像して少し照れくさかった。


いつから彼は私のことをマキと呼んでいたんだろう。

そう思いながら話をしていた。

あまりにも自然にマキと呼ばれ、ドキドキする間もなく時間が経っていた。

おそらくマキと呼ばれたのは今日が初めてだ。

そんな小さな驚きと照れくささ、そしてまた新しい喜びを感じていた。


ほんのささいな出来事も、少しの時間も、そのすべてが大切だった。

こんな風に毎日が変化することが今でも少し信じられない。

こんなにもポカポカした気持ちは初めてだった。

明後日はユウスケに会える。

そう思うだけでドキドキしていた。


始まったばかりの恋愛、ただ嬉しい気持ちばかりだった。


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