表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールズエンドの歌姫  作者: 染島ユースケ
2.ウィークエンドの歌姫
20/177

 抜け殻になった梨音がいた。

 もう今日の軽音部の活動は終わっている。だけど、まだ呪縛から解放されない梨音がそこにいた。

 彼方を含め、メンバー全員はもう校舎の外に出ている。しかし、梨音は「ピックを忘れた」と無意味な嘘をついて、再び部室まで戻ってきた。梨音は、1人になりたかった。

 黄昏時の夕日が差し込む。斜陽の光が梨音の抜け殻を照らす。

「なんなのよ、あれ……」

 がらんとした空間に立つ、黒いマイクスタンドを梨音は見つめる。さっき、彼方が立って歌っていた場所。今でもその光景が目に焼き付いている。ここではない、遠いどこかを見つめて歌う彼方の残像。心がざわつく、フラッシュバック。

 あんなモノを見せられてしまったら、もう認めるしかない。彼方をバンドメンバーとして迎え入れることを、止められない。

 不意に、部屋に滞っていた空気が揺らぐのを梨音は肌で感じる。重い防音扉が開いている。そこに立つ、大きな影を背負ったジェロム。

「まだそんなところで打ちひしがれてたのか、ベリオンは」

「ベリオンって言わないでください。それに先に行ってって言ったのに、なんで来るんですか?」

「俺がそんな指示を聞くとでも?」

 それはまあ、確かに。納得できてしまうのが悲しい。

「それに、放っといて先に帰るわけにもいかなくなった。今日、みんな揃ってカフェライナーにお呼ばれだ」

「え、てことは夏樹さん? 何事?」

「さあな、詳細は俺もよくわからん。まあそういうわけでこれから4人でカフェライナーに行くから、心のスタンバイができたらさっさと降りてくるように。以上!」

 そう言って、梨音からの反論は聞かんとばかりに扉を閉めて去ってしまったジェロム。 

 いったいなんだって言うのさ、夏樹さんは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ