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「一緒にバンドやろう」
夕暮れ時の公園。通り抜ける10月の風は少し肌寒い。夕日に照らされ、黄金色に淡く染まる広葉樹の葉。それはひらひら舞い散って、足下で一面秋色の絨毯になる。
「ムリだよ。あたし、楽器なんて何もやったことない」
「大丈夫。俺より器用だし」
そこにいるのは、階段に座った少女。手には抱えられた松葉杖。足には痛々しく、ぐるぐると巻かれた包帯。
そして、その目の前に立つ少年。肩に背負っているのは黒いギターケース。彼ら以外には、誰もいない。
「それに、お前音楽好きだろ?」
「そりゃ、あんたにいろいろ聴かされたから」
「だったらやっぱり大丈夫だ。暇つぶしくらいでいいから、楽しくなかったらいつでもやめていいから……だから、一緒にやろう」
少年は、少女に手を差し伸べた。
「……本当に、暇つぶしだからね」
少女は、少年の手を取った。




