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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

四章

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謝罪と治療

更新遅くてごめんなさい。
ちょっと、ペースが落ちすぎているので頑張って戻します。
 海田加奈が入院している病院から家に帰ると、好木は海田加奈について本当のことを話すべく、京香をリビングに呼び出した。
 リビングに呼び出された京香はと言うと、ただならぬ雰囲気から背筋をピンと張って兄から話されることを待っている。
 そんな張り詰めた空気の中、とうとう好木は口を開いた。

「京香。実は……」

 好木は話した。
 海田加奈は死んでなどいない。
 死んだと言うのは京香を傷つけないようにするための嘘で、実際は死よりも酷い状態に陥っていることを黙々と話し続ける。
 その際に自身がしてしまったことの重大さに顔面を蒼白とさせながら聞く京香。
 それを見るのは好木にも辛いものがある。

「というわけだ」
 しかし、話さないわけにはいかないわけで最後まで話し切る。

 話し切ると同時に京香はその場に蹲る。
 目を赤くし、自分がしてしまったことをひたすらに泣き喚く。
 死ぬよりも酷いことをしていたのを知ったのだから、自分が思っていた以上に最悪なことが起きていたことを知ってしまったのだから。
 恐らく、一生消えない出来事になるのは間違いがない。

「京香……」
 京香は悪くないと言いたいが、京香の超能力が無ければあり得なかった状況。
 ゆえに慰めの言葉を掛けることはできない。
 いくら、法や制度で裁けないとしても、紛れもなく京香がしでかしたことに違いないのだから。

「ねえ、好木さん。私は加奈ちゃんに謝りたい」

「ダメだ」
 京香と加奈を会わせたくない。
 それが好木にとっての本心である。狂いきってしまった彼女にはおそらく正気に戻ったとしても消えない色々な傷があるのだ。
 そのことで負い目を感じて、すっかりと忘れがちな超能力の暴走の危険性をあげたくはない。

「なんで? 私は謝らないとダメなのに?」

「見て落ち着いて居られる自信があるかっていう位に酷いありさまだからな。正直に言うと、お前に見せたくないほどに酷い。だから、せめてもう少し良くなってから……」

「ううん。ダメだよ。好木さん。私がしたことはしっかりと目にしたい。むしろ、目にしなきゃいけないと思う。だから、会わせて」
 京香の口からはしっかりと目にしたいと言った真剣さがしっかりと宿っている。
 妹のためだからと遠ざけようとした好木は思い違いをしていたことに気が付く。
 そう、会うか、会わないかを決めるのは京香自身であると。

「わかった。京香。明日、会いに行こう……」

「ありがと、好木さんは私を心配してたんでしょ?」

「まあな。でも、その心配が逆に苦しめるかもしれないし。お前の意見を尊重する。心配だからってお前のすべてを俺が決めるのは間違っているし」

「うん、自分でしたことはしっかりと目にしたい。そうじゃなきゃ、私はきっとこれからも加奈ちゃんみたいに誰かを狂わせちゃうかもしれないから」

「そうか……」
 堅い意志に折れる形で京香が加奈と会うのをしてしまう。
 本当にそれが正解なのか分からず好木が少し頭を悩ませていると、

「好木さん。ごめんなさい」
 京香が急に謝ってきた。
 それは生半可な気持ちではなく、心からの謝罪であるのを分からせるほど重いものであった。

「何がだ?」

「好木さんって。今まで、普通の人よりも、怒りとか、我慢とか、そういった感情の起伏があまりない。それは、たぶん私の所為」
 好木がふつうの人よりも我慢強く、怒りの起伏が乏しい理由。
 その正体はやはり幼少のころ、京香が好木がいう事を聞いてくれなかったり、構ってくれなかったときに恐怖を与えて従えようとしたせいであるかもしれないのだ。

「いや、気にしてないし。そもそも、京香がそうしたって言う確信は別にないだろ? 気にするな、そのくらい」
 好木にとって、自分の我慢強さや怒りの起伏が乏しい理由などどうでも良い。
 それを含めて自分だと思っている好木はたかがそんなことで慌てふためいたり、京香を責めたりなどはしない。
 さすがに加奈みたいに狂っていれば話は別だが、好木の場合少し歪んでいるだけでまだまだ普通の域を出ていないのだから。

「でも……」

「過ぎたことは気にするな、と本当は言いたいんだけどな。加奈さんの事もあるし。やっぱり、色々と反省はしておけ。でもな、ひとつ言う。これから、きっと京香も色々と危ない目に合うかもしれない。その時はためらわず、力を使ってくれ」

「人を歪めてしまう力なのに?」

「ああ、そうだ。俺とお前。どっちかは生き残らないとダメだ。今の超能力者がこき使われて利用されてひどい目にあっていくのは立場が弱いから。俺と京香はまあ、言い方はあれだけど。神田系列の企業の後釜だ。俺達が上に立てば、超能力者でも上に立つことが出来ると言うのを世間に知らしめることが出来る」

「好木さん。何を考えてるの?」
 最近の好木からしてみればはっきりと物事を言うのが珍しいのか、京香は好木の考えが分からずにいた。

「まあ、あれだ。正直に言うと、これから俺は少しだけ超能力者贔屓の世界を目指そうとしている。少なくとも現状じゃ普通の人と平等な世界なんて無理だ。それを達成する前に俺達はこき使われて物のように扱われて行くに違いない」

「それって、やっぱり。調姉さんが言ってた。超能力者が優遇される世界っていう意味?」

「大体そんな感じだ。だから、日本の企業に力を利かせられる神田系列の企業の後釜として俺達が力を付けなくちゃダメなんだよ。資金も権力も何もかもが必要になるからな。調先輩曰く、俺達よりも年上の超能力者達も頑張っているけど。やっぱり、権力も資金力も中々に得られる立場にはなりにくいらしい。より、超能力者にとって良い世界を目指すにはやはり力がいる」

「どうして、急にそんなことを?」

「急になんかじゃない。ショッピングモールで後をつけられた時、調先輩も若田部さんも日に日に自身の力目的で誰かが攫いに来るんじゃないかとか。そう言った、危険性についてもう我慢できなくなったからだ」

「そう……」

「とはいっても。高校生の間に出来ることは少ないけどな……。まあ、基礎的な学力とかをしっかりと身に着けて置く準備期間って言ったところだ」
 忘れてはいけないのは好木たちは子供だという事だ。
 まだ、政治にも何もかも関われない非力だと言うのを忘れてはいけない。
 だからこそ、政治然り、色々と物事に力を効かせられる年齢になる前に力を付けておかなければいけないのだ。

「まあ、この話はこれくらいにしておくか……。それよりも、京香。明日、加奈さんに会うのを覚悟しておけよ。お前が思っている数倍は酷いからな」

「うん、分かってる……」



 そんなことがあった次の日。
 病院に着き、京香は加奈の病室にたどり着く。
 たどり着いた彼女は目の前に広がる光景を見て絶句し、その場にへたり込んだ。

「……加奈ちゃん。ごめん、ごめんね」
 今一度、彼女が置かれている状況を説明しよう。
 手足は拘束され自傷行為を防がれており、猿轡をかまされ舌を噛まない様にと。
 そこまで、されているという事はやはり体中はボロボロなのだから。

「京香。超能力の暴走は大丈夫か?」
 好木は今一度、超能力が暴走して周囲に恐怖を与える力を広範囲にもたらすことがないか聞く。

「うん、大丈夫。後、見て良かった。これを見なかったら、私は絶対にまた軽はずみに力を使って誰かをおかしくしちゃうかもしれないし」

「でも、今回のは本当に特殊だからな? たかが、お前の力一回程度じゃ歪まないのは調先輩も若田部さんに力を使った時に分かってるだろ?」
落ち込みすぎないように少しフォローを入れるのだが、

「ううん。違うよ。特殊なケースだからって私の責任じゃないわけがない。慰めてくれるのは嬉しいけど。やっぱり、私はしっかりと受け止める」
 京香はそう言いながら、加奈に近づいて行く。
 そして、色白く生気のない顔に手を振れ囁いた。

「本当にごめんなさい。良くなったら、もっと謝るから」
 それから彼女はひたすらに涙をこぼしながら加奈に謝り続ける。
 ただそれをじっと見ることしかできない好木は拳を握りしめながら、踏ん切りがつくのを待った。

 そして、30分が過ぎた頃だろうか。

「好木さん、調姉さん、若菜姉さん。治療をお願い。私がこうやって泣き続けても意味がないから。だから、お願い。どうか、加奈ちゃんを助けて……」
 顔をあげて俺と京香が泣き続けている間に遅れてやってきた調と若菜に頭を下げる。
 その悲痛な叫びに三人はこう答えた。

「ああ、任せろ」

「任せなさい」

「任してください」
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