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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

四章

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神田京香と海田加奈3

 神田京香の携帯には昨日連絡先を交換した海田加奈からのメールが届いた。
 その内容は自分の実の兄である神田好木と接触したらしい。

「なるほど、あの人はおにいが住んでる家の近くに住んでいる人……」
 加奈によってもたらされた情報は兄の横を歩いていた女性は近所に住んでいる人だという事であった。
 兄がまさか高校デビューですぐさま女の子とやるようなプレイボーイではないことに胸をなでおろす。
 しかしながら、近所に住んでいるからって一緒に帰るという事は恋人とかそう言う関係になるのは秒読みかも知れないわけで非常に複雑な気分になるのであった。

 そんな複雑な気分で加奈からの連絡に対して、ありがとうと返信を返そうとしたのだが、それだと寂しいので加奈ちゃんは今日何か楽しいことがあった? と追加してメールを送る。

 加奈から送られてきたメールは以下のような感じだ。

『なんか、京香ちゃんの従兄の好木さんに接触したのがスパイみたいで楽しかったよ。でも、あんまり好木さんについて知れなかったなあ……。というわけで、好木さんがどうやったら口を割りやすいか教えて!』
 普通に見える文。
 当然、京香も普通な文にしか見えなかったのは言うまでもない。

 そして、文面をその通りに受け取った京香は加奈にこうメールを送る。

『あの人は押しに弱い。だから、何回も話を掛けるのが良いかも』

『うん、ありがとう。それを試してみるよ。あの人と好木さんとの間をより詳しく調べちゃうよ。期待しててね』
 それからは毎日のようにメールでやり取りを始めた二人。
 実際のところ、加奈は自身が超能力を使えることをカミングアウトした京香についても調べたら、組織からお小遣いが貰えるかもしれないという打算的な考えであった。

 だがしかし、あまり友達のいない京香にとって、メールをこう何度もしてくれる友達はほとんどいないわけで、割と夜にメールでやり取りするのが楽しくなってきていたころだ。

『ねえ、京香ちゃん。今度、遊ぼうよ。ほら、私も色々と好木さんについて調べたんだよ? そのことをメールで書くと長くなっちゃうしうまく説明できないしさ』
 と言ったように加奈から遊びのお誘いを受けた京香。
 彼女の返事は当然なことに、

『うん、良いよ』と今度の日曜日に遊ぶ約束にきまる二人。
 京香は普通に遊ぶのだと思っていたのだが、この時の加奈は最近の間、組織側に色々と情報提供が出来ていなくて焦っていたのを京香は知らないのであった。
 そう、加奈は京香の事をより調べて情報を組織に渡そうと考え、京香を遊びに誘ったのだ。


 二人が遊ぶこととなっている日曜日。
 京香は待ち合わせ場所に指定されていた駅前に着く。
 加奈はどうやらすでにいる様で、京香は近づいて行きこういった。

「お待たせ。加奈ちゃん」

「あ、京香ちゃん。お久しぶり。まあ、メールではよく話すけどさ」

「うん、今日はどうするの?」
 遊びに誘われたは良いもの、何をするかまでは決まっていないので京香はこれからどうやって遊ぶのか聞いた。

「うーん。適当に遊べばいいんじゃない。そうだね、まずは女の子らしく可愛い服でも買いに行かない?」
 加奈は焦らない。
 組織に渡すための情報を得るために焦って、ぼろを出し相手に不審に思われるのを避けるべく友達みたいに話をして、友達みたいに遊ぶ。

「じゃあ、私。夏に向けた薄手の服が欲しい」

「そうだね。じゃあ、行こっか」

 最初に服を見て、適当に色々なお店をふらつく。
 時間にして二時間ほどが立った頃だろうか、ちょうど時計は天辺を指していて昼食を込み始める前に済ませてしまおうと考えた二人は某チェーン店のお店に入る。

「ねえ、京香ちゃん。そう言えばさ、京香ちゃんも超能力を使えるって言ってたけど。どういうのを使えるの? ちなみに私は相手が最近、興奮した状況を詳しく知れるんだ。どう、微妙でしょ?」

 加奈はショッピングで距離を縮めたのを確信し、今日の本題。
 神田京香の超能力について情報を集め始める。

「私は相手が最近感じた恐怖について知ることが出来る。その恐怖がどういった指向性を指しているかとかが分かる力を持ってる。小さいときは制御できなくてずっとありとあらゆる人の恐怖を読み取ってて割と辛かった……」
 友達が少ない京香に取って、加奈との距離感は非情に胸を躍らせていた。
 京香はすっかりと加奈を友達として認識しているのか、さらりと自身の事をさらけ出す。

「へえ、そうなんだ。じゃあさ、試しに使ってみてよ」
 ここからが加奈の大事な仕事だ。 
 どこまで超能力者のをよりしっかりと把握する。
 そうすれば、組織に報告することによって普通な生活ができるのだから。

「良いの?」

「うん、良いよ」

「わかった……」
 京香は少し力んで加奈が受けた最近の恐怖について読み取ったと思われた次の瞬間だ。
 対面越しに座っている加奈の手を掴み手首あたりまでをきちんと隠していた上着を一気に捲りあげる。

「へ?」
 急に袖をまくられた加奈は驚きのあまり間抜けな声を出す。
 そんな加奈に対して京香ははっきりと言った。

「ねえ、加奈ちゃん。このあざは何?」
 そう、京香の相手が経験した最近の恐怖を知る力はその時の状況を知るとまでは万能ではないが、相手がどういう風に恐怖したのかを知ることが出来る。
 言い換えれば、肉体的な風か、精神的な風か、それを知れるのだ。

 京香が感じ取った加奈が最近受けた恐怖は紛れもなく肉体的な物からもたらされる恐怖。
 しかも、それは決して軽いものではない。
 そのことから京香は察したのだ。

 彼女は最近、体に痛みを負うような恐怖を体験したのだと。

「こ、これはぶつけちゃって……」

「嘘。だって、今。加奈ちゃんの恐怖は肉体的から精神的な恐怖に変わった。それってさ、そのあざを私に見られたからに決まってる」

「いや、それは……。うん、わかった。話す。でも、ご飯を食べ終わってからにして。さすがにここじゃ話せないから」
 加奈は自身の背後にある組織のことを隠そうとすべく、一時の間を稼ぎ適当な理由を考え始める。
 なぜ、この場で自分が置かれている状況を話して警察に助けを求められないのかは簡単だ。
 警察にすら加奈をこき使う組織は顔が利く。
 ゆえに、一度逃げ出そうと警察に助けを求めたことがあったのだが、それは失敗に終わり制裁を受けた。

 そう、抜け出そうとすれば失敗に終わるのを経験してしまっている。
 加えて、一度目の時にこう言われたのだから、『お前が抜け出そうとするのは良いが、抜けられなかった場合はどうなるか分かってるよな?』受けた痛みも相まってそれは彼女を縛り付ける鎖となり抜け出させることを封じているのだ。


「わかった」
 そう言ってファミレスで頼んだ料理を淡々と食べ終える二人。
 二人は人気のない場所に向かう。
 人気のない場所と言っても日中であればそうそうとあるわけがないので彼女らが話す場所に決めた場所はというと、初めてあった日に休憩した公園であった。

「話して、あのあざは何?」
 京香は引かない。
 そう、メールや買い物とかのやり取りを通して紛れもなく加奈を友達だと思っているのだから。

「じ、実はさ。親が仕事を首になっちゃって……。前は良い親だったんだよ? だけどさ、酒癖が悪くなって、日に日に私にも暴力が……」
 加奈は組織のことがばれ抜け出そうとしているのを感づかれるのを防ぐため嘘をつく。
 もし、抜け出そうとしているように見られたのなら制裁を受けるのだから。

「そうなの? でも、あの恐怖は……」
 しかし、恐怖の大きさからか加奈のいう事を信じられない。

「う、うん。実は……。もしさ、私がこの状態で誰かに助けを求めたら紛れもなくお父さんは刑務所に行っちゃう……。そうしたら、もっとお父さんは苦しむかもしれない。だから、もう少しだけ我慢しないと、この怪我も酔いが冷めたら本当に土下座までしてきたし」
 適当な嘘をつき続ける。

「本当に?」
 しかし、京香は信じることができない。
 恐怖の大きさと今聞いた事が決して釣り合わないようにしか感じられないのだ。

「ほ、本当だよ?」

「ねえ、加奈ちゃん嘘なんて吐いてないよね?」
 京香は最後にとっておきの力を使いながら加奈にもう一度だけ、ことの真相を確かめようとする。

「今話した通りだから……」
 しかし、とっておきの力に屈せずに加奈は嘘を突き通した。

「分かったよ。今はそれを信じる」
 とっておきの力は使いすぎてはいけない。
 話してくれそうに無いので、京香は取り敢えずこの場は引くことにした。
 だって、とっておきの力は使い過ぎてしまえば相手は歪んでしまうのだから……。
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