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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

四章

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神田京香と海田加奈2

「ふー、ごめんね。中々見つけられなくてさー」
 神田好木が住む家を知っていながらも、好木の情報を敢えて集めるために好木を訪れた同じ年齢の女の子、神田京香を振り回しながら街を闊歩している海田加奈が言う。

「ううん、手伝ってくれてるだけでありがとう」

「そう? はー、のど乾いちゃった。そうだ、ここらへんに割と良い公園があるんだけど少し休まない? ほら、京香ちゃんはさっき行けばわかるって言われたから住所も聞いてないって言ってたし、地図でも見ないと。そうじゃないと本当に日が暮れちゃいますし」
 京香は幼少期のころ住んでいたという事もあり道を覚えていると過信していたがために住所を祖母から聞きもせずにやってきている。
 しかし、想像以上に周りの雰囲気が変わっているので中々に道が分からなったというわけだ。
 とはいっても、海田加奈と出会ったところから少し歩けば見つけられたのだが、海田加奈に出会ったのが運のつき出会った。
 彼女にうまく誘導されながら永遠と近所を彷徨っているという事だ。

「そうだね。地図を見ればよかったかも」

「じゃ、立ちながらなんてあれだしさ。ベンチで一休みしよっか」

「うん」
 なぜ急に休みながらより堅実な方法で家を探してみようと提案したのかは簡単で潮時だからだ。
 これ以上近所を歩き回らせるのは不可能で敢えて変な方向に連れて行けば自分の裏について勘繰られてしまう。
 海田加奈は自身の裏にある存在を悟られない様に潮時と判断しベンチで座ってもう少し情報を集めて、道案内を終わりにしようというわけだ。


 公園のベンチに付くと海田加奈はちょっと小走りして自動販売機で二本のジュースを買って一本を京香に渡して腰を掛ける。
 腰かけて先に口を開いたのは加奈であった。
「ねえ、京香ちゃん。京香ちゃんの口ぶりからして従兄のおにいさんのことを好きなの?」

「へ? な、なんで?」
 急に加奈から好木の事を好きなのかと聞かれた。
 そりゃそうだ。海田加奈に家を探す道中に話していた神田好木の話。
 ブラコン気味である京香の接し方が割と距離の近い接し方なので恋しているのか勘違いしたのだ。

「いや、だって聞いた話だと距離感が近いし。でも、従兄なんでしょ? 本当の兄妹とは少し違うじゃん」
 本当の兄妹なら割とブラコン気味な妹で済んだ話も従兄となれば見え方も変わってくる。
 やはり、海田加奈には好きな風に見えてしまったのだ。

「す、好きは好きだけど……」
 好きは好きだけどと言った後に加えて『兄妹』みたいな風にと付け足そうとしたのだが、

「へー、やっぱり? いやー、間違ってたらどうしよっかなって。ほら、好きでもない人を好きでしょ? って言われるのは余り心地良くないじゃん」

「そ、それはそうだけど。でも、私はお兄の事を本当の兄妹みたいな風に好きって言おうとしたわけで……」

「いやいや、好きは好きだけどって先に来ちゃう時点で実は好きでしょ? あー、分かった。私にやっぱり好きでしょ? 敵に言われて恥ずかしくなったんだね! わかるよ、その気持ち」

「え、違……」

「さてと、これ以上言うと色々怒られちゃいそうだし辞めよっかこの話。というわけで、これが今私たちがいる公園だよ」
 相手が怒るのを警戒して、加奈は話題を変える。
 加奈は組織から持たされている監視用の携帯電話の高性能地図アプリを表示させ京香に見せた。

「ん? この家って明らかにでかい……たぶん、この家だと思う」
 そう、神田家は割とでかい。
 なので地図アプリにもそれはきちんと反映されているわけで神田家という表示が無くともそこが自分が探している神田家だと一目でわかった。

「へー、神田さんの家ってこんなでかいんだ。はあ、私としたことがこれならさっさとこの地図を見せちゃえば良かったね。いやー、ごめん」

「ううん、悪くない。この公園からそう遠くないし、この地図アプリのスクリーンショットを携帯に送ってもらって良い? たぶん、これがあれば後は一人で大丈夫だから」

「良いよ。じゃあ、アドレスを交換しよっか。私、コミュニケーションアプリ系を全部フィルタリング掛けられちゃっててさ」
 組織が情報を隠蔽するために持たされている携帯は通常の物とはかなり異なっている。
 そのため普通のアプリで不特定多数に見られる可能性が高いSNS関連のアプリは絶対に入れられない。

「へー、厳しい親なの?」

「……、へ? あ、うん、そうそう。厳しくて困っちゃうよ」
 一瞬の間を持って答える加奈。
 それはそのはずで加奈の両親はすでにこの世にはいない。

「これ、私のアドレス」
 最近は赤外線通信による近距離間における連絡先の交換機能はすっかり廃止されQRコード式の物が携帯の電話帳を登録する際に使われている。
 まあ、それさえもSNS系が発達によりほぼ機能していない。

「じゃあ、送るね」
 地図アプリの一画面をスクリーンショットに取り京香のアドレスに添付しメールを送る。
 数秒も経たないうちに京香の携帯は鳴り響きメールが届いたのを知らせた。

「ありがとう。これで私は迷わずに行けるかも。何かお礼したいけど何が良い?」
 京香は一緒になってわざわざ探してくれたこともあり、お礼をしないといけない。
 そう思って加奈に聞いたのだが。

「助けて欲しい」
 海田加奈は今自分を取り巻く状況に慣れつつあるも、抜け出したくて仕方がない。
 何も知らない京香にどうせ意味も分からないって気が付けば超能力者の情報を調べさせられていることから救いを求めていた。

「ん? 助けて欲しい?」

「へ? あ、ごめん。今のは何でもないよ。最近、アニメ見すぎたかもなー。なんか、変な事口走っちゃった」
 加奈は一応怪しまれない様に訂正する。
 あの組織から抜け出そう、もしくは逃げ出そうとしたものならどうなるかを今与えられた仕事をさせられる前に散々見せられた。
 そのせいで、どうせ逃げ出そうとか抜け出そうとかどうやっても足のつかない存在である京香に対しても組織の事を勘繰られない様に先ほどの不自然な会話にフォローを入れたというわけだ。

「じゃあ、何が良い?」

「京香ちゃんの事を教えてよ。気が付けば、従兄のお兄さんの事ばっかり聞いてたしさ」
 お礼と言われても中々に相手にがっついて、がめつい子と思われてしまいたくない加奈は適当にお礼と称して今度は京香に対してのことを聞いたというわけだ。

「うん、良いよ。私は神田京香。好きな物は……」
 それから京香は色々と自己紹介をしていく。
 それを聞いた加奈は気まぐれでこう言った。

「じゃ、私も自己紹介しちゃおっかな? へへん、聞いて驚かないでよ。実は私は超能力を使えるんだ」

「良いの? そんな風に自身が超能力者って言って」

「なんで?」

「だって、超能力を使えるって色々と変に思われることがるし……」

「へ? いやいや、そんなことないよ。最初は奇異の目で見られるけどしっかりと話せば普通に皆仲良くしてくれるに決まってるじゃん。まあ、私の超能力がしょぼいのもあるだろうけど」
 海田加奈は周りに恵まれていた。
 だからこそ、他者に自分が超能力を使えることを言っても気にしない。
 むしろ、仲良くなりたい相手には積極的に超能力を使えることを伝えている位だ。
 そう、彼女は超能力を持ちながらも差別や煙たがられると言ったのをほとんど経験したことがない数少ない恵まれた環境で育ったから普通に超能力者であると声を大きくして言える。

「ううん、そんな都合のいい訳がない。超能力者は変にみられるのは本当。だって、私も超能力者だから」
 相手が超能力を使えることを普通にカミングアウトしてきた。
 超能力を使えることを周りに知られれば差別は受けないにしろ奇異の目で見られた経験がある京香。
 そんな都合のいい話があるわけがないと思った京香は反論するが如く自身が超能力を使えることを気が付かないうちに話していた。

「え? 京香ちゃんも使えるの? あちゃー、私としたことが失言だったかな……。超能力者って私みたいに差別を受けな人のほうが少ないってよく耳にするし。こりゃ、配慮が足りなかったかも。ごめんね!」
 海田加奈も自身が恵まれていることくらい知っている。 
 だから、京香に申し訳なさそうに詫びた。

「いや、別に気にしてない」

「ふー、なんか変な雰囲気になっちゃったけど。これからも仲良くしてね」

「……なるほど。そう言った明るい性格もあるから周りといい関係を築けている。そのくらい、加奈ちゃんは明るくて素敵だと思う」
 話の切り返しの速さと、親しみやすい距離感。
 それによって彼女は恵まれた環境を自身で作り上げているのを瞬時に理解した京香。

「えー、褒めても何も出ないって。さてと、京香ちゃんを好きな従兄のお兄さんのところに行かせるのを阻止してるのも気が引けるし。行こっか。せっかくだし、京香ちゃんが神田家を見つけて入っていくまで付き合うよ」

「え? 別にそこまでしなくても良いから」

「そんなつれない事を言わないでよ。加奈ちゃん」 
 京香に付いて行って、あわよくば神田好木と接点を持てれば今後の情報収集に役に立てようとした。
 実を言うと、このころの加奈はまだ神田好木と仲良くしているその他二人の超能力者がいることしかほとんど知らない。
 現に今日、路上でうろうろしていたのも神田好木について調べていたからである。
 いっそのこと従妹の京香を利用して近づけないかと考えたからだ。

「わ、分かった。行こっか」
 その時だ。
 加奈の目に京香の従兄のお兄さんである好木が映る。
 どうやら、出掛けていたようすだ。

「あ、おにい……でも、横の人は?」
 そして京香の目にも好木の姿が映るのだが、横には同じ学校の制服を着た女子が映っていた。

「もしかして、彼女さんかもしれないね」
 加奈は横にいる京香に何気なく言うのだが。

「帰る……」
 京香は意気消沈し帰ろうとし始める。

「え、え? なんで急にそんな落ち込んじゃったの?」

「だって、あの家は家がある方向。つまり、あの女を連れ込んで致す可能性が非常に高い。そんな気まずい所に行けるわけがない」
 加奈は彼女がここらへんに住んでいるのは事前情報で知っている。
 が、しかし、京香からしてみればそうとしか見えないかと十分に理解できた。

「そうかもね……。でも、だったら邪魔しに行かないと。だって、好きなんでしょ?」
 加奈は意気消沈した理由を好きな人を取られたから意気消沈したと思いこむ。

「好きだけど。でも……」
 一人暮らしをし始めた兄が女の人を家に連れ込む。
 そりゃ、兄妹なら得も言われぬ気持になるに決まっている。
 今回の落ち込みは自分の兄が変わってしまったかもしれないとか、普段自分が見ていた兄と異なっているから違和感を感じてもどかしい気持ちからもたらされていた。
 決して、嫉妬とかそう言うのはない。

「しょうがないなあ。私に任せて置いて、適当に近づいて色々と情報を得てきてあげる」
 海田加奈は敢えて関りを持つためにそう言った。
 友達になった京香のために色々と情報を得てきてあげる。
 まさに神田好木達と距離を近づけて一石二鳥な上に、近づく際に色々と情報を聞き出して不審に思われたら京香の友達で気になっているから代わりに近づいたと言えば良い。

「どういうこと?」

「だから、従兄のお兄さんがあの女の人に盗られない様にさ」

 こうして、二人はその場限りの出会いかと思いきやそうは行かなくなった。

















「という感じ。私と加奈ちゃんの出会いは、まあ色々と私の考えで補完してるけど……」
 京香は自分からの視点ではなく、加奈の考えを補完して話してくれている。
 最も、補完がなければ何もかも事の真相は全然見えないから当然ともいえよう。

「なるほど、で、不自然だけれども後ろ盾を得た加奈は俺に近づいて来たのか……」

「うん、そう言う事。じゃあ、次は加奈ちゃんと次に出会ったところから話したいところだけど。心の整理をさせて」 
 話している最中も辛そうであったが、一度話を区切ったことにより込み上げてくる何かがあったのか少し呼吸を整えている京香。
 そして、呼吸が整うと京香は再び語り始める。







 
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