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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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結果とその先

 期末試験一日目、試験自体は2、3科目で終わるため午前で帰れるために、成績のいいあの二人から何かしらの接近を図られるかと思えば意外にもそう言うわけではなく平穏に試験一日目はそのまま何事もなく終えたのだ。
 そして、やってきた試験二日目も事なきに終わり、すでに学校から家に帰宅する途中に調先輩と出会う。
 俺を見かけた調先輩は近づいて来てこういった。

「というわけで、好木。試験が終わったら遊びに行きましょ?」
 一体何がというわけで、と意味が分からないが。
 自重してくれている手前、依然と違って普通に遊びに誘いに行けるのは言うまでもない。
 当然、俺の返事はこのようなものだ。

「ああ、良いぞ。皆も誘ってな」

「……ええ、そうね。私的には断られると思ってたのだけど……」

「まあ、最近は大人しいですし。そりゃ、大人しければ普通に出掛ける位は」

「そ、そうなのかしら?」
 調先輩は微妙な顔をしていた。
 一体、どうして微妙な顔をしているのかは分からないが取りあえず言えることは言っておこう。

「先輩は避けてるって言って過剰に接して来ますけど、過剰に接してくるから避けてるんだからな?」
 その時、雷に打たれたかのように調先輩はよろめき。
 アスファルトの上で女々しく座っているというか、倒れこんでいると言うかなんとも言えない体制のまま俺に話して来た。

「あの、好木。構って貰うのに理由はいらないのかしら?」

「はい? 理由って別に友達同士なら適当に構ってほしければ軽く遊びに行こうぜとかそう言った風に接すれば断らないに決まってるじゃないですか。調先輩と若田部さんが誘って来るときって強引で何が起こるか分からないから素直に受け取れないんですよ?」

「そ、そう……。でも、面倒くさい女だと思ってるでしょ? そう言った人は嫌いなのよね?」
 さっきから妙に話が繋がらないんだよな……。
 自重してたのには色々と背景でもあったのだろうか?

「まあ、事実なのは認める。別に面倒くさいからってそりゃ一面だけ見れば面倒くさいですけど。別にそんな一面で人の何が分かるって言うんですか? 俺が言いたいのは度を過ぎなければめんどくさくても全然良いって感じですかね。何を急にしおらしく自分を嫌いよねと言ってるんですか?」

「いや、その。はっきり言うと、好木が構ってくれないから行動をエスカレートさせていったわけで……。その、だから、普通にしたらもう構って貰えないんじゃないかって思ってたのよ……」
 やけにおどろおどろしている調先輩。
 こういった姿を見ると話していることに絶対に裏はあるのは見えているが、まあ別に聞き出す必要はないし追及はしなくても良いだろう。

「はあ……。そんなわけないじゃないですか。素直な方が普通に構ってあげるに決まってますよ。というか、素直じゃないし裏があるから嫌なだけですって」

「本当に?」

「はい、本当ですよ」

「本当かしら?」

「だから、本当だって言ってますって」

「本当の本当に?」
 そんなしつこいやり取りが続いたのち、なんだかんだで調先輩は納得した。
 どうやら、俺と調先輩との間における考えの差が相当に広かったらしい。
 俺は嫌がらせじみた行為をしなければ絶対に構ってくれないと言われた時には、苦笑いしか出なかった。
 まあ、そう見えていたなら仕方がないけど。

「さてと、皆を誘ってどこか行くつもりですけど。出来れば、身の安全を保障される場所じゃないとダメだよな……」
 超能力者を取り巻く環境はいまだにはっきりとしない。
 なんだかんだで保護下に入った調先輩と若田部さんはいつ狙われるか分からないわけで出かけるにしてもあまり人気のないところは避けたいわけだ。
 とはいっても、ばあちゃんが気を付けろとあまり言ってこなくなってるし、割とだいじょうぶになって来てるかも知れないけどな。

「好木。はっきりと言って良いかしら」

「良いですよ。何ですか?」

「私と二人きりで出掛けて欲しいわ」

「……それは考えさせてください」
 二人きりで出掛ける……。きっとそんなことをすればどんどん俺は惹かれて行ってしまう。
 だから、結論を出すまでは出来るだけ綺麗な関係を保ちたい。
 こんなことを考えている時点でクズだけどな……。

「正直に言うわよ。好木……。あなた、波豆さんが今一番好きかしら? だったら、私は辛い思いをする前に身を引くわ」

「まあ、皆の中では……。でも、俺の好感度だって前後しますよ?」
 あれ?
 俺は何を言ってるんだ?
 相手は身を引くって言ったんだ。それで普通なら良いじゃないか。
 女の子を侍らせている現状は間違っているに決まっているのに身を引くと言うのならそれを受け入れた方が良いに決まってる。

 調先輩は俺の背後に強引に引っ付いて、耳元で囁かれた。
「でも、好木はまだ答えを出そうとしていないわよね? だから、嫌がることで構って貰う事は自重するわ。でもね、だからと言ってこういう風には自重しないわ」

 調先輩は離れないで続けざまにこういった。
「好木。私はあなたが好きよ? 他の女の子を見るなとは言わないわ。でも、私も見て欲しいの」

「先輩……」

「別に私はあなたの一番じゃなくて良いわ。でもね、お願いだから見捨てないで頂戴……」
 俺が波豆さんに惹かれつつあることを先輩は分かっているのだ。
 ゆえにこうして……
 肩に添えられた折れていない方の手、その手を握りしめて俺は言う。

「ごめん」
 そう言うしかない。
 俺が甲斐性なしだから……。
 一人を選ぶことが出来ず、好意を受け続けて良い思いをしようとした俺が悪い。
 だけど、俺は答えを出せない。
 出したくない……。答えを出せば築き上げた何もかもが変わってしまいそうなのだから。

「ええ、良いわよ。私は好木が好きなようにして。誰を恋人にしようが、誰を愛そうが。それでも私はあなたを好きでいるもの」

「そんなのは……」

「良いのよ。私が好きでしているだけだから。それに私はやって見せるもの。あなたが何人でも好きな人を作っても大丈夫なような世界を……」
 本当にそんな世界があれば良かったのに。

「なあ、調先輩。一つ聞いてくれないか?」

「ええ、いいわよ」

「こんな不甲斐ない俺を好きでいてありがとう」

「ふふ、良いわ。好かれている女の子の好意を無下にできないでうだうだと、それでいて楽しい日常を壊したくないあなたが好きなんだもの」
 何事も包み込んでくれるような優しさで言われる。
 だがしかし、そんな優しさを受けた後、ゆっくりと調先輩は離れて行った。

「ねえ、好木。今度は前から抱きしめて良いかしら?」

「いや、それは……」
 俺の周りにいる女の子一人と一線を越えては日常は崩壊して生徒会室で今繰り広げているあの光景はもう二度と拝めない。
 後ろから抱き着かれていただけでもダメだったのに前から抱き着かれたら一線を越えてしまうかも知れない……。
 そんなことを思ってたじろいでいたら、

 ギュッと背中に腕を回された。

「言ったでしょ? 嫌がらせじみた行為で構って貰うのは自重するけど。こういう風に思いを伝えるためには自重しないって」
 ほんのりと髪から甘い匂いがして、腕を骨折している調先輩は片腕しか後ろに回せていなくて、そして俺の胸にがっつりと顔を押し当てている。

「本当にこんな俺を好きで良いんですか?」

「ええ、当たり前じゃないの。好木、あなたは一線を越えなければ大丈夫ってよく考えているわね。でも、ギリギリまでなら……。だから、もう少し甘えさせて?」
 嫌がらせじみた行為でない抱き着きは心地が良くてそして手を出して仕舞いそうに……

 そう思った時だ。

 俺の胸のあたりにこそばゆい感触が走った。
 そう、ワイシャツ越しに調先輩の舌が俺の胸を舐めまわしている。

「あの、何してるんですか?」
 強引に調先輩を引きはがして説明を求めると……。

「我慢できなかったの。匂いが濃くてそしてそれを口で味わいたかったのよ」
 何を堂々と言っていると思ったのだが。
 手を出して仕舞いそうになっていたのを防ぐ効果があったので良しとしよう。

「ええ、そうよ。好木。あなたは散々一線を越えたくないって言っているのだから。あなたが嫌がることをして止めても良いわよね?」

「もしかして……」

「好木。ここからは一蓮托生。私もギリギリまで責めるけども、絶対に一線は超えないと約束するわ。だから、もしあなたが線を越えそうになった時は今みたいにあなたが少し嫌がる。いえ、あなたが踏みとどまれるくらいの嫌なことをして良いわよね?」

「そ、それは……」

「ふふ、良いのかしら? あのまま私があなたの胸元を舐めなければあなたはきっと私に手を出していたに決まっているわ。あなたは自分で自制できるかしら? 別に私は良いのよ? あなたが手を出してきても」
 どうやら、先ほどの奇怪な行為は調先輩が敢えて俺にした行動の様だ。

「っく。そうですけど」

「というわけで、好木。あなたが決めたことを尊重することにしたの。はっきり言うわ。これから、手を出そうとしても絶対に止められる。そんな生き地獄を味わうと良いわ。実は今話したことは皆に了解を得ているわ。その意味が分かるかしら?」

「俺がその気になっても今までだったら超えてたかも知れないけど、これからは誰も一線を越えさせてくれないってことか?」

「ええ、それがあなたの望みじゃない。だけどね、嫌がらせじみた行為で自重はするけれど、好きな気持ちを伝えるのは自重しないわよ?」
 悪魔のような微笑みを浮かべている調先輩。
 そんな調先輩の言う事はこのまま楽しい日々を続けて行きたい俺にとって願ったりである。

「ああ、そうしてくれるなら本当にありがたい。わかった。俺が一線を越えようとしたら嫌がることって言うか、調先輩の性的思考がふんだんに入った行動をして良い。別に俺は手を出そうなんて考えないからな、万が一そんなことを考えた時の罰にふさわしいしな」

「ええ、そう。その余裕が長く続くと良いわね。自重すれば構って貰えるときちんと理解した私達にどこまで耐えられるかしら?」
 くすっと笑っている調先輩。
 まったく、俺を舐めて貰っては困る。
 いや、実際にさっき舐められたけどな。

「ああ、皆も一線を越えたくないって理解してくれて俺からしてみれば嬉しいだけだけどな!」

 しかし、この時の俺はまだ知らない。

 本気で思いを伝えてくる女の子達の可愛さを侮っていたのだ。
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