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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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 波豆さんのベッドの上で療養していた俺はなんだかんだで体調を良くするのに二日を要した。
 そして、波豆さんの部屋に住み着いてちょうど一週間が経ったため出て行くはずだったのだが、

「あ、ヨシ君が良いなら。ここに居ても良いよ。どうせ、具合もまだ完全に良くなったわけじゃないんでしょ?」

「まあな……。正直に言うと、居心地が良いから帰りたくない。だって、帰っても待ち受けているのはどうせ俺の気を引くための嫌がらせが起こりそうだしな」

「うん、そうだよ。自重するまで頭を冷やさせないと」

「だけどな……。波豆さんの家に住み着いて迷惑を掛けるのもなあ……」

「迷惑じゃないから安心して。現に私は今回の期末テストをヨシ君のおかげで普通に乗り切れそうだし。そう考えればいいことづくめだからね」
 そうは言われてもなと思うも、あの家に帰ることを想像した途端に俺の考えは纏まる。

「わかった。体調を崩したし、流石にあの三人が自重するまで俺は帰らない。それまでここにお世話になっても良いか?」

「大歓迎するよ。というわけで、その旨を伝えに行こっか」
 というわけで我が家を訪れる俺と波豆さん。

「あら、私達が寂しくて帰ってきたのかしら?」

「神田君。今日から帰ってくるんですよね?」

「好木さん。ごめんなさい」
 京香はまだ俺の具合を悪くさせたことに責任感を感じているようだ。
 そして、三人は俺が帰ってくるとばかり思っているに違いない様子なのは間違いがない。

「波豆さんの家でお世話になって思った。お前らが、自重しない限り俺はあの家には戻らない。波豆さんも別にいつまで居てくれても良いって言ってたからな!」
 しかし、俺ははっきりと返らないと宣言するのであった。
 それと同時に三人は少し寂しそうにしたものの。

「そうね。私たちはふざけすぎていたもの。そう言われて仕方がないわ」

「ええ、そうです。好きなだけ波豆さんのところでお世話になったらいいと思います」

「好木さんはこの家に帰りたくなくて当然」

 と言ったようにやけに素直であった。
 まるで何か隠されているかのような素直さに違和感を覚えるものの、

「あ、ああ」
 三人が素直に自重してくれることはありがたい話なので受け入れるのであった。

 そして、俺は一応自分の部屋を見に行く。
 依然戻って来たときは調先輩に荒されていたし、それが悪化していないかを確認しに行ったというわけだ。

「……すごく綺麗だ」
 ベッドのシーツは新品に毛布はクリーニングに出されたのかほぼ匂いなどしない。
 タンスの中に入っていた衣類もきちんと整理されている。

「まあ、問題がないなら良いか……」
 そう思いながら廊下に出ると、調先輩がいた。

「ちゃんと、直して置いたわよ。何よ、その意外そうな顔は」

「いや、うん。別に普通なら良いんだけどさ……」
 なんだろう、本当に違和感しかない。
 こうも調先輩は素直だっただろうか?
 というか、具合が悪い俺をお見舞いとか言って訪れるかと思ってたの結局来なかったりと、本当にどうしたんだ?

「あら、失礼ね。言ったじゃない。反省してるのよ?」
 確かに反省の色は見えるけど、反省したうえで自重しないのが調先輩じゃなかったか? などと違和感を覚えながらも俺は特段と我が家ですることもないのでは波豆さんの住むアパートに戻るのであった。


 アパートに戻ると俺は今日は学校は休みなのでゆっくりと過ごす、というわけにはいかないようだ。

「はあ……。頑張ろ……」
 そう、テストは休日明けに行われるのであまり成績の芳しくない波豆さんは最後の追い込みをしているので俺はそれに付き添うのであった。
 赤点を避けるのは余裕だろうが波豆さんは少しでもいい点を取りたいらしいからな。
 だったら、お世話になっている身だ。それを手伝おうではないか。
 そして、何事もなく土曜日は終わりを迎えるのであった。





 そして、日曜も同じく勉強をして勉学に励む。
 なんやかんやで時間は経ちすでに外は暗くなっている。

「何だろう。すごく違和感が……」
 そう、あまりにも平和すぎる。
 休日で頭が良いあの三人は勉強などする必要はない。
 ゆえに俺にちょっかいを出してくるかと思いきや、昨日も今日も今だに接触を図りに来ないのだ。
 それが違和感でしかないというわけだ。

「思いが通じたんじゃないの?」

「そうだな、やっと俺の思いが通じたんだろうな……」
 そう言った時だ。 

「っご、ゴホン」
 波豆さんは笑いこむのを強引に抑えた時にあえて出すような咳をした。
 確かにそうだな。俺の思いが通じたんだろうな……なんてしみじみと言えば笑いが立ち込めるのは十分に理解できる。

「ま、思いが通じたのなら、帰るのは割と早いかもな」
 そう、自重を覚えたのなら帰っても大丈夫だというわけだ。
 そのことを少し嬉しげに言ったのだが、

「う、うん。そうだね」
 やはり、どこか笑いを堪えている波豆さん。
 そこまで笑いを堪えることだろうか? 少し心外である。

「さてと、波豆さん。時間も良い頃合いだし、夕食はどうする?」

「あー、私が作ってもって思ったけど。それだと、勉強の時間が取られるし、適当に外で食べよっか」

「そうだな。じゃあ、行くか……」
 と言ったように集中力が切れかけているの相まって俺と波豆さんは夕食を食べに少し離れた繁華街方面に繰り出したのだが。
 道中でスーパーの買い物袋を持った若田部さんに出会う。

「あ、神田君。どうも。これから、ご飯ですか?」

「あ、ああ。そうだけど……」 
 このパターンはご飯に誘われる流れだなとか思っていると、

「じゃあ、これで」
 と若田部さんは俺の横を通り過ぎ我が家がある方に足を進めて行くのであった。

「……」

「どうしたの? 黙って立ち尽くしちゃって」
 波豆さんに言われ俺は我に返り状況を整理する。
 若田部さんに夕食時に出会う。
 大体、いつも誘われる。
 でも、今日は誘われなかった。あんだけ、俺に手料理を振る舞おうとしてくる若田部さんが、誘ってこなかった。
 うん、おかしいな。

「いや、夕食に誘われなかったから違和感が……」

「お弁当にあれを入れたことを怒られたのを反省してるんじゃないの?」
 波豆さんにそう言われた。
 ああ、そう言えばあの時は流されてなんだかんだでおすそ分けを貰ったけど、やっぱり反省してるってことなのか?
 あの、若田部さんが自重してるのか?

「って、またボーっとして。ほら、ヨシ君。行くよ?」

「あ、うん。そうだな」

 と言って俺は波豆さんと繁華街に向かい、たまたま目に入ったファミレスに入る。
 席について注文を終えた俺はやっぱり昨日、今日とであの三人が自重していることに違和感を感じているのか、波豆さんにその話題を振ってしまう。

「やっぱり、なんかおかしいんだよな……。あの三人、まあ京香は俺の具合を悪くしてすごく反省してるからわかるけど、あの二人は昨日、今日と本当に自重しすぎている気がする」

「なんで、そんなに違和感を感じてるの?」

「なんだろう。わざとらしいんだよ。急にああも変わるものなのかってさ」

「でも、良いんじゃないの? そのくらいでさ」

「まあ、そうだな。俺が自重しろって言ったしそんなもんか」
 本当に思いが通じたのだろう。
 うん、そうだ。やっと、俺の思いが通じて自重してくれてるに違いない。
 いや、うん。好感度は下がってないし、俺に興味がないわけじゃないのは分かってるからな。
 俺の身を考えて自重してくれてるはずだ。

「ねえ、ヨシ君。なんで、そんなに嬉しそうにしてるの?」

「ん? だって、やっとだぞ。やっと、自重を覚えてくれたんだし。うれしくないわけないだろ。自重を覚えたあの三人、特に調先輩と若田部さんに関しては何と言うか子供が成長したみたいで嬉しいんだよ」
 いや、俺の身が少しでも安全になったのもあるけどさ。
 やっぱり、人間として成長して少しでもまともな未来に歩き始めた二人の成長が何よりもうれしいからな。

「って、それは言いすぎじゃない?」

「いやいや、言いすぎじゃないって」
 そう、自重しないがために少しでも褒めたり、隙を見せた発言をすればそれを逆手に取り迫って来る。
 そのせいで、波豆さんみたいに気軽に接するわけが出来なかった。
 まあ、中々に素っ気なくして対応するのは俺的にも辛かったわけで、自重を覚えたのならそれ相応に接してあげることが出来る。

 例えば、お出かけと称してどこかに連れて行かれそうになったとする。
 自重を覚えていなければひどい目に合うのは見えていたわけで、そう言ったのが無くなったのなら普通に出掛けられるという事だ。

「ヨシ君ってちょろいよね」

「ん? 何か言ったか?」
 思いふけっていた俺はぼそりと呟いた波豆さんの発言を聞き逃す。
 まあ、ぼそりと言ってるしそんな大事な事じゃないだろう。

「ううん、何でもないよ」

「ま、もしかしたら勘違いかもしれないけどな。だから、様子見して……」

「様子見して?」

「まあ、あれだ。自重を覚えてくれたのなら、どこか適当にお出かけに誘うとしよう」

「うん、ちょろすぎて心配になるよ……」
 再びぼそりと言われたため聞き逃すのだが、

「何か言ったか?」

「ううん、独り言」
 先ほどの呟きもどうやら俺に関係はなさそうだ。






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