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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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抗う意思。しかし、甘い5

「ふぅ……。はあ、はあ」
 京香にケーキの中に睡眠薬を盛られて身動きを封じられ、なんだかんだでキスマークを付けられてから2時間くらいが経った頃だろうか。
 急激な胃痛と吐き気に襲われいている。

「ねえ、ヨシ君。大丈夫?」

「やばいかもしれない。ものすごく胃が痛いし、吐き気がやばい」

「やっぱり、ヨシ君を眠らせるために食べさせられた京香ちゃんが作ったケーキが原因?」

「だろうな。というか、本当にやばいかも……」
 吐き気を堪えつつ、胃の痛みに耐える。
 京香とテニスをしに山梨に行って次の日、若田部さんに無理やり栄養剤を二本飲まされ胃が荒れたあの時よりもかなりやばい。

「とりあえず、病院に行こっか。薬関係は怖いからね」

「まあ、そうだけど……」

「じゃあ、タクシーを呼んどくね」
 と言った風に波豆さんがタクシーを呼び、俺は病院に向かう事になったわけだ。


 そして、病院に着き診察を受ける。
 幸いなことに大事には至っていないようで、栄養剤を二本飲んで散々な目に合った時と同じような胃薬と胃の痛みから来る発熱と頭痛を止める薬を出してくれた。
 加えて胃に悪い食べ物は食べるな等数多くの注意を受け、今回は取りあえずもう一度再診には来てくださいとのことだ。


 スピーディーに診察をおえて、波豆さんの部屋に帰ってきたとき、玄関の前で立ち尽くして待つ人影が見える。

「好木さん。ごめんなさい」
 そう、立ち尽くして待っていたのは妹の京香であった。
 おそらく、激痛に合い悩む俺が病院に行くという考えを調先輩が読み取って京香に知らせたんだろう。

「ああ、絶対に次はやるな……」
 さすがの俺も割と憔悴しているのと、胃の痛みで京香に対して割と怒っている。
 まあ、怒っている理由としては期末テスト前だというのに波豆さんにこうして病院に付き添って貰ったりして彼女の勉強する時間を奪ったり、手間を掛けさせたからだけどな。

「うん、ごめんなさい。明日、もう一度謝りに来る」
 さすがに憔悴して気だるそうにしている俺に何度も何度も謝り続ける方が迷惑だと思った京香は取りあえず帰って行った。

 玄関で京香に謝られた俺達は部屋の中に入る。
 時刻はすでにかなり遅い時間。

「さてと、ヨシ君。今日は私のベッドで寝て。さすがに病人をまともな寝具のない床で寝かせられないし」

「いや、でも……。だったら、俺は自分の家のベッドで寝る。これ以上、迷惑を掛けられないからな」
 さすがに波豆さんにこれ以上迷惑を掛けられないと思った俺は一度家に帰ることを申し出たのだが、

「ダメだよ。ヨシ君こそ、あの家であの三人の誰かに看病されるのは良くないかな?」

「いやいや、流石に病人にはあの三人は酷いことはしないって」

「でもダメ」

「なんでだ?」
 そう言った時に波豆さんは意外な一言を俺に言ってきた。

「だって、苦しんでいるヨシ君なんて滅多に見れないから」
 ああ、そう言う事か……。 
 俺は大事なことを忘れていた。
 波豆さんは見ることが好きだ。それこそ、更生する前は見ることばっかりだったと聞く。
 そんな彼女にとって俺がこうして苦しむ姿は知的好奇心をくすぶってくるというわけか。

「あー、でも……」
 しかし、だからと言って迷惑を掛けるわけにはいかない。

「あのさ、ヨシ君は私の成績とかを心配して言ってると思うけどさ。実はヨシ君のおかげで赤点は絶対に取らない自身位はあるんだよ。だから、お願い。ここに居て?」

「本当に?」

「うん、絶対に赤点を取らない自信がある。だからさ、ここに居てくれると嬉しいかな? だって、ヨシ君は弱っている姿を見てたら物凄く興味が湧いて来ちゃった」
 興味が湧いて来たと言われたときにとてつもない違和感を覚えた。
 今まで波豆さんには割とちらちらと俺の反応を見られていたけれど、それに異常性を感じることはほとんどなかった風に思える。
 なのに急にこうも興味を見せるものだろうか?

「なあ、そんなに心配しなくても良いんだからな?」
 そう、波豆さんは興味が湧いて見ていたいと言うのも少なからずある。
 しかし、それ以上に俺のことを心配してるのがあからさまなのだ。
 あの家に帰って自分の部屋で寝ている時、もしかしたらあの三人が俺に何かしてくるかもしれないとかそう言った心配から俺をここに居させようとしているように見えた。

「うん、正直に言うとね。私は心配だよ。確かに、ヨシ君が弱っている姿を見たい。でも、それ以上に心配なだけ。だってさ、ヨシ君。君は今現在京香ちゃんに苦しめられてもどうせあまり怒ってないんでしょ?」

「まあな……。俺が怒ってるのは波豆さんに迷惑を掛けた京香の方だからな……」

「だから、どうしてもお人好しなヨシ君が心配なんだよ。今、あの家に帰ったら看病と称した何か酷いことを受けるんじゃないかとか。そういった心配がどうしても消えないんだよ」
 波豆さんの心配は俺に甘えを生みださせる。
 あの家に行けば、もしかしたら何かされるかもしれない。そう言った気持ちは確かにある。
 その不安を打ち消してくれるその発言に俺は……。

「ああ、じゃあお言葉に甘えさせて貰う」
 一抹の不安をかき消すがために波豆さんの心配を受け入れるのであった。

「うん、それじゃあベッドで寝て。というか、ごめんね。なんか、長話させちゃってさ。普通にさっきよりも顔色が悪くなってるし」

「まあな……。じゃあ、お言葉に甘えてベッドで眠らせて貰う……」
 こうして俺は波豆さんの好意に甘え、寝巻に着替えてベッドで眠ることになったのだ。
 ベッドに横になった俺は想像以上に体に疲れがたまっていたのか、ベッドに横たわるや否やすぐに眠りについてしまうのであった。


 そして、次に目を開けた時はすっかりと発熱は収まって……いない。
 というか、明らかにボーっとするし熱が上がってしまったようだ。

 カーテンは閉められていたが、隙間からは煌々とした光が差し込んでいることから、眠りに眠ってすでに朝を迎えている様子だ。
 俺は立ち上がって水を飲もうとしたのだが、最近俺が寝ていた場所に波豆さんが寝ているのを見ると、言葉に甘えたはいいけど部屋の主をこうして床に寝せるのは少しダメだったなと痛感するのであった。

「あ、ヨシ君。起きた?」

「ああ、起きた。水を飲みにな、っと」
 思った以上に体調は良くなく、足元がふらついて転びかけてしまう。

「あー、座ってていいよ。私が持って来てあげるから」

「いや、流石にそこまで甘えるわけには……」
 だがしかし、波豆さんの行動は素早くすでに水を取りに行って俺に手渡してきた。

「さてと、どう見ても具合が悪そうだけど。大丈夫?」

「熱は上がったみたいだけど、胃に関しては昨日よりかはましって言ったところだな。とはいっても普通に痛いけどな……」

「じゃあ、今日は学校を休む?」

「ああ、休む。というわけで、申し訳ないけどもう少しだけベッドを借りる」
 熱が思った以上に体を動かす気力と考える気力を奪っているのか、水を飲んだ俺は再びベッドに横たわる。
 とはいっても、再び眠りにつく前に少し朝が早いが高校には電話を掛けて体調不良で休むことを伝えた。

「学校に連絡もしたし、俺はもう少し寝るからな。気にせずに学校に行ってくれ……」

「うん、取りあえず。寝る前に薬を飲んじゃいな」
 そう言われて、眠る前に解熱剤と胃薬を飲み、そのまま眠りにつくのであった。










 そんな神田好木が眠りについた後、波豆エミルは軽く呟いた。

「ヨシ君。体を壊したというのにやっぱりすぐ許して、ほとんど怒らないって私は本当に心配だよ……」

「さてと、流石にあの三人にはお説教しに行かないとね」
 少し早い朝、波豆エミルは神田家に向かうのであった。

 
 
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