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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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更正したのは伊達じゃない7

お弁当にあれが入っていた。
 さすがに今回ばかりはかなり俺も気が滅入っている。
 だってさ、波豆さんのところに少しお世話になっただけで、普通じゃ考えられないことをしてくるのは本当に今後のことを考えれば無視できない。
 別に嫌いじゃないんだよ、普通にしている分には。
 でも、あまりにも酷い。俺がはっきりと怒らないからそうさせている面もあるけどさすがに少しばかり目に余る。

「どうしたの?」

「いや、流石に弁当の件はやりすぎだろって考えててさ」

「あー、そうだね。本当に超能力者って価値観とか癖が強くなるから」

「まあ、そうかもな……。だから、強く怒れないんだよ……」

「まあ、私も見ることが大好きだったし、それを当然なことだと思ってた。今でこそ、それがおかしいと思えるけど、中々におかしさに気が付くことが出来なかった。というか、今でも、結構引きずってるし。そうなるとあの三人もそう言う感じかなーって思って強く言えないんだよね」
 確かに波豆さんは見ることが好きすぎてたまにボーっとして、ひたすらに一点を見続けている時がある。
 更生したとは言え、やはり一度できた癖というか、他人とは違う考えというか、そう言った違う点は抜けきっていないわけだ。

「でも、あの三人のしてくることはどう見ても本人たちの生まれつきな変態性も含まれてる。絶対にな」

「うん、それは否定しないよ。ヨシ君はたぶんこれからもどうせあの三人とは付き合っていくことになる。だから、その変態性はお前だけだ! ってそろそろきちんと理解させなよ。ヨシ君とあの三人との間には嗜好性やら、趣味やら、性癖とか、きちんと差があることを理解させなくちゃ」

「だよな……。なんだかんだで、許すからやられるわけで。そのせいで、俺が嫌がっているのに、調先輩も若田部さんも大丈夫なことだと勘違いしてる節があるし」

「そうそう。ただ、少し自重しろっていうのを分からせないと」

「よし、分かった。心を鬼にして怒るとする」

「……できるの?」
 波豆さんに心を鬼にして怒ることが本当にできるかどうか聞かれてしまう。
 まあ、今までの俺を見ていれば当然そう言われるに決まっている。
 何だかんだで、心を鬼に出来てないからな本当に。

「まあ、頑張るさ」
 正直に言おう。
 今度こそ、頑張る。今度こそ、はっきりと俺との差を突き付けて理解させる。
 ああ、今度こそ……。
 そう言えば、俺っていつから相手にあまり怒らなくなったんだ? 子供の時は普通に癇癪を起したりしてた記憶はあるけど。

「どうしたの?」
 今度こそと深々と思い続けていた俺に波豆さんがどうしたの? と心配してくる。 

「うーん。よくよく思えば俺ってなんでこんな風にはっきりと物を言えなくなったんだろうなってさ」

「前は違かったの?」

「いや、よくよく考えれば結構小さいときからな気もする……。でも、小さいときだった時で、普通に怒ったりしていた気も……」

「何がそんなに引っかかてるの?」
 確かに言われてみればそうだ。
 俺はなんでこんなにも引っかかりを覚えているんだ? 

「まあ、そんなことはどうでも良いか。さてと、そろそろ試験が始まるけど大丈夫そうか、波豆さん?」
 何か引っかかりを覚えたが、まあそんなことをくどくどと考えていても仕方がないし、話題をがらりと変えて波豆さんに迫る期末試験が大丈夫かどうか確認を取る。

「うーん。赤点は何とか回避できるかな。たぶん」

「そうか。今日は散々勉強したけど、もう少し勉強するか? それなら付き合うけど」

「いやー、流石に今日は良いかな」
 家に帰って来てから散々に勉強したからな。
 これ以上する気が起きなくて当然だ。

 勉強をしないと言ったのでそこから寝るまでの時間、俺達はそれぞれ適当に過ごすのであった。
 一緒の空間に居るというのにそれぞれ時間が流れていく、それなのにどこかゆっくりとそれでいて穏やかな雰囲気で今日も終わりを迎える。

「さてと、そろそろ寝よっか」

「だな」
 波豆さんの部屋の電気は消え静寂が訪れた。



 そんな寝静まった夜。
 ごそごそと波豆さんはベッドを抜け出し、どこかに行こうとしているのに気が付く、

「どこに行くんだ?」

「ごめん、起こしちゃった? 少し、夜風に当たりたくてさ」
 と言ったように単純に夜風に当たりに行くと言ったのだが、

「俺も良い?」
 なんだか、俺も夜風に当たりたい気分になったので波豆さんに付いて行っても良いか聞くと、

「うん、良いよ。実はこの辺はこの前尾行されてからかなり厳重な注意が配られてるし、ちょっと離れた公園にでも行こっか。どうせ、ヨシ君も色々と考えたいことがあるんでしょ?」

「まあな。この時間じゃないと考えられないしな」
 そう、この時間なら調先輩は眠っているし、考えを読まれる事もない。
 こんな時間に目が覚めたのだ、その利点を大いに生かそうではないかという事だ。

「そうだね。だから、私も少しずるしたし」
 そう言って、波豆さんは携帯の画面を見せてきた。
 そこにはアラームが設定されていた表示が映っている。
 要するに夜風に当たりに行くつもりがあってアラームをセットしていたという事だろう。

 こうして、俺と波豆さんは公園に足を運ぶのであった。

「昼間と雰囲気が違うな」

「うん、そうだね。さて、せっかくだし腹を割って話そうか」
 調先輩に考えを読まれないでいられるわずかな時間。
 腹を割って話そうにはもってこいだ。

「ああ、そうだな。じゃあ、俺から聞いて良いか?」

「良いよ」

「波豆さんはどうして俺なんかを好きになったんだ?」
 何となく気になっていたことを直接的に聞いてみる。

「簡単なことだよ。私って、学期はじめの方は学校を休んでたでしょ? それなのにさ、ヨシ君は私が来たときなんの気まずさも感じずに話しかけてくれた。それがたまらなく嬉しかったんだよ」
 確かに、あの時は生徒会をきちんと機能させようと必死で、なんの俺達について知らない波豆さんがやってきたのをチャンスに思って一気に仕掛けたんだよな。
 というか、そんな小さなことで俺を好きになったのか?

「あ、今。小さなことだなって思ったでしょ? まあ、確かに小さなことだけどさ。でも、私たちにとって小さなことが小さなことじゃないくらいわかるはずだよ」

「……そうだな。若田部さんと知り合って好かれたのも大した理由じゃない。調先輩も大した理由じゃなかった。だって、少し仲良くなったからと、俺が廊下ですれ違うたびに話しかけただけで好きになられたんだしな」

「基本的に超能力者はちょろいからね。とはいっても、私達はさらにちょろいだけだけど」
 波豆さんは自身の事を周りと対比し、どうしようもなくちょろいことを理解して少し笑う。

「まあ、ちょろいのは俺もそうだけどな。簡単に言えば、俺は好感度が分かる超能力をあまり信じてないって言ったろ?」
 そう、俺だって高感度が分かる力によって相手が好いていてくれてるなら割りとちょろいしな。

「うん、大して使わないし信用はしていないように見える。でも、実はかなり信用してるんでしょ?」
 どうやら、波豆さんにはお見通しの様だ。
 確かに信用していないように見せかけているが、実際は信用しているんだよ。
 だからちょろい。

「ああ、俺は何よりも俺に向けられる好感度を測る力を信用している」
 そう、結局のところ。
 好感度が分かる超能力を俺は人と交流する際に参考として信用している。
 まあ、デメリットに対してはかなり考えているけどな。好感度は必ずしも行動に結びつかない、と言っているからまるで俺が超能力をあまり信用していないように見える。
 だが言い換えれば参考にするくらい信頼しているわけだ。

「信用してないと見せかけて、相当に信用しちゃってるね。まあ、抜け穴とかデメリットに関してはよく考えてるけど」

「参考にしているから、俺は好感度が低い相手には思いっきり気を使うし、好感度がそこそこな人には少し気を使ったりするのを見せるも何気なくそれでいて自然体で接する。そして、嫌われていて好かれようとも思えない人には目につかないように接する。さらに言うと、好きな人には嫌われたくないから、なるべく怒らないようにしている」
 つまり、俺は好感度を信用して行動しているわけだ。
 とはいっても、好感度なんて超能力がなくても雰囲気でわかる人は分かるから、当然なことをしているまでなんだけどな。

「それって、当然の事だけどね」

「ああ、当然なことだけどな。でも、考えてみてくれ、俺の食べた食事に今日話したあれが入っている。まあ、特殊な性癖を持っていれば喜ぶけど。そうじゃない人だったら、割とキレる事件だろ?」

「うん、キレる。私も笑って話を聞いたけど、実際にやられたら結構怒るかな?」

「でも、俺は多少は怒るけど心の底から怒れない。だって、俺を好きでいてくれているからな。要するに好感度が高いから、悪意を持った行動に思えないんだよ。普通の人だったらそうは行かないことくらい波豆さんにもわかるだろ? これがちょろくなかったらなんと言う?」

「うん、わかるよ。つまり、ヨシ君は好感度が高ければこんなことをしても怒れないって事?」
 バチンと俺の頬を思いっきり叩く。
 痛みはかなり感じるし、普通の人だったら怒るに間違いがない。

「まあ、そうだな。イラっと来たけど、そこまでやり返してやろうとかそう言う気持ちはわかない。だって、波豆さんの好感度は俺に対して高いままだから、悪意を持った行動には思えない」

「好きな相手にかなりちょろいヨシ君を、一回あの子たちから引きはがして正解だったよ。まあ、私利私欲な面もあるけど」

「ん? どういうことだ?」
 波豆さんは意を決して俺に伝えて来た。

「だって、このままだとヨシ君はあの三人の操り人形になるかも知れないからね。と言いつつも、実はヨシ君を近くで見たくて私の部屋に住まわせたのが一番の理由だけど」
 私利私欲な面もあるせいで少し煮えきらない様子で波豆さんは俺に言う。
 操り人形に俺がなる? そんなこと……

「じゃあ、私がそう思った理由話そうか。なんか信じてなさそうだし」
 夜中の静まり返った公園での俺達の会話は続く。
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