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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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更生したのは伊達じゃない6(弁当)

 羽倉さんと田中を見送った俺は波豆さんの住むアパートに戻る。
 一応、勝手に出入りして良いとは言われているものの、チャイムを鳴らす。

「あ、お帰り」
 波豆さんが扉を開け出迎えてくれる。

「ただいま」
 今日も俺は波豆さんの家にお世話になることにした。
 あの二人が帰るといったので、俺がここにお世話になっているのをばれないように俺が自分の家に帰るといった時、波豆さんの部屋を出て我が家に帰ると勘違いした波豆さんが意外な顔を浮かべたからな。
 意外な顔を浮かべたのは、俺に帰って欲しくないからだろう。
 というのは建前で、我が家にはあの二人と我が妹がいるから帰りたくないだけだ。 
 いや、別に嫌いなわけじゃないぞ? ただ、色々とな……。

「さてと、ヨシ君。今日の夕ご飯はどうしよっか」
 そんな時だ。
 携帯にメッセージが届いた。

『神田君へ。お弁当はどうでした? 私たちの色々なあれが詰まったお弁当は美味しかったですか?」

『好木へ。お弁当は美味しかったわよね? だって、色々と詰めたもの』

『好木さんへ。お弁当、どうだった?』

「……もしかして、あいつら。俺が食べた弁当にあれを入れたのか?」
 再び携帯が振動しメッセージが届く。

『実は神田君が食べたお弁当には私のあれが入ってたんです。そう、溢れる思いを止められなくて。神田君にダメだと言われても入れてしまうほど私は神田君を好きなんです』

『好木の中に私のあれが取り込まれたと思うと、悪くないわ。どう? そこまでしてしまう私はあなた的に可愛いかしら?』

『好木さん。ごめんなさい。よくよく考えれば狂ってた。今日のお弁当は私のあれが入ってる。でも、そんなことをしたのはやっぱり私が好木さんが好きで振り向かせたくてしたのを分かって欲しい』

「どうしたの?」

「いや、うん。昼休みにな生徒会室に呼び出されて、あの三人が作ったお弁当を食べたんだよ。どうやら、そのお弁当に、なんか色々と詰まってたらしい。若田部さんのあれとか、調先輩のあれとか、京香のあれとかがさ」

「はは、それは災難だったね。でも、若菜ちゃんはそう言うことは辞めたんじゃなかったっけ?」

「まあ、あれだ。構って欲しかったんじゃないか? てか、取りあえずもう二度としないように注意してくる」

 と夕食の前に俺は我が家に戻る。

「神田君。私たちの思いが通じたんですか?」

「ええ、これは勝利と言って良いんじゃないかしら」

「好木さん。ごめんなさい。でも、こうして戻って来てくれたのは私の思いが通じた?」

 と三人は俺が来ると喜んでいた。

「食事にあれを入れるなよ? 次やったら本当に切れるからな!」
 俺はそう言って我が家を後にし、波豆さんと外に夕食を取りに行くのであった。








 そんな怒られた三人はというと、

「ねえ、若菜さん。積極的になアプローチとして、食事に私たちのあれを入れると好木が、そんなことまでしちゃうほどに俺のことを思って……という展開になるんじゃなかったのかしら?」
 調はなぜ怒られたのか皆に問い始める。

「いえ、普通そうなります。だって、神田君に散々止められたことをまたするって。それほどまでに私たちが神田君を愛していると伝わるはずだったんです。どうして、怒られたのか私も分かりません」
 本当になぜ怒られたか分からない若菜。

「普通におかしい。さすがに食事にあれを入れるの狂ってる」
 してしまってから、よくよく考えるとおかしいと思い、二人に今日のお弁当にあれを入れるのは狂っているといった京香。
 だがしかし、若菜は説得するかのようにこう言った。

「でも、京香ちゃん。京香ちゃんが食べる料理に神田君が自身を知ってほしくて、そして自分を味わってほしくて神田君自身のあれを入れていたらどう思います?」
 京香に真剣に問う若菜。

「……割とうれしい」
 京香は頬を染めて、そこまでしてくるほどに愛されているのなら食事にあれを入れられていようが大丈夫などころか嬉しいとまで言い切る。

「そうです。少し狂っていようが、愛さえあれば狂っているのを愛おしく思えるはずです」
 しかし、それは狂っているのを許せる人限定である。
 神田好木は普通にあれを入れられて許せない人なので愛おしさよりも嫌気が勝ったのだ。

「じゃあ、どうしてあんなに怒られたのかしら?」
 許容範囲を超えていたから怒られてしまったのを理解できていない調は今一度問う。

「それは、あれです。きっと、塩分が濃かったんだと思います。後、びっくりしちゃったと思うんです。だって、三人分も入っていたんですから。だから、今回は怒ったんだと思います」
 見当外れで適当な答えで調からの問いに答える若菜。

「なるほど、そう言うことね。でも、あの様子だと私たちが作ったお弁当は当分食べてくれなさそうだし、別の方法で波豆さんに傾きかけている好木をこっちに振り向かせる方法を考える必要があるわ」
 そして、その適当な答えに納得してしまう調は今日は怒られたけど、明日こそはと思い、神田好木をこっちに振り向かせる方法を前向きに模索する。

「そうですね。今日はなぜか失敗に終わりましたけど。失敗しなら失敗したで次を考えないとですね」

「でも、やっぱりあれを入れるのはダメだった気がする……」
 二人があれを入れたことを狂っていると認めずに神田好木を振り向かせようと画策する中、やはり京香は悩んでいた。
 確かに若菜が言うことは間違っていない気もしたが、食事にあれを入れるのは許せない人もいるだろうし、神田好木がそれを許せない人で、やはりだめだったのでは? と悩みに悩んでいるのだ。

 しかし、そんな悩みに終止符を打つがごとく若菜は言った。

「京香ちゃん。本当に嫌だったら、もっと怒られているはずです。でも、あのくらいで済んだという事はお弁当にあれを入れられて不快だったのに対し、私たちが神田君を思う気持ちが上回って伝わっていたからなはずです。つまり、今日の失敗は失敗じゃありません。私としたことがそんなことも分からなくて、さっきまで失敗だと言って……本当にまだまだですね、私」

「なるほど。確かにそうかも」
 そして、そのことに京香は納得し、今日したことは間違いではなかったと勘違いしてしまう。

「そうね、若菜さんが言う通りよ。本当に嫌だったらもっと怒っているはずね」
 若菜も失敗ではないと言い切ってしまう。

 こうして生まれた失敗を認めない三人。

 今回の件を失敗ではなく、怒られたけれども失敗ではないと思い込んだ結果、神田好木へのアプローチはより過激さを増す。

 しかし、その過激さが神田好木を一週間過ぎても波豆エミルの住むアパートから帰りたくないと言わせてしまう要因になるとはこの時の三人は思いもしていないのであった。
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