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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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更生したのは伊達じゃない4

「さて、今日はどうする?」
 色々とあったが、朝食を波豆さんの部屋で取り終えた時、俺は今日の予定を切り出す。
 今日も休みであり、何かしらすべき事もない。
 まあ、強いて言うならば期末テストが間近なので勉強をすべきなのだが、別に普段から勉強しているし特段と焦る必要はないのだ。

「あー、ごめん。私は勉強しないとダメかな」

「波豆さんの成績って悪いのか?」

「酷いよ。かなり悪い方だと思う。見ることは好きだけど決してそれを覚えていられるってわけじゃないからね。結構すぐに忘れちゃうんだよ」
 超能力は成績が良いか悪いか極端になりやすいという研究結果をどこかで見た気がする。
 俺と調先輩、若田部さん、京香は頭が良い方で、波豆さんはどうやら悪い方らしい。

「じゃあ、勉強か……」

「あ、別にヨシ君は無理に勉強しなくても良いから。せっかくの休みなんだし、どこか出かけてきたらどうかな?」
 とは言われるものの、どこかに行こうという気もしないわけで

「いや、波豆さんの勉強を手伝う。よくよく思えば、昨日も一応出掛けたわけだしな。てか、昨日は尾行された件もあって一人で外に出たくない」

「そう? でも、私に無理して合わせる必要はないからね。とは言っても、勉強を教えてくれるなら教えて欲しいかなってとこだけど」
 勉強を教えるか……。
 それもありだな。

「良し、じゃあ俺が責任を持って波豆さんの成績向上の面倒を見よう」

「え、良いの?」

「大船に乗ったつもりで期待してくれ」

 そうして始まった勉強。
 波豆さんの成績はよろしくないと言ったものの基礎的な部分はできているのと、物分かりの良さは人一倍なのだが……。

「うーん、これってどういう事?」
 物事を上手く繋げて考えていくのが非常に苦手らしい。
 特に数学に関しては酷く、公式を理解できているのにうまく照らし合わせることが出来ずにお手上げといった感じだ。

「ここはだな、先にこの式を使って整理して、そのあとでこの公式に当てはめるって感じだ」

「なるほど、そう言うことなんだ」
 と一件理解した様に見えるがまるで理解していなかったりしていたりと、中々に勉強を見てあげるのに一苦労しているとポケットの携帯が鳴り響く。

『はい、もしもし。なんですか? 調先輩』
 電話をかけてきたのは調先輩であった。

『少し、困ったことが起きそうよ。だから、一度波豆さんとこっちに来てもらえるとありがたいわ』
 と言ったように話があるそうだ。
 こうして、わざわざ電話を掛けてくるのだから、相当に困ったことが起きそうなのかもしれないし、波豆さんとの勉強を切り上げ、わが家へと向かった。

 そんな我が家に付くと、リビングにはみんなが集まっており、俺達二人が来るのを待っていた様子であり緊張し張り詰めた空気が漂っていた。

「さて、好木と波豆さんも来たから話をしましょうか」
 一体、何を話すつもりなんだろうな……。
 こうしてわざわざ呼び出してまでの事だ。きっと、何か大事なことだろう。

「で、困った事って何が起こるんです?」

「実は今朝。若菜さんがお風呂を覗いたらしいじゃない。で、裸を見た途端襲う気が無くなったと思ったのかすごく落ち込んでしまっているのよ」
 あー、そう言えばあの後なんのフォローもしてなかったな。
 確かに、若田部さんから見れば俺が襲いに来たと思ったのに裸を見た途端いなくなったという事は体に魅力を感じてないと勘違いしたわけか……。
 そもそも、俺が襲いに行ったというのが勘違いだけどな。

「で、どう困ったことが起こるんですか?」
 俺がそう言うと同時にキッチンに若田部さんが現れた。

「あ、神田君。今朝はごめんなさい。魅力が足りなかったですよね! だから、私思ったんです。もっと自分を磨こうって。だから、今はヨガに挑戦中です。あと、食事も変えます! より、魅力的になった私を期待してくださいね! じゃあ、飲み物も持ったので部屋に戻ります」
 落ち込んでるように見えないけど、明らかにスタイルを良くしようと行動を起こしている当たり、結構落ち込んでるんだろうな。
 ヨガに挑戦中ですと言った若田部さんは飲み物を持つとヨガをしている自室に戻っていった。

「というわけで、若菜さんがスタイル向上とか言って生活を変えようとしているの」

「別に困ったことが起きそうにないですけど……」

「問題は食事よ。スタイルをよくするためにオカラやら豆乳、野菜をメインにした食事に変えようとしているのよ」
 どこも困ったように聞こえない。
 どうせ、若田部さんの事だ。そのような食事を作るにしても栄養バランスはきっちりと考えているだろうし食べごたえもしっかりとするに決まっている。
 俺が付かれているからとか言って勢力回復の特化型料理を作ってきたときに散々注意したし、余程のことがない限り大丈夫だろう……。


「別に良いんじゃないですか?」
 つい、そう言ってしまう。
 しかし、調先輩は、

「嫌よ。私は普通の美味しいのが食べたいの。正直に言うと、そこまで野菜が好きじゃないのよ!」
 めっちゃ切れた。
 野菜が嫌いって子供じゃあるまいし……。

「別に少しくらいなら全然良いわよ。ただ、野菜メインは嫌なの。確かに健康面も大事でしょう。でも、それでも私は野菜をたくさんは食べる気にはならないし、おからとか豆乳とか高たんぱくとか成分が良いとか、それだけでもてはやされる食材は嫌なのよ。そう、私は普通がいいの」

「じゃあ、自分で何か買って食べれば良いじゃないですか……。何でそこまでキレる理由が?」

「だって、若菜さんが作る料理は美味しいんだもの。正直に言うわ、外食ばっかりだった私にとって若菜さんの料理はおいしくて地味に楽しみなのだから仕方ないじゃない」
 確かに俺と違ってこの人は本当にずっと外食かコンビニ飯とかなんの温かみのない食事ばっかりだったからな……。
 そりゃ、若田部さんが作る料理がうれしくて、美味しくて仕方がないんだろう。
 だからこそ、より自分好みの食事を所望しているというわけか。

「なんだろう。調ちゃんって意外にわがまま?」
 波豆さんが何気なく調先輩に言ったその言葉に対して、とてつもない返事が返ってきた。

「いえ、これはわがままではないわ。要望よ、要望」
 というか、わざわざ俺達をこんなことを伝えるために呼び出したんじゃないだろうな……。
 呼び出された理由について考えていると、調先輩が続けて俺に言ってきた。

「こんな事? あなたは事の重大性が分かっていないわ。この家には中学三年生の育ちざかりなあなたの妹もいるのよ? そんな妹にまるで社会人がわざわざ手間をかけて作るようなヘルシーで野菜メインの料理を本当に望んでいると思っているのかしら?」
 あー、割と望んでると思うぞ京香は。
 だって、あいつ野菜が大好きで一時期なんか朝ご飯が山盛りのサラダだった時もあったしな。

「……好木。それは過去の話よ。きっと、今はそんなに好きじゃない筈よ」
 そんな時だ。
 リビングとキッチンは壁で区切られていないため、キッチンにある冷蔵庫に飲み物を取りに来た京香が俺の存在に気づき話しかけてきた。

「あ、好木さん。いつの間に帰ってきたの?」

「いや、調先輩に呼び出されたんだよ。困ったことが起きそうだってさ」

「へー、それって何なの?」

「いや、なんか若田部さんが健康とスタイルを向上させるための料理。まあ、豆乳とかおからとかも使った、野菜メインな料理を作るのをどうしても阻止したいらしくてさ」

「いや、どうせ若菜姉さんのことだし、極端な偏りはさせないだろうし、私的には野菜がたくさん出てくるなら別に構わなというか、むしろ大歓迎?」
 その声を聞いた調先輩は絶望していた。
 味方に付けようとした京香が普通に敵に成りうると理解してしまったのだから。
 健康的でスタイル向上を目指した野菜メインの食事を避けて通れないことを理解してしまったのだ。

「というわけで、調先輩。別に食べれないわけじゃないんですし、別に良いじゃないですか」

「……ええ、そうね。別に食べれないわけじゃないもの……。ただ、そこまで好きじゃないだけだものね……」
 かなり落ち込んでしまった調先輩。
 どんだけ、若田部さんが作る料理を楽しみにしてたんだか。
 だって、野菜メインになろうが絶対に食べないと言わないあたり、相当に若田部さんが作る料理を気に入ってるんだろうな。

 調先輩が野菜やらおからとかそう言った健康志向の食事を避けられないと落ち込みを見せている時、若田部さんが再びキッチンに現れた。

「さて、これからご飯を作りますけど。神田君と波豆さんも食べていきます?」
 そう言えば、もうそろそろお昼時だな。
 断る理由もないし、ここは普通に若田部さんの料理を食べるとするか。
 いくら、健康志向なメニューになろうが、別に野菜は嫌いじゃないしそれはそれで美味しいのは違ないだろうしな。

「じゃあ、食べていく」

「うん、若菜ちゃん。お願いするよ」

「ねえ、若菜さん。今日のメニューは何かしら?」
 キッチンに立った若田部さんに恐る恐る聞く調先輩。

「今日は体に良いものを使った料理で、基本的には野菜メインでかつ食べごたえもしっかりとしたものを作ろうと思っています」
 その言葉を聞いた時、少し不機嫌そうな顔になったのは言うまでもない。



 そして、なんだかんだで昼食を我が家で取った後、俺と波豆さんは勉強をすべく、波豆さんの住むアパートへと戻るのであった。





 そんな二人が去った後の神田家のリビング。

「二人ともはっきり言うわ。このままだと好木の事だから手を出すまでを行かなくとも波豆さんに心が傾いてしまうわ」
 さらっと波豆さんの住むアパートに戻っていたことに相当な危機感を覚える寒河江調。

「それは、つまりどういうことを意味してるんです?」

「簡単に言うと、私と若菜さんをないがしろにしてくるかもという事よ。まあ、好木の事だから無視とか、拒絶とかは絶対にないでしょうけどね」

「波豆さんを第一に考えるようになるってことですか?」

「ええ、そう言うことよ。だから、私たちはもっと好木にアプローチをしていかないといけないわ。そうすることで私達にドキドキとして貰わないと本当に波豆さんに落とされるわ、好木が」

「そうですね……。なんか、思いっきり波豆さんと良い雰囲気になりつつありました……。やはり、より存在感を見せなくてはダメです。特に、私の裸を見たのになんの魅力も感じてなさそうでしたし」

「まあ、そこは慌ててたのもあったわ。そこまで、気にしなくて良いわよ。だから、料理もいつもみたいなのに」
 寒河江調が裸を見て何も思っていなさそうな神田好木に対してフォローを入れ、いつも通りのメニューな食事に戻そうと画策した時、

「若菜姉さん。今日の料理、すっごく美味しかった」
 神田京香がそれを阻止すべく口を開く。

「そうです? じゃあ、あんな感じの料理をしばらく続けてみます。味に問題がないのなら、効果が出るまで試してみましょう」

「私はいつも
 調が『私はいつもの方が美味しいわ』と言おうとした時だ。
 彼女の背筋にただならぬ寒気が走る。
 その寒気の正体は京香の超能力である相手に恐怖を与える力によってもたらされたもの。
 そう、京香は野菜メインの食事をひどく気に入ったのだ。
 だから、調によって普段通りの食事に戻されたくないと思い、恐怖で脅しを掛ける。

「調先輩?」
 言いかけた言葉を聞こうとする若菜。
 調はその言いかけた言葉を言おうとするも、京香によってもたらされる恐怖から言うのを躊躇いつつあると、より恐怖が重くなっていく。 
 そう言った理由から調はさっき言おうとしたことを飲み込んでこういった。

「何でもないわ」
 それと同時に調を襲う恐怖も消える。
 調は恐怖が消えたと同時に京香の方を見た。

「本当に今日のご飯は美味しかった。ね、調姉さん?」
 余計なことは言うなとさらに脅しを掛けられる。
 その脅しに流され調は

「そうね……」 
 と考えに同意せざる負えないのであった。

「そう言えば、京香ちゃんは波豆さんに寝取られそうで危機感は感じないんです?」

「少し感じるけど、私に対する好木さんの兄妹的な愛情は絶対に無くならないってわかってるし、好きな人がいるのに私の事も愛してくれているって言うのならそこまで問題はないといった感じ?」
 と言ったように京香は好木が誰かを愛したとしても兄妹愛をくれるのなら案外平気そうであった。
 しかし、あくまで案外平気だと言うのは忘れてはいけない。

「というわけで、私たちは好木に積極的にもっと魅力を感じて貰えるように頑張るしかないわ」

「そうです。私たちの魅力をもっと神田君にアピールしないと、波豆さんに完璧に寝取られます」

「うん、当然取り分が減るし、それはダメ。好木さんを独り占めはさせない」

 こうして、三人は波豆さんに傾きつつある神田好木を自身に振り向かせようと積極的な行動を始めるのであった。


 まあ、結果として言えば、その積極性は裏目に出てしまうのは言うまでもない。










 
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