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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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更正したのは伊達じゃない3

「というか、ヨシ君は私の超能力を完璧に忘れてるでしょ?」
 一しきり俺が波豆さんに恥ずかしさを隠そうと必死にしたことを笑われてから落ち着きを見せ始めた頃そう言われた。
 波豆さんって超能力者なのは知ってるけど、なんの超能力かは知らないんだよな……。
 いや、実は一度聞いた気もするけど、なんだったか本当に覚えていない。

「まあ、忘れてるな」

「じゃ、もう一度教えてあげる。私の超能力は最近相手が恥ずかしいと思ったことを知る能力だよ」

「本当に?」
 その言葉を聞いて思った。
 恥ずかしいことを隠そうとしていたけど、無意味だったってことか?

「まあ、そうだね。でも、今朝は超能力を使ってなかったけど。だから、ヨシ君の口から語られるまで全然知らなかったよ」

「でも、様子から察するに常時発動型なんだろ?」

「そうだね。もとは常時発動型だけど、制御して使わないで居るけど、普通に浸かっちゃう時もあるって感じ。だから、上手く隠せていようが恥ずかしいと思ったのは事実だろうし、ヨシ君がいくら証拠を隠滅しようが無駄だったわけ」
 さらに拍車をかけてくる恥ずかしさ。
 だってさ隠したのにそれ自体が本当に無駄ってなんか恥ずかしさを通り越して自分が間抜けに思えてきた……。

「はあ……」
 自身の間抜けさを悔いるため息。
 本当に恥ずかしくて波豆さんと目を合わせられないくらいだ。

「まあ、ついでだし、ヨシ君をどうやって監視していたか教えてあげるよ。というわけで、私は少し外に出てくるよ」
 急に外に出て行った波豆さん。
 どうやって監視していたか教えてくれるんじゃなかったのか? とか思いながら待つこと数分。

「本当にどこに行ったんだ?」
 何気なく呟いた時だ。

 ツンツンと頬を突かれる感触がした。

「うお、波豆さん!?」
 目の前にいた波豆さんが頬を突いていた。

「やあ、ヨシ君。実はね、玄関で扉の音を立てた後、私は出ないでここにずっと居たんだよ」

「はい? でも、この距離ですよ。気づかない方がおかしいじゃないですか」

「うん、そうだよ。ただ、ずっと居たわけじゃない。ヨシ君が最近、経験した恥ずかしい思いを読み取りながらここに居たんだ」
 まったくもって、話が見えてこない。
 恥ずかしい思いを読んでいたところでどうなる?
 いや、恥ずかしいことを知られるのは目を背けたくなるほど恥ずかしいけどさ……。

「さて、簡単に言うと、私が相手の恥ずかしいことを読んでいる間は相手は私に恥ずかしくて目を合わせられない、って所。まあ、ざっくりと話せば、恥ずかしさから目を背けたいから、目の前居る私を無視しちゃうってこと。で、今みたいに突いたり、大きな音を立てたりとかすればその効果も切れちゃうし、恥ずかしさの度合いによって目を合わせられなくなる度合いは随分と個人差もある」

「つまり、波豆さんに恥ずかしいことを読まれている間は波豆さんを直視できないってことか?」

「んー、厳密に言うとそう言うわけじゃないけど、まあそんな感じ。そして、この力とちょっと物陰に隠れたりすると相手からはほとんど気が付かれないって事」
 なるほど、いったいどうやって俺を付けていたのか不思議なまでにステルス性が高かったけど、そう言うことだったのか。

「でも、それってつまりは……」
 今聞いた事と波豆さんの超能力は常時発動型で制御するまでは力を使いっぱなしだった。
 それが意味することって……。

「あー、分かっちゃった? そう、私って超能力を使わないようにできるまでは本当に周りから見られなかったんだよ。特に小さいときはビビりで大きな声も出せなかったし自身の存在を上手く見て貰えなかった。だから、育児放棄された理由は、まあ親にもあるけどさ、この力の所為でもあるって所」
 そう、波豆さんが見ることが好きな理由。
 それは育児放棄、ネグレクトをされて、物も十分に与えられない環境で唯一目新しさが彼女にとって刺激的なものであったから、だから見ることが好きになったと言うのは覚えている。
 そのせいで、更生するまでは見ることばかりして実際にすることはほとんどしなかったというのも覚えている。

「……」
 そんなことを知っていてもどうやって返答してやれば良いのか正直にわからないので俺は黙っていると、

「まあ、こんな事を急に言われても黙ることくらいしかできないよね。さて、こんな話は終わりで朝ご飯はどうする?」
 と言ったように話をうまく切り替える波豆さん。
 うん、更生したと言うのは伊達じゃないな。

「普通にコンビニに行って何か買うで良いんじゃないか? 嫌味じゃないけど、ここに食材はないし」

「そうだね。じゃあ、コンビニに行こうか。今度こそね」
 今度こそと言ったのは俺がこの部屋に戻って来たときに付いた嘘に向かっての発言だ。
 くそ、本当に今朝は大失態したな……。

「てか、さっさとその袋に入ったパンツ軽く洗っちゃいなよ。別に見も嗅いだりもしないからさ。というわけで私は洗っている間にコンビニに行ってくる。何を食べたい? ヨシ君の分も買ってくるからさ」
 あ、そう言えばそうだった。
 まだ俺のポケットには袋で密封されたパンツが入ってる。
 はあ……取りあえず洗うか……。

「わかった。そうだな適当に菓子パンでお願いする」

「うん、わかった。じゃあ、行って来るね」
 と波豆さんは家から出て行った。

 そして、俺は波豆さんがいない間に洗面台で軽く、あれな匂いを漂わせているパンツを洗い始める。

「はあ……。というか、今朝の件で調先輩が相当に俺のプライバシーに踏み込んで来てるし、おいそれと抜くことはできないんだよな。たぶんだけど、絶対に俺が抜いている時に部屋に来そうだしさ」
 何だろう、最近は本当に独り言が増えてきた気がする……。
 それもそうか、どうせ調先輩に考えを読まれてるし、もう口にして気を落ち着けたほうが楽だしな。

「さてと、こんなもんで良いか?」
 軽く洗ったパンツ。
 そんな時だ、洗面台はお風呂場の脱衣所も兼ねているわけで、これから洗うものが入った洗濯籠が目に入る。

「波豆さんの服……」
 寝巻として着ていた部屋着が無造作に籠に入っていた。
 波豆さんが今さっきまで着ていた服。
 気が付けば、手が伸びて……

「いやいや、京香の時で懲りただろ? 俺は一体何をしようとしてるんだ?」
 テニスウェアを手に取った時、京香に目撃されたのを思い出し、手を伸ばすのを辞める。
 そう、俺はまた女の子の服に興味本位で手に取ってしまいそうになったのだ。

 だがしかし、あの時とは状況が違う。
 波豆さんは明らかにコンビニに行った。帰って来るまでは明らかに時間がある。
 それなら、少しくらい触ってもばれないのではないだろうか?

 そんな考えを抱いてしまった俺の行動は早かった。
 ついさっきまで、波豆さんが着ていた服を手に取ったのだ。

 俺がこの部屋に戻って来たときには着替え終わっていたので、脱いでからそれなりに時間が立っているにも関わらず、ほんのりと温かく、汗ばむ季節なこともありほんのりと湿っている。
 そして、俺は京香のテニスウェア同様匂いを嗅ごうと鼻に近づけようとした時、

 後ろからガタリと音がした。

「……」
 俺はガタリと音がした方向を向き絶句した。

「いや、なんかごめんね。財布を忘れたからとりに来たついでに脅かそうと音を立てないで玄関を開けて部屋に入って、能力を使って見られないようにして脅かそうと思ってたんだけど……まさか、私の服を手に取ってるなんて思いもしなくてつい、大きな音を立てちゃった」
 ちょっとどうすれば良いのかわからない様子な波豆さんがいた。
 あ、これはまたやってしまったのか?

「これは別に興味があってとか。そう言うんじゃなくて……そう、泊めて貰った恩返しに勝手ながら洗濯機を回そうと思ってだな」
 適当につけた理由。
 まあ、絶対に本当だと信じて貰えないだろうけど、一応は言い逃れしておこう。
 もしかしたら、上手くいくかもしれないしさ。

「うん、ごめんね。ほんとごめんね。男の子だもん、そう言うのに興味あることくらい当然だよね。あと、調先輩からは相当な着衣フェチって聞いてるし、そりゃそんな無造作に籠に投げ入れた私が悪いから。というわけで、私は財布も持ったし、今度こそコンビニ行ってくるから。あ、性的に使うのは良いけどバレない様にね。だって、男の子だもんね。本当にごめんね!」
 そう言い切ると、逃げるようにいなくなる波豆さん。
 その時の顔は恥ずかしさに溢れていた。まさか、自分の着ていた服に劣情を注がれていたとは思いもしてなかったんだろう。
 調先輩や若田部さんの下ネタには割と平気そうにしているのにいざ自分の事となれば恥ずかしがるタイプなのかもな……たぶんだけど。

「てか、あんな風に変に同情されるとものすごく恥ずかしいな……」

 こうして、俺はさらに恥を上塗りしてしまうのであった。


 
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