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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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遠慮を辞めた彼女に連れられて

 まあ、調先輩が馬鹿げたことを言い始めたけど、時間は当然すぎていくわけで普段通りの生活を送り始める俺達であった。
 そんな普段通りの生活を送ろうとするも、少しばかり気にしていることがある。
 さて、俺が一人暮らしを始めた時の経済状況を思い出してほしい。
 一人暮らし分の生活費には十分な金額を貰っているも、欲しいものがあればバイトとかをしなければならない金額の仕送りを貰えていた。
 加えて、最近は家に住む人が増えたという事もありばあちゃんは臨時的にお金をくれたりもしていたのだが、四人分の服を一気に買ったのが痛手であった。

「お金がない……」
 そう、俺の財布は文字通りほとんど空になってしまったのだ。
 とはいっても、お昼代は何とかあるし節約すれば月末まで乗り切れるほどには残っていたのだが、事態は若田部さんが作った昼食を取り終わった時に急変した。

「ここで大事な話よ。よく思えば、今まで若菜さんばっかりに食材のお金を負担して貰っていたわ。まあ、本人が食材費を払おうとしてるけど受け取らなかったのもあるけど、こうして一つ屋根の下に暮らすのなら、なおさらそう言うのは大事にすべきだと思って若菜さんに受け取ってもらうことにしたわ」
 調先輩が俺を見ながらほくそ笑みそう言った。
 絶対、俺が金欠な事を調先輩は分かってる顔だ。

「ちなみに、今までの分も払うことにしたわ。さらに、今払いましょう。ちょうど月が始まって間もないもの」
 さらに俺を捲し立てる調先輩。
 そして、俺は金欠で支払うことは不可能である。 
 どうあがいても提示された額を支払えないのだ。

「というわけで、若菜さん。これは今までの分と今月の分よ」
 何食わぬ顔で調先輩は若田部さんにお金を渡した。

「はい、受け取りました。あれ? 神田君はどうしたんです?」
 若田部さんの顔が少し笑っている。
 あ、これ。調先輩と若田部さんは絶対に裏で何か企んでいやがる。
 俺が金欠なのを理解してこういう風に食費を徴収することを決めたんだろうな、きっと。

「あら? 食費を払わないと朝ご飯も夕食も食べれないわよ?」
 調先輩がわざわざ俺に言ってきた。
 っく、絶対に分かってやってるだろ……。

「いや、実はお金が……来月にまとめて払うから。待って貰えないか、若田部さん?」

「それはダメです。仮にもお金に関わることでつけを使うのは本当にダメ人間に一歩近づきます。なので、お金を借りてでも払ってください。じゃなければ、今日から朝ご飯も夕ご飯も抜きです」
 若田部さんは金を借りてでも食材費を払えと言ってきた。
 ああ、そう言うことか……。
 頭の中で調先輩と若田部さんが企んでいたことを理解しかけながらも俺はまず調先輩にお金を貸して貰えないか聞く。

「調先輩。お金を貸してください」

「ええ、その代り条件があるわ。それでも良ければ貸してあげる」
 ……やっぱりな。お金を貸す代わりに俺に何かを突き付けるつもりなのか……。

「少し待ってください。若田部さんにも一応聞くので」
 と言ってからどうせ帰ってくる返答は同じだろうが若田部さんにもお金を貸してくれないかと聞いてみた。

「若田部さん。お金を貸してくれない?」

「良いですけど。代わりに利子を付けます。まあ、利子と言ってもお金で支払うのじゃなくて別の事なので安心してください!」
 ダメだこれ、全然安心できない。
 利子が怖すぎる。一体、利子と称して一体何を要求されるんだ?

「京香。頼む。お金を貸してくれ」
 二人がダメなら最後の手段。
 俺は実の妹に頭を下げたのだが、

「別に良いけど。好木さん。さすがに借りる相手に『貸してくれ』なんてため口は良くないと思う」

「っぐ、確かにそうだ。京香、この通りだ。お金を貸してください」
 頭を下げて京香に今一度お金を貸してくれないか? と頼むが、

「だから、京香って呼び捨てにしてる時点で誠意が足りないと思うって言ったんだけど?」
 怖い、本当に怖いんですけど、この妹。
 絶対、お金を無事に借りられたとしてもそれを理由に俺を下にして手綱たづなを握ろうとしてる。
 そして、どうせ京香のことを様付けで呼んだとしてもきっとまだまだこういった俺に対するいびりは続き中々に貸して貰えそうにない。

「さて、好木。あなた、この三人の内の誰からお金を借りるのかしら?」

「ええ、そうです。どうするんですか? 神田君。別に支払わなくても良いですけど、お財布の中身的に一日一食しか食べれないんじゃないんです?」

「私も別に好木さんを苦しめたくて態度のことを言ってるんじゃないから」

 仮にだ。この三人の内誰かからお金を借りられたとしよう。
 だとしても碌な結末は待っていなさそうである。
 となれば、俺がとる行動は一つ。

『ばあちゃん。お金を貸してくれませんか?』
 ついさっき、大真面目な話をしていたというのに電話でばあちゃんに生活費を前借を頼む。

『好木。周りに頼ってお金を工面する力は時には必要です。私ではなく、他の人に頼んでみなさい。あなたの周りの人はきっと優しいはずです』
 そう言われて電話を切られた。

「……若田部さん。ちなみに利子ってのはどういう形で返せば……」
 ばあちゃんが頼りにならないとわかれば、仕方がないので三人が付きつけてくる条件を知ろうとした。

「んー、そうですね。例えば、私のしたいことをして貰うとかです」
 ダメだ、どういう形で返せば良いか聞いたのに依然あいまいだがそれでも何かやばそうな気がする。

「ちなみに調先輩の条件というのは……」

「さあ、何がいいかしら?」
 と言ったように調先輩も恐ろしいことを考えていそうである。

「京香は?」

「だから、上下関係をはっきりとしてくれれば貸すって言ってる。そう、好木さんは私の下で支配下にあることを自覚してくれればいいだけ」
 京香から金を借りれば尻に轢かれきっと何かされる。

 しかし、俺の財布のお金は三食しっかりと食べるには全然足りない金額。
 この命の危機を俺はどう乗り切れば良いんだ?
 三人に頼らないですむ方法、それを考なくては……。

「っと、忘れ物を取りに来たんだけど? 何この雰囲気は」
 家に帰ったはずの波豆さんが忘れ物を取り我が家に戻って来た。
 ああ、そうだ。波豆さんがいるじゃないか、この三人以外にお金を貸してくれそうな人が今まさにここにいるじゃないか。
 波豆さんは監視されていること以外は本当に普通だ。
 この人に頼めばよかったんだよ、いやー、俺としたことが盲点であった。

「波豆さん、頼むお金を貸してください」

「え、別に良いけど。どの位、必要なの?」

「とりあえず、一万円貸してください」

「わかったよ」
 そう言って波豆さんはポケットから財布を取り出し、俺に差し出してきた。

「あれ?」
 スカッと手が空を切る。
 波豆さんが一万円札を受け取ろうとした時、お札を持った手を動かしたからだ。

「あの、波豆さん?」

「さて、ヨシ君。これを貸してあげても良いけどさ。まず、お礼が先なんじゃないかな?」

「あ、すみません。ここにいる三人の魔の手から逃れるため大事なことを忘れてました」
 そう、何も言わずに受け取ろうとしていた。 
 普通に考えて、お金を借りるのにそんな横暴な態度が許されるわけがない。

「うん、別に良いよ」

「お金を貸して頂きありがとうございます。貸してもらったお金は絶対に返します。本当に感謝しているので波豆さんが望むことならなんでもするから」

「いやー、自分でお礼をと言ったけど。なんか、こそばゆいね。はい、これ貸してあげる」
 そう言った波豆さんの手からお金を受け取ろうとした時だ。

「好木、そのお金を受け取ってはダメよ!」
 調先輩の声が俺を制止するも俺はお金を握ってしまう。

「というわけで、ヨシ君。今、望むことなら何でもするって言ったよね?」

「はい?」

「じゃあ、ヨシ君。今から、一週間。私と一緒に暮らそうか」

「え?」
 あ、そう言えば波豆さんも俺のことが好きだったんだっけ?
 いや、うん。
 確かに望むことなら何でもするって言ったけどさ、でも一週間波豆さんと暮らすとかこれまたおかしな展開だ。

「さて、じゃあ行こう。ヨシ君」
 そして、俺は腕を掴まれて波豆さんに連れて行かれる。








 そして、リビングに残った三人。

「はあ……。失敗したわ。これで、少しでも好木とより内密にとでも考えていたのに。まさか、波豆さんに盗られていくとは予想外だったわ。まあ、そうよね。私が、遠慮しなくて良いと言ったんだもの。遠慮が無くなればこうなることは予想できたのに失策だわ……」
 寒河江調は爪の甘さを悔いていた。

「そうです、まさかすぎる展開です。というか、調先輩が言う通り、本当に神田君のことが好きだったんですね、波豆さんって」

「ねえ、好木さんはこのまま一週間帰って来ないの?」
 神田好木が連れ去られて言ったことに対しての不安を感じる神田京香。

「ええ、そうよ。もしかしたら、そのまま帰って来ないかも知れないわ」
 まさかの展開に悔しがる寒河江調。
 引っ張られて神田好木がいなくなった神田家のリビングで色々と企んでいた三人の声がさみしく響くのであった。

 そう、神田好木は三人と同居し始めて、わずか二日目で連れ去られて行ってしまったのだ。







 そして、一週間が経ち神田好木が家に帰ってくるはずの日。
 彼は帰るはずの家に帰ろうとせず、こう言った。

「波豆さんの家でお世話になって思った。お前らが、自重しない限り俺はあの家には戻らない。波豆さんも別にいつまで居てくれても良いって言ってたからな!」

 そう、波豆エミルの家に一週間お世話になった神田好木は居心地が良すぎて心労の絶えない我が家に帰るのを拒むのであった。





というわけで次回からは波豆さんと一週間の生活のお話です。
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