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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

三章

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始まる共同生活3

 あれから、風呂場を出てリビングに戻ると調先輩の骨折した腕に袋を巻いている最中であった。
 様子からして、俺に続きシャワーを浴びるのだろうか?

「調先輩。どうして、そんなに嫌がってるんだ?」
 だがしかし、ギプスに袋を巻かれるのをとても嫌がっている調先輩がいたのだ。
 一体、何が起こるのだろうか。

「さっき、決めたんです。やっぱり、強引なのは神田君にとっても私たちにとっても真実の愛を追求するうえで邪道であると思い、神田君を襲おうとした人は罰を受けて、そう言うことが良くないという事を分からせなくてはいけないと」
 なるほどな、確かに強引に迫りたくなる時もあるけど、結局それはあまり良くないものだとここにいる三人は認識し、それを防ぐ体制を作り上げるために襲おうとした人に罰を課す。
 そう言った体制というか、ルールを作り上げたわけだな。

「それと、なんで腕のギプスを袋で覆うのを嫌がってるのになんの関係性が?」

「寒河江先輩に罰を与えるため、これからあれを使う。水で流す工程もあるから一応。別にシャワーを浴びることが目的じゃないよ」
 調先輩の脇に腕を突っ込んで動けなくしている京香の視線の先にあるもの、痛みを与えるのに相手を傷つけることはしないもの。
 たぶん、物自体は見たことはないが調先輩の口から語られたことのある行為をするための物が机には鎮座していた。

「嫌よ。あれは痛いの。本当に痛いのだから、辞めて頂戴」
 必死に逃げようとするも、抵抗むなしく調先輩はずるずると引きずられて行った。
 なるほど、俺を襲おうとしたら嫌なことをしてその気を無くさせる。
 そう言った行動ゆえに若田部さんも京香も厳しくしているはずだ。
 決して、嫌がる調先輩を見て卑劣な笑みなんて浮かべていないはずだ、引きずっていくとき楽しそうにしていたなんてきっと俺の見間違いだろう。
 特に京香がそんな悪い笑みを浮かべていたのは絶対に見間違いだ……だったら良いんだけどな……。
 なんだろう、京香が早速あの二人の良からぬ影響を受けている気がする。
 もともと、京香は京香でおかしいけどさ。

「はあ……。なんだろう、三人の変態が合わさり互いに変態度が高まっていく気がする……」
 誰もいないリビングで口にしたその言葉。

「正直に言うけど、これ本当にどういう状況だって。京香はともかくさ、調先輩と若田部さんと一つ屋根の下とか悶々としないわけないだろ……」
 自身の置かれるおかしさを整理していた時だ。

 お風呂場の方から形容しがたい調先輩の悲鳴が聞こえてきた。
 そんなに痛いのかあれってさ。

「というか、随分とにぎやかになったな。この家も……」
 家族で住んでいた時の賑やかさを思い出してしまう。 
 その賑やかさはいくら家庭崩壊して崩れ去っていったとしても消えるわけがない。
 そんな大事な思い出は俺にある不安を抱かせる。

「楽しいのにな。俺の身の振り方一つで壊れてしまうかもしれない……」
 楽し気で賑やかさを持ったこの状況。
 でも、俺が調先輩か若田部さん。まあ、京香はないだろうけど。
 誰かを一人選んで、その一人に俺の心が傾いて行けばいくほどこの状況は失われていく。

「ほんと、最低だな」
 それが良くないことを知りつつ、俺はこの状況に甘んじている。
 少しだけ、もう少しだけ、調先輩と若田部さんと一緒に楽しく、賑やかに過ごしたい。
 それが、この歪な状況を生み出した。

 はっきりと言おう、紛れもなく俺はクズだ。
 このままの歪な状況を引きずれば引きずるほど、最後の最後で選べなかった一人以外を大きく傷つける。
 なのに、俺は……。

 そんなことを深々と考えていたら、お風呂から三人が戻って来た。
 戻って来た調先輩とふと目があった瞬間、

「好木。あなたはそのままでありなさい。きっと、それがあなたにとって最善よ」
 戻って来た調先輩にはやはり俺の考えはお見通しらしい。
 そのままって、この歪な関係であることをか?

 そんな考えを抱くも調先輩は何も言ってくれない。

「あの、調先輩。今の言葉ってなんです?」
 俺と目が合った瞬間に言った言葉は周りにとって理解できるのは俺と考えを読める調先輩だけ。
 若田部さんの気にも止まって当然だ。

「別に大したことじゃないわ、好木の考えに対して答えただけよ」 
 若田部さんに適当な返事を返した調先輩。
 やけに下腹部というか、股間を擦っていることからやはりああされたんだろうな……。

「ねえ、好木さん。明日の買い物はどこから行く?」
 明日は休みで、一応の形での引っ越しは終わったがまだまだ足りないものがある。
 だから、みんなで買い物に行くことになっているらしい。
 らしいというのも、いつの間にか俺が行くという雰囲気が出来ていたからだ。
 行くとは行ってないのにな。

「とりあえず、京香の部屋用の家具だな。だって、お前の部屋。布団はあるけどベッドはまだないだろ?」
 わざわざ布団を敷いて寝るのも面倒だろうし、京香の部屋のベッドやら棚やらを買いに行かなくてはいけない。
 調先輩と若田部さんの部屋はもうほとんど完成した。
 対して、京香の部屋は全然と言って良いほど何もない。
 あるのは間に合わせで買ったカラーボックスと布団位だ。

「ええ、そうです。京香ちゃんの部屋を完成させましょう」
 あれ? いつの間にか若田部さんが京香のことをちゃん付で呼んでる。
 随分と仲を縮めたのか?

「そうね、京香ちゃんの部屋はあまりに寂しいもの」
 調先輩もちゃん付か……。
 これまた調先輩とも京香は仲を縮めたとでも言うのか?

「ありがとう。調姉さん。若菜姉さん」
 京香まで呼び方が変わっているだと⁉
 いやいや、お風呂場に行って戻って来ただけというのにこうも仲が縮まるって一体何があったんだ?

「好木。よく、漫画とかで恋敵に対して強く当たるとかあるわよね?」

「まあ、あるな」

「はっきり言うわ。私たちは真に気の知れた友達が少ない。これが意味することは何かわかる?」

「友達を大事にしている?」

「ええ、そう言う事よ。簡単に言えば、あなたの取り合いをして仲違いには絶対になりたくないわ。だって、仲違いしなくともあなたを取り合えるのだから。相手を貶めるなんてそれこそ下劣で最低な行為よ」

「はい、そうです。別に神田君を取り合う身としては恋敵です。でも、それと同時に良き友達でもあります。だから、そんなことでギクシャクした関係にはなりたくありません」

「私も別に好木さんが妹としてならいつまでも愛してくれるのならそれはそれで特別だし、そこまで好木さんの回りの女の人に対してとやかく言うつもりはないし。むしろ、好木さんを好きな人は理解者でもあるわけで仲良くしたくないというわけではないから」

「つまり?」

「私たちは別にギクシャクとした関係を求めているわけじゃない。むしろ、あなたのことを知る理解者としてぜひとも仲良くしたいし親しくしたい間柄という事よ」
 調先輩がはっきりと言うと、二人もそれに頷く。
 なんとも、潔い関係性である。
 恋敵でこんな人間関係を構築できるって相当にレアケースだな。

「同居し始めて、恋敵同士がギクシャクとしたのを本当に見たくなかったからな。はっきりと言い切ってくれるのは正直に言うと本当に助かる」
 最も気にしていた点が晴れて一安心だ。

「でも、風呂場に行ってあれしただけでよくそこまで距離が縮んだな」

「簡単なことです。無理やりに襲おうとしたのを反省し調先輩は罰をきちんと受けました。それは、無理やりに神田君を襲うのはやはり良くないと思っている証拠であり、神田君を大切にしたい気持ちが伝わってきました」
 若田部さんは調先輩を見て尊敬のまなざしを向けて言う。

「私はされる側だったけど、私を反省させようと躊躇なく罰を執行してくる二人が本当に好木の事を思っていると感じたわ」
 自分が恋敵としてやりすぎな行動をしたことを律してくれた二人に対し、感謝しているかのような調先輩。

「そう、互いに尊敬し認めるに相応しい人。そう感じさせて来た。だから、私は調姉さん、若菜姉さんと敬う気持ちを抱いたからそう呼んで良い? とお願いした」
 そして、若田部さんと調先輩を敬う京香。

 しかし、正直に言うと兄としてはまったくもって敬わないで欲しい。 
 普通にぶっ飛んだ考えを持ってるしなあの二人は……、兄として妹がすでにおかしいから、さらにおかしいにランクアップしないで貰いたい。

「ええ、こんなよくできた妹さんを持った好木は本当に幸せ者よ」

「そうです。京香ちゃんは本当にお兄さんのことをよく思った良い妹さんです」

「好木さんの事こうも想ってくれる人他にはいないし、敬って当然かな? だから、調姉さん、若菜姉さんこれからよろしくね」
 そう言った敬う姿勢が伝わってきた発言に対して、調先輩と若田部さんはというと。

「さすが好木の妹ね。本当に可愛いわ」

「困ったことがあったら言ってください。京香ちゃん。助けてあげますから」
 京香に甘い二人が出来上がりそうな気がするほど可愛がっているな。
 いや、たぶんそうなるんだろうけどさ。

「うん、ありがとう。二人とも。じゃあ、早速だけど。普段、高校で好木さんがどうしてるか聞いても良い?」
 少し、甘えたかのように言う京香。
 その姿は兄の俺でも普通に可愛く見えるし、どうやら二人にも可愛く映ったようだ。

「ええ、そのくらい良いわよ」

「はい、良いですよ。まったく、お兄さんのことを聞きたいって本当に可愛らしいです」
 と言ったように俺の話をし始めてヒートアップし始めた三人。
 調先輩と若田部さんから語られる俺の高校での生活を聞くのが恥ずかしく、自分の部屋へと退散するのであった。



あれと言葉を濁しましたけど。
よくよく思えば、かなり最初らへんの事なのですっかりと何か忘れている人も多いと思うのできちんとしたワードに直しとくかもしれません。
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