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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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超能力者とは付き合うな! 闇が深いぞ気を付けろ!5

 若田部さんと寒河江先輩と知り合ってしまったのだが、意外にも平穏な日常を送ることが出来ている。若田部さんとはすれ違う度に軽く挨拶をする程度で済み、調先輩とはすれ違うたびに構うと喜んでしまうので何度もすれ違っているものの無視をしているのだが何も言ってこない。もしかしたら、あきらめてくれたのかもしれない。

「ああ、思ったより平穏だ……」
 その平穏を俺は喜んでいる。無事、部活動も決まり、クラスの友達とは仲良くなり。
 楽しい生活が送られていく、このまま俺は青春を謳歌するんだ……。なーんて考えていたら、お昼休みを迎えていた。
 ああ、なんて素晴らしい日常だ。

「太郎。俺は購買でパンを買ってくる」
 クラスで出来た新しい友達、田中太郎含めた数人で昼食を取っている。
 一人暮らしする前はばあちゃんが茶色い弁当ではなく、かなり彩が綺麗なお弁当を作ってくれたのだが、今は一人暮らし。
料理のできない俺は購買でパンを買い昼食としているのだ。

「相変わらず、愛情がない昼食だな。誰か弁当作ってがくれるやつとかいねえの?」

「はは、そんな人いるわけないだろ」

「本当か? お前が別のクラスの美少女とすれ違うたびに挨拶をしててなんか色恋沙汰を噂されてるんだぜ? さっさとげろっちまえよ」
 すれ違う度に挨拶をしている美少女とは若田部さんのことだろうな。
 最近、平穏な日常を遅れているせいか、俺の口からちょっとしたジョークが出る。


「もし、作ってくれるなら作って欲しいな。まあ、迷惑だから頼まないけどな!」

「作って欲しいんですか?」
 背筋が凍った。後ろから聞こえてきた声、その正体は。

「神田君はお弁当を作ってもらえるなら作って欲しいんです?」
 そう、今話題に出てきた若田部 若菜その人であった。
 なぜ、急に現れたんだ?

「このクラスに同じ部活に入ろうとしていたお友達がいるので来たんです。でも、ちょっとした事情では入れなくなりそうなので連絡にきました。で、お弁当を作って欲しいんです?」

「いや、その作ってもらいたいけど。それは迷惑だし」
 確かに作ってもらえるなら作ってもらいたいところだが、若田部さんのは少しあれだ。うん、はっきり言うと、お弁当を作ってもらうような間柄になったら逃げだせなくなるから嫌である。
 でも、誰かには作ってもらいたい自分もいる。
 つまり、作ってもらいたい気持ちは嘘ではなく本当だと若田部さんに伝わってしまうってことだ。

「本当に作ってもらいたいみたいなので、作りましょうか?」

「いやいや、迷惑だから」

「いえいえ、迷惑と思っていただけるのはありがたいですけど、一人分と二人分じゃさほど労力はかわらないんです」
 やばい、何この流れ。軽口をたたくんじゃなかった。
 せっかく、逃げきれそうだったのに逃げ場がまた無くなりそうじゃないか。

「おいおい、そこは好意として受け取れって。神田」
 太郎がそう言った瞬間を待ち構えていたかのように、続いて若田部さんも言う。

「そうですよ。作ってあげますから。遠慮しないで良いと思います」

「いや、その。でも……」

「はあ、若田部さん。俺が許可する。神田に弁当を作って来てやれ。男はちょっと強引なのに弱いからな」

「おい、太郎。お前……」
 友達として仲良くなった太郎が悪魔に見える。
 まるで、俺を地獄に叩き落そうとする悪魔に見えて仕方がない。
 お前は若田部さんのやばさを知らないから、そう言う風に言えるんだ。
 教えてやりたい、若田部さんがしつこくて重い女だと。それを言いふらしているのがばれたら、若田部さんに何をされるかわからない。ゆえにいう事は不可能だけどな。

「そうですね。じゃあ、明日から作ってきます!」
 俺の返事を聞かずにやる気を出し奮起した顔を浮かべた若田部さんは去って行ってしまうのであった。
 ああ、せっかくの平穏が再び遠のいていく……。

「はあ、パン買ってくる」

「おい、どうして嬉しそうじゃないんだ?」

「まあ、少しな。てか、時間的にまともなパンはもう残ってないかもな……」
 意気消沈しながらも、今日の昼食のパンを買いに購買に向かう。
 その際にある人物とすれ違う。

「ねえ、思ったのだけど。なんで、構ってくれないのかしら」
 いや、すれ違う事は不可能であった。
 腕を掴まれ、廊下に留まらされてしまう。もちろん、俺を留まらせたのは寒河江 調先輩である。

「いや、だって」
 構うと喜んでしまうし、構われたからと言って好きになるのはダメだ。先輩にどんな事情があったとしてもそう言う考えだけで人を好きになってはいけない。

「ああ、自分のためでなく私のことを思って無視してたなんて……本当にいい人ねあなたって」
あ、また好感度が……

「じゃあ、これで……」

「待ちなさい、少し大事なお話しがあるの」

「何です?」

「私は構ってくれるのを待っていたけど、やっぱりそれじゃダメよね。だから、今度から私から構いに行っていいかしら」
 もじもじとしおらしく言ってきたのだが、俺の返答はこうだ。

「嫌です」

「そう、それよ。私は今まで嫌よと言われてそこで終わっていたわ。でも、嫌よ嫌よは好きのうちだと思うの。それに、あなたは私を嫌っているんじゃなくて、学校生活が崩壊するのが嫌なだけじゃない?」
 いやさ、超能力者っていう特殊な状況下におかれていることがいかに世知辛いか、知っているから嫌いになれないわけで、好きとかそういう感情はまったくもって無いんだけど。

「でも、嫌いじゃないってことは好きになるかも知れないってことよね?」
 本当に考えていることにさらっと割り込んで来るな……

「分かりました。正直に言います。迷惑です。俺に付きまとわないで下さい。学校生活を楽しく送りたいので」
 少しきつめに先輩に言う。
 確かに、構ってくれる人が居ないのはつらいはずでありが、俺だって学校生活という青春を譲れない。

「そうね、ごめんなさい……。悪かったわ。もう、今後は関わらないから許して頂戴……」
 目にはうっすらと涙が溜まっている。
 なんだよ、それ。本当に卑怯じゃないか……超能力者が世知辛いのは知っている。
 だから、そんな風にされたら俺は……

「でも、たまになら話してあげますよ。たまにですけど」
 そう言ってすでに腕も握られていない先輩の前から去っていった。
 俺、本当に何してんだろうな……

「ありがとう……」
 後ろから小さな声でそう言われたとき、不思議と嫌な気はしなかった。
 だがしかし、振り払ったはずなのに先輩は後ろにいた。

「何で着いてきたんです?」

「だって、わたしもパンを買う目的で購買に行く途中だったんだもの、目的地が一緒なのは仕方がない事じゃない?」
 あれ? 本当に購買に行く途中だったのか? どこか引っかかる気がするな……。
 いや、購買に行く途中なわけない。廊下ですれ違ったのだ。目的の場所は同じならすれ違わずに目的地である購買で出会ったはずだ。

「それ、嘘ですよね」

「ええ、嘘よ。と言うわけでたまになら構ってくれるあなたに少しばかりの気持ちよ奢らせて貰うわ」

「いや、普通にいいです。そんなことされたら、たまに構う程度の関係を保てなくなるので」
 そう、あくまでたまに構う程度を維持したい、奢るとかそういう関係に持ち込まれたらたまに構う程度の関係の維持は難しくなるはずだ。

「嫌よ。あなたが素直に私に奢られなければここにあるパンを全て買い占めるわよ?」

「わかりましたよ、奢られますんでそれは止めて下さい。朝ご飯食べてなくて授業中に腹でもなったら恥かくので」

「ええ、それで良いのよ」

 そして、俺はパンを無事に手に入れ自分のクラスに戻ろうとする、最も途中まで道が同じである先輩も横に居るけど。

「そう言えばあなたは学校での委員会活動に興味はないの?」

「あるっちゃありますけど。機会があれば程度って考えてますけど」

「そう、機会があればね……」

 この時の俺はすでに先輩が俺を嵌めようとしているのに気が付いていなかった。
 そう、超能力者には気を付けろ。奴らの前で迂闊な発言は命取りだ。


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