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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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看病編(若田部若菜)前編

 三連休明け、俺達はいつも通りに放課後生徒会の活動を行っていた。
 その活動を終わらせ、戸締りをしようとしていた時だ。
 調先輩がふとこう言ってきた。

「好木、看病しに来て頂戴。一人じゃ、全然できないことが多いわ」
 だがしかし、昨日俺がしたことを思い出してみよう。
 腕にビニールを巻く。髪の毛を拭く。
 ガチでそのくらいしかしていないし、それ以外は自分で何とかなっていただろうに調先輩は看病しろと言ってきた。
 昨日の、しおらしさはどこに行ってしまったのだろうと思わせるほどがめつく戻っているな……。

「いや、それほど手伝う意味ありました? 別に一人で良いと思うんですけど」

「いえ、そんなことないわ。看病をして頂戴」
 と言ったように食い下がって来て若干の煩わしさを感じていたら、

「じゃあ、私がしてあげます」
 若田部さんがそう言った。
 その瞬間、調先輩の顔が引きつる。

「そ、それは別に良いわ。よ、よくよく考えれば一人で大丈夫だもの」

「いえいえ、そんなに手伝って欲しいなら私が手伝いますから、安心してください!」
 若田部さんはニコニコとしながら言っている。
 顔からは想像できないが実際は看病と称した嫌がらせでも仕掛けるつもりなのは明らかであった。

「遠慮します。私が好木に無理を言ったのがダメです」
 調先輩が頭を下げる。
 考えが分かる調先輩は若田部さんがとてつもないことを考えているのを知ってしまった顔をして本当に辞めてと懇願する。

「いえいえ、ふと思ったんです。神田君に迷惑を掛けるような人にはお仕置きしないとなって」
 ……。なんだろう、今朝さ能力の暴走の危険性は取り除かれたけど、俺の回りの女の子にすごく攻撃的になっているのは俺の気のせいか?

「気のせいじゃないわよ。好木。明らかに、この子の考えは飛躍したわ」
 考えを読んできた調先輩がそう語る。

「いえ、全然ですよ。ただ、神田君に迷惑を掛けて思ったんです。神田君に迷惑を掛けようとしてくる人にはお仕置きが必要なんじゃないかって」
 俺個人にはお仕置きと称していくつもの事をしてきたが、意外にも俺以外には無頓着で俺がそっぽを向いたらこちらを見るように的な行動を起こしていた。
 しかし、今の発言から察するに俺がそっぽを向いたらその先にも何かすると言った感じに変わったのか?

「好木、あなた。私たち以外の女の子とむやみやたらに話さない方が良いわよ。顔見知りじゃなければ若菜さんは容赦なくあなたに二度と近づけないように何かするわ」
 ……、なんだろう。やっぱり、暴走の危機は無くなったはずなのにより質が悪くなってる気がしてならないんですけど。

「あ、そう言えば。波豆さんも神田君に迷惑を掛けたらお仕置きです。最近、後ろをちょろちょろとついているのはきちんと見えてますから」
 え? なに、若田部さんは普通に波豆さんがどこにいるかわかってるのかよ……。
 俺なんて、全然どこにいるかさえ分からないってのに。

「え? まあ、私は見てるだけで良いからヨシ君に頼られない限りなんもしないけど……てか、若菜ちゃんに気付かれるなんて、やっぱりまだまだ隠密スキルが足りないか……」
 唐突に話題を振られた波豆さんは若田部さんにきちんと見えていると言われ、やはり、自分に足りないのは隠密だったのかとか、うんうんと顔を頷けている。
 いや、気が付ける若田部さんがたぶんおかしいだけだからな。
 波豆さんの足りていないところは絶対にそこじゃないと俺は思うんだけど……。

「さてと、調先輩。行きましょう! 戸締りは任せました。これから、じっくりと看病しないとダメなのでお先に失礼します」
 腕を掴まれる調先輩。

「た、助けて……」
 と言ったように若田部さんが調先輩を右腕の怪我で出来なくなったことを看病することが強引にも決定されてしまったのだ。
 連れ去られる調先輩の顔が絶望に満ち溢れていたし、若田部さんは本当に何をするつもりなんだろうな。

「さてと、波豆さん。俺達も帰るか」

「そうだね。帰ろうか」
 と言ったように二人がいなくなった後の静まり返った生徒会室を今一度、戸締りを確認し家路につくのであった。

 そんなことがあった次の日の朝。
 どうやら、若田部さんは看病を言い訳に調先輩の家にわざわざ泊まったらしい。
 律儀にも、
『調先輩のお世話で帰れません。きちんと、朝寝坊しないように。後、朝ご飯もきちんと食べてください』
 妻が、家に帰れなくなったかのような文面がわざわざ俺の携帯に送られてきた。
 いや、別にさ付き合っているわけでもないのにさ。こういう風に連絡してくるってものすごく愛が重いとしか言えないんだよな……。

「おはようございます」
 そんな、若田部さんの重さを考えながら生徒会室に入ると、

 そこには机に伏し、屍と化した調先輩がいた。

「好木。絶対に怪我をしない方が良いわ」
 そして、調先輩はなぜか俺に『怪我をするな』と忠告してきた。
 一体、どんな看病をされただろうな……。
 調先輩にそう言わしめる看病……マジでやばいんじゃないか?

「いえいえ、調先輩で練習しましたし、これで神田君がいつ怪我をしてもお世話ができます!」
 まあ、昨日調先輩の家に泊まったのだから一緒に学校に来ている若田部さんが俺に言ってきた。
 練習か……何だろう。その言葉を聞いただけで背筋が凍る思いなんですけど……。

「先輩、ちなみに練習で何をされて……」

「教えて欲しいかしら? そんなに私が何をされたか聞きたいのかしら」
 とどう見ても話したそうで仕方がない調先輩。
 いやさ、確かにムカついたことや悲しかったことを他人と共感して少しでも気を晴らしたいけどさ、ここまで聞きたい? と聞かれるとかえってどんなことをされたのか怖くて聞きたくなく思えてくる。
 ま、今後のためにも素直に聞くとしよう。

「先輩、どうぞ話してください」

「ええ、じゃあ話させて貰うわ」











 私は若菜さんに強引に連れられ家に帰ってきた。
 家の玄関の前でもう一度だけ若菜さんに私はあることをお願いする。

「あの、今でも遅くないわ。若菜さん。私の看病はしなくても良いのじゃないかしら? というか、お願いします。今考えていることを私にしないでください……」

「いえいえ、神田君が怪我したときに十分な看病をしてあげる必要がありますし、ちょうど良い機会なので不本意ながら練習するという意味合いで今日は調先輩を看病してあげます」
 そう、若菜さんは私の看病をしに来たのではない。
 好木が怪我したときに看病をするために練習しに来たのよ……。
 と玄関前で鍵を開けずに抵抗を続けていた時よ、

「あ、片手で鍵をカバンから出すのは大変ですね。というわけで、片手を使えない人の物を取り出す。これも又重要な項目でした。私としたことが、そんなことにさえ気が付かないなんて……やっぱり、神田君を看病する前に練習できて大正解です」
 私のカバンを開け、中から家の鍵を取り出され玄関を開けられる。
 ああ、もうこれは逃げられないのかしら?

「あ、調先輩。靴を脱がせてあげます。そこに座ってどうぞ」
 靴ぐらい脱げるのに若菜さんはわざわざ私の靴を脱がせてきた。

「……。その、やっぱりあなたに迷惑を掛けるわけにはいかないわ。だって、これから毎日この折れた腕と付き合っていかないといけないし、結局は一人で色々と出来るようにしないといけないわけで……」
 若菜さんが私の靴を脱がしてくる最中にもう一度あがいてみるのだけども、

「じゃあ、毎日面倒を見てあげます。だって、神田君を看病するときも毎日しないといけないわけで、それに慣れておかないといけませんし」
 墓穴を踏んでしまったようね……。
 普通に何も歯向かわなければ今日だけで済んだかもというのに、余計なことを言ったせいね。

「いえ、そんな迷惑なことはさせられないわ」

「先輩、私達友達じゃないですか。遠慮なんていらないです」
 こういうときだけ、いつも敵意丸出しなのに友達とか言うのって都合がよすぎる気もするわ……
 でも、確かに私のことを友達と思い考えてくれているのが少し嬉しくて複雑な気分ね。

 そして、私は若菜さんを家に入れてしまう。
 リビングに行きカバンを置き、着替えようとした時だ。
 若菜さんがふとあることを考えたわ。
 私は本当にしないわよねとか思っていると、普通に考えを若菜さんが口にする。

「ふと思ったんです。どうせ、看病するなら片手を怪我したときよりも両手を怪我して何もできない時を想定したほうが良いのではないでしょうか」
 そう、右腕は使えないけども左腕は使える。
 それなのに若菜さんは私の使える左腕というか左手を……。

「あの、若菜さん。あなたは一体、何を考えて……」

「というわけで、左手も使え無くしちゃいましょうか。あ、別に折ったりはしません。とりあえず、こんな感じです」
 若菜さんは自身のカバンから一本の包帯を取り出し、私の左手にぐるぐると巻き付けた。
 丁寧にもほどけないように厳重によ。

「さて、これで良しです。じゃあ、とりあえず看病を始めましょう!」
 そう、若菜さんはわざわざ私の両腕を使え無くして、看病を通り越してもはや介護を始めたのよ……。

「あの、これじゃあ何もできないのだけども?」

「そうですね。だから、私がいるんじゃないですか、安心してください!」
 笑顔で若菜さんは言う。
 正直、その笑顔の裏が怖すぎるわ……
 こうして私の長い長い一日が始まったの……いえ、長い一日なんかではないわ。

 地獄の日が始まったと言ったほうが正しいわね……。

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