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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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看病の前に決着を

看病編の前に区切りを付けさせてください。
 先輩は救急車で運ばれ病院に行った。
 病院では適切な処置をされ調先輩の骨折は大した事なく終わる。
 いや、普通に生活に支障出まくりだし大した事はありまくりだ。
 右手が普通に使えない状態になったのだから

「さてと、取り敢えず入院するほどではなくて良かったですね」
 タクシーで調先輩のマンションに戻って一息つきながら俺は話しかけた。

「ええ、そうね……」
 元々体調が悪いのにさらに気だるそうにしている調先輩。
 腕を折ったのは具合が悪くて暴れたからで自業自得だろうに。

「はあ……取り敢えず今日だけは看病と言うか身の回りの事はしますから」
 ちなみに病院で治療を受けている間に調先輩の親と話した。
 俺にお礼を言い、迷惑を掛けたことを謝罪したりとそういう姿勢は紛れもなく立派であった。
 そして、仕事が立て込んでいるらしく、先輩が病院を出たと同時に去っていくも、先輩の日常生活を考慮しヘルパー等を雇うとか色々と考えてはいるようであった。
 確かに会わないこと以外はキチンと親の責務は果たしている所は果たしていた。
 だからこそ、無理言って甘えられなかったんだろうな……

「ええ、たぶん一人でもなんとかできるけどお願いするわ。好木が考えている通り、母は立派と言えば立派よ。別に私が寂しがり屋なだけね……」

「それよりも、気分は大丈夫ですか?」
 病院の人いわく怪我をしたときに気分が悪くなる人も少なくないそうなので一応聞いてみた。
 まあ、辛気臭くなったから逃げるためだけどさ。

「元々、体調不良で気分が悪かったけど、怪我で気分がより悪くなったわ……まあ、誤差程度よ」

「あ、看病はしますけど、大胆な発言とか俺を困らせるようなことを言ったら帰りますから」

「そうね、今日は言わないわ。だって、腕もこのようにぽっきりと折れたことだし、今日はおとなしくするわよ、さすがの私でも」
 どうやら、自身の悪ふざけが転じてけがをしたのをしっかりと反省しているようで控えるとのことだ。
 まあ、いつまでその真面目さが続くのかは分からないが。

「というわけで、調先輩。ご飯食べますか?」
 実は救急車で運ばれたのは朝なのだが家に帰ってきた今現在、時刻はすでに昼過ぎである。

「食べるわ」
 と俺が昨日買ってきたコンビニ袋に入っているものをごそごそとあさり、レトルトのおかゆを取り出したは良いものの。

「別のはないのかしら? 別に食欲がないわけじゃないの。おかゆは昨日で飽きたわ」

「我が儘ですね」

「ええ、甘えたいお年頃よ。まあ、別におかゆでも良いけど。あなたこそ昨日から何も食べたないじゃない。だから、自分の食事を買ってきなさいという事でもあるわ。だって、健康的なあなたがおかゆを食べるのもおかしな話でしょ?」
 いや、実のところ俺も健康じゃないんだよな……。
 一応、胃薬のおかげでだいぶマシになってきたが、調子に乗って普通の食事を取ったらそれこそ胃の調子が良くなるのを遅らせるに違いないしぶっちゃけおかゆで良い。

「あら、どうして胃なんておかしくしたのかしら?」

「あー、説明するのがめんどくさいので俺の考えを丸々読んじゃってください」
 と言ったように昨日、一昨日の出来事を頭に張り巡らせる。
 話すのが面倒くさいときは大体こうやって先輩に考えを読んでもらった方が楽なのでいつもこうしているわけだ。
 さてと、昨日、一昨日の出来事は……
 俺は胃を痛めるに至った理由を思い浮かべ考える。

「なるほど、それは随分な災難だったわね」
 俺が考えたことを読み取った調先輩は意外にも同情してくれた。

「ええ、大変でしたよ……疲れきっていて逃げられなかったですし」

「……そう。好木、少し良いかしら?」

「ええ、良いですけど」

「もう、私達に優しくしなくて良いのよ? なんで、好木はそこまでするのかしら?」
 つい先日、波豆さんにも言われたことだ。
 確かに、優しくしているつもりはある。何度も何度も怒ろうとした。
 でも……俺は……。

「バカね。好木、私たちがあなたに怒られたくらいじゃ離れるわけないわ」
 そう、俺は怒ってしまい愛想を尽かされたくない。
 そんな気持ちが根底にあるからだ。
 だから、最近は能力の暴走を逆手にエスカレートした若田部さんと京香の行動を甘んじて受け入れてしまっている。
 実際は、テニスをしになぜ山梨まで行く。
 ホテルに連れ込まれて、飲みたくもないあれを飲まされる。

 その二つに怒りは覚えた。
 でも、否定して嫌われたくないと考えれば自然とその怒りは引いて行った。

「あの子たちはあなたのそれを理解した上であのようなことをしているの。特に若田部さんは酷いわ。あなた、いい加減に断らないと本格的に何されるか分からないわよ?」

「そんなの知ってますよ。でも、それさえも嫌われたくないから許せてしまうだけです」

「はっきり言うわ。現状、あの二人の依存を解決するにはあなたがはっきりと否定してあげる必要があるわ。あの二人はあなたが全部受け止めてくれる。そう思っていてああしているのだから」

「でも、そんなことをしたら……能力が暴走して」

「別に暴走なんてしないわよ。確かに黒髪に変装した波豆さんとあなたが手を握り合っているのを若菜さんが見た時暴走しかけたけども、あなたの家に見知らぬ女性がいてその人と手を握り合っている。そんな光景を見たらあなただって動揺するに決まっているじゃない。あれは極端であっただけで日常生活において若菜さんの暴走を起こさせることはほとんどないわ。好木、あなたは実のところ暴走が起こる可能性はとてつもなく低いことは理解出来ているんでしょ?」

「……」

「沈黙は肯定として受け取るわよ? 確かに、若田部さんが暴走しかけていたのを目の当たりにしたら確かに慎重になるのは分かるわ。でも、だからと言ってこのまま若田部さんに好き放題させれば、あなたが嫌いと強く偽りなく思ったとしても止まらなくなるわよ? それこそ、真実の愛とか言い出して監禁されたり色々とされるんじゃないかしら」

「若田部さんは全力で断れば辞めてくれるはずです」

「だから、それが通じなくなるかもと言っているの。恋は盲目。あなたが能力にあまり頼らないようにあの子もあなたとの関係に置いて能力を頼らなくてもいいほどの信頼関係が出来つつある。それが完璧なものになったら何を言ってもあの子は自身で好木が言った言葉を自己完結させるわ」

「自己完結って。じゃあ、俺が『嫌いだ』って言ったらどう自己完結させるんです?」

「『嫌いだ』と言っても少し魔が差しただけで、神田君はきっと前みたいに好きに思ってくれるはずです。という風に思われると言ったところね」

「じゃあ、俺はどうすれば」

「何回も言っているじゃない。怒りなさい。あの二人に怒って自分はなんでも受け入れられるわけじゃないって知らしめなさい。そうして、『受け止めてくれる』と言った根底の意識を覆えせばいいのよ」

「でも……」

「でもでも、うるさいわ。いい加減、気づきなさい。最近、あなたは楽しかった? 強制されて我慢してデートしたりとか、この三連休を全て女の子に取られるとか、色々と強制されて、能力が暴走するからとか思いながら仕方がなく行動して本当に楽しかった? 本当に満足した?」

「それは……」
 楽しさは感じていた。 
 でも、その楽しさよりも能力の暴走についてだったり、エスカレートする行動に対しての不快感のほうが大きかった気もしてならない。

「そうよ。あなたの考えている通りよ。だったら、さっさと今ある問題を解決させなさい。だって、あんな二人の女の子にあなたがずっと下手したてに出ているのを見ていて私は詰まらないもの。自分の好きな人が毎日毎日、ストレスにさらされて生きて行くのなんて見たくないわ!」

「調先輩……」

「以上よ。っつ、大声を出したせいでものすごく頭が痛くなってきたわ」
 先輩に言われたことが重くのしかかる。
 最近の出来事は一見してみれば楽し気だったかもしれない。
 でも、正直心の底では退屈であった。
 何もかも女の子達に主導権を握られて、思うがままに振り回されて、それでいて能力が暴走するかもしれないからという理由でそれを拒めない。

「とりあえず拒んでみます。先輩の言う通りに拒んでこんなつまらない日常をぶっ壊してやりますよ」

「ええ、周りに振り回されるだけの好木なんて見ていたくないわ。さっさと、依存関係を解決しなさい」


 先輩に激励を受けた次の日。
 俺は玄関をしっかりと鍵を閉め、チェーンを付けてある。

 そう、若田部さんに強引に家に進入され朝ご飯を作られたりしないために。

 ガタンと玄関が開けられようとする音がするも開かなかったのか、チャイムが鳴る。

 インターホン越しに若田部さんと俺は話を始める。

『あの、朝ご飯を作れないので入れてくれませんか?』

『ダメだ。正直に言うけど、迷惑だ。辞めてくれ。確かに、一人よりも二人で朝ご飯を取ったほうが楽しいかもしれない。でも、一人で食べたい気分だから、今日はお断りだ』

『あの、どうしたんです?』

『何がだ?』

『なんで、今日はそこまではっきりと物言いをするんですってことです』

『いや、今まで若田部さんとかに優しくしすぎたかなってさ』

『はい? いつもらしくないです。早く、ここを開けてください』

『嫌だ。別に若田部さんは俺の彼女じゃないし、朝ご飯を作ってもらう筋合いわない』
 すごくズバッとした物言いだけど、つけあがらせないためにはこうするしかない。 
 もう、能力の暴走を理由に我慢なんてしたく無いからな。

『あの、どうして受け止めてくれないんです?』

『いやさ、思ったんだよ。若田部さんが俺に依存する理由は俺が受け止めてくれると思い込んでるからだってさ。だから、少し厳しくしようと思っただけだ』

『やっぱり神田君もそうなんですね……。結局は私を捨てて』

『誰が捨てるだって? 別に俺は若田部さんを嫌いじゃないんだが?』

『でもでも、だったらどうして拒むんです?』

『だから、拒む以前に朝ご飯を作りに来られて一人の時間がないのが嫌なだけだ。嫌いではないとはっきり言っておく。別に俺は若田部さんが嫌いで拒んでるんじゃない』
 俺の言葉に偽りはない。
 嘘が分かる超能力者の彼女なら十分に俺のいう事を理解してくれるだろう。
 まだ勝手な自己完結を起こす段階ではないとお墨付きを貰っていることだし。

『でも……』

『じゃあ、そう言う事だ』

『神田君のわからずや。もういいです。もう、頼まれても一生ご飯を作ってあげませんから!』
インターホン越しに罵声を浴びせられるも、若田部さんは去っていった。
 その際に初めて俺に対する好感度が減少した。それなのに、好感度が下がった割に暴走しそうな雰囲気もない。
 つまりは依存関係を暴走させずに壊せるほど好感度を下げることは十分に可能だという事を示しているのだ。

「あ、これ。思ったより全然深刻じゃなかったんだな……」
 そう、すべては俺の考え過ぎで依存関係を拗らせずに崩すには少しばかり否定して、なおかつ別に嫌いではないという事を伝えて俺がすべてを受け止められるわけじゃないことを、しっかりと理解して貰えば良かっただけであったのだ。
 他の女の子と一緒に居られる姿を見られて不安に駆られるのは高すぎる好感度からもたらされる過剰な愛だったわけで、それがなくなれば暴走の危険があるほどの依存関係は壊せるという事だ。

「はあ……。めっちゃ、緊張したけど。何とかなったな」
 だがしかし、若田部さんの暴走を恐れていたのは事実で心臓が今までにないほどバクバクとしていたのは言うまでもない。

「でも、とりあえず。解決の糸口が見えてきたな」
 こうして、高すぎる好感度からもたらされる依存関係の解決に向かうのをしっかりと噛締めるのであった。


 そして、久々の一人で朝ご飯を食べ、一人で通学路を歩き学校に着くと生徒会室で調先輩と若田部さんが話していた。

「ふと、思ったんです。私なんで神田君にああも尽くしていたのかなって」

「あら、そう思っている割には嫌いじゃないのね」

「はい、別に嫌いじゃないです。でも、あそこまで依存するほどまでの相手だったのかなと思いまして、いや確かに好きは好きですけど。でも、あそこまで恋い焦がれて死ねば諸共的に考えているのはおかしかったと思うんです。だって、いまの私には神田君以外に友達だっています。なのに……」

「じゃあ、好木は私にくれたって良いわよね?」

「それはダメです。神田君は私の物です。ただ、最近迷惑を掛けすぎてたなって。それこそ、ホテルで無理やり飲ませた時、なんだかんだで許してくれましたけど。あれって、結局は能力の暴走の危険性込みの許しだったわけで実際だったらマジ切れされてもおかしくなかったと今だと思うんです」
 生徒会室の廊下前で話を聞いているのだが、若田部さんの正気に戻った感が半端ない。
 まさか、朝の少しばかりの仲違いでこうも変わるとは俺も思ってなかった。

「ええ、現にかなり限界そうだったわ」

「やっぱり、そうです? 私たちはより愛し合えると思っているので神田君に依存するのは程ほどにして今度は私に神田君を依存させるとさせます。それこそ、私のご飯なしじゃ生きられないくらいに」

「それは置いといて能力の暴走は大丈夫なのかしら。能力を暴走させいつ施設に隔離されるか分からない重い女だとより愛し合える仲になるのは不可能だと思うのだけど」

「いえ、制御しました。もう、暴走しません。もし、だれか他の女の子といちゃついているのを見ても取り乱しませんから。確かめます?」
 え? 何その発言。
 もしそれが本当なら俺の今までの葛藤って……

「どうやって確かめるのかしら?」

「こうやってです」
 と気になった俺は生徒会室のドアの窓枠越しに見ると先輩の肩に手を置いて若田部さんは言った。

「私は絶対に暴走しません。この発言に嘘偽りはないです。私は能力を暴走させる危険性のある重い女じゃなくて、依存を越えた先の愛を求める探求者になりました」
 おそらく、嘘が分かる超能力を調先輩に共有し、自身の発言が嘘かどうかを判別させたのだろう。

「……」
 黙ってしまう先輩。
 そんな先輩はどうやら廊下にいる俺に気づいていたようである。
 そして、調先輩の顔は何とも言えない顔をしていた。

「どうです? これでもう超能力の暴走させる危険のない重くない女だってわかってくれました?」

「そうね。ええ、そうね」
 嘘が分かる超能力を共有して今の若田部さんの発言を嘘かどうか見分けた調先輩。
 様子から察するに、若田部さんが言った言葉に嘘はなかったようである。
 若田部さんとの会話を一しきり終えた調先輩は携帯を弄った。
 弄り終えたと同時に俺の携帯が振動し、ポケットから取り出す。

「ん? メッセージ? 調先輩からか……」

『はっきり言うわ。暴走する危険性は無くなったけど、思いっきりあなたへの愛がやばくなったわ。考えていることがおかしいもの』

「え?」
 そんな時だ。
 また、メッセージが届いた。

『好木さん。別に他の女の人と愛し合っても私を愛してくれるってこと。それ自体がすごく愛されてることだってわかった。だって、愛している人がいるのに愛されるってすごいと思うから』
 京香からのメッセージだ。
 いったい、俺の妹は何を言ってるんだ?

『何を言ってるんだ?』
 と返信すると

『だって、兄さんはあの二人を好きなのにそれなのに変わらずに私に愛をくれたし。それって本当に私のことが好きってことで。私が特別ってことだし』
 なんだろう、こっちもやばい気が……

『ああ、俺はお前を妹としてならいつまでも愛せる』
 そう送った瞬間だ。

『うん、だから妹とだけど特別な愛をくれれば私は問題ないから。後、能力の暴走の件はごめんなさい。かなり負担だったと思う。きっちりと、御したから安心して』

『特別な愛って?』

『近親相姦とか?』
 あ、うん。
 あのさ、ひとつ言って良いか?
 なんで俺の回りってこうもおかしいんだろうな……。

 こうして、能力を暴走の危険性はあっけなく取り除かれた。
 しかし、どう見ても状況が悪い方向に向かっているのは気のせいだろうか?


『気のせいじゃないわよ』
 と調先輩が俺の考えを読んだのかメッセージを送ってきた。

 ですよね。
 はあ……本当にこれからどうすれば良いんだろうな……。
というわけで、二章の本筋はここまでであとは看病編を書いて二章を終わらせます。
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