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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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着替えさせる(興奮はしない)

 先輩の家に向かう途中にお腹が減ったと言っていたのでコンビニで適当に軽食というか、体に優しそうなものをいくつか買った。
 さらには閉店作業をしていた薬局の人に無理言って風邪薬と熱を下げる解熱剤や熱さまシート等も手にし先輩のマンションに向かう。
 チャイムを鳴らし、先輩が出てくるのを待っている。
 それが現在の状況だ。

 ガチャリと玄関が開き調先輩が出てくる。

「よ、よく来たわね……」 
 顔は火照っているのにがくがくと体全体を震えさせた先輩が玄関を開けてくれた。
 その姿から察するに相当な重症で歩くのも厳しそうである。

「大丈夫ですか、調先輩?」

「ダメね。死にそう……」
 と俺を案内下や否やベッドに倒れこんだ。
 どうやら、本当に深刻な体調不良な様子である。

「病院は行きましたか?」

「行ってないわ……昨日はやってなかったもの……。かといって開いている大きなところに言っても待ち時間が長、」
 言っている最中に力尽きる調先輩。
 息はしてるし意識もある。
 救急車を呼ぶほどではないものの、非常につらそうな様子と言ったところだ。

「薬はありますか? 一応、買ってきたんですけど……」

「ない、わよ」
 そう言われたので薬局で買ってきた薬を取り出した。
 薬局にはコンビニと違って効き目の高い、薬剤師に相談のもと購入するようなものも売っているのでギリギリになったが閉店間際に押し寄せたわけだ。

「これ飲んでください」
 買ってきたペットボトルの水と薬を手渡す。
 それを受け取ると調先輩は薬を飲み一息つく。

「ふう、ありがとう。好木」
 薬を飲んだ調先輩はぐたりとベッドに倒れて寝てしまうのであった。
 いつもと違ってしおらしい先輩。
 このくらいしおらしければ全然ありだなとか考えてしまう。
 まあ、これだけ憔悴していれば考えを読まれないだろうし素直に思っておこう。

 それから、俺は寝室から抜け出しあることを始める。

「はあ……。また、ゴミ屋敷みたいになってるし片付けておくか」
 胃が痛むものの病院のベッドでぐっすりと眠った事で眠くないのと、調先輩が起きた時にご飯も食べていない様子だし、食べさせてあげようと思い起きていることにしたが手持ち無沙汰なため掃除を始める。

 先輩のマンションはこの前掃除に来たときよりかかなりましだが普通に汚部屋に逆戻りしている。
 まあ、幸い食べ物の容器とかは捨ててるっぽいけどな。

 そして、掃除をするも以前よりも全然汚くないので一時間もかからなかった。

「さてと、まあテレビでも見るか……」
 と調先輩の部屋にあるテレビを音を下げ付ける。
 なに、調先輩が寝ている部屋から離れているし、別段に問題はない。

 時間はちょうど24時だ。
 テレビを見ながらスマホを弄ったり、調先輩の部屋になぜかまた増えていたエロ本を興味本位で呼んでいたりとしていたら一時間ほど過ぎていた。
 そんな時、俺がいる部屋のドアが開く。

「薬のおかげでだいぶ良くなったわ。本当にありがとう好木」
 少しばかり、楽そうになった調先輩がやってきた。
 てか、薬飲ませる前に何か食べさせておけばよかったかもな。
 普通に薬は胃を荒らすし、俺みたいな胃痛になる可能性も考えられる。

「お腹すいたんですか?」

「ええ、そうよ。実は、昨日から何も食べてないの。買いに行く気力もなくて……」
 本当にお腹が空いていそうなので買ってきたものを先輩に言うと、

「おかゆを頼めるかしら?」
 と俺が買ってきたレトルトのおかゆを選択する調先輩。
 俺はレトルトのお粥をお椀に入れ電子レンジで加熱する。
 加熱が終わると寝室ではなくリビングでぐったりとしている調先輩にお粥を手渡した。

「ありがとう。食べさせて貰うわ……」
 スプーンを使いゆっくりとお粥を食べていく。
 どうやら、食欲がないと言うわけではないらしい。
 食べ進めていく調先輩をじっくりと凝視しているわけにもいかず、どこか手頃な視線のやり場がないかと思っていたとき調先輩が着ているパジャマがプレゼントしたものに気がつく。

「先輩、そのパジャマって」

「貴方から貰ったものよ、大事に使ってるわ。それよりも、薬とご飯を持ってきてくれて本当に感謝だわ」
 あせで貼り付くパジャマをつまみ調先輩はそう言った。

「てか、ご飯が無いって誰かに買ってきて貰えば良かったんじゃないですか?」

「だって、貴方はデートしてるじゃないの。なのに呼び出せる訳ないじゃない」
 薬もご飯も買いに行く気力すら無くなるほどに弱っているのに呼んでも誰も怒りやしないだろうにさ。
 変なところで律儀なんだよなあ……

「親を頼ったらって、すみません」
 調先輩を一人暮らしさせ、部屋がゴミだらけになろうが放置する親が連絡したところで来るはずない。 

「気にしないで頂戴」
 先輩はさも当たり前に言う。

「さてと、他に何かしてほしいことは有りますか?」
 あまり続けても面白くない話題なので、早々と俺は話題を切り替えた。

「ええ、薬のおかげで大分ましになったわ。だから、大丈夫と言いたいところだけど少し頼まれてくれないかしら」

「何ですか?」

「帰らないで……。いるだけで良いから此処にいて欲しいの……」
 風邪とは人を不安定にさせるもの、いまでこそ薬のおかげでましになったものの一人で苦しむとは非常に心細い。

「分かりました。帰りません。ここで、明日の夕方くらいまでは先輩を見てあげます」

「ごめんなさい。この年にもなって恥ずかしい限りだけど寂しいのよ。最近は楽しくて、そのせいもあってひたすらに一人で苦しんでると悲しくなってくるの……」

「寂しくて当然ですよ……」
 調先輩がこうも体調不良で弱音を吐くには理由がある。
 今でこそここで独り暮らしをしているように見えるが、その前はちがくて独り暮らしではなかったのだから。
 この部屋にあった数々のゴミ。
 そのなかには高校生になる前から放置されていたゴミがあった。
 黒い物体と化したおにぎりの賞味期限は今から3年前の物。
 それすなわち、この部屋で少なくとも中学生の時からコンビニでのご飯だったり外食であったりと言う可能性が高い。
 つまりは……

「ええ、好木の考えてる通りよ。今でこそ私しかここに住んでないけど、高校生になる前はここに母親も住んでいたわ。だって、中学生は一人暮らしを出来ないもの。要するにここに住所を置いていたの」
 そして、住所を置いてあるもののほとんど帰ってこなかった。
 故に寂しい日々を送っていたに違いないわけで……

「そうよ。寂しかったわ。だって、この家にはたまに私の様子を見に来る程度でほとんど訪れなかったもの。高校生になってからは訪れることさえ無くなったわ。まあ、高校生にもなればそんな寂しさは無くなったけどもね」
 それは親なのか?
 と言いたい気持ちが沸々と沸く。

「ええ、あまり会わない限りは親らしいわ。なに不自由のないお金。私が欲しいものがあったら買えるようにとか。生活面に置いてはきちんと親よ」

「でも……」

「それ以外は壊滅的ね。だから、寂しいのも馴れっ子だし、このまま一人でも生きて行けると思っていたわ、でも……」
 調先輩は寂しそうに震えて言う。

「好木と関わって寂しがりやに逆戻り。だから、お願い今日はここにいてくれるだけで良いから……」

「分かりましたよ、先輩。さ、これ以上話すと体にも障りますし寝室に戻りましょうか」

「そうね。少し話しすぎたわ。せっかく少し楽になったと思ったらまた辛くなってきたもの」
 俺は先輩をつれ寝室に向かう。
 そして、俺は先輩を寝かしつけたのちこう言った。

「親に甘えるように甘えて良いですから」

「好木って本当に卑怯ね。そんなこと言われてなびかない訳ないじゃないの。じゃあ、私が眠るまでで良いわてを握ってくれないかしら?」
 そう言われた俺は調先輩の手を握る。

「先輩、ゆっくりと休んでください」

 そして、次の日の朝。
 先輩の顔色は昨日よりだいぶマシになっているし熱も少し下がったようである。

「ねえ、好木。体を拭いて」

「はい?」

「言ったじゃない。親に甘えるように甘えて良いって言ったじゃない」

「いや、さすがにそれは……」

「嫌よ、拭いて、拭いてくれなきゃ一生お風呂に入らないわ。だから、拭いて!」
 だがしかし、体を拭くとは裸に触れるという事で……。
 俺の精神的衛生上よろしくないしはっきりと断ろうとした時、

「……拭いてくれないの?」

「ああ、そう言うのはNGで」

「わかったわ。拭いてくれないのなら自分で拭くから良いわ」
 おもむろにシャツのボタンをはずしていく調先輩。

「ちょっと先輩。何をしてるんですか。男の前ですよ?」

「だって、ここ私の家よ。別に家で服を脱ごうが勝手じゃない」
 先輩が脱ぐのを辞めそうにないので後ろを向いていたら背中に服を投げつけられた。
 どうやら、本当に服を脱いだようなのでとりあえず退散しようと部屋から出ようとした時だ。

 後ろがやけに静かになっていることに気が付く。
 いやいや、先輩の思う壺で振り向けば……。

「……」
 全裸の先輩が力尽きていた。

「だ、大丈夫ですか!?」

「全然だめよ……急に動いたから立ちくらみで倒れたわ……。元気になったのは勘違いだったみたいだわ。頭痛くて死にそうよ……」
 元気を取り戻しつつあるがやはり体調が悪く、急激に動いたことにより立ちくらみを起こしてベッドの上で伸びていた。

「はあ……。大人しくしてくださいって……」

「嫌よ。てか、どうせもう裸を見たなら体を拭いて頂戴……じゃなきゃ暴れるわ」
 とかふざけたことを言うので寝室を出ようとするも。

「……。待ちなさい。大人しく私を看病しなさい!」
 先輩が大きな声で俺に向かって言ってきた。
 そんな先輩を無視して再び寝室を出ようとした時、

 バタンとベッドから何かが転げ落ちる音がした。

「はあ……。そうやって、俺の気を引こうとしても看病しませんから」
 と言った時だ。

「……あの、好木。本当に申し訳ないと思うのだけど手を貸してくれない?」

「だから、そう言っても手は貸しませんって」

「いえ、本当にシャレにならないくらいやばいの」 
 声が急にトーンダウンしてテンションが下がっている。
 そこまでして俺の気を引きたいのか?

「だから、そう言われても……」

「いえ、お願い。一生のお願い、助けて頂戴。今回ばかりは本当の本当よ。だから、お願い手を貸して」

「はあ……何にも起きてなかったら怒りますからね」
 周りに厳しくすると昨日宣言したばかりだが、やけに先輩が懇願してくるので振り向いて先輩のところに向かう。

「ねえ、これどうすれば良いのかしら?」
 右腕があらぬ方向に曲がった調先輩がいた。
 あ、うん。
 これは確かに助けないとダメな案件だ。

「とりあえず、きゅ、救急車を呼んできます!」
 ポケットに入っていた携帯で電話を掛け、住所を言っているとき調先輩はと言うと、

「って、痛い、痛いわ! 今さになってものすごく痛さが……」
 どうやら、折れた時は動転して痛みを感じていなかったようだがいつまでもそうとは行かないらしくドバっと冷や汗を流しながら先輩は痛がり始める。
 明らかにタクシーで病院に行くには耐えられそうにないくらい痛がっていた。
 そんな先輩を尻目に俺は救急車を呼び終える。

「先輩、とりあえず呼びましたから」

「好木。お願いがあるの……」
 痛みを耐えながら調先輩が頼みごとをしてきた。

「なんですか?」

「服着せて……」
 あ、そう言えば今調先輩。
 全裸だった。

 さすがに救急車を来る前に着せておかないとダメだな確かに。

「わかりました。とりあえず、着替え取ってきます」
 怪我が重症すぎて全裸の先輩を着替えさせるのに興奮の欠片もないのであった。

 

 
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