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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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看病されるのは俺ではない

「っつ。ここは?」
 目が覚めると見知らぬ天井を見ていた。
 あまりの疲労と胃の痛みで玄関で倒れこんだのは覚えているし、その状況から察するに誰かが救急を読んで病院に運ばれたと言ったところだろう。

「やあ、好木君。元気?」
 ベッドの横にいたのは波豆さんであった。 
 たぶん、彼女が俺を助けてくれたに違いない。

「ああ、まだ胃が痛いのと、くらくらとする以外は何とか」

「さてと、お節介を一つ言っても良いかな?」

「まあ、良いですけど……」

「好木君。君、優しくしすぎるのをそろそろ辞めなよ。だってさ、今回のことでわかったでしょ? 君がはっきりと否定しない限り若田部さんは君に負担を強いることを。彼女は辞めろって言われないから引き際を理解できていない。だから、ああも君を痛めつけられる。君だって、彼女に強く辞めてくれと言えば辞めて貰えるって理解してるよね?」

「ぐうの音も出ない正論だな」

「さてと、ここからが本題かな? 実は私、君のサポート役兼監視役を解雇されたんだよ……」
 確かに役立たずであったし当然の結果と言える。
 つまりは波豆さんとはこれでおさらばという事か……。

「というわけで、解雇されたからにはもっと上を目指さないとって考えたんだよ。だからさ、お金に関係なく君をとことん監視してより完璧な諜報を行えるようにならないとダメだなって」
 いや、波豆さんの諜報力は十分にある。
 解雇されたのは絶対その部分ではないのに、何を言っているんだろうな波豆さん。

「で、つまり何が言いたい」

「というわけで、より巧みに諜報できるよう鍛えなおす。私は君からバレないようにより監視し続けて巧みな技術を身に着けようと思うんだ」
 今の時点で、俺は波豆さんの監視に気が付けていないし、解雇された理由は絶対そこに無いんだけどな。
 ただ、単に諜報以外がゴミなだけだって言う理由だろうに。

「つまり、俺を監視し続けると?」

「そういう事。ま、だから好木君なんて他人行儀に呼んでたけど、クライアント関係は無くなったし、これからは気軽にヨシ君とでも呼ばせてもらおうかな?」

「いや、それは良いけど。波豆さんが解雇された理由はそこじゃないと思うんだが?」

「わかってないな。やっぱり、継続的な仕事を得るには一芸に秀でてその人にしかできないことを強調しなくちゃダメなんだよ」

「すでに波豆さんの監視は優秀を優に越してると思うんですけど……」

「いやいや、全然足りてないって。お世辞を言っても何も出ないよ?」
 お世辞じゃないんだけどな……。
 てかさ、さらっと俺のことを監視するって言ったな波豆さん。 
 実際問題、気が付けないのだから辞めてと言ったところで辞めて貰えているのかさえ分からないし、こればかりは仕方がないと割り切るしかない。
 実害が出たら通報すればいいだけだ。
 だって、基本的に監視意外は無害なのは間違いないからな。

「それよりも、ありがとうな。助けてくれて」

「さてと、とりあえず目が覚めたしお医者さんを呼んでくるよ。私としたことがうっかりとしていた」
 そう言う忘れっぽいところとか、他色々が圧倒的にダメなんだよな……。
 だから、解雇されたんと思うぞ?

 そして、医者は波豆さんによって連れて来られて俺の診察が始まる。

「神田さん。君は過労で倒れてここに運び込まれた。とりあえず、過労ですね。心当たりは? とは聞きません。できるだけ、ゆっくりとしてください。で、後は胃が痛いんですよね? じゃ、胃薬も出しておくんできちんと飲んでください。薬を飲んでも直らなければまた来てください。はい、診察はこれでおしまいね。あ、一応解熱剤も出しとくから熱が出たら飲んじゃっていいから」
 ものすごく簡単な診察であった。
 まあ、俺が倒れてから実は数時間しかたっていなくまだ夜になり始めの時間帯であり、倒れて運ばれた際にも俺が覚えていないだけで意識はあったみたいだしこのような簡単な診察なのだろう。

 診察を終え窓口でお金を払おうとするも、持ち合わせが足りずに払えないため、また別の日に支払いでも良いと言われた。
 しかし、病院をまた訪れるのは面倒なので近くにあったコンビニのATMでお金を下ろし、無事治療費を支払い病院をでるのだが、

「そう言えば、波豆さんはどこに行った?」

「ん? ここにいるけど」
 唐突に現れる波豆さん。
 周りに隠れられる場所はないし、本当にどこに隠れてるんだろうな。

「とりあえず、今日の事は皆に内緒にしといてくれ。まあ、調先輩にはバレるだろうけどさ」

「うん、わかってるよ。特に若菜ちゃんに負い目を感じさせないようにだよね? 正直に言うけど、それで良いの? だって、このことを若菜ちゃんが知れば行動はだいぶマイルドになるように思えるけど」

「まあ、そうだけどさ。俺が倒れたことを負い目に感じ過ぎられて超能力が不安定になるのを」

「はあー。分かってないよ。ヨシ君。君さ、そう言う風にしてるからいいようにされてるんだって。それこそ、彼女のためを思うなら今回のことをしっかりと知らせて反省させるべきじゃない?」

「いや、そうだけどさあ」

「ヨシ君って。NOと言えない系だけどさ。実はドMなの?」
 本当に思っていそうな表情で波豆さんに言われる。
 確かにな……。いくら、超能力が暴走することを考慮したとしてもやられすぎだし、明日からはもう少し厳し目を意識してくべきだな。
 だって、俺ドMじゃないし。

「違うぞ。俺はノーマルだ。そうだな、そう言われちゃおしまいだし明日から俺は厳しくいこうと思う。とは言うけど、やっぱり今日病院に運ばれたのは若田部さんに話すのはNGで頼む」

「はあ……。相変わらずのヘタレだね」
 やれやれという仕草を波豆さんがしている。
 まあ、言ったそばからヘタレてるのはわかってるけどさあ……。
 俺が恐れてるのは罪滅ぼしと言って壮絶な看病をしてきそうな若田部さんなんだよ。
 別に、病院に運ばれたって知られたところで能力は暴走しないのはわかってるし、言って反省させたいのは山々だけど、反省の後の話が怖いんだけだ。
 これはヘタレてるんじゃない。戦略的思考に元ずく行動である。

「さてと、今回は助かった。というわけで、何かあれば言ってくれ。手を貸すから」
 曲りなりも、救急を読んでくれたわけで改めてお礼を言ったのだが、

「じゃ、私の諜報スキルを磨くために監視させて貰うからよろしく」

「いや、そう言うのは……」

「じゃあ、助けてあげるよ。もし、若菜ちゃんや調ちゃん、京香ちゃんから危機になったら助けてあげるから、それでいいでしょ?」

「良くないんだが? 普通に俺にストーカーまがいのことをしないでくれ」
 まあ、監視されていても分からないので放置する他ないんだけどな実際はさ。 
 だがしかし、先ほどの俺はNOと言える人になるべくここはきちんとお断りしよう。

「さてと、元気そうだし私も帰るね」
 俺からそそくさと離れていく波豆さん。
 さらっと、俺の言ったことは無視された。

「おい、無視するなよ。てか、波豆さんの今の住処は若田部さんと同じアパートだろうが。どこに行こうとしてるんだ? 途中まで帰り道は一緒じゃ、ってもういない……」
 と言ったのに気が付けば人ごみに紛れていなくなっていた。
 本当に隠れて物事を把握する諜報に関しては超一流なのにさ、どうしてそこをさらに伸ばそうとしてるんだろうな、本当そう言うところが残念で解雇されたのにな……。

 そして、病院から家に帰り体調の都合で調先輩とのデートを延期させて貰うべく電話を掛ける。

『あ、ら、好木。ど、どうしたの?』
 やけに息苦しそうな調先輩が電話に出た。

『どうしたんですか?』

『そうね、はっきり言わせて貰うわ……』

『はい、どうぞ』

『デートはしなくて良いから今すぐに来てくれるとありがたいの……』

『はい? どうしてです?』

『実は昨日から体調が悪くて死にそうなの……とりあえず、ご飯を頂戴。辛くて、家から出れなくて……』
 そして、ごとりと携帯が落ちる。

『調先輩、大丈夫ですか?』
 携帯が拾われる音を拾った後、

『ええ、何とか……。とりあえず、来て……』
 そう言われれば仕方がない。
 俺は調先輩の住まうマンションに向かうのであった。

 普通に胃が痛いけどさ。
 調先輩のほうが重症そうだし向かわずにはいられないわけだ。

 こうして、三連休最終日は始まりは調先輩のSOSから始まるのであった。




 



 
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