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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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体力の限界

 若田部さんに休憩と称したお仕置きをされた。
 正直に言うと、今回ばかりは怒りかけたのだが、俺が切れてそのことを億劫に思った若田部さんが精神的不安定に陥るのを防ぐため仕方がなく気を収める。

「はあ……」
 ため息をつきながら若田部さんに連れられ、今度は繁華街に連れ出されたのだが思いのほかあれを飲まされたのが堪えておりテンションが上がらない。

「ため息ばっかりつくと幸せが逃げますからしない方が良いです。また、そう言う姿見せてるとお仕置きじゃなくて罰を与えますけど、良いんです?」

「いや、それは無しで……。てか、今回のも俺もかなり堪えた」

「なるほど、その言葉偽りはありません。分かりました。今後は控えます」
 控えますって言うあたり悪意を感じるのは俺だけか?
 はっきりとダメと言えない俺が憎い。
 だってさ、たぶん俺が本格的にNOと言わないからエスカレートさせて言っているわけで……。
 おそらく、俺がマジ切れすれば止まってくれるはずなんだよな……たぶんだけど。

「さてと、繁華街に来たけど。どうするんだ。当てもなくどこかをぶらぶらと歩くのか?」

「ちょっと、行ってみたいお店があるんで行ってみましょう」
 若田部さんはどうやら行きたいお店があるようで手を引かれそのお店とやらに向かう事となる。

 そして、若田部さんに連れられること数分。
 目的のお店にたどり着くも行列ができていた。

「やっぱり、混んでます……」
 若田部さんに連れらてきたお店は今流行りのパンケーキのお店。
 卵の白みをメレンゲにしてから粉と混ぜ合わせることでふわふわの触感を作り上げたパンケーキとしっかりとしっとりとした重めのパンケーキを重ね合わせ二重構造にすることでしっかりとした触感とふわふわの触感の二つを味わえる新感覚系で流行っているお店だ。

「なるほど、ちょうどお昼時だもんな……」
 実はピンクのホテルで休憩したのは午前中の出来事でまだ午後に入ったばかりなのである。
 ゆえにパンケーキと言えどお腹にたまるのでお昼時にお店を訪れる人が多く混雑しているのだろう。

「どうせなら、新しい流行の物を食べて思い出にでもと思ったんですが……あと、お腹の調子が悪そうな神田君はどうせ普通のお店に入っても食べきれないと思ってここを選んだんですけど」

「まあ、確かに流行まっただ中と流行が去った後で食べるのじゃちょっと感覚は違うよな……なんか、取り残された中で一人盛り上がってるみたいな感じでさ。お腹の調子を気遣うのは良いけどさ、そうしたのは若田部さんだからな?」
 絶賛胃が悲鳴を上げている。 
 おそらく、空きっ腹に栄養剤を二本なんて流し込んだせいである。
 おなかの調子を心配する前に呑ませたことを悔いて欲しいとところだ。
 しかも、飲まされたうえであれも飲まされているわけで……少しばかり苛立ちを覚える。

「確かにお腹の調子は私のせいです……。だから、ご飯を食べたら今日のデートはおしまいにしようと思っています。だって、本当につらそうで、普通に後悔してます……」
 苛立ちを覚えたが、若田部さんは相当反省しているようなので忘れることにしよう。
 だって、普通に楽しみにしていたデートに相手がげっそりとした顔をしてやってきたらどう思う? 
 普通に嫌に決まっているわけで、怒ったり、キレたりされても仕方がないという事だ。
 で、その怒りをお仕置きという形で発散した結果、今のように反省を見せていることなんだろうしな。

「いや、じゃあ並ぶ。ご飯を食べたら解放してくれるんだろ? 疲れてデートに臨もうとした最低な行為は俺の責任だ。だから、埋め合わせにはならないだろうけど、本の気持ちとして少しでも一緒に長く居させてくれ」

「良いんですか、別に他のお店でご飯を食べてハイさよならでも私は文句を言いませんけど……」

「それこそ、若田部さんに失礼だ。だって、今日のデートを楽しみにしてたんだろ? まあ、限界が近いけどさ、せめて行列に並んでご飯を一緒に食べる。そこまではさせてくれよ」
 何が、等しくチャンスをやるだ。
 京香と若田部さんとじゃ全然待遇が違うじゃないか。
 片や元気な俺と片や疲れている俺。
 そんなの不満でしかなく、自身は大事にされていないと勘違いする要因にしかならない。
 ま、普通に体が限界だからお昼ご飯を食べたら解放して貰うけどさ。
 若田部さんの前で倒れようものなら、罪滅ぼしを理由に介抱しますとか言ってそれはそれで地獄が待ってそうだしな。

「本当に良いんですか? だって、もう見るからに顔色が悪いです」

「大丈夫だ。この行列に耐えるくらいは平気だ」
 と言って行列に並ぶことになったのだが、

「あの、大丈夫ですか? 汗がすごいです」
 だがしかし、思った以上に俺の体は正直であった。
 眠気、疲れ、胃の痛み、その全てが俺を襲ってきて、止まらぬ冷や汗をかかせ続ける。

「ああ、大丈夫だ。大丈夫」
 もう列に並んで早一時間たつ。
 ここまで来て引き下がるわけにはいかない。

 それから、さらに一時間後。

「お待たせしました。ご案内します」
 と店内に案内される。
 そして、店内で俺達はパンケーキを食す。
 その際に会話は少なく、暗い雰囲気で食べ進めている。
 正直に言おう。
 京香のデートで体力を使いすぎて、若田部さんをないがしろにするってことは相当な失礼に値する。
 だから、俺は店内を出ようと席を立つ前、

「ごめん。せっかく、楽しみにしてくれてたのにさ」
 謝るしかなかった。

「いえいえ、私も神田君に無理やり栄養剤を二本飲ませたのがいけないんです……あと、お仕置きは日を改めてするべきでした」
 ああ、いくら気を使われてもお仕置きは絶対にありなのね……。
 ま、他の人と元気度に差があれば怒るのは当然だしな。

「じゃあ、悪いけど。今日のデートはおしまいで良いか?」

「はい良いです。だって、最後の方は結局自分が悪いって言う感じで行列に並んでくれましたし。神田君が決して私のことを疲れていて適当に相手しても問題ない奴って思ってないのが十分にわかりました」

「悪いな、本当に。実際問題、楽しみにしてたんだろ?」

「まあ、そうですね。結構楽しみにしてました」

「だから、あんなお仕置きをするくらい怒ってたんだよな?」

「いえ、前々からあれはしたかっただけで口実が出来たのでしただけです。別にあんまり怒ってるわけじゃありません。ただ、京香ちゃんには楽しそうに振る舞ったのに私には疲れてげんなりとしたように振る舞われるんじゃってムカついてただけです」
 それを怒ってるって言うんじゃないか?
 なんだろう、若田部さんの気持ちが理解できてくると、途端に申し訳なさが湧き出てくる。


「あのさ、今日のデートはなかったことにしてまた別の日に改めてするのはどうだ?」

「いえ、そんな気遣いは無用です。だって、神田君は精一杯に楽しく振る舞おうと今日頑張っていましたよね? あくびを何度も手で覆い噛み殺し、こうしてパンケーキの行列にいくら体調が悪かろうが並んでくれました。そう考えると、それだけで楽しかったなって思えるのでこれはこれでいい思い出としてデートのやりなおしは認めません」

「本当にそれで良いのか?」

「はい、もちろん。だって、そんなに私のことを思ってくれる神田君がいるだけで私は幸せいっぱいで本当に嬉しいです」

「ああ、そうか。さて、これ以上居座るとお店にも迷惑だ。出よう」

「はい、行きましょうか」
 店を出る前のほんの数分のやり取り。
 なのに今日体験した出来事で二番目に濃い出来事な気がした。

 一番目はなんだって?
 そりゃ、あれしかないだろ……。

 ま、今回ばかりは本当に若田部さんには申し訳ないことをした。

 楽しみにしていたデートに疲れ切った状態で臨む。
 そんな失礼をした俺をどうか許してほしいところである。

 そんなことを考えながら家に帰る。
 そして、若田部さんと別れ際、もう一度謝ることにした。

「ごめん、今日は悪かった。じゃあ、これで」

「いえ、私こそ調子に乗りすぎました。もし、具合が悪くなってどうしようもなくなったら呼んでください。絶対に看病しに行きます」
 と言ったように若田部さんとのデートを終えたわけだが、


「っつ。ダメだな、これ……」
 家に着くや否やベッドにたどり着く前に玄関に倒れこむのであった。


 
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