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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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これから

 自宅での謹慎二日目の夜、昨晩恋人として愛されたいと宣言した妹が堂々と迫ってくるかと思いきや意外にも迫ってこない。
 それどころか、胸を揉まされた事と呼び方が変わった事、年相応な兄妹の様に接する様になり、むしろ今までよりか健全な兄妹になった気がする。

「ここは?」
 そして、絶賛勉強を教えている最中だ。

「そこはこの式を使う」

「ありがと」
 と言ったように昨日同様に勉強を教えているのだが、本当に何もない。
 勉強を教えるだけの関係。
 なぜか、それだけというのにどこか落ち着きを覚えてしまう。
 そして、京香が昨日してきた胸に手を押し当てる行動がまるで嘘かのようである。

「なあ、女性として愛してって言ってきたけど。何ら、変わりないけどもうあきらめたのか?」

「何言ってるの? 女性として愛されると言っても、ひたすらに積極的にアプローチしたところで意味がないし。だって、私は本当の意味で愛されたいから」
 うん、そうだよな……。
 俺の考え方が間違っていた。どうも、最近おかしな連中に酷いアプローチを受けていた所為か、それが当たり前に思っていたようだ。
 いやさ、確かにこうした普通の関係のほうが心地が良いな。
 押して、押して、押して、攻めてくる。あの二人がおかしかいだけか……。

「でも、なおさらなんであんなことをしたんだ?」

「だって、あのくらいのインパクトがないとダメかなって思ったから。好木さんに本当の気持ちを知ってもらうために恥ずかしいけどああしただけ」
 自身のことを妹として愛すのではなく、一人の女性として愛して欲しかった。
 だから、ああいうことをしたのだという京香は本当に恥ずかしそうにしているせいで、なおさらあのときが嘘のようである。

「でも、あの時は大胆だったな気がする……」

「それは、勢いだよ。勢い。あの後、顔から火が出そうになるくらい恥ずかしかしてくて、ベッド悶えてたし。もう二度と、ああいうのはしたくないって思った」
 あの大胆な行動は自分なりの意志表明でけじめ的なものであった。
 だけど、いざしてみたものの、後になってから恥ずかしくなってしまったようだ。

「さてと、他に分からないところは?」

「じゃあ、ここを教えて?」
 と言ったように謹慎二日目の夜は普通に勉強をして終わりを迎える。
 妹にあのように言われたものの、落ち着いた日常がなんとも言えない心地よさであった。

 そして、迎えた謹慎、三日目。
 相も変わらず、俺は家で課題をしてすごす。
 学校に行かないというだけで、こうも使える時間が増えるんだなとか思いながらも気が付けば夕方になっていた。

「ただいま」
 夕方になると、学校に行っていた京香が帰ってくる。
 べったりとまるで鳥の雛みたいに甘えてこない妹。
 今まで、甘えられてきたせいか少しばかりの寂しさを感じる。
 まあ、俺と恋人みたいな関係になりたいと言われたこと以外は割と兄妹として適切な関係になっているし、このまま恋人みたいな関係になりたいという拗らせを上手く修正できれば良いかなという関係性だ。
 決して以前のべったりされるような状況に戻りたいというわけではない。

「ねえ、好木さん。今度、遊びに行こ?」

「ん、どうした急に」

「だってさ、今思えば最近はどこにも連れて行ってくれないし……。どこか、遊びに行きたいって所」
 確かに高校生になってからは妹を連れて街に行ったり、どこかのレジャー施設に行っていないか……。
 妹としてなら連れて行っても良いけど、今の感じだと嫌な気がしてならない。
 どうしたものか。

「ダメだ。俺に恋人みたいな愛情を求めている妹とは遊びに行けない」

「ふーん。でも、それって好木さんはそう言うことをきちんと考えてるんだ」

「そう言う事って?」

「私が本当に好木さんに愛情を求めていることだよ。だって、仮にも兄妹だし、今のような恋人みたいな関係性になりたいと言われて気にする時点でもうすでに好木さんも私のことを意識してるんじゃないの?」
 俺の心配を逆手にとる発言。
 確かに、堂々としていれば良い話だ。
 本人もあんな大胆なことはもうしないと言っているしな……


「だから、妹が遊びに行こ? と言っても素直にOKできない。それって、もう私のことを恋人みたいに意識してしまうかも、って意識し始めているってことだよね?」

「いや、そう言うわけじゃない。ただ、念には念を入れてだな……」 

「へー、念のため。その時点でさ、意識しちゃうかもって認めてるんじゃない?」

「よし、そこまで言うなら遊びに連れて行ってやるよ。それこそ、兄妹みたいにな」
 言い返すよりも行動で見せてやった方が早い。
 あの二人みたいに無理やり攻めてこないのだから行動に付き合ったところで正確な線引きとして俺が京香の事を妹としか見てないと分からせれば良い。

「うん、じゃあ今度の日曜どこかに連れてって」

「ああ、分かった。俺は妹としてお前を遊びに連れてってやる。あくまでそこは譲らないからな?」

「うん、そうそう。私は別に好木さんに無理やり女性として見られたくないし、それこそ今まで通り妹として接してくれた方が良い」

「で、どこに行きたい?」

「任せる」
 といった感じに妹とのお出掛けを約束した。
 まあ、本人も無理やりに恋人として思わせるのも嫌な様だし、このままいい感じに拗れた思いが薄れ行くのを待つべきだろうな……

 しかし、思いがけない展開が俺を待ち受けていた。
 京香が部屋に戻ったあとある人物から電話が掛かってきた。

『あの、神田君。今度の日曜日、遊びに連れてってください』
 そう、電話を掛けてきたのは若田部さんだ。

『いや、その日は予定が……それに遊びに行くのはちょっと……』
 ついさっき、妹とお出掛け約束をしたので断るのだが

『あの時、約束しましたよね?』

『あの時って?』

『あの時はあの時です』
 うーん、すっかり忘れているが、そんな約束を無理やりこじつけられたような気もする。

『もし、一緒に遊びに行ってくれなければ……』

『くれなければ?』

『感情を抑えきれません。実は最近超能力がおかしくて……神田君に捨てられたらと思うと物凄く不安定になるんです』
 ばあちゃんに言われたことを思い出す。
 依存関係が瓦解したとき超能力が暴走する可能性が非常に高いということを思い出してしまう。

『それって……』

『最近は能力を使うか使わないか選択が出来るほどに制御出来てたんですけどそれができなくて……』

『……』
 普通に暴走する傾向が出てしまってるし、京香との約束を断ってでも若田部さんと遊びに行く方が良いのか?

『あの、どうしたんです?』

『いや、少し考え事をだな……』
 さて、本当にどうしようか。
 俺にわざわざ超能力が不安定になっていることを伝えてまで自身が捨てられることに対しての不満をぶちまけてきた。
 それは充分危険なサインなのかもしれない。

『不安定になってる超能力も神田君が一緒に遊びに行ってくれれば和らぐかなと思い誘ったんです。だから、お願いします。一緒に遊びに行ってください』

『取り敢えず、返答を少し待たせてくれ』

『はい、少し待ちます。それじゃあお休みなさい』
 と言ったように若田部さんと電話をした俺は部屋で一人呟く。

「はあ……これどうすれば?」
 そんな時に後ろから誰かの足音が聞こえてきて、部屋に誰かが入ってきた。

「やあ、好木君。元気かな?」

「あれ、波豆さん?」
 そう、現れたのは波豆さんである。
 どうして、俺の実家に来たんだ?

「いやー、色々聞いたよ。さすがに手助けに回らないとダメだよね。あんなこと聞かされたらさ」
 どうやら、波豆さんも依存関係が瓦解したとき超能力が暴走する可能性があることを聞いた様子だ。

「正直に聞いてもいいか?」

「良いよ、何でも聞いて」

「あの二人と京香、そして俺は今後も上手く関係を築いて行けると思う?」

「無理だね。好木君の好意が誰かに傾いた時点で不安が爆発すると思うよ」

「やっぱり?」

「だって、これから先もみんなの好意を否定出来る?実は、調ちゃんに無理やりキスをされた時にばれないようにドアから覗いてたんだけど、普通に傾き掛けたよね?」

「それは……」

「まあ、男の子だから仕方ないけどさ、これからもみんな等しく接する事は出来るかな?」

「正直に言うと無理だ。最近は本当に陥落しかけそうになる……」

「と言うわけで、私からの提案良いかな?」

「提案?」

「諦めて全員とそう言う関係を作れば良いんじゃない?」

「いや、それは無いだろ……」

「ま、冗談だけどね。本当の提案は『俺を落としたければ競うんだなって互いに競争関係をハッキリと明確化させ、多少好木君が陥落しかけそうになったとしてもチャンスはまだあるってきちんと思わせれば良いんだよ』競わせることで若干の精神的不安は和らぐはずだからね。そう言った細かいケアをしてなければ本当に好木君が陥落しかけそうになったのを目の当たりにしたとき、大変なことが起こる可能性が高いからさ」

「でも、それは後回しにしただけで根本的な解決にはならないだろ?」

「そうだね。妥協案でしかないよ。でもさ、本当にあの二人と京香ちゃんの事を考えるなら。そうするしか無いんじゃない?」

「はあ、本当にどうすれば良いんだよ……」
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