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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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狂乱の宴

いつもより長めです。
 若田部さんがトイレに閉じこもり、そんな若田部さんを気遣ったせいで、自分も気遣ってほしいから必要以上に酔おうとする調先輩を止め続ける。
 そして、それを楽しそうに眺める波豆さん。

「なあ、手伝ってくれたりとかは……」
 とみているだけの波豆さんに聞いてみる。
 まあ、見ているのが楽しそうできっと手伝ってくれないだろうが一応だ、一応。

「あ、うん。良いよ。さすがに調ちゃんのほうがやばいかな? 顔の現れないだけで調ちゃんもかなり飲んでるし命が危なさそうだからね」
 さすが、引き際が分かると言っていただけはある。
 どうやら、もうそろそろやばそうだという事で手伝ってくれるそうだ。
 いやはや、ありがたい話だ。
 ん? いやいや、違うだろ。ジュースに酔っ払いみたいになる液体を混ぜた犯人は波豆さんだし、ありがたくもなんともないな。

「じゃあ、若田部さんのことを見て来てくれないか?」

「いや、ゲロ吐いてる人はちょっと嫌かな……」
 さらに手伝うことに対してわがままと来た。
 この元凶はあんただろうが、って大きな声で言ってやりたいが先輩がそれをさせない程、酔っ払いみたいになる液体の入ったジュースを飲もうとしているせいで言うタイミングを逃す。

「じゃあ、調先輩がこれ以上飲まないように見張っててくださいよ?」
 そう、何度か調先輩の手から飲み物を奪うのだが目を一瞬でも離せば、手にはまた飲み物が握っている。
 なんとか、調先輩から飲み物を取り上げ、見張りを波豆さんに頼む。

「うん、わかった。あと、タイミングを見計らってあの液体が入った飲み物を全部流し台に流しちゃうのはどう? どうせ、本来は飲めないものだし」

「そうだな。とりあえず、若田部さんの方を見て来ます」
 若田部さんが絶賛吐いているトイレに向かう。
 嗚咽を出しながら胃液をぶちまけるその姿は悲惨さを物語り、本人は引かない吐き気に顔を真っ青にしている。

「大丈夫か?」

「だめ、で、す」

「はあ、また見に来るな」
 とりあえずの確認を終えいまだ泥酔して介抱を受けようとしている何ともめんどくさい調先輩のいるリビングに戻ったのだが、リビングは戦場と化していた。

「そこをどいて頂戴」

「ダメだよ。さすがにこれ以上は危ないからね」
 調先輩が手が届かないところにどかしたあの液体入りのジュースを取りに行こうとするのを阻止している波豆さんがいた。

「お待たせ。じゃあ、流してくる」
 そして、波豆さんが調先輩を抑えていてくれる間に流しにあの液体入りのジュースを流しに行く。
 まあ、こうでもしないとずっと抑えつけてないといけないし仕方がない。
 そして、全部を流し終えたのだが。

「買いに行くわ。買いに行くからそこをどいて頂戴」

「いや、それはダメかな? そんな酒っぽい匂いを漂わせた状態で外に出したらそれこそ補導されちゃうから、絶対に外には出せないよ」

「いやよ。私も、若菜さんみたいに看病をされたいもの。だって、ずるいわ。本当にずるいと思うわ!」
 調先輩は俺が全部あれ入りのジュースを流したので、外にあれ入りの飲み物を買いに行こうとし始めたというわけだ。
 まあ、この状態で絶対に外には出すことはできない。
 本当に補導されてしまう。

「調先輩。いい加減にしてくださいって」

「嫌よ」
 うーん。酔っ払ってはいるけど、体調不良に陥るわけでもなく、本当に面倒くさい。
 いっそのこと、飲みすぎで体調不良になってくれてたほうが楽だったな。

「さてと、そろそろ私は帰ろうかな? 良い時間だし」
 波豆さんが立ち上がり帰り支度をし始めた。
 確かに時計は良い子はもう帰った方が良い時間を指してるけど、この状態を放置していくのか?

「おい、波豆さん。もしかして、この惨状を無視して帰ろうって気はないよな?」

「え? だって、こんな時間だよ。良い子は帰らないとさ」

「いや、それはそうだけど。調先輩が今まさに家を出て近所に買いに行こうとしてるんだけど。これを止め続けるのは苦労なもので、って痛い。先輩、人の腕を噛まないでください」
 じわじわと廊下に出て外に出ようとする先輩を押さえつけたのだが、絶賛反抗され腕を噛まれる始末である。酔っ払いなせいもあり本当にマジな噛み方だ。

「じゃあ、そこをどきなさい!」

「いや、ダメですって。さすがにこの状態の先輩を家から出したら確実に補導されますから!」

「嫌よ。だって、具合悪そうな人には優しいじゃない。だから、私も酔って優しくしてもらいたいの」
 この状態をどうすれば良いんだ?
 調先輩を黙らせ、静かにさせる方法はないのか?
 いや、あるじゃないか、本人が優しくしてほしいって言ってるし優しくしてあげれば満足するはずだ。

「ほら、調先輩。落ち着いてください。優しくしますから」

「嫌よ、そんな打算的な考えの優しさ。もっと、本質的に優しくして頂戴」
 なんだろう、本当にめんどくさい。
 てかさ、いつの間にか波豆さんは本当に帰ったし……。

「じゃあ、人に優しくして欲しいなら自分から優しくしたらどうです? どんだけ、俺が調先輩の行動に苦しめられてるか……」
 話は一応だが通じるし、説得してみることにした。
 まあ、酔っ払いにそれが通じるわけがないけどな……。

「わかったわ。優しくするは優しくキスをしてあげる」

「はい?」

「だから、優しくしてキスをしてあげるっていたのよ。さあ、早く唇を寄こしなさい」
 だがしかし、説得を試みるタイミングを見誤った。
 外に酔っ払うためのあれを買いにくため動き回ったことにより、さらに酔いは深くなっており、まともにな思考すらできていない本当に泥酔と言った状態に陥った。

「嫌ですって」
 外に行かないように抑えつけていたのを逆手に取り、俺を逆に抑えつけて強引に唇をうばおうとしてくる調先輩。
 クソ、思いっきり抑えられているから逃げることが出来ない。
 俺はこのまま唇を奪われるのか?

 嫌ダメだ。唇を奪われてたまるもんか! 男として最悪だが仕方がない。

 俺は膝を曲げ,調先輩と俺の胴の間に滑り込ませ足を伸ばす力で強引に調先輩を引きはがす。

「ふう、何とかなった」
 一息つき、とりあえず調先輩から離れたのだが。

「待ちなさい、好木」 
 今度は追いかけっこが始まる。
 酔っているには酔っているのだが足つきは確かなもので普通にそれなりの速さで間を詰めてくるため、結構な速度で逃げるのだが。

「ふふ、追い詰めたわ」
 しかし、気が付けば部屋の隅に追い込まれていた。

「さてと、先輩。無理やりキスしたら、さすがに怒りますから。もう、絶交ですから。だから、辞めてくださいって」
 心の底から思った。
 こんな無理やりなキス。正直に言うけどお断りだ。
 ムードもへったくれもないしさ。

「ムードがあれば良いのね? じゃあ、私と付き合って。そう、付き合った記念に一発キスしましょう。それなら、ムードもいい感じじゃないかしら」

「いやいや、そんな投げやりなのムードがあるって認めないから」

「もう、わがままは辞めなさい。好木、さすがの私も怒るわ!」

「いや、なんでそっちが怒るんだよ。だめだ、酔っ払った先輩、マジ面倒くさいんだけど……」
 そして、じわじわと間を詰めてくる調先輩。

「さあ、好木。観念なさい」
 あともう少しで先輩に唇を奪われそうになった時だ。
 リビングと廊下をつなぐドアが開く。

「気持ち悪いです……」
 そう、まだ本調子ではないものの出すものを出し切ったのか若田部さんがリビングに戻って来た。
 そんな、彼女は追い詰められている俺を見て。

「先輩にキスしたら私にもしてもらいます……」
 しかし、彼女はソファーに倒れこむ。
 助ける気力すらないようだが、キスしたらこっちにもしろという要求はしっかりとしてきた。
 いや、若田部さんはそれで良いのか? 俺の唇が奪われても、自分にもして貰えればそれで良いのか?

「じゃあ、行くわ」
 そして、俺と先輩の唇は交わらないで俺の頬を舐めてきた。
 調先輩はわざと楽しむために頬を舐めて、俺の反応を楽しんでいるのだ。

「ふふ、良い顔ね。次はちゃんと奪ってあげるから、安心しなさい」
 そして、俺は調先輩とキスをした。

 ムードも何もへったくれもないこの状況。先輩の口からは普通にまるで酒を飲んだみたいな匂いはする。
 でもさ、意外と悪くない……。
 いっそのこと、押し倒してしまいたい気もする。
 だって、こうも誘惑されたらさ耐える方が難しいだろ?
 そう思った俺はとうとう先輩を押し倒して……

 しかし、調先輩はすぅすぅと吐息を立て眠ってしまった。

「はあ、生殺しか……」
 眠ってしまった先輩。
 そのせいで、俺は冷静さを取り戻すことが出来るもなんとも形容しがたい気分に陥る。
 その気持ちを整理すべく、必死に調先輩を押し倒さずに良かったと心に言い聞かせるしかない。

「ふう、危なかった。俺は一体なんてことをしようとしてたんだ? 流されるな、こんな地雷とそう言う関係になったらそれこそ本当におしまいだ。危なかった、よく耐えた俺」

「あのー、今キスをしましたよね?」
 そして、若田部さんがこちらに迫ってきた。
 いや、したけどさ。なんで、近づいてくるんだ?

「いや、してない。してない」

「いえ、きちんと見ましたよ。あと、きちんと言いましたよね。調先輩にキスをしたら私にもして貰うって言いませんでしたか?」

「確かにそんな事言ってた気がするけど、それよりも体調は大丈夫か?」

「はい、だいぶマシになりました。あと、なんだかんだでキスはしないだろうなーって思ってたんですけど、まさか本当にするとは思ってなかったせいか、一気に酔いも醒めました」
 若田部さんが怖い。
 俺と調先輩が本当にキスをしたのを許さんと言わんばかりの剣幕でこちらを見据える。

「あの、若田部さん?」

「だからですね。浮気者には罰を与えないとダメです」
 いやさ、ちょっと待って欲しい。
 俺悪くないよね? 罰を受ける筋合いはないよな?

「いや、俺は……

 しかし、若田部さんにキスをされ言葉を紡ぐことはできない。

 濃厚に絡み合う唇。顔を離してもすぐに距離を詰めてくる。
 それは幾度も繰り返される。
 そんな濃厚な展開なのだが……俺の心は冷め切っていた。
 だってさ、普通に吐いた後の人だぞ? そんな人とキスして興奮するか?

 そして、酸っぱい味のキスは終わりを迎えた。

「さて、次は罰のお時間です」
 あれ? 今のが罰じゃ……だって、吐いたばかりの人とキスって相当な罰だろ、普通に考えてさ。

「罰なんて……」

「私は優しいので今日はこれで勘弁してあげます」
 そして、若田部さんの豊満なお胸に顔を押さえつけられる。
 柔らかくて気持ちいのだがそれも一瞬。
 思いっきりと押さえつけられ息ができない。気持ち良いのは一瞬で息ができない苦しさが普通に勝っているのだ。

 苦しい、息ができない。キスをして呼吸が乱れていたせいで最初からかなり苦しい。
 永遠と続く苦しみの中若田部さんは楽しそうに言う。

「ふふ、苦しいですか? 苦しんでます?」
 いや、マジで意識が……

「はいはい、若菜ちゃん。そこまでだよ。さすがにそれ以上は死んじゃうからダメだって」
 俺の顔を胸に押さえつけている若田部さんを止めたのは波豆さんだ。
 さっき、帰ったよな? なんでここに……

「っぷはあ。マジ、死ぬかと思った……。てか、波豆さん。どうしてここに?」

「いや、最初から帰ってないけど? なんだかんだで若菜ちゃんを介抱してあげに行ったんだけど、思いっきりかけらちゃってさ。その処理をしてたんだよ」

「はあ、マジで死ぬかと思った。誰かさんのせいで、こうなったわけだが一応、助かったとだけ言っておく」

「本当に全然怒らないんだね。びっくりしちゃったよ。なんで、そうも怒らずにいられるのかな?」

「いや、普通に怒ってるぞ? 今回ばかりは普通に怒ってる。でもさ……」
 こんな俺に付きまとってくる調先輩と若田部さんだが付きまとわれること自体は決して嫌ではない。
 そして、付きまとわれるのも案外悪くないし、楽しい方だ。
 行動には問題大ありだけどな。
 でも、俺が怒れば全部壊れてしまいそうで怖くて、怒るに怒れないという感じになっている。
 まあ、俺がビビりなだけだな。

「ん? どうしたの?」
 色々と考えていた所為か黙り込んでしまったところを波豆さんに心配される。

「いや、何でもない」

「あの、どうして止めたんです? あれでは罰にならないです」 
 そして、止められてちょっとの間茫然としてた若田部さんが怒り始めた。
 どうやら、押し付けていた俺を強引にはがされたことにご立腹なようだ。

「はは、さすがにダメだよ。若菜ちゃん。あれは死んじゃうって」

「そうです? じゃあ、試してみましょう」
 がっちりと波豆さんを掴み自身の胸に強く押し付ける若田部さん。
 それを波豆さんは抜け出そうとするも、抜け出せそうになくあがき苦しんでいる。

「なるほど、確かに。はたから見たら面白いかもな」
 そんな、光景を見て波豆さんが俺達を見て面白がるのが何となくわかった気がする。
 さて、この状況を作った張本人だし、もう少しの間、若田部さんの胸の中で苦しむとが良い。

「んー、んんー」
 と若田部さんの胸の中でくぐもった声を出す波豆さんを俺は眺めるのであった。
 俺が言うのもあれだが、なかなかに見ているというのも面白い。

 こうして、夜は更けていく。

 そして、次の日。
 俺達は学校には向かわない。

 だってさ、俺達は停学になったんだからな……。


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