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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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超能力者とは付き合うな! 闇が深いぞ気を付けろ!3

「ふふ、ほんとに良いお方です。だって、あんなにもしつこく連絡したのにまさか埋め合わせをしてくれるなんて、今までに居なかったお方でとっても嬉しく思います。ああ、次遇うのが待ち遠しい限りです」
 電車に乗り込み、まだほとんど人がいない車内でそう呟いている若田部さんと鉢合わせてしまう。俺が乗っていた車両でちょっとした修羅場が起きたから嫌で車両を移動したら、こうだ。
 なんて災難なのだろうか、こんな嫌なタイミングに鉢合わせするとか、どうしようとしか言いようがないぞ?
 彼女に嘘が分かる超能力者、嘘は通用しない。
 そして彼女を怒らせれば不在通知の件数が恐怖を駆り立てる。
 だったら、こうするしかない。

「やあ、こんなところで会うなんて奇遇だな」
 そう言うしかない、相手が聞こえてました? と聞いてこない限り俺は聞いていないスタンスを取り何事もなかったかのように振る舞う。
 これが最善だ。

「あの、聞いていました?」
 速攻のフラグ回収。さて、どう答えるべきか。いや、正直者は報われると本で読んだ気がするぞ。だったら、正直に言うしかないな。

「ああ、聞こえてた」

「そ、そうですか。恥ずかしいです」
 頬を赤く染める姿が可愛いと思う。 
 あの不在通知とあの山のようなコメントがなければの話だけどな。可愛いとは思うが、それ以上に怖いんだよ……。
 さて、何も話さないのもまずいな、ご機嫌を損ねたらマジでやばそうだし。

「そ、そう言えば新しいクラスで友達はできた?」
 当たり障りのない話だが、会話をしないでいるよりかはましだ。

「いえ、それが全然できなくて……」
 俺と同じか……。
 そこら辺に関しては親近感が沸く。

「まあ、まだまだ時間があるし」

「で、でも……。もし、私がボッチになっても見放さないでくれます?」
 っく、辞めろ。これ以上俺に対し信頼を寄せるな。
 俺はすでにお前から離れたいというのにそんな事言われたら俺の逃げ場が……。

「いや、ダメだ。ちゃんと、クラスで友達を作ったほうが良い」
 若田部さんは嘘が分かる。ああ、見放さないと言い、それが嘘だとばれたら何をされるかわからない。
 だから、こうしてダメだと言ったあとそれに適当に理由を追加しお茶を濁す。
 我ながら良い策だ。

「神田君……」
 少し、下を向き落ち込んだような顔を見せたその瞬間、俺に対する好感度が上がる。くそ、なんで上がるんだよ。普通、ああ見放さないときっぱり言い切ったほうが女の子的にカッコよく見えるんじゃなかったのか? 本にry

「えっと、どうしたの下向いて……」

「いえ、私のことを考えてそんなことを言ってくれる何て嬉しかったんです」
 そう言う事か、俺が心配してわざと言ってくれたみたいな感じだと思ったのか……。クソ、まずい。このままだと本当に取り返しが

「だから、距離を置こう。お互いに友達ができるまで距離を置こう。それがためになる」
 よし、そうだ。友達ができるまでは距離を置く、そしてそのままフェードアウトだ。よし、これでいけるこれで若田部さんから逃げられる。

「嫌です」

「っく」

「どうして悔しそうな顔をしたんです」
 しまったつい顔に出てしまった。言い逃れをしないとまずいぞ!

「離れたいんだ。俺友達できてないし」
 よし、嘘はついていない。こう言えば友達ができていないから俺が若田部さんからあえて離れたいと言っているように聞こえるはずだ。
 真実は若田部さんから離れたいだけだがな。これで、俺の勝ちだ。

「そうですか……。分かりました。当分、距離を置きましょう。クラスで友達ができてからもう一度仲良くしましょう!」
 ああ、俺はクラスに友達が出来たとしても、話しかけに行かないけどな。
 ふう、これで俺の高校生活は守られた。

 そして、昨日と同じように学校に着くや否、俺たちはそれぞれの教室に向かう。
 俺の教室では慣れ親しんだ友達同士が話し合っている空気ができており、その中に割り込むのが厳しい、だが俺は引かない。ここで話しかけなければボッチ確定だ。

「お、おはよう。この学校にほとんど友達いなくてさ、良ければ仲良くしてくれないか?」
 直球的に責める。恥ずかしいなんて思ったりしない。堂々とはきはきとしていればそれでいい。

「お、そうか。仲良くしようぜ。俺は田中太郎だ」
 それから無事に俺はクラスに友達を作ることが出来てた。
 若田部さんと親しくなった、それだけが俺の高校生活における最大の汚点だ。

 そして、高校生活が始まりさらに3日が過ぎたころ俺はとても疲れていた。
 いや、精神的に参っていると言ったほうが良いだろうか。

「やっぱ、通学時間が辛い」
 高校への通学時間の長さに非常に困っていた。そのせいで、部活に入ることさえできそうに無さそうだ。でも部活に入ってみたいしとかも思ってたりして、通学時間をどうしようかと迷っていた。

「よし、ばあちゃんに頼もう」
 そして、俺はばあちゃんに一人暮らしをしたいと、直談判に行く。なに、経済状況的には俺が一人暮らしするくらい余裕があることは知ってるからな。

「わかりました。あの家を使っても良いですよ。好木」
 と一瞬にしてOKを貰うことに成功する。というよりか、聞いたところによると俺があの高校に通う時点から一人暮らしをさせようか悩んでいたらしい。
 で、俺が直に言ってきたのを良いことにお許しをくれたという事だ。

「あの家か……」
 俺の手には先ほどばあちゃんから渡された一軒家の鍵が握られている。そのカギの正体は俺が家庭崩壊させる前に住んでいた家の物だ。そう、売らずに取ってあるらしい。
 で、そこを使っても良いとのことだ。
 いやなら、アパートも用意してくれるとなんとも優しい返事もばあちゃんは言ってくれた。

「広々と家を使えるのはありだな」
 それを理由に俺は以前住んでいた一軒家に再び住むこととなったのだ。ばあちゃんのフットワークはとても軽く2日のうちに水道、ガス、電気、家電、の手配をあっという間に終わらせた。
 まさかの一人暮らししたいと言ってから2日で俺の一人暮らしをスタートすることが出来るまでに環境を整えてくれたのだ。

「帰ってくるんだよ」
 とひと月に一回は帰ってこいという非常に緩い条件のもと俺は一人暮らしを始めるのであった。
 妹の京香はブラコン気味だが、意外にもすんなりと俺の一人暮らしを受け入れるので、俺の方から寂しくないのか? と聞いたところ。

「おにいのためだから我慢できる。私はそこまで子供じゃないから」
 と大人の反応が返ってきた。
 ああ、やっと京香の兄離れが……お兄ちゃん嬉しいぞ!

 そして、以前住んでいた街に着き、家の前にたどり着いた。
「あー、お隣さんの家が別の家に変わってる……」
 だが、以前住んでいた家のあった街の風景もがらりと変わり、お隣さんに至っては違う家というかアパートが立っていた。
 しかも、学生向けのアパートだ。まあ、お隣と言っても少し離れてるけどな。

「お隣さんに挨拶でもと思ったけど、アパートになったのならいかなくて良いか……」
 右隣はアパート左隣は道路な、自宅に足を運びいれると、

「久々だな……」
 楽しかった小さき頃の記憶がよみがえる。まあ、蘇ったからってどうという事はない。
 良し、荷解きを始めるか……。

 ピンポーン。

 チャイムが鳴った。引っ越し早々という事はN〇Kか? まさかもう嗅ぎ付けて来たのか。一体やつらは何者なんだろうな。まったく。

「はい、神田です」

「お久しぶりですね、神田君?」
 つい最近、忘れかけていた若田部さんがにっこりとして玄関の前に立っていた。
 その瞬間、あのおびただしい不在通知とコミュニケーションツールの『ツーズル』に来た1000件のコメントが思い出され、とてつもない汗がジワリと染み出る。

「ど、どうして、わ、若田部さ、んが」
 声が震えてしまう。

「たまたま、見かけてこの家に入っていくのを見たのでチャイムを押してみたんです」

「こ、こんなところになんの用で?」

「実は私もあのアパートに引っ越してきたんです。あまりに通学時間が長すぎて限界だったので。そして、神田君。私、たくさん友達できたんです。で、神田君もクラスの子と仲良くできてるようですし。再び、私たちは避けないで普通にお付き合いを再開しましょう!」
 指を指した先は俺の家の隣、と言っても少し離れた位置にあるアパートをものの見事に指している。

 俺は逃げ切れたと思っていた。

 しかし、逃げきれてなど居なかったのだ。

「あ、ああ。これから、またよろしくな」
 にっこりと微笑みながら俺を見つめる若田部さんに俺はそう言うしかできなかった。
 だって、怖いんだもん……。



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