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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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増えた厄介者

 俺に付きまとう若田部さんと調先輩をどうにかするために派遣されてきた波豆さんは役立たずに成り果てた。
 彼女は命令されたことを無視し、自身の異常なまでの観察欲を満たすため俺たちにほとんど干渉しないで現状を維持し続けるとはっきり宣言された。
 まあ、監視と言うか観察のために生徒会には入ってくれるらしいのでそこは良しとしよう。

「というわけで、歓迎会でもしましょうか」
 調先輩の何気ない思い付きで波豆さんが生徒会に加入したことを祝い、歓迎会をしようと言い始めた。
 歓迎会をする場所は勿論俺の家。
 許可した覚えは無いが気がつけばそう決まっていた。
 確かに調先輩の家は汚いだろうし、若田部さんの部屋は四人だと手狭だし、俺の家を使うのが最適だろう。

 そして、その日の内に歓迎会は取り行われる。
 スーパーで買ってきたお菓子やジュース、若田部さんが作った料理が俺の家のリビングにある机に並ぶ。
 全て並び終わりグラスに飲み物が注がれ乾杯をするべくグラスをあげる。

「波豆さんの生徒会入りを祝して乾杯!」
 といったように音頭がとられ、俺の家で波豆さんの生徒会入りを祝して歓迎会が行われ始めた。

「ところで、波豆さんはどこに住んでるんだ? 俺の監視役も兼ねてるならそこまで遠くに住んでいるわけじゃないんだろ?」

「うん、そうだよ。実は若田部さんと同じアパートに住んでる。つい最近に引っ越してきた」

「そうだったんです? ご近所さんですね!」
 若田部さんと同じアパートに住んでいるのか……まあ、だからと言ってどうと言うことはない。

「じゃあ、今度は私から質問良いかしら?」

「うん、良いよ。答える、答える」

「そうね、オーソドックスな質問だけど、好きな食べ物はなにかしら?」

「好きな食べ物かあ……甘いものかな? 基本的に甘ければ美味しいって感じるけど、そのなかでも餡が好きだよ。白餡がベストだね」
 と言ったように親睦を深め合っていく。
 ここらへんの社交性はもともと調先輩も若田部さんも持ち合わせている。
 しかし、持ち合わせているからと言ってうまくいくとは限らないという事だ。 
 だから、最近はマシになりつつあるもののあのような孤独な環境下、もしくは歪んだ環境を求めてしまっていたというわけだ。
 時には運も重要で、たとえ本人達に社交性があったとしてもそれがうまくいくとは限らないという事に違いない。

「てか、このジュースあんまり美味しくないな」

「そうかしら? ちょっと白ブドウの渋みが強い気もするけど、中々な味わいだと思うのだけど?」

「私もそこまで気にしませんけど。なんと言うか、ジュースにしては甘くないです」
 俺達が飲んでいるのはつい最近発売されたのか山積みなっていた。
 素材の味を生かした赤ブドウの飲料だ。山積みなっていて気になったから購入したのだが、あんまり甘くなく商品名にジュースを付けなかったというのがよくわかる大人向けの飲料とか思いながら飲み進める。

 そんな新商品の飲料がなくなったので新しい飲み物を空けようとした時だ。

「そう言えば、これ引っ越してきたご挨拶ってことで」
 高級なジュースの詰め合わせを波豆さんから受け取る。
 何も、ここまでしてくれなくても良い気がするけど、好意は好意としてきちんと受け取っておこう。

「さてと、せっかくだし。ちょうど飲み物がなくなってきたから、早速開けて良いか?」

「うん、良いよ。果汁百パーセントだからちょっと貸して。後、結構いいやつだからコップをすすいできちんと味わってほしいかな? 私のおすすめだし。あ、氷は入れないでね。常温で飲むのと冷たいので本当に味が違うから、まずは冷たくないのでお願い」
 波豆さんは俺に渡したジュースの詰め合わせから一本取り出し、良く振っている。
 その間に俺は皆のコップを言われた通り水ですすぐ。
 確かに、貰いものを無下に味あわないのは失礼だもんな。

「お待たせした」
 コップをリビングに持ち変えると波豆さんが丁寧にも注いでくれた。
 そして、それを皆で味わう。

 口の中に広がるのはものすごい甘さ。
 しかし、果物の濃縮された甘さで甘いのだが不思議と悪くない。
 少し、とろみがあり中々に美味しいジュースであるのだが、その甘さの奥に果物のとは本当に少しばかり違う苦味がある。
 まあ、気にならない程度だけど。

「甘いけど、美味しいです」

「ええ、そうね。でも、悪くないわ」
 と言ったように若田部さんと調先輩にも好評なようだ。

「喜んでもらえて嬉しいかな? 個人的に甘すぎて無理っていう人が結構いるから、皆にそう言って貰えて嬉しい限りだよ」

「美味しいのでもう一杯もらって良いですか?」
 若田部さんは早速コップに入ったのを飲み干してそう言った。

「うん、良いよ。どんどん、飲んで。調ちゃんはどう?」

「ええ、頂こうかしら」
 そして、二人はやけにハイペースで飲み進めていく。
 そんな時、先ほど感じた、あの果物とは思えない苦味の正体に心当たりが生まれる。
 もしかして……あの苦味って

「もう一杯ください」

「そうね、もうまどろっこしいことは抜きで良いわ。もっと、強めで良いわ」

「うん、良いよ。無礼講、無礼講。どんどん飲んで楽しくいこうじゃない」
 そう、波豆さんが持ってきたジュースは甘さであるものが盛られていることを隠す目的で用意したもの。

「波豆さん。このジュースってお酒が入ってるのか?」

「違うかな? 飲むとまるで酔っ払いみたいになる液体を入れただけ。好木君が言ったようなのは入ってないから安心しなって。決して、二人が酔っ払いになったのを口実にして襲おうとするのを見たいわけじゃないからさ。ほら、今日はせっかく歓迎会を開いてもらったんだし、楽しんでもらわないとって言う感じだよ」

「いや、今思いっきり酔っ払いって言ったよな?」

「ああ、正しくは酔っ払いみたいになっただね。こうでも言わないとうるさい人がいっぱい来ちゃうから仕方ないからきちんと言っとくけど。決してお酒じゃないと断言はしておくね」

「さてと、神田君。なんだか、この部屋熱くないですか?」
 すでに顔が赤くなっている若田部さん。
 おそらく、彼女は普段から料理でお酒を使っているし、飲んだとたんにジュースにお酒みたいな効果の液体が入っていると知り、それを口実に俺を襲う手立てを思いついたのだろう。
 だから、あそこまで一気に飲み干し続けたというわけか。

「ええ、そうね。こんな、暑い部屋だもの。脱ぐのは仕方がないわよね?」
 二人は酔っ払いの振りをしているんだか、本当に酔っているんだかよくわからないが服に手を掛けて脱ぎ始めようとする。
 精神衛生上、悶々としてしまうので止めるか……。

「今、エアコン入れたんで部屋が冷えるまで我慢してください。脱いだら、追い出しますから」
 二人を静止すべくエアコンの電源を入れ室温を下げる。
 追い出すという言葉を真に受け取った二人は脱ぐのをやめるも、どこか腑に落ちない様子。

「ねえ、好木。ふと、思ったのだけど。あなた、良く自制してられるわね」

「だって、先輩たちとそう言う関係になった時点でお先が真っ暗ですから。そりゃ、自制しますよ。一時の感情に流されて人生を棒に振るとか割に合いませんし」

「酷いです。人生を棒に振るとか私たちのことを一体どのように思っているんです?」
 若田部さんが俺のあまりの良いように文句をつけてくる。
 顔が酔っ払いみたいになる液体を飲んだせいで赤くなっているため、ちょっとばかし怒っているように見えるけど、本当に怒ってないよな?

「一言で言えば地雷だ。二人は地雷にしか過ぎない」

「酷いです。そんな事言う人嫌いになっちゃいますけど、良いんです?」
 俺のあまりの物言いに少しばかり拗ねた若田部さんは酔っ払いみたいになっているせいか行動も大きくちょっと可愛い。

「ええ、そうよ。好木にとって私たちは所詮その程度なのよ……」
 しょんぼりとしている調先輩。 
 やはり、酔っ払いなせいか行動は大きくなり可愛げがある。

「そう言う風に大人しければ別に良いんですけどね。普段があれなだけで、あれがなくなれば考えなくもないって前にも言った気がするんだが、二人はそう言った点で競わないのか?」

「はい、性根は変えられないですし、正直に言うと最近できた友達の前でまともにしていて、それで神田君の前で思う存分振る舞うのが最高にいい感じなんです。だから、止められないし辞められないんです」
 確かに、最近の二人の異常的な行動。
 それは超能力じゃなくて生まれてきたときから持っている性癖なようなものだと何となくだがわかって来たけどさ。
 でもさ、もう少し俺にもまともに接してくれて良いんじゃないか? 
 別に全部の変態的な行動をやめろとは言わない。ただ、激しすぎるのが問題なんだよ……。

「でも、無理よ。まともに接したらそれこそ自分でなくなる気がするもの。本当に嫌と考えられるまで私は止まるつもりはないわ」

「それ、本人の目の前で言うかことか?」

「ええ、言うわ。これからも、あなたに対する変態的行動は辞めないわ」
 格好つけた顔。 
 クールさ満載な顔だが言っていることは全然クールではない。
 結局、俺が甘いから二人に変態的行動を許させているのはわかってる。
 でも、俺が叱りすぎたら二人が俺に興味示さなくなるのが怖いんだよ。
 だってさ、形はどうであれこの関係は楽しいし。

「てか、若田部さん。大丈夫か?」
 何だろう、急に黙ってしまった若田部さんに声を掛けた。
 ふらふらとし焦点が定まっていないのでこればかりは声をかけないとまずいと思いそうしたのだが

「気持ち悪いです……」
 あ、ダメだ。 
 これ、普通に酔いつぶれて今にも吐きそうな顔をしてるので近くに行き大丈夫かと気遣うのだが、
 調先輩がおそらく甘さでごまかしているあろう。波豆さん曰く、飲むと酔っ払いみたいになる液体が含まれているジュースを一気に煽った。

「あの、何をしてるんですか。調先輩」

「のどが渇いただけよ。だって、ずるいじゃない。私だって気遣ってほしいもの」

「気持ち悪いです……」
 若田部さんの顔がさらに真っ青にそれこそ吐きそうな顔をしているので、トイレに連れて行こうにもどうやら立つことすらままならないほどに酔っているらしい。
 仕方がなくおんぶしトイレまで連れて行った。

 そして、水を取りに行くと調先輩がさらに飲むと酔っ払うあれが入ったジュースを飲んでいた。

「なんで、酔わないのかしら? 私も若菜さんみたいに介抱を受けたいのに……」
 介抱してほしいがためにひたすらに飲み続ける調先輩。どうやら、酔いはするがある一定のラインからは全然変わらないタイプっぽいな。

「先輩、介抱されたいからって飲まないでくださいって!」
 だが、急性アルコール中毒になられては困るし先輩を静止する。
 そして、トイレからはうめき声。あちらも気に掛けなくてはいけないと言ったてんやわんやの状況が出来上がった。

「なあ、こんなの見て楽しいか?」
 そんなてんやわんやの中、先ほどから傍観していた波豆さんに声を掛ける。
 なにせ、この状況を作り上げたのは彼女なのだから。

「うん、楽しいね。本当に面白いよ」
 波豆さんはすごく満足しているご様子だ。

 はあ、どうして俺の回りには変なのしか集まらないんだろうな……。



 

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