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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

二章

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監視役と優しすぎた結果

 復学してきた女の子が再び学校に通うようになってから二日目。
 留年して年上という事もあり、あまり周りと馴染めていないというわけもなく、案外周りの人と馴染み始めてい気もしなくもない。

 そんな彼女に俺は話しかけてみる。

「あの、波豆さん」

「どうかした? 好木君だっけ?」
 外国人とのハーフで金髪、髪の毛は短めのスタイル抜群の波豆はずエミルが振り返った。

「いや、ちょっとした話があってさ」
 あまり回りくどく話しても仕方がないので、直球的に生徒会に付いて、話をし始めようとした。

「話? なになに、良いよ。聞かせて」
 やけに食いついてきた波豆さん。
 その顔はどこか期待に満ちていた。まるで、何か面白いようなことを求めているかのようだ。

「実は生徒会役員になってくれそうな人を探しててさ」

「あー、そう言う事? なんだ、気が付いたんじゃないんだ。」
 俺の言葉を聞いて、期待していたことではなかったかのように落胆する波豆さん。
 あまりにも落胆しすぎて、一体どういうことなのだろうか……。

「えっと、気が付いたって、どういうこと?」
 だが、『気が付いたんじゃなんいんだ』その言葉が気がかりであり、波豆さんに質問をした。

「まあ、良いか。良いよ、教えてあげる。はい、これ」
 一枚の封筒を渡される。
 どうやら、中身を確認しろという事らしい。
 中には複数枚の写真が入っており、そのどれもに俺が写っている。
 場所は学校であったり、家であったり、駅前であったりと非常に多岐にわたった所だ。

「あの、これって」

「うん、ずっと見てた」
 だらだらと嫌な汗が流れる。
 俺って、おかしな人を引き付ける何かでもあるのか? まさか、俺のストーカーだったとはな。

「あ、別にストーカーじゃないから。まあ、簡単に話すと君って実は色々な人からマークされる危険性が高いんだ。反社会的組織だったり、政界だったりとかそんな感じ」
 まあ、確かにさ俺のばあちゃんが超能力者を支援する団体の創設者であり、その身内ともなれば色々とあるのは知ってるけど、ばあちゃんは思いっきり情報封鎖してるから大丈夫じゃなかったのか?

「で、私が秘密裏に守ってたってわけ」

「え?」

「だから、私が守ってた。君の祖母の命令でずっと監視してたという事。君があの二人に付きまとわれているのは知ってるし、面白い関係になりつつあるのも知ってる。まあ、私から手を出すことはないから安心して」
 ストーカーじゃない? 
 俺を監視していた人っていう事は何となく理解できるけど、頭が追いつかないぞ?

「む、信じられない顔をしてる。ま、仕方ないか。だって、信じられないと思うのは当然だし」

「本当に監視役なのか?」

「そうだよ。私は君に政界の人だったり、反社会的勢力が近づいてこないようにするためにここにいる。いわゆる、雇われたエージェントって所、この学校に在籍してたんだけど仕事に熱中しすぎて留年したけどね」

「仕事って?」

「君の監視だよ。実はさ、去年あたりから監視の依頼を受けてるんだ。私って熱中しちゃう癖があるから、監視するのが楽しくなって、学校を休みまくって、気が付けば留年してたって所かな」
 あれ? どことなくやばそうな感じがしてならないのは俺の気のせいだよな?

「じゃあ、どうして急に?」

「えっと、そう言えば私もこの学校の生徒だったって思い出したからってところ。いやー、今まで木の上とかで監視してたけど、こうして堂々と君を学校で監視できるのを忘れてたって感じだね」

「ちなみに写真もそうですけど。監視ってどの程度してたんですか?」
 そう言ったと同時にカバンから一枚の紙が取り出される。
 その紙はタイムテーブルみたいなもの。朝から晩までのある者の行動が細かく記されていた。
 明らかに命令以上の働きを自主的にしていることを白状しているものだ。

「そんな感じ。いやあ、案外人を見るのって楽しくてさ。つい、熱中しちゃうんだよ」
 そう、ある者とは紛れもなく俺のことで事細かく俺が一日にした行動が書かれている。
 ここまでする必要があるのかというレベルでだ。

「もしかして、これを毎日ですか? てか、これは命令に含まれてるんですか?」

「ううん、ここまでする必要はないね。まあ、私が個人的にやってるって感じかな?あと、そこまで細かく観察するのはたまにだよ。そのくらいしっかりとやるのはね」

「そ、そう?」
 てかさ、怖いんだけど。
 なんで、ばあちゃんはこの人を俺の監視役なんかにしたんだよ……。
 監視を付けるのはわかるけどさ、本人も監視をやりすぎている自覚あるみたいだし。
 本当に怖いんですけど……。

「さてと、で。生徒会だっけ?」

「いや、やっぱ何でもない」
 そう、見られているとわかった途端、近づけたくなくなってきた。
 おそらく、波豆さんは命令以上に俺のことを監視している。
 それこそ、ばあちゃんのことだ。
 そこまで、しっかりとした監視ではなくあくまで保険としての意味合いが強い感じで雇っていたはずだ。
 なのに、さっき見せられたタイムテーブルを作り上げている。そんな奴と付き合うのはごめん被りたい。

「あれ? 嫌われちゃったかな。まあ、仕方がないか。監視役って言う立場をあまり近づけたくはないと思うのは当然だし。息苦しく感じるだろうしね」

「まあ、そう言う事だ。悪いけど、なかったことにしてくれないか?」

「いや、ダメかな? 正直に言うと、監視している内に君に興味が沸いてさ。もっと、近くで観察したくなってきてる。そうだね、私を生徒会に入れてくれれば助けてあげる。まあ、ただじゃないけど」
 調先輩、若田部さん然り、その二人と似た何かを感じさせてならない。

「いや、ごめん。それでもお断りさせてください」

「本当に良いの? 私の見立てがあっていれば、今日大変なことになるはずなんだけど」

「大変なことって?」

「教えない。だって、私は観察が好きだし、君をもっと近くで観察したい。だからさ、生徒会に入れてよ。正直に言うと、君を見ていると本当に楽しいからね」
 人の日常を見て楽しいだと?
 俺がどんだけ苦労してあの二人から逃げていると思っているんだ。
 まあ、その姿はコントみたいで面白いか……。

「楽しいって。波豆さんは何もしないのか?」

「うん、見てるだけで楽しいからね。でも、口を酸っぱくして何かしたらその報酬をきちんと受け取りなさいって上司から言われてるけどさ」

「いや、でも……」
 しっかりしろ、毎回流されてきた結果どうなった?
 調先輩と若田部さん、その二人に振り回されているだろうが。きっと、波豆さんもそちら側の人であり、近づけてしまえば逃げられなくなるにきまっている。

「ま、どうせ。生徒会に入れて貰えなくても監視はするから、別に良いけど。あと、今回は特別に教えてあげる。今日、若菜ちゃんが作った料理は絶対口にしない方が良いよ」

「え? それはどういう事ですか」

「簡単に言えば、遅効性の下剤を盛られてるってところかな。人の体質によっては利かないほどの微量だけどね。念には念を入れて食べない方はが良いと思う」

「どうして下剤を盛ったのかはわかりますか?」

「うん、わかるよ。看病をしてあげる理由を作るためだね。さすがにはっきりと怒った方が良いよ? さすがにこれ以上、増長させるのは危ないし」

「確かに最近は暴走気味で困ってますけど……。さすがに考えてみれば下剤を盛るのは考えすぎだと思うんですが……」

「ま、気を付けておきなよ。今日は君のことを監視してるから叫べば助けてあげる。ま、その時は私を生徒会に入れることを了承したってことで」
 波豆さんはその場を去っていったが、俺のことを監視するためにどこかに身を隠したのか?


 そんな会話の後生徒会室に向かう。
 いつも通りに仕事をし、相も変わらず若田部さんの作ってきたお菓子でお茶をすることになったのだが、

「神田君。今日のは自信作です。というわけで、神田君には二つあげます」
 今日持ってきたお菓子はガトーショコラである。
 それを口にしようとした時、波豆さんに言われたことを思い出す。
 下剤を盛られているという事を思い出したのだ。

「ま、考えすぎか……」

「ええ、下剤なんて盛られてないわ。あなた、波豆さんに何を言われたの?」
 調先輩がの目が泳いでいる気がする。
 なんだろう、何かごまかしているような感じをさせるのは気のせいか?

「まあ、はっきり言うけどさ。波豆さんって俺の監視役らしい。まあ、俺の祖母の役職を考えれば監視を付けられても仕方がないし。理解できるけど、びっくりしたけどな」

「へーそうなんです? 神田君のおばあさんって確か超能力者を支援する団体の創設者でしたっけ?」

「まあ、そうですね。その立場上、俺を通じて政界や反社会的勢力が近寄ってくる可能性もありますし、そう考えれば監視役を付けるのはあり得なくないからな」

「さて、それよりも食べてください。今日のは自信作なんです」
 やたらと急かしてくるし、本当に盛られている気がしてならない。
 考えすぎだろうし、一口食べてみたのだが、

「あれ? チョコの苦味とは別の何かが……」

「実はちょっとお高いのを使ったんで独特な苦みがあるらしいです」

「そ、そうなのか?」 
 だが、チョコとは違った苦味を感じさせる。
 それが、下剤の苦味なのではと思考を加速させ、嫌な気が膨れ上がっていく。

「ええ、そうよ。好木。せっかく作ってもらったのに、あまり友好のない波豆さんのことを信じるのかしら? それは若菜さんに失礼じゃない?」
 調先輩は考えていることが分かるので、若田部さんが下剤を盛り、看病を目的としていればすぐさまに分かるわけで……。

「ええ、そうです。さすがの私も怒ります。さあ、早く食べてください」

「ええ、早く食べなさい」
 でも、明らかにおかしいんだよなあ……。
 こう、二人の意見が俺をこのガトーショコラを食べる方向に向かわされている気がしてならない。

「せ、せっかくなので家で食べます」
 と残りを家で食べると言っておく。
 いや、うん。この二人の同調具合は明らかに共謀して俺を嵌めようとしているっぽいし。

「そ、そうです?」

「ダメよ。ここで食べたほうが良いわ。焼き菓子と言えど、暑くなってきたもの。早く、食べたほうが良いわ」
 はあ、どうやら二人で協力して俺を嵌めようとしてるのは本当みたいだ。
 とりあえず、俺がすることと言えば。

「じゃあ、もったいないのでこれ食べちゃってください」
 そう、暑くなって早く食べた方が良いと言われたのであれば、この場で処理することを優先させてしまえばいい。

「いや、それは……」

「私もお腹がいっぱいで……」
 あからさまな二人。
 それが答えを言っているようなもので。

「はあ……。盛ったんですよね? 正直に白状してくれって。さすがに下剤を盛るのは俺でも怒る。正直に謝るつもりがなければ俺、生徒会を辞めるからな?」
 まあ、さすがに下剤を盛るのは我慢の限界だ。
 これ以上、付け上がらせるのはダメだ。
 いつも、俺がしっかりと怒らないから増長させていってるわけだし、さすがに今回は謝らなければ許すつもりはない。

「ごめんなさい。さすがにやりすぎました……。本当にごめんなさい」
 嘘が分かる若田部さんは俺が嘘を付いていないことが分かるので今回は本当に怒っていることを理解し、謝ってきた。

「そうね、私も若菜さんの策に乗ってしまったわ。普通なら一緒にあなたを嵌めるんじゃなくて下剤を盛るのを止めさせるべきだったと言うのに……。反省したわ」
 調先輩も謝る。
 二人はどうやら反省してくれたようで、ものすごく肩を落としている。

「だから、捨てないでください。なんでもします。だから……」

「ええ、お願い。私から去らないで……」
 あれ? 何この雰囲気。
 ものすごく、重い雰囲気が流れてるのは気のせいか?

「いや、分かってくれればいいんだけど」

「本当にごめんなさい。許してください。お願いします」

「許して、好木……」

「だから、今回は許すって言ってるんですけど……」

「本当です? 本当に許してくれるんです?」

「本当かしら? もし、あなたが許してくれないのなら……」
 何だろう。先輩の口から嫌な言葉が言われそうで仕方がない。

「許さなかったらどうなるんです?」

「死ぬわ。あなたに思われないのなら死んでも良い。だって、そんな人生無意味だもの」
 はっきりと調先輩は言った。
 その言葉が本気に見えて仕方がない俺は若田部さんに嘘かどうか聞こうとした時、

「先輩は本気です。そして、私も神田君が離れていくなら……命を絶ちます」
 あの、これって相当やばいかもしれない。

「あの、嘘だよな?」

「いえ、本気です」

「ええ、本気よ」

 これってさ、本当にやばいんじゃ……。

 そう、俺は二人に甘くしすぎた。
 その結果、二人の異常な依存関係が出来上がりつつあるという事だ。
 甘さゆえにもたらした結果。

 いや、二人とも冗談で言ってるに決まっている。
 それを確かめるには……

「じゃあ、嫌いになられたくなければ、これを食べてください」
 下剤入りのガトーショコラを指さして言ってみたら。 
 二人ともなんの迷いもなく口にした。

「これで良いです?」

「これで良いわよね? 足りないのなら……。若菜さん。あれを頂戴」

「そうですね。さすがに今回はやりすぎました。これじゃあ、反省してるか伝わりませんよね」
 ポケットから取り出された粉薬。
 その封を開けて粉を迷いなく飲み込む二人。

「あの、今のは……」

「神田君に盛ろうとした。下剤です。このくらいしないと罰にならないのは当然ですから」

「ええ、そうね。このくらいしないと許してくれないに決まっているもの。まだ、足りないかしら?」

 そう、マジで二人の依存度がやばくなってきている。
 それを実感させられた。

「はは、まじか……」

 人というのは甘くしすぎても駄目だ。
 俺は二人に対しての接し方を普通に間違えていたという事に今さら気がついたのだ。

 とりあえず、まだ謝る姿勢を見せ何かしらしようとする二人をどうしようか……。

「足りないのなら、もう一袋……」
 と下剤をもう一袋飲もうとさえしている若田部さん。
 そして、調先輩は許して許してとぼそぼそと呟きながら自身を傷つけようとしている。
 二人を止めるのに手が足りない俺は叫ぶ

「波豆さん、助けてくれ!」

「うん、いいよ。だって、監視役というのは嘘で君がこうなるのを見越して派遣されたんだからね」
 と普通に生徒会室の入口から波豆エミルは現れる。
 
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