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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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地獄の二日間3

 気が付けば夕方。
 だが、作業は終わっていない。

「あの、終わりそうです?」

「頑張れば終わるんじゃないか?」

「そうね、頑張ればおわるんじゃない?」
 誰しもが語尾が疑問形になるほど疲れていて、会話としては二流が良いところの会話を繰り広げる俺達。
 ふと、気紛れに消していたテレビの電源を入れると、夕方のニュース番組が放映されていた。

「あの、今テレビで。先輩が使っているオンライン上にデータをあげるサービスが復旧したらしいんですけど」 
 普通こういうのは一週間単位でサービスの一時停止がなされるのだが、サービス利用者が多いため至急サービスを一時制限して再開したらしい。

「あの、それってつまりバックアップが使えるってことです?」

「ええ、そうなるわね。少し待って頂戴」
 調先輩はネットに繋ぎバックアップのデータをダウンロードした。さすがにサービス再開に辺り一斉に人が押し寄せているせいで時間はかかったものの、

「出来たわ、このデータを直してあげれば直ぐに資料は完成するわ……嬉しい様で今までの苦労が無駄だった反面いまいち喜ぶことはできないわね……」

「いえ、そんなことないです。だって、いつ復旧するか分からなかったんですから、どっちしろこの苦労は必要な苦労だったわけだから、とりあえず、喜ぼう」

「はい、でも喜ぶ前に出来上がっているデータを修正して完成させましょう」
 若田部さんの言う通りすぐに完成させてしまってから、喜ぶべきだ。
 何が起こるかわからないからな。

 それから20分くらいたった。
 調先輩がカタカタとキーボードを打っていたのだが、それが止まる。

「終わったわ。これで、完成よ。とりあえず、印刷しておけばデータが消えても平気だからしちゃいましょう」
 データが消えたことに対して恐怖感があるのか印刷して、原本を作っておく。
 まあ、一部でも合ればそれをコピーできるから当然だ。

「これで良いのか?」
 完成した資料を見直していき、おかしな箇所がないか確認していった。
 どうやら、目立ったミスはない様だ。
 まあ、細かなミスはたぶん消し切れてないだろうけどさ。

「ええ、これで終わりね……。本当に疲れたわ」

「はい、もう二度とやりたくないです」

「はあ、とりあえず何とかなったな」
 と言ったように喜ぼうにも先に疲労感が来てしまい、手放しで喜ぶことはできない。
 嬉しいには嬉しいがもう眠いし、だるいのだ。

「さてと、帰ろうと思ったのだけど。その気力さえないからあのベッドで少し眠ってから帰るわ」
 調先輩は家に帰ろうにも、疲れすぎたのか終電を逃さない程度に昼寝というかもう夕方だけど眠ってから家に帰るつもりらしい。
 さすがに、疲れている人に鞭打って帰らせる気もない。
 ふらふらとキングサイズのベッドがある部屋に消えていった調先輩。

「私は帰って寝ようと思ったんですけど、調先輩をこの家に置いておくのは心配なので私もここで少し寝させて貰ってから帰っていいですか?」

「まあ、良いけど。でも、あのベッドしかないぞ?」

「いえ、ソファーで良いですよ。あの人と寝るくらいならソファーで十分です」
 とソファーに横たわり眠ってしまう若田部さん。
 本当に疲れ切っているのか直ぐに吐息を立てて眠り始めてしまった。
 スカートの中が思いっきり見えているのが個人的に嫌なので適当に毛布を被せて置く。

「さて、俺も少し寝よう」
 夕方だが眠くて仕方がない俺は自室に戻りベッドで眠る。

 そんな疲れ果てた俺達は一時の間眠り続けた。
 無論、このまま朝まで寝るのはさすがにダメだと思い目覚ましは適当な時間にセットしてある。


 そして、なんやかんやでセットした目覚ましが鳴り響き、完璧に日が落ち切った真っ暗な時に目を覚ます。

「だるい……」
 眠気は取れたが倦怠感が酷く、肩を回すもいまいち切れが悪く節々も若干痛む。

「さてと、調先輩と若田部さんには帰ってもらうか……。昨日は勢いで泊めてたけど、さすがにダメだろ。常識的に考えて」
 朝同様に二人を起こしに行こうとしたのだが、

「はあ、なんで体はだるいのに下だけは元気なんだか」
 おそらく、若田部さんから貰ったあのドリンクのせいで体全体はだるいというのに下だけは非常に元気であったため治まるのを待つのである。
 てか、女の子と一つ屋根の下とか絶好のシチュエーションだな……まあ、抜く気にはならないけど。

「さて、治まったし起こしに行くか……」
 重い体を動かし、まずはキングサイズのベッドで寝ている調先輩を起こしに向かう。
 ドアを開け、ベッドに寝ている調先輩を

「あれ? いないな」
 まあ、起きてリビングにでもいるのだろう。

 しかし、リビングは騒がしかった。

「好木、好きよ」

「あの、わざとですか? やられた仕返しですか?」

「まだ、疲れているのか幻聴が聞こえて来るけど、そんなの知らないわ!」
 非常に既視感があることが行われていた。
 若田部さんがかぶった毛布に強引に調先輩が入り込み、二人でもごもごと暴れている。
 そして、毛布からどんどんと若田部さんが来ていた服が零れ落ちていく、それすなわち今若田部さんは毛布の中であられもない姿というわけで……。

 あ、うん。ダメだ。治まったと思ったのにまた元気になった。
 この痴態を見せて二人にとやかく言われるのが嫌なので自分の部屋に戻るか……。

 いや、今回は助けてあげようと思ったけどさ。さすがにこの状態では無理だからな。

 再び、俺は自分の部屋に行き治まるのを待つのだが、

「はあ……、中々治まらない……」
 調先輩がいなければちゃちゃっと済ませて萎えさせることも考えたのだが、考えていることを読まれるのだからぼろが出れば俺がしたことが普通にばれる。
 いや、だってさオープンに下ネタを言い合ってるけど。
 自分の事って恥ずかしいし……。

 しかし、毛布の中から服が投げ捨てられていく光景が目から離れない。
 そのせいで、ずっと悶々とし続けてしまう。

「仕方がないか……」
 一向に収まりそうにないので手早く終わらせることにしようとしたその時、

 ドンドンと部屋の壁が叩かれる。

「助けてくださ……」
 何だろう、若田部さんの断末魔が聞こえたのは気のせいだろうか?

 扉を開けるのが怖いんだけど……。
 でも、マジなトーンで助けを求められた気がするし、扉を開けるか。

「あら、好木。珍しいわね。あなたの事だから出てこないと思ったのに」
 そして、その横ではめそめそとなく若田部さんがいた。

「一体、何したんだよ……調先輩」

「キスマークを付けられたじゃない? だから、お返ししてあげたの」
 よく見ると若田部さんの首筋が赤くなっている。
 おそらく、時間が経てば青くなるくらいに鬱血していた。

「まあ、確かに朝、私もしましたけど。こうも、やり返されると怖いんです。だって、」

「ええ、だってやられたことをやり返しただけだもの。手を下でまさぐらせる代わりに服を脱がせるくらいで勘弁してあげたのだからそこは感謝しなさい」

「で、でも。調先輩の目が時々マジになりかけてて……」

「いえ、そんなことはないわ。若田部さんでも良い気がしてきたなんて微塵も思ってないわ」
 その言葉を聞いた瞬間、若田部さんはびくびくと震える。
 彼女の超能力。それは嘘が分かるというもの。
 先輩が微塵もそう言うことを思っていないことではないと能力が教えてくれたのだろう。

「さてと、おふざけはここまでにして二人とも帰ってくださいよ。さすがに今日は泊めません」

「ええ、分かってるわ。それよりも、意外とあるのね」

「はい?」

「下の話よ」
 あ、そうか。
 慌てて出てきたから忘れてたけど思いっきり元気なままだった。
 なんだろう、普段先輩たちのド直球な下ネタにつき合っているのだが、やっぱり自分のことになると恥ずかしいな……。

「そのサイズは誇っても良いわよ?」

「いや、そう言う意味で恥ずかしいって思ったわけじゃないんですけど」

「神田君、やっぱりあれのおかげで元気いっぱいなんですか? 買いだめしておいた方がよさそうです」
 あのさ、思うんだ。
 この二人って本当にどんどん自由になって来てる気がするんだよなあ……。

 どこで、道を間違えたんだろうな。
 まあ、思い当たる節しかないけどさ。

 こうして、地獄の二日間は終わりを迎えた。
 翌日、無事に予算案の書類を学校側に提出した後、生徒会室であることを俺は言う。

「あの、生徒会役員。もう少し、増やしませんか?」

 先輩の顔を立てるためにも生徒会をまずまともに機能させる。
 それを実行するにはさすがに三人では不可能だ。
 ゆえに、俺は新しい生徒会役員を探すことを調先輩に提案するのだが、

「私は当てにならないわよ?」

「同じく、私もです。誘ったとしても生徒会に入ってくれそうな人に心当たりはありません」

「実はですね。今日、病気かなんかで長らく休んでいた生徒が俺のクラスに復学してきたんですよ。その人を誘ってみようかと思うんだ」
 俺のクラスには長らく空席の席があった。
 その席の主が復学してきたのだ。とはいっても、留年したから同じ学年なのに俺より年上だ。

「あの、その人は女の人です?」

「好木、その人は女性じゃないでしょうね?」

「いえ、女の子ですけど」

 そう言うと、二人は大きくため息をつきこういった。

「あなたはどこぞの主人公なの?」

「さすがにそれ狙ってますよね?」

 一体何のことだ?
 まったくもって二人が言っている意味が分からない。
 女の子に話掛けるくらい普通だろ?

 だが、この時の俺はその女の子が二人と同じくらいにやばいとは知る由もない。

 そう、俺はまた選択を間違えたのだ……。


 
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