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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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地獄の二日間の始まり。

 若田部さんが生徒会に加入してから、今まで人数不足により委員会や部活の部長等に任せていた仕事を一部こちら側に戻した。
 人数が増えたことにより多くの仕事をこなせるようになったからである。
 特に一名もしくは二人で行うことが出来ないことが三人に増えたことによりかなり仕事は増え、二人に増えた時よりも多くの量の仕事がこちらに戻って来た。
 他に押し付けていた仕事が生徒会に戻って来たという事で、そのことに対して周りはこう言っている。

『見直したわ。一人で周りに押し付けるんじゃなくてちゃんと解決しようとしてたなんて』 
 と若干だが生徒会の機能を全部元通りにしようとしている努力を認める声も上がってきている。
 まあ、いまだにそれが当たり前だという人もいるけど……。

 先輩の名誉のためにも、毎日生徒会活動に勤しむのだが、

「忙しすぎる……」
 仕事が増え、日に日に忙しさが倍増している。
 特に部活動の予算案、文化祭予算案等を出し生徒全員に見せることにより承認を得なくてはいけない。
 この予算案が出来なければ学校側が出してくれる予算を使うことが出来ずに部活動の備品購入、文化祭の予算分配。
 そう言ったものがすべてストップしてしまう。
 特に部活動の備品が深刻だ。どうやら、バレーボール部の前年度の備品に関係する見通しが悪く、今年の予算を即急に使い備品を確保しなくてはいけないとバレー部の顧問から口を酸っぱくして言われている。

「あの、この予算通して良いんですか?」
 そして、現在部活動の備品購入に関する予算案の最終チェックをしているのだが、これまたふざけたのが多い。明らかに不要なもの、必要以上の個数を購入しようとしているとか。
 すべてにおいて滅茶苦茶な点が多い。
 それもそのはず、この学校では顧問が備品を購入を決定するのではなく、代々部活動の部長が備品をカタログを用い選んで申請しているゆえの影響だろう。

「そこは、ダメね。いくら、予算が余っているからって、医療用のテーピング類を買うのはダメよ。緊急用の予備として購入することはOKになってるけど。あくまで、自分で買ってきたものを使うことになっているもの。この数は明らかに自分たちで負担せずに学校で購入したものを日常的に使おうとしているわ」

「はい、じゃあ後で確認を取ってきます」
 こういった作業を延々と繰り返しているというわけだ。
 予算管理を調先輩が秋に引き継いでそれを運用してきたわけだが、今回は一から組んでいるせいか、さすがの調先輩もたじたじとしている。

「ええ、お願い」
 と言ったように激務をこなす日々。
 ゆえに生徒会をやりたがる人はいないというわけだ。
 まあ、実は生徒会に入ると大学の推薦入試の権利を内申点が足りていれば絶対に回してくれるという特典があるらしいけど。

 こうして部活動の予算案を管理する。
 期日はそこまで無く非常に切羽詰まっての作業が続く日々。
 だが、間に合わない程ではない。そう思って予算案を作成し続けていた。

 しかし、問題は生徒会側から学校側に予算案を提出する期日2日前に起ってしまう。

「あの、ここがおかしいです」
 若田部さんが試しに一部だけ印刷した書類の最終チェックをしていた時にふとそう言った。

「ちょっと、いいかしら?」
 若田部さんが確認していた書類に目を通していく調先輩。
 一通り目を通し終わった後、心底嫌そうな顔でため息をつき、その後こういった。

「これ、データがすべてズレているわね」
 そう、単純なミスでデータ欄がずれていたのだ。

「でも、このくらいならすぐ直せますから、ささっと終わらせましょうか」
 俺は書類のおかしな箇所を直すべくパソコンを立ち上げようとしたのだが……ピクリともパソコンは起動してくれない。
 なんども電源ボタンやバッテリーが付いているかとか、いろいろなことを確認したのだが一切外見上のおかしさは見受けられない。

「もしかして、壊れました?」

「ええ、そのまさかっぽいわね。でも、USBとオンライン上にアップしてあるから安心して頂戴」
 というわけで、もう一台の生徒会の備品のパソコンを立ち上げUSBを差しデータを読み込ませる。

「USBのデータが破損してるんですけど」

「焦る必要はないわ。まだ、オンライン上にあげたものがあるもの」

「あの、不正アクセスがあったらしくて一時的にサービスが止まっているんですけど」

「……」
 用意周到にバックアップしてあったはずなのにどれもが意味をなさなかった。
 まあ、一ページだけなら何とか打ち直しても余裕で間に合うだろうし、慌てる必要はない。
 とか思いながら試しに印刷した一部を見直していると

「あの、これ。今年の予算のところに前年度の予算が貼られてて、前年度の予算のところにも前年度の予算が貼られてるんですけど……」
 なんだろう、すごく嫌な予感がしてきた。
 前年度の予算しか書かれておらず、今年の予算は書かれていない。

「安心して頂戴。データはバックアップして……」
 調先輩の言葉が途切れたと同時に部屋が急に静かになった。
 壁に建てられている時計の秒針の音だけが響く中、さすがに話さなくてはと思った若田部さんが発言した。

「あの、もしかして。すごくやばいです?」

「まあ、今年度の予算データを全部打ち直しをしないといけなくなった」

「パソコンに入力する前のデータはどうなっているの?」
 調先輩が若田部さんに聞くと、

「パソコン上で入力と整理を兼ねていたので紙媒体の方は全くと言って良いほど整理されてないです」
 と言ったように全部のデータを整理しつつ打ち直さなくてはいけなくなった。
 丸一日あれば何とか終わらせられる量ではあるが、授業の時間もある。24時間フルに使うわけにもいかないのでほぼほぼ期日に間に合わせるのは不可能と言っても良い。
 そんな時だ。調先輩が言った。

「明日、学校をさぼるのと。正直に先生に言って予算発表をずらしてもらうのどちらがいいかしら?」

「俺的には前者でお願いします。だって、また先輩がやらかしたと思われるのは癪ですから」

「はい、そうです。私も前者を実行して間に合わなければ伸ばしてもらう方向が良いと思います」
 そう、これ以上先輩の学校での評判は落としたくない。
 仲の良い友達が出来なくても、頼れる先輩程度には持ち上げてあげたい。
 だって、俺達が来る前までは一人で学校のために身を粉にして頑張ってきたのだから、それを認めてくれる人が居たって良いじゃないか。

「二人とも本当に悪いわね」
 調先輩が申し訳なさそうな顔で暗くなってしまう。
 USBにバックアップも取ったし、オンライン上にもバックアップを取ったのに不遇なことに両方とも使えない。
 その状況はただ単に運が悪かったとしか言いようがないわけで、調先輩が悪いわけではないというのに。

「いえ、こればかりは仕方がありません。さてと、とりあえず。明日、学校を休んで作業をするんです。ここから一枚たりとも資料を忘れないように持ち帰らないといけません」
 暗い先輩をあえて見なかったことにし、素早く行動を起こし始める若田部さんは様々な資料を積み上げていく。
 明日学校を休むのだから当然学校には入れないし、資料を持ち変えるのは当然だ。

 そう、俺達は明日学校をさぼらなくてはいけなくなった。
 先輩を見直しつつある人もいる。その人を失望させ、また先輩の評価を落としたくない。
 そう思った俺と若田部さんは学校をさぼり資料を完成させることを決意したのであった。

「で、どこで作業をするんですか? 作業を分担するとして考えたらパソコンは三台あったほうが良いですし、俺の家なら一台ありますけど」

「あいにく、デスクトップパソコンしか家にはないわ」

「私のパソコンはエクセルやワードの処理には耐えられないと思います。ちょっと、古いので」

「学校の備品であるこのパソコンは持ち出すわけにもいかないし……。とりあえず、家電量販店に行って買いましょうか」
 お金に関しては調先輩の財布にはたくさん入ってるのは知っている。
 さらには俺のばあちゃんに頼めばお金を貸してくれるだろう。

「ええ、そうね。二台買って好木の家に行きましょうか」

 そして、俺たちの地獄の二日間が始まりを迎えるのであった。


 
 
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