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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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自重しない先輩(変態注意)

 そして、一難去ってまた一難。
 今日は無事に若田部さんと一緒に夕食を取らずに済んだのだが、

「好木、あなたどんだけ若菜さんに日常を侵食されていたの?」
 そう、若田部さんの代わりに調先輩に憑りつかれてしまった。
 そんな調先輩は俺の家に残されたありとあらゆる若田部さんの痕跡を見て驚いている様子だ。

「まあ、それなりに」

「よく、今まで耐えていたわ。おかしいくらいよ。なんで、あなたの家に若菜さんが使う用の棚まであるのよ……。ここは少なくともあなたの家でしょ?」
 そう、若田部さんが朝食を作りに来たとき、色々な道具をいちいち行き来させるのはちょっと疲れますと言われたから、棚の一区画を好きに使って良いと言ったところ。
 料理道具以外の物がどんどん増えていったのだ。
 だが、自由に使って良いと言った手前、止めることが出来ないでいるのは言うまでもない。

「はあ、お人よしもいい加減にした方が良いわ。まあ、若菜さんの場合お人よしであり続けなければどうなるかは保証できないけどもね……」

「あ、はい。前までは断れば何とかなったけど、それが通用しなくなってきてるんだよ。だから、今迂闊な発言をしたら何をされるか……」

「ええ、そうね。迂闊な発言は本当に辞めなさい。取り返しがつかなくなるわ」
 と言いつつ棚の一角になぜかエプロンやら髪留めやらを置いて行く調先輩。
 いやさ、侵食して来てるのは調先輩もなんじゃ……。

「あの、何してるんですか?」

「ずるいもの。私は嫉妬深いの。だから、同じようにさせて貰っているだけよ」

「はあ……。まあ、止めはしないですけど。ほどほどにしてくださいよ?」

「ええ、分かってるわ。若菜さんみたいにこんなものを用意しておかないわ。あなた、よく今まで襲われていなかったわね」
 手にはゴムが握られていた。

「はあ、捨てといてください」

「いえ、別に穴とかが開いているわけでもないし、取っておいた方が安全じゃないかしら? 本人はその気があるみたいだし。もし、なかったとして勢いで流されてやるのは危険よ?」

「いや、そうですけど……。少なからず、今のままでそう言う関係になったところで破局するのが落ちだと思います。だから、調先輩か若田部さんと関係を持つ気はさらさらないんで」
 そう、忘れてはいけない。
 どちらかと関係を持つことは絶対にダメだと。
 だって、今であれだろ? じゃあ、もし仮に調先輩とそう言う関係を持ったとする。
 後ろからグサリと昼ドラ的展開が待ち受けているのに違いない。

「そうね。でも、好木が奥手だから私たちは責めているのよ。まあ、私は結末を決めるのはあなただという事を私はきちんと理解できているわ」

「はあ、それよりも。先輩、今日はいつまでいるんですか?」

「ご飯を作り終えて軽くお話をして良い時間になったら帰るわ。さすがに、泊まるまではしないわ。そんなことをしたら若菜さんに殺されるもの」
 意外にもすんなりと帰ってくれるのか。
 前入れた時、と言っても若田部さんとの関係を一度まっさらにしたあの時だけど、その時は嫌でもここに居座ろうとしていたけど、なんの変わりようだ?

「あら、酷いわね。そんな風に思われるだなんて。私はあなたが言った通り普通になろうとしているだけなのだけども?」
 まあ、それなら良いけどさ……。
 普通になってくれるなら、別に文句はない。

「だって、あなたは今の私達と付き合うつもりはないんでしょ? それを裏返して受け取ってもいいのよね?」

「はあ、どうせ考えを読まれるんで言いますけど。まあ、ぶっちゃけた話し、そうですよ。だって、まあ普通に綺麗だし、可愛いし、そりゃそうですよ」

「ええ、だから。最近は普通になろうと自重してたじゃない」 
 そう言いながら先輩はフリフリのエプロンをカバンの中から取り出して身に着ける。
 その姿にはなんと言うかぐっとくる何かがある。

「ええ、でも。自重するのも疲れるのよ。だから、今日は思いっきりやらせてもらうわ。ねえ、着衣好き君。あなたが着衣系が好きなのはリサーチ済みよ。だから、こうしてフリフリのを用意してきたわ」
 うん、考えが読まれてるのってやっぱ怖わい。
 だって、俺が着衣系ものが好きだってバレてるんだからな。
 でも、はっきりと言う。今の調先輩は中々にありだと思う。

「そう、じゃあ。そろそろ、夕食を作らせて貰うわ。じゃあ、台所を借りるわね」
 台所に立つ姿は……非常に良いな。
 若田部さんも一応エプロンをするのだが、それすなわち彼女が料理することでたまに出てくる得体のしれない料理が出てくるという事もあり得るわけで、今では全然萌えないし恐怖している。

「ところで、何を作るつもりなんですか?」

「とりあえず、簡単なものよ。だって、私は家庭科の授業でやった程度の腕前しかないもの」
 包丁を握る手つきが危なっかしい。
 料理の腕前は俺と同じくらいなのがよくわかるどころか、器用さが足りていないのか危なかっしくて心配でしかない。

「あの、くれぐれも怪我だけはしないでくださいね」

「残念ながら、その心配はないわ。もう怪我したわ」 
 と振り向いた先には指先を包丁で切ってしまった先輩がいた。
 傷は浅そうなのでとりあえず消毒して絆創膏でも貼っておけばいいくらいの傷だ。

「はあ、ちょっと待っててください」
 薬箱から消毒液と絆創膏を取り出し、台所以外の場所を血で汚さないために立ち往生していた先輩のところに向かい手当をするのだが。

「下手ね。もうちょっとうまく絆創膏を巻けないのかしら?」

「いや、まあ。不器用なんで仕方がないです。てか、先輩。このままだといつまでたっても夕食にありつけなさそうなので手伝います」
 普段はあまりたたない台所に立ち。
 先輩が作ろうとしている料理を手伝うと申し出る。だって、食材を切るだけでこのありさまだ。
 いくら時間があっても足りなさそうだし。

「ええ、お願いするわ。じゃあ、食材を切るのを手伝って頂戴。というか、なんでまな板と包丁が二つもあるのかしら?」

「えっと、片方は若田部さんが持ち込んだ私物です。まあ、使っても文句は言わないでしょうし。使わせてもらいますか」
 まな板と包丁を受け取り、ちょっと離れた場所で調先輩に渡された食材を切っていく。
 所詮、家庭科の授業レベルしか作れない調先輩はカレーを作っていたようで、食べやすい形なら食材の切り方は任せると言われた。

「さて、やりますか」
 意気込んで食材を切り始めたのだが、

「あ、」
 間抜けた声が台所に響く。

「どうしたのかしら? まさか、指でも切ったの?」

「はい、その通りで」
 調先輩よりも深く指を切ってしまい、血がぽたぽたと零れ落ちる。真っ赤な血がまな板の上を赤く染めあげていく。まな板以外のところを汚したくない俺は先輩にとりあえず血を拭くためのティッシュを取ってもらおうとしたのだが、

 かぷりと指をくわえられる。

「あの、何してんですか?」

「つい、ふわえてみたくなっはの」
 血の流れた指先を咥えながら先輩は言う。
 よく、漫画とかでさ怪我したところを咥えるみたいなシーンあるけどさ。
 実際にすることでないだろ。

「あの、他人の血ですよ?」

「いがひとはるくないは。はって、あなはの血とかんがへたら、こうふんするほの」
 何だろう、決して美味しくない筈なのに指先から離れようとしないんだけど……。
 それどころか、なんか吸われている気が……。

「あのお、放してくれませんか?」
 そう言うと、名残惜しそうに先輩は俺の指を咥えるの辞めティッシュで俺の唾液まみれの指を拭いた。

「意外と良いものね。好きな人の体の一部というか、なんと言うか。その体に取り込むのは意外と悪い気はしないわ。だって、私の体に好木の血が流れていると思うとぞくぞくするわ」

「あの、飲んだだけで流れてはいない気がするんですけど」
 真面目に突っ込んでみるのだが、どうやら相当に興奮し始めた様子でとんでもないことを言った。

「私、あなたの尿なら飲める気がするわ。ねえ、その飲ませ、」

「先輩、黙りましょうか」

 あの、最近は自重してたんじゃないんですかねえ……。
 思いっきり頭ぶっ飛んでるんですけど……。




 
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