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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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贅沢な子との出会い。

 ある日の休日。
 最近マンネリ化した日常を変えるべく、俺は少し体を動かすべくランニングを始めた。
 最近熱くなってきたこともあり、汗を流し続ける。汗が零れ落ちることに若干の煩わしさを感じるも、汗を流すことに少しながらの爽快感も感じる。

「ふう」
 そんな俺は休憩をすべく、公園のベンチに腰を掛けたのだが、

「だーれだ」
 と後ろから目を手で覆い隠される。
 聞いたこともない声で言われたのだが、見覚えに無い声に驚き目を隠されたと同時に立ち上がってしまう。

「うおっ。誰ですか?」
 そして、振り返ってみると本当に誰だかよくわからない子が後ろに立っていた。
 顔のあどけなさからして俺の一つ下か二つ下くらいで、髪の毛は横に束ねるいわゆるサイドテールにし、胸はそこそこな女の子がバカップルがやって来るような『だーれだ?』という行動をしてきたという事か?

「え、嫌ですねー。忘れっちゃったなんてひどいじゃないですか。私ですってば」

「いや、本当に覚えがないんだけど……」

「酷いですよー。そんな事言って本当は覚えてるんじゃないんですか?」
 いや、マジで誰だよ。
 てか、なんで俺に対する好感度が端から高いんだよ。普通に怖いんですけど……。

「ごめん。覚えてない」

「酷いです。あの時、将来を誓い合った仲なのをわすれてしまったなんて最低ですって」
 ちょっとむすりと膨れた頬が可愛いはずだが、可愛くは見えない。
 だって、もしかしたら俺が忘れているだけかもしれないが、見覚えがない人にそう言うことを言われても正直反応に困るのが先に来るんだからな。
 さて、逃げたくなってきた、俺の第六感がこいつはやばいと告げている。

「じゃあ、俺はこれで……」 
 と話の流れを全く気にせずに俺は逃げ出す。
 ここにいる奴は紛れもなくやばい。あの二人と交流があるがために養われた感が告げている。

「あ、待ってくださいよー。そんな事言って逃げるなんて卑怯ですって」
 腕を掴まれてしまう。
 その力は意外にも強いどころか、腕の骨が痛い……。

「いやいや、本当に俺。君の事知らないからさ」

「またまた、そうやってとぼけるなんて、ほんと、お茶目さんですね!」

「じゃあ、はっきり聞く。俺と君の関係ってなんだ?」

「私の口から言わせるなんて大胆ですね。そんな、恥ずかしいこと私の口から言えませんって」
 ダメだ、これ。
 逃げようにも逃げられない。どうやったら解放されるのだろう。
 そして、腕が痛い……。

「そ、そうだ。今日は暑いし喉が渇いてないか? 俺自販機で買ってくるよ」
 逃げる口実を作ろうとしたのだが、

「あ、のど乾いているならこれをどうぞ。見かけたので二つ買ったんです」
 どうやら、俺に『だーれだ?』をする前に買っておいた水のペットボトルがちょっと俺が座っていたベンチから外れた位置に置かれていた。
 そのペットボトルを女の子は取りに行くため、握られた俺の手を離した瞬間。

 全力で駆け出し、見つからないようにと結構遠くまで走った。

「ふう、これだけ逃げれば……」
 息を整えながら、何とか見知らぬ女の子から逃げ切れたことに安堵していた時だ。
 後方から走る音が聞こえてきた。
 その音はどんどん俺に近づいて来る、まさか……。そんな事ってあるのか?

「どうして逃げってたんですか。酷いですよ。さすがの私も怒っちゃいますって」
 と俺は息を荒げているのに全く息を荒げていない謎の女の子が後ろから追いついてきた。
 なんだろ、調先輩や若田部さんのおかげで変な人に免疫が付いたと思ってたけど、あれは慣れただけだったんだな……。
 目の前にいる女の子が普通に怖いんだからな。

「本当に俺は君のことを覚えてないし、知らないんだって」

「いやいや、そんなことはないですよー。だって、私たちは小さい頃に」
 小さい頃にと言われても、全然思い出せない。
 はっきり言うが、とぼけているわけじゃないからな? 本当に知らないだけだ。

「小さい頃からのなんなんだ?」

「小さい頃に将来を誓い合った仲じゃないですか!」

「いや、そんな記憶ないんだけど……」

「そんな酷いです。たけし君私のことを忘れたなんて……」
 武? 誰だよそいつ。
 俺は神田 好木なんですけど。勘違いされているのか?

「俺は神田好木って名前なんですけど」

「え? 武君じゃないんですか」
 あっけに取られた顔をした謎の女の子。いや、その顔をしたいのはこっちだけど。
 マジで嫌だ。こんな奴と知り合って交流が出来上がるのはごめんだし、さっさと誤解を解いていなくなるとしよう。

「ああ、俺は神田好木だ。悪いが、勘違いだったという事で。じゃあ、俺はこれで」

「でも、あなたでも良い気がしてきました。ほら、勘違いから始まるラブコメってあるじゃないですか」
 俺は武君から寝取りたくない。
 ぜひ、この残念そうな女の子と武君は再開し一生を添い遂げるパートナーになって欲しいところだ。

「いや、ほら武君に悪いし」

「いえ、武君は別に良く思えば好きじゃなかったんで良いです。だから、私に愛をください。好木先輩!」
 俺の手を強く握って言ってきた。
 初対面だし急に手を握られてドキリともしないし、なんとも思わない。
 違うか……。握る強さが強すぎて痛みが先走っているだけか。

「無理だ。俺には絶対に」

「いえ、愛せます。だって、あなたは世間からあぶれた超能力者を見捨てない人ですから」
 ちょっと小悪魔的な笑みをした女の子が言った。
 どうして、超能力者を見捨てないって、俺たちの一体何を知ってるんだ?

「どうしてそのことを? てか手が痛い。そんな俺の手を握ってドキリとさせる以前に握力が強すぎてピクリとも来ないからな?」
 そう言ったら、女の子は手を離してくれ、再び口を開く。

「だって、見てきましたもん。近所に私は住んでるんですけど、いつも三人で楽しそうにして、正直うらやましいんです。私は超能力者をやってますし、私だって超能力者のお友達が欲しいんですよ……」

「見てたって。どのくらい?」

「外ですれ違う程度ですよ。でも、皆さんの雰囲気からわかりました。この人たちは明らかに普通な会話を繰り広げていないってことくらい」
 確かに俺たちの会話は超能力ありきの物ではたから見たら成立していない会話だ。 
 そう思われるのは仕方がない事。謎の女の子も超能力者らしいのでそういった不自然な会話の原因が超能力にあると気が付いたんだろうな。

「でも、俺たちの関係は良いものではないってことくらいはわかるだろ?」

「ええ、知ってます。世間からあぶれて仕方がなく爪弾きにされた者同士で集まって慰め合う。それが私にはたまらなく羨ましいってことで。私もその仲に入りたいなーって」

「ダメだ。お断りする。普通の友達と一緒に過ごせ」

「嫌ですよー、そんな関係。私はありきたりな関係私は求めてません。もっと、刺激的な関係を求めたいんですよ!」
 駄々をこねる子供の様だ。
 いや、年齢を考えれば思春期まっただ中、何か特別な関係を求めるという事に対し憧れる年ごろである。
 そう考えれば世間から少しあぶれた俺達が手を取り合っている姿が羨ましくでも見えているんだろうな。 俺からして見れば羨ましくも何でもないけどさ。

「いや、普通に俺は仲良くしたくないんだが?」

「え、なんでなんですかー。私、今の中学生活あまり好きじゃないんですよ……」
 少し悲し気な口調で聞いてきたので、こうして俺に仲良くしてくださいと話しかけてきた理由を知るべく話を聞く
 ああ、俺はまたいらぬお節介を……。

「じゃあ、あれか学校ではぶられているとか、どうしようもないくらいに忘れたい過去とか人間不信とかそう言ったように闇深いのか?」
 俺達みたいな関係を求めてこうしてやってきたのだ。
 どれほど、深い闇を抱えているのかただ単純に訊ねてみた。返答次第では若田部さんと調先輩を紹介してやろうかなという事だ。
 俺は一切かかわるつもりはない。だって、これ以上厄介な女の子が増えるのはごめんだ。

「いえ、全然。逆にみんな私のことを気遣ってくれます。それがたまらなく鬱陶しいんです。だから、私は好木先輩みたいな関係を……あの、どうしちゃったんですか?」
 ああ、ちょっとムカついて嫌な顔が出たか…。俺は嫌な顔を正し、目の前の女の子に言う

「なら、なおさらやめろ。俺たちが絶体に手に入れられない物を手放すな。それがどんだけ恵まれているか、お前のように周りから心配され気遣われることがどれだけ珍しいか」
 相手は年下の中学生だというのにこんなくどくどとした説教みたいなこと言っても無駄なのにな。

「でも、先輩たちの関係のほうが私はうらやましいです」

「恵まれた環境を手放そうとするなら、俺はこれからお前に話しかけられても無視するからな?」

「そうですか……。じゃあ、今日のところはこれで、私の名前は海田かいた 加奈かなですよ。これからよろしくおねがいしますね! あ、呼び方は加奈ちゃんで。それじゃあ、失礼しちゃいます」

 うーん。
 どうしたものか、隣の芝生は青く見えるというし。仲良くしている俺たちの関係が羨ましく見えて仕方がないんだろうな……。
 あの話の口調からしてあの子は相当に周りに恵まれているみたいだ。
 だが、それが少し煩わしいと感じているのか……。なんて、贅沢なやつだ。
 よし、次話しかけてきたら無視しよう。

 うん、そうしよう。

 
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