挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

23/110

進み始める依存関係 

 財布を盗んだ奴にちょくちょくと調先輩は考えを読むために近づいたりしている。
 近づくと言ってもすれ違う程度の話であり、危険性など皆無に等しい。

「さっき、考えていることを読んだのだけど。どうやら、成功したみたいね。写真を脅しのネタに脅しているようだわ」
 生徒会室に来たときにわざとすれ違うようにして考えを確認してきた様子の調先輩が言った。
 どうやら、作戦は成功したようなのだがどうも様子がおかしい。

「どういう風になっているのか聞きたいかしら?」
 先輩はあまり乗り気な顔をせずにそう言った。
 俺達が生徒会室で性行為に及んだという噂を流した。あの、財布を盗まれた女生徒に一体何があったのだろうか? その様子からしてあまり良いものではないのが察せられた。

「一応、聞いておきます」

「とりあえず、言っておくと。あの子の肛門括約筋は裂けてしまったようね。知識のないエロ漫画だよりのアブノーマルプレイによってあの女生徒は問題をずっと抱えて生きることになったわ」

「っつ」
 聞いてみたものの、あまりの悲惨さに驚いて口からちょっとした吐息が漏れる。

「そんな、大けがをしたことにより女生徒の親に全てばれて泥沼に陥ったわ。そう、私たちの望み通りにね……」

「あんまし、気持ちの良いものじゃないですね」
 復讐は成功したものの、女生徒が受けた悲惨な大けがによって煮え切らない。
 そして、その大けがによって家族にばれ絶賛修羅場になっているという。
 家族におじさんとの関係がばれたり、財布を盗んだ男に脅されているだけなら素直に『ざまあ』とでも言えたのだろうが、大けががその考えを打ち消す。

「ええ、そうね。仮にもあの女生徒は永遠と大けがの弊害を受けていくのだもの。その理由として私たちが財布を盗んだ人を焚きつけたのも含まれるのだからね……」

「やりすぎたのか?」
 そう、俺たちは復讐の方法を間違えてしまったのかもしれない。
 そう言った考えが頭から離れないのだ。

 そんな煮え切らない頭で生徒会活動を終えるのであった。

「さて、帰りましょうか」

「一応、復讐は成功したことを若田部さんに教えておきますか?」

「ええ、そうね。おそらく、もう家に入るのよね? こちらから会いに行きましょうか」
 一応、手伝って貰ったという事もあり、事後報告をすべく若田部さんのアパートに向かう。
 その間にも、女生徒が負った傷の深さが頭から離れない。
 もし、自分がそうなったらと考えただけで身の毛がよだつ怪我なのだから。

 そんなことを考えている内に若田部さんの住んでいる部屋にたどり着く。

 チャイムを鳴らすと若田部さんが出てくる。

「どうしたんです? 調先輩もいますし」

「一応、復讐に成功したことを報告しに来た」
 重い口を開く、だって

「どういう風になったんです?」

「俺たちの噂を流したあの女生徒の肛門は使い物にならなくなった」
 そう、エロ漫画みたいな考えをした財布を盗んだ奴。
 そいつは現実と空想を履き違えてやってはいけないラインを踏み越えたプレイにまで及んだのだ。

「はい?」

「そう言う事よ。あの女生徒の括約筋は切れてしまったの。それが意味することは分かるかしら?」

「垂れ流し……」

「そう言うわけにはいかないみたいだから、人工肛門になったらしいわ」
 十代にして人工肛門と付き合っていかないといけない。
 それが、どれほど悲惨なものかはわかるはずだ。

「そうですか、なんかスカッとしない展開ですね……私的には周囲にばれて退学、もしくは停学がせいぜいだと思ってましたし」
 自分たちでやった事なのに釈然としない展開。
 復讐を企んでいるときは心を躍らせていたが、いざ復讐を成し遂げた時のこの後味の悪さ。

「私たちが復讐していなければ」
 調先輩がそんなことを言った。
 確かに、復讐をしたことに罪悪感を感じるが、きっと復讐をしていなければそれはそれで虫の居所が悪かったに違いない。

「とりあえず。飯でも食べに行きましょうか」
 気が付けば、自分で二人との距離を縮めるような発言を言っていた。
 だってさ、後味が悪いのをこうでもしなければ耐えきれる気がしないのだから……。

「そうですね。一応、復讐に成功したんですし、祝勝会をしましょう!」
 若田部さんも俺の考えに同調してくれる。
 俺たちのした復讐はやりすぎたのかもしれない。そんな気持ちをかき消したいのは若田部さんも同じなのだろう。

「そうね。復讐をやり遂げたことを祝うのもありね」

「じゃあ、どこ行きます? 俺はどこでも良いですけど」

「そうですね。復讐とか物騒な単語を外で並べるのはあまり良い気がしないので、お家で鍋でもします?」
 復讐を成し遂げた祝勝会を外でやるという事。
 祝勝会と言うからには少しばかりは話題に出すこともあるはずで、その時の会話は周りに人がいるような場所で話すのにはふさわしくない。

「だな、色々と話すんだったらそう言うので良いかもな」

「じゃあ、私の家でしますか? ちょっと狭いかもしれませんけど」
 若田部さんの部屋か……。
 正直に言うと、ここにいるだれの家でも鍋パーティーは可能だ。
 あまり、二人を入れたくなかったが、この際だ入れても良いだろう。

「それなら、俺の家でやろう。リビングなら広いし携帯用のガスコンロもあるし」

「良いんですか? 今まで私たちを頑なに家に入れようとなかったですけど」

「ああ、良いよ。今日は多めに見るさ。そのくらいに騒いで忘れたい気分だ」
 何か楽しいことを話しながら、鍋を突いて悲惨な結末に終わった復讐を忘れてしまいたい。
 大きな声を出しても問題のない、俺の家がうってつけだ。

「食材はどうします?」

「買いに行こう。まだ、時間的には早いしな」

「ええ、そうね。今日は祝勝会と洒落こみましょうか」
 こうして、俺達はスーパーに行き、食材を買うのであった。

 俺の家に二人を招き入れ、楽しい祝勝会が始まろうとした時だ。

「あの、神田君。どうしたんですか?」
 気が付けば涙していた。
 そう、俺達は取り返しのつかないことをした。
 いくら、やられたとしてもやりすぎた感覚が抜けない。その感覚に押しつぶされて気が付けば涙を流していた。

「ああ、少しな。復讐しなかった方が良かったのかもってさ」

「好木……。そうね、泣き寝入りしていたほうがマシだったかもしれないわね……」

「神田君たちは悪くないです」
 その言葉が俺たちの心を少しだけ晴れやかなものにしてくれる。

「ああ、悪かった。さて、鍋食べようか」

 俺達は出来上がった鍋を当たり障りのない話題を交えてつつく。
 楽しみながら、食べる鍋。今までにない以上の楽しさが襲ってくる。

 なぜなら、ここにいるのは超能力に振り回されてきた気が知れる中の者。
 そんな、人たちだからこそ遠慮なく楽しむことが出来る。加えて、基本的に友達が少ない俺達にとって友達同士で鍋をつつくというのはとても新鮮な感覚だ。

 そんな俺はトイレを理由にリビングから抜け出す。

「やばいな。俺」
 そう、俺は若田部さんと調先輩。
 その二人から離れたくないと思ってしまっている。
 好意を寄せてくれる女子二人と好意を向けられている男子が一人。
 そんな関係が良いものじゃないのはわかっている。早々にどうにかしなければいけないことくらいはわかってる。
 だから、俺は二人を突き放して普通になって欲しいと理由づけて必死に一緒に居ることを否定し続けてきた。

 でも、俺は……。

「ダメだな。俺、クズすぎるだろ」

 二人と長くこのままの関係を保ちたいと切に願ってしまっている。

「はあ、最悪な気分だ」
 二人が俺に依存してくるように、俺も二人に依存したい気持ちが抑えきれなくなってきたのだ。





 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ