挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

20/110

やられたらやり返す。

 調先輩の部屋が汚部屋だと発覚した次の日。
 俺は若田部さんに協力を仰ぎ、調先輩の部屋をキレイにすべく訪れた。まあ、さすがに夜遅くなので昨日は帰らせてもらったというわけだ。

「というわけで、先輩。片付けましょうか」

「嫌、まだ大丈夫じゃないかしら?」

「いえ、調先輩。さすがにこれは……」
 若田部さんの顔も引きつるほどの汚さ。
 だが、意外と虫は飛んでいないのが不思議で仕方がない。

「虫は私も嫌だもの。殺虫剤を使ってるわ」
 ああ、だから床が妙に変なべたつきがあるのか? てか、このべたつきから察するにどんだけ殺虫剤を撒いてるんだよ。普通に体に影響出るレベルだろこれ。

「というわけで、ちゃっちゃと始めちゃいましょうか」
 汚部屋に住んでいる調先輩だけが、なぜかあまり乗り気ではないが大掃除が開始される。
 初めに取り掛かったのは廊下の掃除だ。コンビニ弁当の器とかカップ麺のゴミとかはかろうじてゴミ袋にまとめられているが、それ以外が本当に酷い。
 そこら中に散らかった広告のチラシ、紙を梳かすためのブラシのパッケージ、トイレットペーパーの芯、何かに使ったちり紙といったものが散乱としている。

「先輩、マジでこれは引きますよ?」
 本心からの一言を言ったのだが、

「そうかしら?」
 何がいけないの? と言った顔を浮かべてきた。
 しかも、先輩が一番掃除の貢献度が低い。これは先輩のためを心を鬼にしなくてはと思った瞬間、

「調先輩。女の子の立場から言いますけど。これはやばいです。大マジでやばいです」
 手に黒い物体Xを持った若田部さんが言った。
 黒い物体とは腐ったおにぎりだ。封が開いていないでそのまま放置されたものだろう。

「でも、封が開いてないなら汚くないと思うのだけど……」
 あ、もうダメかもな。
 これはダメだ。諦めたほうが良いかもしれないと思わせるほどの片づけに対して考えが無い調先輩。
 でも、生徒会室は綺麗なんだよな……。なんでだ?

「てか、生徒会室は綺麗にできてるのにどうしてこの部屋は汚いんですか?」

「だって、ここは私しか入らないもの」

「はあ、そんな事言って来客者は誰一人いないんですか?」

「ええ、いないわ」
 ああ、そういう事か。
 誰も、訪れなさ過ぎて掃除をしても無駄だと考えているのか。
 だって、だれも来ないんだからな。

「でも、こうして俺たちが訪れて来てるんですから。もう少し、やる気をですね」

「それはつまり、今後も来てくれるってことで良いのかしら?」
 やばい、墓穴を掘ったか? こうして先輩の部屋を訪れないといけなくなってしまうのか……。あんまし、来たくない……。何されるか分からないし。

「はい、男の子があまり女の子のお家に来るのは不味いです。だから、私が来てあげます! その時はまた脱毛を手伝ってあげますから」

「それは嫌よ。私は好木なら来ても良いけど。あなたはお断りするわ」
 心底嫌そうな顔で調先輩は若田部さんに返事を返した姿は紛れもなく嘘を付いていないように見えたのだが、若田部さんはにやりと笑って言った。

「本当は来てほしいんですよね?」
 そう、若田部若菜は嘘が分かる。
 つまり、本当は若田部さんでも調先輩は訪れて来てほしいと思っている節があるという事だ。

「……。そうよ、悪い?」
 少し、むくれた調先輩。
 その姿が気まぐれな気高そうな猫を彷彿とさせ可愛く見えてしまう。
 いや、可愛いな。

「……っつ」
 そんなことを考えていたら、調先輩の頬が少し赤くなった。
 ああ、俺の考えを読んだのか? 性格や言動はともかくさっきの先輩はやっぱり可愛かったな。

 ドンっと背中を叩かれた。

「痛い」
 勿論、叩いてきたのは調先輩だ。
 そんなに、可愛い、可愛いって思われるのが恥ずかしかったのか?

「ええ、そうよ」

「ん? どうしたんです?」
 そんな、俺たちのやり取りはまったくもって若田部さんには意味不明である。疑問に思われて当然だ。
 だって、いきなり先輩が俺のことを叩いたようにしか見えないし、いきなり先輩は『ええ、そうよ』と言葉を言っただけなのだから。

「そう言えば、若田部さん、周囲との関係は大丈夫か?」
 ちょうど、こっちに視線を若田部さんが向けてくれたので、俺は気になっていることを聞いた。

「はい、大丈夫です。別に、周囲からどう思われようと私には神田君がいれば別に大丈夫だったんですが、何も変わりありません」
 そう、俺と調先輩が生徒会室で性行為に及んでいたという噂が流れ始めたと同時に若田部さんに学校では関わらないようにと釘を刺しておいたのだ。
 若田部さんは入学時にできたいまだ上辺の友達とはいまだに交流があるからこそ、それを大事にしてほしいと思ったからだ。

 まあ、俺も噂が流れる前はクラスの男子とは割と仲良くできてたんだけどな、一応学校側では噂の拡散と注意はしてくれたが、それでも話しかけづらくて嫌われたくなくて声を上手く掛けられない。

「あ、そう言えば。運が良かったんですけど。私のクラスに話に聞いた女生徒の財布を盗んだ男の子がいるみたいです。ほら、一応いくつか財布が盗まれたことが学校側でもアナウンスがありましたよね? その時にその場の乗りでうちのクラスの男子生徒が『お前が盗んだんだろ?』ともう一人の男の子に言いました。で、『いや、盗んでないから』と答えていたのですが……」

「なるほど、それが嘘だったというわけか」

「はい、そうです。でも、あの女生徒の財布かまでは分からなかったので、その『いや、盗んでないから』と言った男の子にそれとなく『写真が入ってる財布を盗んだんですか?』と聞いてみました。あ、説明のためはっきりと言っただけで本当にそれとなく聞いただけです。そのままの文面で言ったわけじゃないので安心してください」
 そう、これこそが超能力者。
 他人にはない力を持っているがために恐れられる。だが、その力は絶大である。
 こうして、実際だったら雲をつかむような事件だったはずなのに、解決の一歩をたどろうとしていることが力のすごさを示してくれる。

「で、完璧に黒だったと」

「はい。そう言う事です。まあ、私の能力以外の証拠がないので犯人として名乗りださせることはできません。でも、調先輩なら考えてることを読めるのでアポイントを取れば財布をどこにやったかとかはわかると思います」
 なんというか、若田部さんって思ったより知的なのか?
 雰囲気的にそこまで頭がよさそうな感じはしなかったけど。

「若菜さん。好木があなたのことを頭が悪そうって思ってるわよ?」
 あ、バラされた。
 どうしよ、弁解しとくか?

「いえ、実際あたまはそこまで良くないですよ。国語は毎回赤点なくらいには頭が悪いです」
 弁解をせずとも良さそうだな。気にしていないようだし。

「あの、若菜さん。あなた、何を言ってるの? 頭が良くないと言ってるけど。国語以外は毎回100点を取ってるじゃない」

「いえいえ、ひとつダメな時点でそれはもうダメです。ちなみに神田君の成績はどうなんですか?」

「オール90点以上」

「私もよ」
 そう、実は超能力者は頭が良いか悪いかの両極端になりがちなのだ。
 詳しい話はよくわからないが、そう言う結果が論文で発表され話題になった時もあった。

「すごいですね。お二人とも」

「まあ、俺が頭が良いのは中学の時休みがちだったけどばあちゃんが家庭教師を雇ってくれたからだ。その家庭教師が滅茶苦茶、優秀だっただけだろうな」

「私は考えていることが分かるんだもの。試験中、考えを読み放題だから、答えも見放題よ。まあ、授業中に先生が考えていることを読みながら授業を受けていれば大概の事は一度で理解できるわよ?」

 人というのは不思議なもので何事でも近しいレベルの人と気が付けば仲良くなっている。
 今回の俺達もそう言う事なんだろうな、きっと。

「さて、無駄口を叩く前に掃除を終わらせないとな」
 若田部さんのおかげで財布を盗んだ犯人は見つかった。
 それをとりあえず頭の隅に追いやり、掃除をする。
 だって、今日は一応、調先輩の部屋を掃除しにやって来たんだからな。終わってからでも話す時間は残る。
 終わってから、どう反撃をしてやるか決めればいい。
 何だかんだで学校生活を壊されたのはムカついてるし……。




 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ