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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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大人には大人。困った時は頼りになる大人を呼びましょう! 

 球技祭が行われた日から数日たった頃。
 俺は調先輩と生徒指導室に呼び出されていた。非行をした覚えはないのだが、心当たりはある。

「お前ら二人が生徒会室で不埒なことをしているという噂が流れてるんだが、本当か?」
 生徒指導のちょっと強面の先生が俺達に今現在流れている噂『俺と調先輩が生徒会室で性行為に及んでいる』の真相を訊ねる。

 そう、俺たちのことをよく思っていない奴が噂を流し、ものの見事に拡散していったというわけだ。

「あそこまで、周囲に噂されるってことは本当にやったんじゃないのか?」
 そして、生徒会室に男女二人。
 生徒会長の寒河江調は今まで一人で生徒会活動を行っていた。そこに加わった一人の男子生徒。
 この二つの要素が噂を加速させ、まるで本当に性行為をしているかのような噂のでかさになってしまったのだ。

「やってないです」

「やってません」
 ほぼほぼ、黒に思っているのか生徒指導の先生は俺達にやったと言わせようとしている。
 それもそのはず、近年ではSNSが発達した今、話題性のあることはすぐさまに拡散されていき、今回の場合『生徒会室でセックスするカップルがいるらしい』とかいった内容でちょっと信憑性の高まる画像と一緒に拡散されたら、それこそ学校の評判が落ちかねない。
 だから、俺達を処罰してこの話の終息を図ろうと考えているのだろう。

「じゃあ、あの噂はなんだ?」

「知らないです」

「覚えがありません」
 だが、身に覚えのないことで処罰される道理はない。
 だから、こうして拮抗し続けるしかない。まあ、勝手に生徒会室で性行為したと思われてマジで切れそうだけどさ。

「そういえば、寒河江さんはどうして。神田君を生徒会副会長にしたんだ?」
 今度は回りくどく攻めてきた。

「それは比較的仲の良い知り合いだったからです。だから、生徒会に入ってもらっただけです」

「そうか、知り合いか。具体的にはどのくらい仲が良かったんだ?」
 かなり回りくどい言い方で俺達に詰め寄る先生。
 そんな先生に俺はちょっとした起点を作り流れを変えるために俺は離席するため適当に理由を作る。

「その前に先生。少し、トイレに行ってきて良いですか?」

「ああ、なるべく早くいってこい」
 今の時代、我慢しろは禁句である。
 ゆえに、ほんのひと時だがこの場を脱することに成功する。

 そして、俺はトイレに行き。
 ある人物に電話を掛けた。

「ばあちゃん。本当に悪いんだけど。ちょっと、厄介なことに巻き込まれててさ」
 そう、俺は大人に頼ることにした。
 もはや、そこまで事態は深刻化している。教師はおそらく学校の治安と名声を守るため、俺達の敵に近い立場を取る。
 だったら、それに対抗すべく俺は自分の身うちであるばあちゃんに援護を頼んだのだ。

「うん、頼むよ。ばあちゃん」
 ばあちゃんにあらかた説明を終えると同時に俺はトイレから出た。
 少しばかり、時間がかかったが大きい方なら全然不自然ではない時間だ。何食わぬ顔で戻ればいい。

 俺は生徒指導室に戻り、

「すみません。時間がかかりました」
 と普通に席に戻った。

「じゃあ、話を続け、
 その瞬間、生徒指導室に一人の先生が駆けつけてきた。

「すみません。高田先生。少し、お話が」
 どうやら、強面先生は高田先生というらしい。
 高田先生は廊下に出て、訪れてきた先生と話をしているようだ。偶然にも生徒指導室の扉は閉めて出て言ったので堂々と俺は調先輩に話しかける。

「ちょっと、策を打ってきました」

「ええ、そのようね。一体、何をしたのかしら」
 さすがに先生に対して敬語を使わないのは不味いため、口調をいつもより硬めにしていた調先輩だが俺と話すときはやはりいつも通りだ。

「俺の祖母に『孫が学校であらぬ噂を掛けられている。どうにかしてくれないか?』という風に抗議の電話を入れて貰いました。これで、俺たちが一極単に性行為に及んだと向こうは言い切りにくくなります」

「あの短時間で今までの経緯をあなたのおばあさんは理解できたの?」

「ええ、ばあちゃんはフットワークも軽いですし、頭の回転もすごく速いんで」
 てか、電話を入れるの早すぎないか? 
 俺がトイレで電話を切ってから数分くらいしかたってないはずなんだけど。

「で、この状況どう打破しましょうか」

「とりあえず、性行為に及んだことを理由に停学の処分を受けるのだけは避けます。まあ、ぶっちゃけた話。停学になっても、何も変わらないですけどね」
 軽い気持ちで言ったその言葉。
 その言葉を聞いた調先輩の顔が一気に泣き崩れそうになる。

「ごめんなさい。ごめんなさい。私のせいで……」

 そう、俺の学校生活は破綻し始めた。

 噂によって俺は奇異の目で見られ始めた。最初に仲良くなった田中ぐらいしか、依然と同じように見てくれる人はいなくなった。
 そのことが示す意味、それは俺の学校生活は破綻し始めたという事に他ならない。

「まあ、遅かれ早かれ。こうなる覚悟をしてたんで別に大丈夫です」

「でも、私のせいで……」

「正直言うと後悔してますけど。先輩を見捨てたほうが後悔しますから。辛い思いをした人を放っておくなんて絶対にできません」
 そうだ。俺は先輩や若田部さんとかかわりを持つことを決めた時、学校生活の崩壊を覚悟していた。
 そして、現に崩壊した。だから、もう止まらない。

「でも、先輩と一緒に青春を謳歌することはできますよね?」

 全部がなくなったわけではない。
 確かに普通の学校生活は送れなくなったのは間違いがない。
 でも、だからと言ってすべてを捨てる必要はない。先輩もいるし、どうせ若田部さんも離れてくれない。
 この環境下で青春をめい一杯謳歌すれば良いのだ。

「でも、

「だから、とりあえず。めい一杯青春を謳歌するために停学は避けます。だから、調先輩。俺のばあちゃんに話を合わせてくれないか?」
 何か言おうとした調先輩の言葉に割り込んだ。何、俺が決めたことだからな。調先輩が必要以上に気に病む必要はない

「それはどういう意味なの?」

「その覚悟があるのならばあちゃんが何とかしてくれる。そう、すでにもうここにばあちゃんはやって来てる。だから、ばあちゃんの考えを読んで口裏を合わせてくれないか?」

「え、ええ。分かったわ」
 そして、俺たちはそれからばあちゃんが学校にやって来るまで数時間待った。
 先生曰く、ばあちゃんがここに着くまで話を進めて欲しくないと言ったらしい。
 さすが、ばあちゃんだな。俺たちが口を滑っても身内が間に居ればそれを訂正しやすくなるとか色々と考えて話を進めるなと適当な理由をつけて言ったのだろう。


 そんな少し手持ち無沙汰な時間を俺たちは適当にスマホを弄ったりしてやり過ごす。文明の利器って本当にすごいと思う。なにせ、片手にもてる道具でいくらでも暇つぶしが出来るんだからな。
 なんて、考えていると、生徒指導室のドアが開き、俺のばあちゃんとここまで案内をしてきた先生が現れた。

「お見えになりましたので、ご案内しました」

「神田 菊代きくよでございます。孫が大変お世話になっております」
 礼儀正しく入ってきたばあちゃんは先生に案内され、席に着く。

「では、ご状況を説明させて貰います」
 強面の高田先生は丁寧な応対をし始める。
 そりゃ、生徒である俺達と同じように接するわけにはいかないもんな。

「はい、お願いいたします」

「実はですね。寒河江調さんと神田好木君が生徒会室で性行為に及んでいるという噂が流れてしまっているんです。我々、教師もその噂をどうにかしようとこうして二人に話を聞いていたところです」

「証拠はあるのでしょうか?」

「はい?」

「ですから、好木と寒河江調さんが性行為に及んでいた明確な証拠はあるのですかと聞いているのです」

「いえ、それは」

「だったら、話は早いはずです。疑わしきは罰せず。証拠が出てからでなんの問題もございませんことで?」
 ばあちゃんは物怖じせずにはっきりと言う。

「ですが、放っておけないほど噂は大きくなってしまい。このままだと風紀が乱れて」

「では、二人の誤解が解けるよう計らっていただけますでしょうか?」
 大人だから言えること。
 まだまだ、子供な俺たちが今のように対処しようとしても絶対に通らないことをさらっと言える。
 そのばあちゃんの姿がとてもたくましく見える。

「ですが、
 高田先生が何か言おうとした時だ、

「二人もそうです。そう見られないようにしなさいと散々言っていましたよね? 子供の時から親しくしていたせいだとは言え。わきまえなさいと言っていましたよね」
 そして、先生でなくばあちゃんが俺達を叱る。
 一方的に意見を通すのではない。こちらにも軽くではあるが非があるのを認めることでさらに意見を通しやすくする。

「すみません。おばあ様」
 口裏合わせを頼んだ調先輩もばあちゃんの『子供のころから親しくしたせいで』という言葉を受け入れ、話に乗る。

「好木もですよ。何、呆けているんですか。これから、高田先生があなた達の誤解を解いてくださるように尽力してくださるのです。最も、あなた達がそう思われないようしっかりしていれば……」 
 そして、あらぬ誤解を受けたことを子供の時から親しくしていた所為だと理由づけてしまい。すべては誤解から生じた噂で実際は違うという風潮を作る。

 それからのやり取りはすべて『今回の件は誤解で俺たちに対する噂を払拭する』という方向性で進んでいったのだ。

 さらに、ばあちゃんは学校側がきちんと動くようにちょっとしたことをする。

「ご迷惑をおかけしました。迷惑をおかけしたので寄付をしたいのですが。今すぐに申し込みの用紙をお持ちいただけないでしょうか?」
 そう、学校は割と経営が厳しい。
 だから、普通に寄付金を募ったりしているのでばあちゃんは寄付をすると言い出した。

 高田先生は何度か本当によろしいのですか? と聞いたのちに用紙を持ってきた。
 銀行に振り込む形式のタイプである。

「では、後ほど申請させていただきます」
 きちんと俺たちの噂を払しょくさせるべく動かせるための些細なことさえ忘れないばあちゃんである。

 その後、無事に解放された俺たち二人。
 そんな、俺達二人にばあちゃんはこう言ってきた。

「とりあえず、ご飯食べましょうか。積もる話もありましょう」
 と、俺と調先輩を連れ出した。

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