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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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超能力者は道具じゃありません! 

 高校生活が始まってから、一か月過ぎた日。
 とうとう、球技祭の日がやってきた。基本的な運営は体育会系の部活に任せているが、生徒会もそれなり、というかかなり忙しく動き回っている。
 そんな中、午前中の試合がすべて終わり、基本的に時間の都合上で昼休憩なしで競技は続くものの、お昼ご飯を食べようと応援していた人たちも自身の教室に戻っ言った時だ。

 球技祭でトラブルがあった時のために生徒会室を本部にし、俺たちがそこに待機しているのだが、お昼休みになってから複数の人が訪れてきた。

「あの、すみません。教室に戻ったら財布がなくなってたんですけど」

「私の財布も……」

 と言ったように相次いで財布が紛失したのだ。
 勿論、事前に貴重品は貴重品袋を作り、その中に入れて貰い、職員室の金庫に預けている。
 だが、とっさに取りだしたり、手間がかかるため貴重品袋に入れずに多くの人は入れていない。あくまで、任意の回収となっていたため。
 このように、財布が紛失するという事件が起こってしまったのだろう。

「それは、あなた達が悪いわ。だって、こちら側でも貴重品袋を用意していたのよ?」

「だから、俺達じゃなくて。教師に頼ってください。こちらでも、少しは調査しますけど。さすがに、紛失まで扱うのは生徒会の活動の範疇ではないので」
 と俺はやってきた生徒に説明する。
 そう、紛失物と言ったナイーブなこと、生徒間で犯人探しをするとか言ったことは決してやってはいけない。トラブルにしかならないのだから。

「でも……」
 だが、財布を盗まれてやってきたうちの一人の顔が暗い。
 まるで何か、大事なことを隠しているかのような顔だ。何か、まずいことでもあったのだろうか?

「さあ、早く報告してきた方が良いわよ?」

「ですね。俺たちは手を貸せないけど。先生たちの立場なら協力はしてくれると思いますけど」
 まあ、関わるのは辞めておこう。
 と言ったように俺たちが追い払うかのように言うと、生徒は出て言った。

 しかし、数分立った頃、複数人で先ほどやってきた内の一人が再び生徒会室を訪れた。

「あの、やっぱり。生徒会で探してもらう事って無理ですか?」

「できないです」
 はっきりと言う。
 財布の窃盗なんて生徒が口出ししていい問題じゃない。

「でも、寒河江さんは超能力者でそれを使えば……」 
 調先輩は超能力者と知れ渡っている。まあ、学校のマニュアルでなんの超能力かまで特定されるには至っていない。 
 だって、なんの超能力が使えるかなんてわかっていれば、超能力次第で白い目でみられるに決まっている。

「なんで、頑なに俺達に探し出してほしい?」

「それは、大事なものがあって……。だから、超能力が使える寒河江さんなら……」

「嫌よ。諦めなさい」
 相手の考えを読むことが出来る調先輩は明確に拒否をした。
 おそらく、何を目論んで俺たちに無くなった財布を探してほしいかさえ読めている。断ったという事はろくなことではないという事だな。

「なんでよ。生徒会長でしょ? 生徒が困ってたら助けてくれるんじゃないの?」
 助けて貰えないとはっきりと言われた。女生徒は慌てて、そう言った。
 それほどまでに、俺達に財布を見つけ出してほしい理由は一体なんだ?

「いえ、生徒が困っていたら助けるわよ? でも、こちらでも限界はあるの」

「でも……。良いじゃないですか、だって寒河江さんには私達に無い超能力があるんですし。少しくらい、探してくれったって。ほら、力ある人が弱い人を助けるのは当然ですよ」

 バン。 
 気が付けば、机を掌で叩いて財布を探させようとしてくる女生徒に言った。

「いい加減にしてもらえますか? 超能力者だという事を都合よく出して物事を頼むのはやめてください」

「は? なに。私は、超能力者の寒河江さんに頼んでるの。あなたは関係ないでしょ?」
 ああ、鼻から生徒会ではなく、超能力者の寒河江調を頼ってきたという事か……。
 まったく、都合がいい話だ。まるで、調先輩を都合のいいような道具みたいに思って依頼を頼むなんてさ。

「やっぱり、あなたの財布を探す依頼を受けるのはできないわ」

「でも、校内の見張りをしてなかった生徒会側も悪いですよね?」
 なんだこいつ。何かと理由をつけて食い下がって来る。
 校内の見張りをしていなかった? 俺たちはきちんと体育会系の部活に不十分かもしれないが、一応は見回りをお願いしていたりと、色々としてたんだけどな。

「いえ、十分か不十分かは置いといて、校内の見回りを体育会系の部活にお願いしてやってはいたわよ?」
 その言葉を聞いた瞬間、訪ねて来た女生徒の顔つきが変わる。
 まるで、なにかいい案を思いついたかのような顔だ。

「私のクラスの子が見回りだったんですけど。その子、普通にさぼってましたよ? だから、見回りなんて行われてないです。このことは生徒会に落ち度があると思うんですけど」
 堂々と見回りをするはずの人がさぼり、見回りをしていなかったと言ってきたのだ。
 見回りがされなかったから自分の財布が盗まれたと言いたいのだろう。加えて、それは生徒会に落ち度があると主張してきたのだ。

「あら、そうなの」
 だが、先輩は何食わぬ顔。

「だから、生徒会に落ち度があるって。これを言われたくなかったら、私の財布を」

「いえ、私たちは悪くないわ。だって、きちんとお願いをしたもの」
 ま、そうなるに決まってる。
 まったく、落ち度がないと言えば嘘になるが、だからと言って見回りがさぼったせいで盗まれたとか言われようが、俺たちは見回りについて散々お願いをして回ったのだから

「で、でも」

「だから、諦めなさい」
 無慈悲な一撃。
 その言葉が女生徒は切れ気味にさせ、生徒会室を出て行かせた。

「あの子が無くした財布にはちょっと年上のおじさんとツーショットの写真が入ってるらしいわ。それをもし他の人に見られたら、好木もどうなるかわかるわよね?」
 女生徒が生徒会室から出て言った後、静まり返った生徒会室で先輩は俺に話して来た。

「まあ、おじさんは捕まりますね。だって、ツーショット、それが意味するのって恋人とかそう言う関係だってことですよね? あとは体を売ってるとか」

「そう、あの子は40過ぎたおじさんと付き合っているの。もし、財布に入っている写真がばれたら、あの子に手を出したおじさんが捕まるかもしれないってとこよ。まあ、あの子自身も学校側にばれて停学や、誰かが言いふらしておじさんと付き合うような尻軽とか、変な噂を流されたくないと考えていたりもしていたけどもね。だから、執拗に私達に探すように依頼してきたのよ」

「なるほど。そう言う事だったんですか……。ま、俺達には関係のないことですね」

「ええ、そうよ。さ、お昼にしましょうか。少し、時間を取られてしまったけどもね」
 本部を生徒会に設置したことにより、俺たちは生徒会室から出ることがあまりできないため、朝買ってきたパンを取り出す。

「好木。あの、机を叩いた時、私は嬉しかったわ。ありがとう」 
 少し間が空いたせいか、ぎこちなくお礼を言ってきた調先輩。
 お礼を言われるのは割といい気分だな。

「いえ、当然のことですよ。俺の悲惨な過去を考えを読んで見たことのある調先輩なら、道具扱いされて利用されるのに切れるのはわかりますよね?」

「ええ、そうね。あんな経験をしたら、超能力で人助けをしたくなくなるわね。でも、そんな好木がどうして私たちを助けてくれるの?」
 調先輩を励ますときに見せたあの光景は今でも思い出したくないし、超能力を他人のために使いたくないと俺にいまだに思わせている。

「別に超能力を使わないだけで、助けたいという気持ちが完璧になくなったわけじゃないんで。ただ、人助けに超能力を使いたくないだけですから」

「あんな体験したら、普通は助けるのもしたく無くなっても仕方がないと私は思うわ」

「ま、そうですけど。でも、超能力を使わなければあんなことにならなかったはずです。だから、超能力と切り離せば案外人助けをしないって気は起きなかったんですよ。まあ、そんな風に思っているから、なんだかんだで俺は周りに相手がどんな好感度を持っているかほとんど口にしてませんし」
 そう、すべては超能力を使ったせい。
 別に人助けして感謝されるのは嬉しいしな。助けるという辞める道理はない。

「さて、少し辛気臭くなってしまったのでこの話はおしまいね。午後からも頑張るわよ、好木」

「はい、頑張りましょうか」

 そして、午後も通常通りに競技が行われ無事に球技祭は幕を下ろす。

 しかし、この時の俺たちはまだ知らない。
 そう、あの女生徒のせいで大きな騒乱が巻き起こることを。



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