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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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超能力者は愛が重い。でも仕方がないので受け入れましょう!2

「で、どういう事なんですか。先輩を家に連れてけって」

「あなたはおそらく今日。若田部さんに嫌でも家に上がり込まれる可能性が高いという事よ。そうね、口実としてはお弁当に関して感想を聞きたいとか。やっぱり、あの量は多かったです? とか色々なことを巧みに操りあなたの家に上がり込もうとしている」

「俺の家に上がり込んで何をしようって言うんですか?」

「あなたはバカね。自分でも何をされるか怖いって考えているじゃない。きっと、家に上がり込まれたらつけ上がらせて過激に変わるって理解してたじゃない。急に忘れない事よ。あなたが考えている通り、きっとそうなるわ」
 確かに、昨日お弁当箱を返しにいった時、唇に指が迫ってきたのはどうしようもなく怖かったしな……。おそらく、接点を持ち続ければそのうち本当に……。

「だから、あなたを守ってあげると言ってるの。私を連れて行けばそれなりに役立つはずよ。こう見えて空手、柔道、合気道の心得を持ち合わせているの」

「それは心強いですけど……。その技能が役に立つときがやって来る可能性は?」
 そう、今あげた心得はどれも身を守ったり相手を痛めつけたりするものであり、その技能を使うってことはきっと物騒なことが起こってしまうのかもしれないという事を示唆している。

「ええ、あなたが馴れ馴れしくされるのを明確に拒んだらそうなる可能性が非常に高いわ」

「そうですか……」
 そんな怖い彼女だが、どうしても超能力者という境遇を考えれば嫌いには成れない。
 同情してしまう。だって、同じ超能力者という特殊な境遇に置かれているのだから……。

「だから、私はあなたの意見を尊重するわよ。だって、そんなあなただから惚れたのよ? まあ、もし付き合うとか言い出したら私も若田部さんみたいに怖くなっちゃうかもしれないけどもね」
 なんか、物騒なこと言ってるけど。
 でも、意見を尊重するか……。俺の意見は正直に言えば、

「若田部さんを見捨てたくない。俺がつけ放したら、彼女は本当に……」

「ええ、そう。少し、妬けちゃうけど。仕方がないわ。それが、あなたの意志ならね」
 調先輩は本当に悔しそうに言っているのが、少し怖いけど。
 仕方がないと言ってもらえるというのなら決まっている。

「というわけで、若田部さんを矯正します。たぶん、俺に抱いているあれは愛じゃない。依存だ。だから、俺に対する好感度も低いにかかわらず、まるで恋人のために行動しようとしているんだと思います」

「矯正ね。それは、私にも言えることなのかしら?」

「ええ、そうですね。先輩もモットましになってください。そしたら……っつ」
 自分の手で思いっきり腕を爪が食い込むほど握りしめる。その痛みで俺の頭で考えられていたことを痛みで押し流したのだ。

「ねえ、何を考えようとしていたの?」
 これは成功したのか? 先輩に考えを読み取られてないのか?

「言うと、ろくなことにならないので言いません」
 いや、まだ油断するな。考えるな、考えるなという事を考えてさっきまで考えていたことが漏れないように考え続けろ。

「まさか、短期間でそんな対策方法を思いつかれるなんて思いもしてなかったわ。残念ね、あなたが何を考えていたか読み取ることはできなかったわよ。安心しなさい」

「ええ、でも二度としたくないです」
 自分の腕を見る。
 すると、腕を血が這っていた。肉が少し抉れ、ズキズキとした痛みが体に響く。

「そうね。バカじゃないのとだけ言わせて頂戴。そこまでして何を私に読み取られた
 乗るな、先輩の言葉に反応するな。反応してあれを考え続けるな。考えることを考えろ。

「はあ、良いわ。別にもう聞こうとしないわ。だから、早くその腕を治療しましょうか」
 そう、血がだらだらと地面に落ちている。
 そのままにしておくのはあまり良いことでないと言える傷であり、消毒等をすべき傷なのが一目でわかる傷なのだ。

「ええ、そうですね」
 ああ、ダメだ。今みたいに自分の考えを強制的に絶つのも、考えることに対して考えするとかいう正直よく意味わからない哲学的な考えをし続けて読まれないようにするのも集中力がかなり必要だし、次もし考えを読まれそうになったら普通に読まれそうだな……。

「そこまでして何を読まれたくなかったの?」

「それは……言えません」
 言うなと強く考え、その間にも、先輩は消毒液を薬箱から取り出し傷口を消毒し、ガーゼを貼り付けテープで固定されていることに考えを向ける。

「さて、話が大きくそれたような気もするけど、私の力はいるかしら?」

「お願いします。先輩の言う通り、若田部さんから何かされるかもしれないんで」
 そう、俺は聖人君子ではない。
 こうして、見捨てないことを決めたが、リスクは避けたい。若田部さんに襲われるかもしれないというリスクを避けると言うか、対策するには先輩を連れて行くのが一番心強いのだ。

「それよりも、好木。あなたは本当に今のまま突き進めば……」

「今更、それ言いますか? もう、俺は決めたんだから良いんですよ。それに、青春を謳歌することを決してあきらめたわけじゃないんで」
 どっちかを捨てなければいけないという考えが間違っている。
 どっちも得ればいい、ただそれだけの話だ。

「じゃあ、若田部さんとの決着を付けに行きましょうか……」

「はい、とりあえず。今まで貯めてきた鬱憤を全部言ってやります。だから、もし襲われたら助けてくださいよ?」

「ええ、助けてあげるわ。でも、私の腕前を確認しなくて良いのかしら」
 まあ、腕前以前に誰か身近に一人置いておくだけでぐっと状況は変わるだろうし、確認はしなくて良いだろうな。

「さてと」
 生徒会室にある椅子に座り、今までに俺が感じた若田部さんに対する鬱憤を紙にまとめ上げていく。

「ねえ、好木。そんな事言ったら、本当に逆上されるわよ?」

「だから、先輩を連れてくんですよ……」
 とりあえず、全部言ってやるさ。
 そのあとで、また関係を作り直してやればいい、とりあえず関係の正常化を図らなければ本当にダメだ。

 だから、俺はこれから若田部さんにありったけうざかったことや怖かったこと、重く感じたこと、全部を言ってやればいい。
 そうしなければ、このまま、若田部さんの俺に対する行動はエスカレートしていくだけだ。
 しっかりしろ、決めたんだろ? 青春を謳歌しつつも、超能力に色々と人生を滅茶苦茶にされたやつらのことを絶対に見捨てないと。

「まだ、時間がかかりそうね。少し、お手洗いに行ってくるわ」
 寒河江調は生徒会室を出る。
 そして、トイレに行かず生徒会室の前でたたずみあることを口走る。

「バカね。あんなことをしても私はあなたの考えをしっかりと読み取ってしまったわよ」
 こ気味良さを感じさせる笑い、寒河江調は生徒会室の前の廊下で少し笑っていた。

「私たちがまともになったら恋人になってくれるって言いかけたのをわざわざ、私たちのためを思って無理やり悟られないようにするなんて。本当に馬鹿よ」
 そう、あの時、神田好木はまともになってくれれば恋人にでもなんにでもなってあげると言ったようなことを考えていた。
 だが、それだと自分の前だけでまともさを装うかもしれないと考えたのだ。自分だけの前でまともになられては意味がない、そう思って、寒河江調に考えていることを知られないようにあのように自分を痛めつけたのだ。
 まあ、こうして彼の検討むなしく結局は意味がないのだが、

「もう、本当に最高よ。好木って。だから、あなたの前でまともになるんじゃなくて人として周囲からも認められ程にまともになってあげるわ。まあ、時間はかかるでしょうけどね……」
 彼女は意志をまとめるべく独り言をつぶやく。
 この独り言さえ、彼女の闇なのは言うまでもない。寂しさを紛らわすためや、物事をはっきりと決めるため、彼女は人前がなければこうして独り言を意図的に発してしまうのだ。

「まず、この独り言の癖も直さないといけないわね……」
 彼女はまともになろうと一歩を踏み出す。

「あと、ちょっとこれは不味いわね」
 スカートの中、正確にはパンツの中が大惨事になっていることに気が付いた寒河江調は行く気はなかったが結局トイレへと向かうのであった。

 だが、結局のところ人前でそれなりにまともになるのだが、彼に関わることではまともになれないのは神田好木も寒河江調自身もいまだ知らないのであった。
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