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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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超能力者は愛が重い。でも仕方がないので受け入れましょう!1

 若田部さんになぜか先輩と家系ラーメンに入っていたのを知られていた次の日の朝。
 若干の胃の重さを感じながら学校へ行く準備を整える。朝食はこれ以上胃に負担を掛けたくないので食べずに水分だけ補充し家を出る。

 電車に揺られること数分、蝶野高校がある駅に着く。
 電車の中には人が多く……はない。なにせ、生徒会の仕事を片付けなくてはいけない。学校が開く時間に合わせて家を出ているのだ。そりゃ、人は少ないはずだ。

「はあ、眠い」
 普段起きない時間に寝ぼけ眼をこすりながら蝶野高校まで歩く。
 校舎に入り、生徒会室に向かう。ちなみに、部活は生徒会副会長になったため仕方がなく入部した手なのに退部届を出した。
 そのことから、すでに学校生活の崩壊は始まっていると言っても良いのかもしれない……。

 生徒会室に入ると、

「あら、おはよう。今日も来てくれたのね。バックレられないか心配だったのよ?」

「ええ、ちゃんと来ますって。もう、関わると決めたんですから……」
 もう、好感度をいちいち見るのもあれだし、調先輩に関してはたまに確認で良いだろう。
 そんなことを考えている間にも先輩は電子ポットに水を入れお湯を沸かし始める。普通にそんな事して良いのだろうか?

「ええ、良いのよ。生徒会は甘え目に見て貰ってるの。だって、あの量の仕事よ? あったかいものを飲んで一息くらいつく権利は当然あると思うわ」

「相変わらず、今日もさらっと考えていること読んできますね」

「ところで、コーヒーと紅茶どちらがいいかしら?」

「コーヒーで」
 そんな緩い雰囲気で始まる生徒会であるが、気が付けば書類を何度も丁寧に見直したり、書類の作成を行ったりと普通に忙しい。

「さて、次の行事は球技祭ね。球技祭は文字通り球技を競う大会ね。クラス替えや新入生の仲を深めるための催しものと言ったところよ。私たちの仕事は本部を設置して各団体の成績の集計、備品の管理、試合の組み合わせを作ると言ったところね。審判や当日応援のために人気の少なくなった校内の見回りは体育会系の部活がやってくれる手筈になっているわ」

「で、今。備品の管理シートとか、なんの競技を行うのかとか決めてるわけですか?」
 そう、今現在。俺がしている仕事は球技祭で行う競技の要望をひとまとめにし、行う際にどのような備品が必要なのかチェック、時間配分はどのくらいかとかを決めている。

「さて、さっさと終わらせましょうか……」
 そして、俺たちは球技祭で行う競技を決め、必要な備品のチェックをしたり、試合時間の配分を考えたりした。
 去年と同じようにやればいいんじゃないですかと聞いたものの。

「ダメよ、体育会系の部活がどうしても毎年違う種目の競技をすべきだと譲らないの」

 と言ったように返事を返されてしまった。

「ふう、これで良いわね。お疲れ様。朝の活動はここまでにしておきましょう。大まかな流れや段取りはできたわ。あとは、これを体育会系の部活に丸投げして、本部を設置すれば私たちの仕事は終わりよ」
 あんなにも朝早く来たというのに気が付けば始業の時間ぎりぎりであり、俺たちはきちんと整理整頓をした後生徒会室から出た。
 もちろん、生徒会室に鍵をして。

「じゃあ、また放課後にあいましょ?」

「はい……」
 かなりハードな始まり、すでに体感では午後を迎えた際に訪れる妙な倦怠感さえあるのだが、授業には出なくてはいけない。
 こうして、朝から少し疲れ気味だが授業に向かうのであった。

 そして、午前の授業が終わり昼食時、若田部さんがお弁当を持ってやってきた。

「これ、今日のお弁当です!」
 そう言っておかれた大きなお弁当箱。昨日渡された物より二回りほど大きいサイズをしたお弁当箱を机に置かれたのだ。

「お、おう。今日はでかいんだな」

「あ、ああ。そうだな」 
 昨日とサイズが違うので同じクラスの友達、太郎も若干驚いている。
 そして俺はお弁当箱が包まれている風呂敷をほどく。
 すると、中に一枚の紙が入っていた。


 神田君へ。

 昨日はごめんなさい。健康第一に作ったんですが、やっぱり高校生は食べ盛りなんだなと昨日の夕食から 察しました。なので今日はたくさん作って来たのでいっぱい食べてください! 

 そのような手紙が入っていた。
 そして、恐る恐るお弁当箱を開くと、詰め込まれた白米と味の濃さそうなおかずがたくさん入っていた。

「スゲーな。体育会系の弁当だな。そして、量はともかく、美味しそうだな何か一つおかずをくれよ」
 太郎は俺の弁当を覗き込み率直な感想を言い、割と美味しそうなおかずである生姜焼きを一枚を指さしてくれと言ってきた。

「ああ、良いけど」

「ああ、うめえよ。ほんと、幸せ者だな。お前」
 太郎はうまそうに生姜焼きを食べたと同時に言ってきた。
 ああ、この一面だけを見ればだけどな。

「さて、一応食べ切るか……」

「お前、ほんとそう言うところ律儀だな」

「そうか?」
 きっと、朝食も食べてないし、大丈夫なはずだ。

 そんな事があるも、気が付けば放課後を迎え生徒会室に向かう。

「あら、ずいぶんと苦しそうな顔しているわね」

「ええ、胃が痛くて」

「胃薬があるけど。いるかしら」
 生徒会室に備えられている薬箱から胃薬の箱を取り出し、俺の手に握らせる調先輩。

「こういう時は対価を取らないんですね。昨日みたいに」

「別に苦しんでいる人にそう言うことをして喜ぶ気はないわよ。心外ね」
 さらにはコップに水さえ用意してくれる。
 こういう面は悪くないんだけどな。でも、こういったいいところを凌駕するくらい残念な所もあるのがなんとも言えないな。

「さて、辛いようなら帰っても良いわ」

「いや、さすがにそこまでじゃないんで……」

「じゃあ、球技祭についての仕上げをしてしまいましょうか」
 と言ったように無事、放課後の活動を行うのであった。

 昨日と同じように夕日がカーテンから差し込んできたころ、帰り支度をしていた調先輩が口を開いた

「好木。一つ、忠告するわ。今日、助けて欲しい?」

「助けて欲しい? それってどういうことです?」
 いきなり助けて欲しいと言われてもどういうことなのかはっきりしない。

「ここからは有料ね。助けてほしければお礼をして頂戴」

「じゃあ、良いです」
 そう、昨日の一件を思い出せ。どんな思いでよだれまみれにされたズボンを拭いたと思っている。あんなふうにまたやられるのなら助けて貰わない方がましだ。

「本当にそれでいいのかしら?」

「じゃあ、何から助けてくれるのか教えてくださいよ」

「それは嫌よ。だって、私だって得をしたいもの」
 うむ、胃薬を出してくれた時の調先輩はどこに行ったのやら、もう少し何から助けてくれるのか聞くことを粘ってみるか。
 実際に昨日は夕食を食べたことにより誘われたのを拒否できたのだから。

「教えてくださいよ。頼みますって」

「嫌よ。あなたは私に助けを求めないで取り返しがつかなくなると良いわ」

「取り返しですか? 一体何から」

「ふふ、聞きたいの? そうね、そんなに熱心に聞かれて気が変わったわ。匂いを嗅がせてくれれば教えてあげる」
 小悪魔的な笑みを浮かべて調先輩は言ったのだが、つまりは股間をよだれでダラダラにしろという事か? 
 そんなのごめんだ。断るとしよう。

「今日は違うところを嗅ぐから安心して頂戴。そうね、胸元で手を打つわ。あと、よだれもつけないから安心して」

「それなら……」
 と言った瞬間、調先輩が胸元に顔を押し付けてくる。
 そして、匂いを嗅ぎ始める前にか細いながらも芯の通った声で言ってきた。

「こんな私に今日も付き合ってくれて、ありがとう」
 その声音に不覚にもどきりとしてしまう。顔が近いだけでなのにいつもと違う印象を得る。
 ほんと、卑怯だろ、今の言葉。こんな風にすり寄られたら、もう見捨てられないじゃないか……。

「だけど、先輩。やっぱり、よだれ付けるのは勘弁してください」
 そう、胸元が妙に冷たいと思ったらよだれが付けられていた。

「ほんなほとないわ。ひのせいほ」 
 顔を胸元に押し付けながら言うので声は籠っている。匂いを嗅ぐことと話すことを両立させる、なんて欲深いんだか。

 そんな行動をされ、不覚にもドキッとした自分が情けないぜ。

「さて、じゃあ。約束通り助けてあげるわ」
 俺の胸元の匂いを堪能して満足している先輩が声を張る。

「で、なんです?」

「とりあえず、今日、私をあなたの家に連れて行きなさい!」

 あれ? 助けてくれるんじゃ……。調先輩を家に連れ込む。それ自体が助けを求める要因なんじゃないですかねえ……。
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