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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

5章

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覚悟を感じて、決意した。

取りあえず、遅くなってすみません。
短いですけど、内容は濃いです。薄めるよりかはこっちのほうが良いかなと。
「というわけで、この旅館がどうも嫌がらせを受けているのが分かったかしら?」

「はい、わかりました……」
 波豆さんの部屋に集まった俺達はと言うと、どうも若田部さんの家が経営している旅館が嫌がらせを受けていると言ったことについて話し合っていた。
 その要点をまとめるとこうだ。

 嫌がらせをしてきている企業は以前この旅館をあからさまに売り払ってくれと言って乗っ取ろうとしてきたそれなりに大きな企業。
 嫌がらせのタイプは経営がうまく行っていない建設会社以外に別館の工事を受注させない物や、現在夏の人手不足を解消するためにバイトを仲介会社を使って募集したのだが、そこに横やりを入れられていたり。 犯罪行為すれすれどころか、思いっきり犯罪行為によって経営が妨害されてきていたとのことだ。

「これって、相当やばいです?」
 冷や汗をかきながら若田部さんは語られた内容に青ざめている。
 やはり、本人も最近の異様な人手不足や内部の崩壊やらが積み重なっていることで今言われたことがより一層と現実味を帯びさせて感じされるのだろう。

「ええ、ヤバいわよ。このまま行くと、借金が残って。担保になっている土地は差し押さえ。それでも、払いきれない借金を背負う可能性があるとだけ言っておくわ」
 真剣な調先輩がさらに行く末の不安を煽り立てて行く。
 そんな中、若田部さんはというと俺の方を見てきた。その意味はすなわち……。

「良いのか? 本当にそんなことをして」

「……正直に言いますと。これはもう無理です。私の家がいくら頑張ってもお先が真っ暗としか思えません。もう少し、調べが付いたら私は……たぶん、神田君にお願いします」
 お願いします……それは俺が間に入ってこの旅館と神田系列との間を取り持つこと。
 正直に言えば、この旅館は明らかにこの先も儲かり続ける。
 ゆえに、俺が間に入ればきっとこの旅館を上手く引き込んで経営をより安定したものへと変えられる可能性は非常に高い。

 しかし、それは今まで歴史を築き上げてきたこの旅館を変えてしまう。
 何もかもが、新しければいいというものじゃない。古い良さも当然ある。その良さをきっと俺が仲介して神田系列との間を取り持てば消え去ってしまう。

「本当に良いのか? というか、若田部さんのお父さんたちは納得するのか?」

「正直に言うと、芳しくないです。今の経営状態についてどうしようかと頭を悩ませていますが、知識や経験、人脈、その全てがダメダメで……それでもまだ何とかなると思ってて頼ろうとしない。だから、最悪の場合」
 最悪の場合。
 その言葉の後に残る重々しい間。

「力を使って説得します」
 京香が海田加奈を超能力で狂わせたというのに。
 超能力はそんな危険性があるというのに若田部さんは自身が持つ、嘘が分かることを相手に共有し、嘘かどうか分かるが故の高まる感受性を利用すると言ったのだ。

「……そこまで、しなくちゃ、「好木。何を言ってるの? そこまでしないといけないのよ?」
 そこまでする必要があるのかと口を開こうとした時だ。
 調先輩に言葉をかき消された。

「はい、私にとってそのくらいの問題です。一家路頭に迷うのなら、父が多少おかしくなっても構いません。もし、借金が残れば結婚する香澄姉さんにもきっと迷惑が掛かりますし。父はおかしくなる以前に首を吊らなくてはいけなくなるかも知れません。だから、私はあの力を躊躇いなく使います」
 決意に満ちた言葉。
 一家が路頭に迷う。それを知っているのならこの行動は当然。
 そして、何よりも……若田部さんは路頭に迷う可能性を払いのける力を持っている。

「……っつ」
 自身の決意の甘さを痛感させらる。
 なにせ、言い方は悪いが一家を守るために力を振るおうとしている人である若田部さんがこんなにも覚悟しているというのに超能力者の未来を背負おうとしている俺はそれにすら満たない覚悟しか持ち合わせていない。

「だから、神田君。お願いします。私たち一家を救ってください」
 その言葉に偽りはない。
 なぜ、偽りがないか分かるかは言わずもがな。

 若田部さんは今、俺に嘘が分かる超能力を共有しているのだから。
 それによってもたらされる、言葉を重く感じる副作用によりひたすらに重く感じる。

「一家を救う? 何を言ってるんだ。俺のほうこそ頼む。俺が今のうちに少しでも人脈を作っておくためにこの若田部家の家業である旅館を引き込ませて……いや、違うな。乗っ取らせてくれないか? いや、それも違う。悪い……いや、これも違う。俺は勝手だが超能力者を救うためにこの旅館を踏み台にする」
 もう御託を並べるのは辞めだ。
 俺は普通を辞める。

「神田君……」

「というわけで、若田部さん。まずは、あの人達を使わせて貰う」
 俺が今唯一持つコネを使う。
 まだ、教えて貰ってから一度も掛けたことのない電話番号に俺は電話を掛けた。

「すみません。あの約束ってまだ有効ですか? もし、有効なら力を貸してください」
 覚悟を決めた俺はもう止まらない。
 いちいち、立ち止まって居てはばあちゃんが死ぬまでに間に合わない。
 全速力で駆け抜けなくてはダメだ。

「あ、はい。ありがとうございます。本当にすみません」

 迷うな。決めたならすぐに行動しろ。
 覚悟が鈍る前に俺は踏み出し始めた。自分が進む道を切り開くべく、俺は普通を辞める。

「というわけで、若田部さん。あの、大学生三人組をまず首にしてくれ。きちんと、代わりは今用意したからな」

「えっと、頼ったってあの時の人たちですか?」

「ああ、そうだ。京香に言われたからな、俺自身は普通。でも、周りはそうじゃない。だから、俺はその周りのそうじゃない人たちを利用して普通の域から飛び出す」

「好木。そうよ。あなたが思い描く未来を目指すなら何もかも利用しなさい。そうすれば、あなたは間違いなく超能力者を救う側に立てる」
 調先輩から言われた。
 ああ、そうだ。普通を辞めると覚悟を決めたのならとことんやってやろうじゃないか。
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