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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

5章

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ひと夏の思い出3

久々の一日、二話更新です。
あと、主人公の感情をちょっと入れたかったので久々に一人称で書きました。
「疲れた……」 
 結局、俺は厨房でずっと働き詰める。
 解放されたのは忙しさが引け始めた高校生が働くのを許されない22時少し前。
 離れの方に戻って来た俺はというと、忙しすぎる仕事にこれが社畜なのか? とか思いながらベッドに倒れこむ。
 他のみんなは分からないが、俺と同じくらい働かされているに違いないし、皆はこの忙しさに耐えられているのかなとか思うも話しに行く気力は無く。
 離れにある従業員用のお風呂に浸かり、体を温めた後、就寝した。

 そして、寝る前にセットした目覚ましが鳴ったのは午前5時。
 普段は滅多に起きないような時間に起きる。

「はあ……がんばるか……」
 そして、疲れがいまいち抜けきらない体を無理やり動かし俺は厨房に向かうのであった。

「おはようございます」

「おう、悪いな。朝早くから。じゃあ、食堂の方に運んでくれ」
 昨日の夜と同じく、配膳をする。
 本当は女の仲居さんがする仕事であったらしいが、深刻な人材不足のせいで俺が駆り出されているとのことだ。
 というか、女の仲居さんをおおく雇ったはずなのに俺達が使っている四部屋の計10人ほどがバックレたらしいので、保険として3人位はバックレるのを覚悟していたらしく、多めに雇ったはずなのに結局のところ照らし合わせると4人ほどの人手不足が生じた。
 さらに、備品やら掃除やら主に雑用を任せるはずであった雇った男子にその白羽の矢が立ったのだが、あの三人は想像以上に使えないのでピーク時に厨房に回せなくて困っているらしい。
 しかし、なんだかんだで使えないとはいえ人手不足、猫の手も借りたい状況で本当なら帰ってくれと願い下げなところをなんとか使っているとのことだ。

 さて、余計なことを考えれば仕事はミスするし集中するか……。

 それから必死に作業をしずっと厨房と食堂を行き来した結果、

「もうこんな時間か……」
 気が付けば午前9時を過ぎたところだ。

「おう、あんちゃん。まだまだ、手慣れてなくて仕事は早いとは言えねえが。本当に助かる。あの、三人組とは大違いだな」
 俺のことを仕事を片手間に指示を出してくれる人が一息ついた時に話しかけてきた。

「いつも、こんなに忙しいんですか?」

「いや、繁盛してるときはこんなに忙しくねえよ。でもな、ここはいくら交通面が良いからって結局は僻地なんだよ。毎日出勤するとなると、おのずと住み込みになっちまう。そのせいで、人は来ないからこうなっちまってるんだ。まあ、あれだな。規模を大きくしすぎて滅茶苦茶大変になってるようなもんだ。いや、一応規模拡大で給料は上がってるんだけどよ……」

「確か、来年には別館がまた増えるんでしたっけ?」

「……まあな。で、だ。今まで、人事とか業者とかあまり手を付けずに業務改善を図ってきてなかっただけどよ。社長がやるって言ってるんだがそれもあんましいい感じじゃねえしよ……。正直、金とやりがいは割と良いんだがこうなると俺もそろそろ逃げたくなるもんだ」
 といったように周辺の土地を抑えていることで容易になっている旅館の規模の拡大によるひずみは想像以上にでかくなってしまっていた。

「大変ですね……」

「さてと、俺の方から昨日の仕事ぶりを見てお前さん。えーっと名前は?」

「神田好木です」

「おう、好木君をここにほとんど回して貰えるように手筈をつけて貰った。てか、俺も名乗ってなかったな。俺は三条 かいだ。よろしくな」

「えっと。他の事は良いんですか?」

「いや、合間を縫って向こうの仕事もやらせるそうだ。ま、若菜ちゃんの友達としてものすごく頼りにしてるってこった。とはいっても、具合が悪くなったりしたら絶対に言えよ?」

「お手柔らかにお願いします」
 昨日、今日との忙しさで割とこき使われるのが分かっている俺は苦笑いしながらそう言うしかなかった。

「さてと、昼の仕込みと夜の仕込みをするか……。というわけで、好木君よ。君はまた香澄さんのとこに行って何か仕事を貰って来い」
 背中を叩かれてそう言われた。
 三条さんという人当たりの良い人と話したせいか、まだ頑張れるなとか思って香澄さんの所に行くと、そこには昨日と同じく三人の男子大学生組がだるそうにしていた。

「あ、神田君。お疲れ様でした。いやー、朝から大変な所に回しちゃってごめんなさい。お昼時になったら、またあっちで働いてもらうけど。それまでは昨日と同じく掃除をお願い。出来る限りで良いから。さて、そこの三人も休憩は終わり働いて」
 といったように片手間で出来る仕事は割と容易に引き継げることのできる掃除やら細かなことでメインは厨房と食堂をつなぐ架け橋の様らしい。
 三人もだらだらと歩きそれぞれの仕事場へ足を進める。
 俺も行こうとした時だ。

「ちょっと、ごめん。神田君。話をして良いかな?」

「はい、なんです?」

「なんと言うか、本当にごめんなさい。あの三人と比べたら神田君はすっごく大変に働いてるし、頑張ってる。本当はあの三人にもそうして貰いたいけど。辞められたら困るし強くは言えないの。だから、少しの不条理は本当に我慢をお願い」
 まあ、自分一人が忙しく働いている中、あの三人がだらだと仕事をしているのを見て割と腹を立てていたのは間違いない。
 そこを気遣って貰えるのは割とうれしいわけで、その言葉を聞いた俺はきちんと頑張ろうと心に決めその場を離れて仕事をし始める。

 そして、昼時になると掃除を一旦やめて厨房へ行く。昼のピークが終わり片付けもそこそこしたらまた掃除に戻るかと思いきや。

「ダメだ。好木君。ちょっと、ここに残って手伝ってくれ。夜の仕込みが終わんねえ……。香澄さんに厨房を手伝うと伝えて戻ってこい」

「はい、わかりました。じゃ、行ってきます」

「ま、休憩も兼ねてゆっくり行ってこい」
 と言われて香澄さんに報告しに行くのだが、男子大学生の名前は確か……田代? だったけかと言いあいになっていた。

「さすがにあれは何ですか?」

「はい。俺なんかしたんすか?」

「あの、分かっていないようなので言いますが。あなたがしているトイレ掃除。トイレットペーパーは補充されていないし便器にも飛び跳ねた後はあるわで本当に掃除をしているんですか?」
 ちょっとしたお小言というか、言っていることは少しきつめとも優し目ともとれる発言だというのに明らかにその発言を受けると怪訝そうな顔でイラつきを表す田代。

「いやいや、やってますって。ほら、俺が掃除した後に汚れた的な?」

「……取りあえず、もう少し真面目に掃除をしてください」

「はーい。じゃ、俺休憩中なんで」
 とまるで聞いていない風に適当に休憩に入る田代。
 その様子は傍から見ている俺がイラつくくらいだ。
 てか、やはり金が欲しいのか? ああいう奴ならだるければすぐに辞めるもんじゃないのか?

「あ、神田君。ちょっと、見苦しいところを見せました。で、どうしたんですか?」

「えっと、どうも厨房が思った以上に仕込みが間に合いそうにないんでこの後も厨房で働いてくださいとのことです」

「あー、そうだね。今日は食材が届くのが遅かったから仕方ないか……。よし、分かりました。神田君は引き続き、厨房でお願い」

「はい、わかりました。じゃあ、これで」
 といった時だ。
 耳元で少し小さめな声で香澄さんがこう言ってきた。

「ちゃんと、休憩は取ってなくてもその分の給料が出るように調整しておくから安心して」
 とのことだ。
 まあ、勤務時間中に確か5時間? だっけかそのくらい働くと休憩時間をきちんと設けないと労働基準法に抵触するんだっけか? だから、いくら休憩なしで働いて居ても休憩分の時間は差し引かなければ行けないわけでその分もきちんと出すと教えてくれたわけだ。
 ちなみにその行為がばれるのもあまり良くないとだけは言うまでもない。

「ま、給料が出るなら文句はないな」
 忙しさをしっかりと支払われるお給料があることを逆手に力と変え仕事に戻るのであった。
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