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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

5章

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ひと夏の思い出2

 着替えを終え離れから旅館の本館の方に向かうと、好木たちと同じく短期のバイト達の人と合流する。
 若菜は神経と集中力を多大に使う仕事をさせると言っていたが、最初は好木達以外のバイト同様に同じ仕事をすることにきまる。

 好木は他のバイトの男性陣と混ざり、シーツやら備品やらの消耗品の補充を行い始めるとのことだ。

「というわけで、神田君はここからここまで補充をお願いします」
 仕事の説明をしてくれたバイトではない社員の従業員に軽く手ほどきを受けた後、仕事を開始する。
 すでに短期バイトで入っている他の男子陣は仕事を始めているとのことだ。

「はい、わかりました」
 こうして、好木の人生初めてのバイトが始まった。

 好木が担当する箇所は別館の二号館。
 洗濯に出されていたシーツがちょうど業者から戻って来たとのことで。
 別館にあるシーツを補完する倉庫に持って行くのと、さらに今日は大元の倉庫に置く備品を補充する日という事もあり、トイレットペーパーやら、アメニティセットなど日々使われて消えゆくものを倉庫に運ぶ。

「まあ、多いな……」
 普通は業者が倉庫付近まで運んでくれたりとするケースもあるのだが、仕入れを頼んでいるところはそこまでのサービスはしてくれないそうだ。

 何回も最初に荷物が搬入されたところと二号館にある倉庫を行き来する。
 台車を使っても好木は三往復程かかるのであった。

 終わったら指示を仰ぐようにと受付の奥にある職員用の事務室に来るように言われていたのでそこに向かうと、好木と同じく搬入口で荷物を運んでいた。恐らく、本館や別館の三号館や、四号館の方に荷物を運んでいた大学生くらい? の男性陣二人が居た。

「えーと。本館と二号館と三号館は終わりと。後、戻ってきてないのは田代君か……」
 どうやら、ここに居る三人のバイト以外にもう一人がいるらしい。
 それから、好木たちは待つこと15分。
 休憩をしながら事務所に備え付けられている休憩室で水分を補給したりと体を休めていた。
 炎天下での荷物の運搬はそれほど危険だし、もし倒れられたりしたら大変だからとのことだ。

「あ、すいやせん」
 遅れてきた田代と思われる人物がやってきた。
 なんと言うか、服は若干着崩してだらしない。まあ、本人はおしゃれ? だと思ってやっている服装をした大学生くらいの人が指示を仰ぐために事務所に戻って来た。

「じゃあ、皆集まったので、次の作業に取り掛かって貰います。次は掃除をしてもらいます。先ほど荷物を運んだ館の男子トイレと共用トイレの掃除を行ってください。神田君は今日からなので掃除道具の置き場所と仕方を教えに同行しますが、他の皆さんは先日と同じようにお願いします」
 こうして、休憩もつかの間再び仕事に取り掛かるのであった。
 好木は社員の方について来て貰い、用具入れやら、掃除するトイレの場所を教わる。

 そんな時、お客さんがまだあまりいないのもあり、気楽に社員の人が好木に話しかけてきた。

「あー、そう言えば。神田君が、うちの若女将の若菜ちゃんからの助っ人なんだっけ?」

「はい、そうです」

「いやー、まさか。男子を連れてくるなんて思ってなかったよ。やっぱり、若菜ちゃんも年頃の女の子ってことかな」
 意外にも気さくに話しかけてくれる社員の従業員。
 そう言えば、名前を聞いていなかったことがあり、好木は聞いてみる。

「あの、そう言えばお名前を聞いていなかった気が……。教えて貰えますか?」

「あ、良いよ。私は若田部 香澄かすみ。ま、若菜ちゃんの姉です。年は結構離れてるけどね」
 確かに20代半ばを思わせる姿をしているし、どことなく若田部さんに似ている気がする。

「えっと。普段、若菜さんの事を若田部さんって呼んでるんですけど。どう呼べば……」

「普通に香澄さんで良いと思うけど。この旅館には若田部っていう名字は結構いるし。あ、ちなみに私は婚約者がいるから。そろそろ若田部じゃ無くなるけど。だから、ここから離れるから、若菜ちゃんが暫定の若女将って事。ま、うちの母も別に無理に継がせるつもりはないらしいけど。というか、もう親族経営に限界が来てるからね……」
 規模が年々大きくなってきているという事もあり、経営の形式に問題が生じているのは何となく理解できてしまうのが悲しい所だ。

「それよりも。随分と皆の前と立っているよりか気さくですね」

「まあね。若菜ちゃんのお友達だからだよ。あの、雇った男子大学生三人組とは違うし」 
 バツの悪そうな顔。
 好木以外に雇った男子大学生が使えないと言ったのを示しているようなものだ。

「はは……」
 しかし、自分以外のバイトを乏すのも出来るわけもなく苦笑いするしかない。

「さてと、無駄口はこのくらいにしておいて、仕事、仕事」
 こうして、好木は若田部若菜の姉、香澄に仕事を教えて貰い掃除に取り掛かるのであった。

 その仕事は痛く簡単なのだが……。

「やばい、終わらない……」
 トイレは各階に存在しているのだ。 
 旅館という事もあり、やはり衛生的で綺麗な環境を保つことが当たり前。
 床の掃除も壁の掃除も侮れず、時間が掛かって良いからしっかりと掃除をしてくれと言われたものの一度見せて貰ったお手本に対して自分のうすのろさを感じてしまうのであった。

 それから二時間後。
 好木は掃除終え、本館の事務所に戻るとそこにはすでに先ほどは一番帰ってくるのが遅かった田代という大学生くらいの人がだらしなく休憩室で休んでいた。
 その様子から察するに恐らくまともに仕事をしていないという感じがひしひしと伝わる。

「あー、だっる」
 と言ったように普通に口に出しながらだるさを強調する田代。
 対して好木は田代のように休憩などせず、トイレ掃除が終わって、次の指示を聞きに来たので事務室にいる香澄に声を掛ける。

「香澄さん。終わりました。次は何をすれば良いですか?」

「あ、神田君。お疲れ様でした。そうだね、悪いけど。神田君は厨房の方に着替えてから回ってください。たしか、ロッカーに着替えがあるので着替え終わったらまたここに来てください。厨房まで案内します」
 と言ったように掃除が終わったら次は厨房での仕事が待っているらしい。

「はい、わかりました」
 厨房用の服に着替えて好木は香澄さんの所に行くと、厨房に案内される。
 すると、そこには大忙しで料理を作っている料理人に方々がいた。

「おう、そこのあんちゃんが助っ人かい?」
 料理をしていた一人が少し手が空くと好木のもとにやってきた。

「はい、今日からお世話になります」

「よし、そうだな……。配膳して、食堂の机に持って行ってくれ。食器の置き方はこうで、置く際は……」
 食堂の配膳の仕方を教えて貰う。
 好木はひたすらに厨房と食堂の机を行き来して配膳していくのだが、食器にはもちろん料理が入っているし傾ければこぼれてしまうので初めての行動でものすごく手間を取る。

「おい、あんちゃん。済まないが、もう少しペースを上げてくれ」
 と指示されたので幾ばくか速度をあげるも中々に終わらない。
 というか、好木ともう一人しかその作業に取り掛かっている人はいなく、明らかに人不足であった。
 しかし、終わらない配膳の中、団体のお客がまだ少し早いのにやってきてしまう。

「あの、お客さんがやって来てまだなのかって聞かれたんですけど」
 そして、早く来たにも関わらず用意したことに腹を立てるとまでは行かないが、あとどのくらい時間が掛かるのか聞かれた好木は厨房の人に訪ねるも……

「あー、早えよ。おい、お前らペース上げてけ。あんちゃん、済まないけど。一回、食堂の方に食器を運ぶのを止めてこっちの盛り付けをやってくれ」
 一回お手本を見せられて、盛り付けに取り掛かる。
 作業的には簡単で分量が狂わないようなすでに小鉢に盛られている料理に最後の仕上げとしての作業をさせられる。

 こうして、地獄のピークタイムを迎えた食堂と厨房はお客さんが引き始める時間まであわただしく時間が流れていく。
 それに揉まれる好木はというと、思っていた以上のきつさに余計なことを考える気力すらなかった。



 
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