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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

5章

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ひと夏の思い出1

 目の前に広がっていたのは増改築を繰り返されているこのが分かる老舗の風貌を保ちながらも新しさを感じる旅館。
 自然が豊かながらも非常に交通面が優れ様々な観光地と各所を繋がれている場所にあるゆえに多くの人が行き来することが分かるほどの道の広さ。
 そして、駐車場のでかさ。
 ハッキリと言うなれば、若田部若菜の実家の家業である旅館は好木が想像していたよりも大きな規模を誇っていたのだ。

「というわけで、ここが私の実家です」

「なんと言うか、すごいでかいな。というか、すごく好立地な場所にあるんだな……」

「凄い。ここが若菜姉さんの実家……。なんと言うか、まだまだでかくなりそう」

「はい、京香ちゃんの言う通りで来年には別館が建ちます。人手不足なのに立つのが本当に不安ですけど……」
 でかい、旅館と思ったのもつかの間。
 さらにでかくなるらしい。

「でも、どうしてここら辺には他の旅館が無いんだ?」
 好木は若田部家が経営している旅館以外が見当たらないので聞いてみると、

「あ、実はここらへんの一帯は家が持ってる土地なんです。だから、土地を買い上げる必要もないので柔軟に増改築してきたと聞いてます。さてと、離れの方に行きましょうか」
 若菜に連れられて旅館の裏道を少しの間歩くと、旅館の景観を損ねない様にと気遣われて建てられた。
 従業員用に作られた離れにたどり着く。
 そのまま中に入ると、若菜は離れを管理している人から鍵を受け取る。

「というわけで、連番で101から104まで用意しました。神田君たちには急にバイトには行って貰ったので特別に一人一部屋使って良いそうです。まあ、普段だったらあり得ないんですけどね……」
 若菜の苦笑いと手に握られた鍵の数は人のいない悲惨さを物語っている。
 そして、一人ひとりに鍵が手渡されて行く。

 101の鍵は調、102の鍵は京香、103の鍵は好木、104の鍵は……。

「ねえ、ヨシ君。あの時は悪かったし。なんでもするから妙な距離感を保つのは辞めて欲しいかな?」
 そう、今回のアルバイトにはきちんと波豆エミルも来ているのだが、

「い、いや。分かってるけど。でもな、なんというか波豆さんの目を見るとなんか汗が……」
 好木に嫌われるためにした極悪非道な行為がものすごく効いているのだ。
 そのせいで、好木は目が合うごとに嫌な汗をかくようになってしまっというわけだ。

「あはは……。うん、なんか今更になってどんどん後悔していくよ……。正直、あの時の私を殴りたい……」
 エミルの乾いた笑いはなんと言えば良いのだろうか、心の底から乾いていた。

「さて、早速で悪いですが。今日は団体さんが複数来るらしいので荷物を置いたら働いてもらっても良いですか? 勿論、お給料は出しますので。後、お部屋に従業員用の服があると思うのでそれを着てください。そうしたら、他のバイトで来ている人たちと合流します」
 と言ったようにどうやらすでに夏休みの繁盛期に雇ったバイトは来ている様でこれから合流するらしい 
 ゆえに皆受け取った鍵を使い自身のこれからお世話になる部屋に向かうのであった。

「うん。マジでやばいんだな……」
 一人一人にあてがわれた部屋の大きさは三人位で使う様な部屋であった、要するに俺達にあてがわれた部屋は友達同士でバイトに応募してドタキャンされたから余った部屋というわけである。
 それは何を隠そうが忙しさを予見させているのは言うまでもない。
 早速、部屋にある着替えの服を着て、再び離れの玄関に向かった好木。

 玄関で待っていた若菜は好木が着てきた従業員用の服を見やる。

「あ、神田君。サイズはどうです?」

「丁度いいし。これで大丈夫だ。というか、あの部屋を一人で使って良いのか?」

「はい。平気です……。だって、あの4部屋はバックレたバイトの子たちに用意していたらしいですし。来ないのは来ないので。というか、こんな状況なのに来年に別館がまた出来るのは正直ものすごーく怖いんですよね……」
 家が経営しているとなると、やはり経営状態は子供であれ、いやその家の子供だからこそ経営状態について深刻に思い悩むのだろう。
 若菜は暗い表情で好木に話すのだが、笑って返して欲しそうな雰囲気なのに笑えない話なので好木は苦笑いするしかないのであった。

 それから、数分が経つと、女子勢も着替えを終えて離れの玄関にやって来る。

 調、エミル、そして京香。

「ん? なんで京香がいるんだ?」
 京香は中学生。
 普通に働ける年ではないのだが、旅館の従業員用の服装をしている。

「実は京香ちゃんにも働いてもらう事にしました。というか、京香ちゃん側から私も働きたいって言われたのでOKしちゃいました」

「いや、それって。ダメなんじゃ……いや、京香がOKして。なおかつ、問題がなければ良いんだけど……」

「別にばれなきゃ良いんですよ。まあ、ばれても揉み消せば良いんです」
 少し、闇を感じさせるような発言。
 実際には家業だからと言って案外中学生だろうが手伝わされている子はいるし、京香が働いても上手く揉み消せる何かがあるというわけだ。

「うん、私頑張る。まあ、それでもお客さんの前には立たないけど」

「今言った通り、京香ちゃんの仕事はお客さんには直接引き合わせません。あんまり目立たないところでお仕事、いえ、お手伝いして貰います。まあ、お客さんと変なトラブルになっ時に中学生だとばれるのは色々とリスクがあるので」
 と言ったように京香が働くことに対して好木に対しフォローを入れる若菜。

「まあ、それなら良いけど……」
 しかし、兄としてやはり勤労をさせるのはどことなく不安を感じてしまう。
 好木自身もいまだバイトをした経験はなく、今回が本当にお金が発生する初仕事であるというのに。

「というか、調先輩。さっきから何を考えているんですか?」

「ええ、少し。色々と考えていたわ。話がうまくまとまったら話すわ」
 旅館に着く前は普通に話していたというのに調は旅館に着いてからはほとんど口を開かずにいた。
 そんな、何かを考えている調の顔。
 ミステリアスな雰囲気は出会った当初を思い浮かばせる。

「では、お仕事にと言いたかったんですけど。やっぱり、お母さんが仕事の合間を縫って挨拶にと来るので少し待ってください」
 若菜に言われた通りに数分待つと、離れにまさしく旅館の女将と言った風体の人が訪れる。

「皆さん。いつも、娘の若菜がお世話になってます。若菜の母です。どうか、よろしくお願い致します。忙しい所早速で悪いのですが、私はこれで失礼いたします。仕事が落ち着いたら、また挨拶に伺います」
 と言ったようにすぐ去って行った。

「なんか、すごく忙しそうだな……」

「はい、ものすごく忙しいですよ。だって、明らかに人で不足で回してるので。さて、私達も夏休みにバイトをしに来た子たちの所に合流しましょうか。まあ、でも私たちは直ぐ別の仕事をになると思いますけど」
 別の仕事になると思う。
 その言葉に引っかかったエミルは若菜に聞いた。

「ねえ、どうして別の仕事になるのかな?」

「実はバイトさんたちには器用さとかを見て、割り振る仕事を変えています。なので、どうせここに居る皆さんは集中力が段違いなのでたぶん一人か二人くらいに分かれてちょっと手の込んだ仕事をして貰う事になるはずですから」

「うん、ありがと。分かったよ。若菜ちゃん。つまり、私たちは他のバイトの子たちが嫌な顔をするような神経と集中力を使う作業に割り当てられるって事かな? そう言ったことをさせるつもり、ううん、そう言うことを任せられるからこそ、私たちのお給料が高いのも納得だよ」

「……まあ、正直に言うとそうです。あまり、大きな声で言えることじゃないんですけど。今年、バイトに来ている子たちがちょっとダメらしいので。さて、無駄口は本当にこれくらいにしていきます」
 と言ったように好木たち一行はひと夏をバイトに費やし始める。






というわけで始まりました。バイト編。
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