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超能力を使える女の子が俺を落とそうと必死に動いているけど、一人と付き合った時点で俺の人生が終了な件について。加えて世間は物騒です…… 作者:くろい

一章

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やはり超能力者は一筋縄ではいかない!2

「さて、好木。今日の生徒会はここまでにしておきましょう」
 気が付けば夕方になっていた。
 生徒会の仕事量は想像を絶する量であり、まさかここまで蝶野高校が生徒会に行事等の運営を任せているとは思いもしなかった。

「あの、こんな感じが毎日続くんですか?」

「ええ、文化祭の時は酷いわよ? 企画、パンフレット等は文化系の部活に仕事を回しているけど、出店しているお店のチェックとかすべてを行うの。帰るのはいつも夜遅くね。まあ、好木がいてくれるなら今年は少しは早く帰れると思うけど」
 何だろう、仕事量の多さにも驚いているけど、その量を今まで一人でやってきた調先輩がどうしようもなく不憫でしかないな。
 おい、俺何を考えている。そんなことを考えてたら……。

「さて、帰りましょうか」
 あれ? 今回は考えていることを読まれてないの?

「そうよ、別に四六時中相手の考えを読んでいるわけではないわよ?」
 だが、今度は読み取られてしまう。たぶん、相手の考えを読んでいない方が圧倒的に短いんだろうな。

「ええ、まあ。相手の考えを読んでいる方が楽だもの。だって、制御が出来るようになったとは言え、その制御でものすごく疲れるんだもの」
 制御か……。おそらく、調先輩の場合は常時発動型で発動を止めるのが任意という形なんだろうな。
 俺の場合は任意発動型でたまに勝手に発動するタイプだから、先輩のタイプよりかは少しマシだ。

「そして、好木。あなた、若田部さんに夕食を誘われた際に断る理由を考えたの? あれよ、一度つけあがらせたら、さらに過激的になるわよ?」

「まあ、あれです。相手は嘘を分かるんだから、純粋に家に帰る前どこかで食べて帰って。お腹が空いていないとでも言いますよ」

「それは良いかもしれないわ。つまり、私と一緒に夕飯を食べましょ? という事ね」
 いや、普通に一人で食べようと思ってたんだけど。
 てか、先輩と飯に行くのはあんまりしたくないし……。

「あら、酷いわね。奢るわよ?」

「なんか、後が怖いんで奢られるのは無しで。てか、普通に一人で食べるんで大丈夫です」

「そう、せっかく美味しいイタリア料理のお店でもと思ったのだけど。仕方がないわ」
 イタリア料理って、俺は普通に牛丼とかカレーとかそう言うので良いし、ますます断って正解だな。
 もし、断らなければ調先輩のことだ。どこか高級なお店に連れてかれそうだ。

「ええ、高級なお店に行くつもりだったわ。そう、あなたじゃ支払いができないくらいのね。そして、借りを作って……」
 怖えよ。
 マジ怖えよ、借りを作って俺に何を要求するつもりなんだよ。まあ、金に関してはいざとなればばあちゃんを呼び出せば何とかなるだろうけど。
 だって、俺の家普通に裕福な家庭だし。

「あら、裕福な家庭なの? それにしては購買でパンを買っているとき、お財布の中身はそこまで入っていないように見えたのだけど」

「家庭の方針ですよ。普通の庶民的感覚がなければ人として上に立つのは不可能だって言うことでそこまで贅沢な暮らしはしてないんです。まあ、ばあちゃんと一緒に海外旅行に行ったときはバカみたいに豪遊しますけど……」

「そう、あなたの家もなかなかに闇が深いわね……」
 ん? ああ、話しているときに色々と思い浮かべたからな口にしたくない部分を読まれたのか。

「ま、闇が深いのはお互い様ですって。てか、調先輩も普通にまだまだ闇が深い部分を隠してますよね? だって、高校生の財布に入っているのがあり得ないぐらいのお札が入ってましたし」
 そう、購買でパンを奢らせて貰えないのならパンを買い占めると言った時、調先輩が握っていた財布ははち切れんばかりの万札が入っていた。

「ええ、そうね。あれは今月の生活費の一部よ。うちの親、放任主義なの」
 はあ、本当に闇が深すぎて今後ともにうまく付き合っていく自信がどんどんなくなるな……。まあ、闇が深いのは俺もなんだけどさ。
 いや、自分で闇が深いと言うとなんか中二病臭いし、俺は闇何て抱えてないな。良し!

「さて、そろそろ無駄口を叩いてないで帰りましょうか」
 こうして俺は夕日がカーテンの隙間から差し込む生徒会室を出て、若田部さんに夕食を誘われた際に断れるように何か食べるべく駅前の繁華街に向かうのであった。

 だがしかし、

「あの、先輩。いつまでついてくるんですか?」

「たまたまよ。私もこっちに用があるだけね。自意識過剰もいい加減にしなさい」
 繁華街に繰り出したのは良いものの、後ろを調先輩につけられている。
 駅に行くのだったらすでに四つ前の道を右に曲がらなければならなく、明らかについて来ているのだ。

「で、先輩はどうしたいんです?」

「そうね。私も夕食を取ろうと思っていたのだけど?」
 まあ、俺が入ったお店に入るだろうな、きっと。
 しょうがない、だったら調先輩が入りたくなくなるようなお店に入るとするか。

 そんな時、こってり系の家系ラーメンのお店が目には入り俺は中に入る。
 油ぎッとりのこてこてで野菜が山のように盛られ、大きなチャーシューが乗せられているラーメンが提供されるお店だ。
 きっとこんな感じのお店なら先輩は入ってこないかもしれない……。たぶん、入って来るだろうけど。

 お店に入り、券売機で支払いを済ませカウンターに食券を置く。それと同時に調先輩もカウンターに食券を置き店主にこういった。

「店長。私は油ギトギト野菜多め辛め硬めで」

「あいよ。そっちのあんちゃんは?」

「えっと」
 親切にも好みのオーダー表が置いてあるのでそれに従い、自分好みを伝える。

「油、野菜普通。辛めで麺は硬めで」

「あら、気が付けば横にいるのは好木じゃないの。奇遇ね」
 いや、それ今言う? 白々しいだろ、さすがに。
 てか、明らかに調先輩はこの店に何度も来てそうな感じがするのは気のせいか? 

「ええ、気のせいではないわ。だって、私は最初からこのお店でラーメンを食べようと歩いてたんだもの。そこにあなたが入ってきただけ」

「まさか、俺は自ら墓穴を掘ったという事か?」

「ええ、そうね。そう言う事よ」

「はい、お待ち」
 先輩と俺の前に置かれたのは紛れもなく家系ラーメンの名を関するにふさわしいくらいに野菜が盛られ、俺の方は油は普通なのだが、先輩が頼んだ方は背脂が塊のまま乗っている。

「さて、好木。上着を脱いだ方が良いわよ。ワイシャツはともかく脂が飛ぶもの。あと、これも膝にかけておきなさい。ズボンに油染みが出来るわよ?」
 そう言われ、タオルを渡される。てか、マジで何回も来てるんだろうなこの感じだと。
 本当に俺が墓穴を掘っただけなのか……。
 そして、食べきれるのかこの量。

「いただきます」
 量に押されていたら調先輩は箸を取り、一心不乱ではなく奇麗にそして素早く食べ進めていく。
 野菜は決して器から落とさず、汁は跳ねさせない。
 ラーメン一つ食べているだけというのにどこか華麗な調先輩であった。

 そんな俺も見とれるだけでなくラーメンに箸をつけ食べ始めた。


 そして、数十分後。

「まじ、腹が……」
 腹がはち切れそうになりながら俺は店を出た。
 どうにか残さずに食べることが出来たのが、その代償は重く少しお腹が盛り上がるほど満腹で苦しい。

「貧弱ね」
 対して、調先輩は余裕しゃくしゃくだ。しかも、彼女は野菜の分多く食べている。
 俺よりも食べたのにかかわらずに余裕な顔を浮かべているのだ。

 重い胃をさすりながら駅に着き先輩と別れ際の挨拶を済ます。
「ふう、じゃあこれで……」
 俺は登り方面で先輩は下り方面らしい。そんな別れ際の時先輩が俺に忠告した。

「気を付けなさい。たぶん、あの子はあなたが思っている以上に危ないわよ? じゃあ、明日会いましょ」
 そんな先輩の発言に気がかりを残しながらも気が付けば若田部さんの住んでいるアパートの前にたどり着いていた。
 チャイムを押すと同時に

「はい、若田部です」 
 とまるで玄関で待機していたかのような速さでドアが開く。
 いや、まさか本当に待機してなかったよな?

「で、出てくるの早いな」

「はい、足音が聞こえたのでちょっとフライングしてました」
 足音が聞こえたって。このアパート普通に壁は分厚い方だと思うですけど……。

「これ、お弁当箱。ありがとう」
 味については何も言わない。だって、普通に味が薄くて美味しいとは言えない。嘘が分かる、若田部さんの前で美味しいと嘘を付きそれがばれたら何をされることか……。

「あ、はい。そう言えば、夕食作りすぎちゃったんですけど、どうです?」
 調先輩、あなたの言っていることは当たってました。
 ほんと良かったあ……。外で食べてきたことで断る理由を用意してて。これ以上距離を詰められたら本当に何をされたかわかったもんじゃない。

「ああ、外でもう食べちゃったから遠慮させてもらうよ」

「そうですか。じゃあ、吐いてください」
 少し考えた後、若田部さんは名案を思い浮かべたかのように言った。
 え? 今なんて……。

「お外の料理は塩分が高いので健康に良くないので吐いてください。それで、私の作った健康に良いのを食べたほうが良いです。これは神田君のことを思って言ってます。さあ、」

「えっと、さすがにそれは……」
 否定しきる前に若田部さんが言う。

「それじゃあ、手伝わせていただきます」
 そう言って指を俺の口に突っ込もうとしてくる若田部さん。
 やばいよ。わざわざ食べてもらうために相手に吐かせようって本当にやばいって。

 ゆっくりと迫って来ていた若田部さんの指が俺の唇に触れた時、

「さすがに冗談です。ごめんなさい」
 とからかったように笑う。
 あ、そうだよな。さすがに冗談だよな、ははは……。いや、普通に目がマジだった気がするけどさ。

「じゃあ、俺はこれで」

「はい、また明日」
 若田部さんが家の扉を半分閉めた頃、去り際の一言を残す。

「そう言えば、明日も多分作りすぎちゃうと思うのでもしよかったら、今日みたいに女の子と二人でご飯を食べてこなかったときはキチンと私のを食べてくれるとうれしいです!」
 そして、ドアは閉められる。

「は、はは」
 若田部さんの部屋の前で俺の乾いた笑いがこだました。

 ……なんで俺が先輩と一緒にラーメンを食べてたのがばれてるんだ?

 去り際の一言が俺をますます恐怖に陥れていくのである。
 そう、超能力者は闇が深い。だから、付き合っていくのも一筋縄ではいかないに決まっているのだ。

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