異世界チートサッカー
どうも、赤ポストです。
二日連続短編投稿です。
※本作品の登場人物に、実在の人物はおりません。
群馬高校一年。
俺こと徳川イチローが電車に乗っていると・・・乳首おじさんに遭遇した。
俺の事を見ながら乳首をいじっているおじさん。
乳首コリコリ。
うわ!
その瞬間、突如異世界に転生してしまう。
『魔王を倒したら現実に戻れる』と言われた俺。
チート能力のお陰もあり(まぁ、ほぼそれが要因だが)、見事魔王討伐。
無事に現実世界に戻ってきたのであった。
めでたし、めでたし・・・・・では終わらなかった。
だって、その後も普通に生活あるからね。
で、何気なく高校生活に戻ると。
体育の時間に、ついオーバースペックを披露してしまった。
何故かこちらの世界に戻ってもチート能力を持っていたし。
基本スペックをそこそこあったから。
50m越えのロングシュート決め、クラスメイト全員を抜いてゴールしてしまった。
『な、なんやあいつは!宝石箱や!原石や!』
サッカー部の監督が騒ぎ出し、引きこもりの俺は強制的に部活加入。
レギュラーをとられた先輩となんやかんやあって、川原で殴り合って友情を深める。
で、加入3ヶ月で弱小チームで群馬県大会を優勝したわけ。
偶々出ている試合がネットに投稿されて、そこそこ話題になっていた。
そこで俺は、『群馬のメッシ』とか、『将軍』と呼ばれていた。
誰が名づけたかは知らないけど。
で、ちょうどW杯最終予選の日本代表選手発表があって。
俺が家でテレビを見ていると。
バリバリボッチ日本代表監督が選手を発表中。
『木田△、賀川うどん、短友アモーレ、ピヨ武、ウッチー・・・とくがーわ』
会場がざわめく。
『誰だ?徳川って?』
『いや、知らない』
『ま、まてよ。まさか、ネットのあいつじゃないか』
『ネット界最強のサッカー選手。TOKUGAWA将軍では・・・』
『あの方がおいでになられるのか・・・」
『日本サッカー界・・・始まったな。アモーレ!」
そうだ。
何故かネット上のあだ名は将軍になっていた。
ジェネラルですが、何か?
『ボッチ監督、徳川とは誰なのでしょうか?』
『とくがーわ?
おうー、群馬ハイスクール、とくがーわ。
とくがーわ、イッチロー』
俺はテレビの前でずっこけた。
俺のことやん。
しまった!俺の秘密がああああああ!
ばれてしまったのか?(キョロキョロ)
「お兄ちゃーん、大丈夫?頭ゴツンしてたけど?」
中2の妹、ヒナがチューペッドを折ろうとしながら心配してくれる。
上手く折れないようで、何度をも両手で「えいっ!」「えいっ!」ってやっている。
そのせいか、ふにゃふにゃなってるチューペッド。
あれじゃー、ハサミできるしかないかもな。
「大丈夫だ。それより、とうとう選ばれてしまったようだ・・」
「うーん、何に?」
「これだよ、これ!」
俺がTVを指差すと。
『徳川イチロー、最年少日本代表に選出!』のテロップ。
「うわっ!お兄ちゃん。これ、お兄ちゃんのこと?」
「あぁ、そのようだな」
「え、ほんと?」
「そうだ。俺しかいないぞ、群馬に徳川イチローはただ一人、この俺さ!」
「うそだー、うそっぽ!うそつきお兄ちゃん~」
「兄を疑うのではない、この愚昧が!」
俺は妹のチューペッドを奪い、頭を殴った。
バシッ! ポキッ!
おっ。
どうやら上手くチューペッドが折れたようだ。
スカッと良い切り口。
「痛っ!」
ヒナは頭を抑えてから、涙目になって顔を赤くする。
まゆをマゲる。
「うぅぅ~~うぅぅ~~」
あっ、あの顔は泣くな、泣くぞ。
ヒナは泣くな。
絶対に泣くぞ。
「うぇーん。うぇーん。お兄ちゃんがぶったあああ!うぇ~ん」
号泣する妹。
ほら泣いた。
やっぱりな。
ヒナは中学生にもなって泣き虫だから。
てか、やっちまった
はぁ!やっちまったよ。
冷静に妹を観察している場合じゃない。
ガチャ!
「ただいまー!いい子にしてた。コロッケ買ってきたから夕飯つくるね」
スーパーの袋を持った母親がリビングに現れる。
泣く妹を見て、笑顔が凍る。
「こら、食べ物を粗末にしないの。ちゃんと食べなさい!」
違った。
見たのは床に転がっているチューペッドだったようだ。
多分、床にしみが出来るのを気にしたんだと思う。
母はチューペッドを拾って俺に渡す。
え?なんですか?これ。
チューさんはヒナの物ですが。
「食べ物を粗末にするんじゃないの、水で洗えば食べられるから」
「えー、汚いよ。埃とかついてそう」
「何、お母さんがちゃんと床を掃除していないっていいたいの。
じゃあ、イチローが掃除してくれる?」
母のガミガミが発動した。
こうなると面倒だからな。
「分かった、分かった、食べるよ。食べればいいんだろ」
パクッ。
俺は服でチューペッドを拭いて、「ふぅー」「ふぅー」してから口に咥える。
・・・・冷たい。
「あと、ヒナも泣くんじゃないの。
母さんが子供の頃わね。頭の上から爆弾が落ちてきたんだから」
「母さん、一体いつの話だよ?日本が戦争したのはずっと前だよ。
漫画で見たんだ」
「いったでしょ、母さんは子供の頃中東にいたの。砂漠の国よ。
RPGで戦闘機を落としていたんだから。
おじいちゃんなんか、竹やり投げて、ブラックホーク落としてたのよ。
ブラックーホークっていうのは、戦闘ヘリの事なんだけど・・・」
母さんが語りだしたけど・・・
お馴染みの中東の戦争話。
この話は長くなるな・・・きっと。
ブーン ブーン
スマホが鳴り出した。
手に取ると、友達から異常な数のLINEがきていた。
『おめ!日本代表~₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾ 踊らずにはいられない 』
『徳川君、実は私、あなたのことが好きだったのダ-------イ☆ヽ(*・ω・)ノヽ(・ω・*)ノ好き♪ 』
『いっちー。TELちょうだ~い╭( ・ㅂ・)و ̑̑ 』
『よかったね~』
『サインくれよ~サイン。もち、イッチーのじゃなくて、日本代表選手のね』
『(ง ´͈౪`͈)ว ウキウキしてきたでやんす 』
『╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ ! 』
『イチロー君。好きです、付き合ってください』
『|´∀`●) ポッ 』
やれやれ。
日本代表選出が知れ渡ってしまったのだろう。
皆、テンション高いメールだ。
それに、どさくさに紛れて、一度も話した事がない子から告白されている。
二人も・・・。
アドレスを教えた記憶はないのだが・・・
まったく、人気者は大変だな・・・
目立ちたくないのに。
◆
日本代表合宿。
初日。
俺が緊張しながら合宿先のホテルのロビーにいた。
やべーな。
スーツとかないからドンキジャージできちゃったけど。
大丈夫かな?
背中に「NOKE」って偽ブランドのプリントしてあるけど。
本物は高くて買えなかったのよ。
浮いてないかな・・・
よくわかんないんだけど・・・
大丈夫かな・・・
すると。
「イチローちゃんじゃん。おはよーさん」
えっ?
誰だ?
ここに知り合いはいないはず・・・・
振り返るとそこには。
両腕に高級腕時計を付けた木田さんがいた。
すげー。本物の木田△さんだ。
かっけー!
ちょーかっけー!
やっぱオーラあるわぁー。
両手に腕時計につけるのも頷ける。
さすが、イタリアの名門クラブで10番を背負っている日本代表の大エースだ。
ビシッ! ペコッ!
反射的に背筋を伸ばして挨拶する。
「あざーーす!」
「かまへん、かまへん。楽にしちゃいな」
「いや、でも・・・木田さん大先輩ですし」
「いいていいて。イチローちゃん、今、持ってるでしょ?」
「はぁ・・・」
「持ってる奴は威張ってかまへん、かまへん」
「そ、そうすか」
「ほな、行こか?」
「えっ、集合場所はロビーじゃないんですか?」
確かサッカー協会から来た手紙には、ホテルロビー集合と書いてあったはず。
『お兄ちゃん。ここだからね、ここ。間違えちゃダメだよ』と、妹に何度も念を押された。
「イチローちゃん。ちゃうちゃう。
あきまへんなー、あきまへん。ピュアじゃ世界で通用せいへん」
「えっ、でも手紙には・・」
「あのペーパーはフェイクや」
「え?」
「毎回始めて代表に呼ばれる選手は、間違った場所伝えられるんや。
そんで本当の場所に着くのが遅れて、ボッチ監督に激怒されるって仕組みや。
監督の威厳を知らしめたいんやろなー」
「まじすか、木田さん?」
あっぶねー。
いきなりミスするところだった。
木田さんに感謝だ。
「おおまじや。俺に会えてラッキーやったね。
やっぱ、イチローちゃん持っとるわー。ほな、行こか」
「はい」
俺が△さんについていこうとすると。
「あれ、ケースケ、どこいくん?」
声の元には短友アモーレさんだ。
こちらもイタリアの名門クラブにいる人。
素晴らしいコミュニケーション能力を持つサイドバック。
「イッチとお風呂にね」
「なんで?今からここに集合なのに」
あれ?
ここはフェイクの集合場所じゃ・・・
木田さんの話ではそうだったはず。
待って。
それに風呂ってどういうこと・・・
え?ええええ?
「木田さん、どういうことですか?ここだって」
「ちゃうちゃう、イチローちゃん、違うねん」
「えっ」
「あ・え・て・ね!」
△さんはキリット言い放つと、アモーレさんはがっくりしている。
「また新人にドッキリしようとしてるのか。
徳川君。ケースケについていくとボッチ監督に怒られるよ」
「え、しかし・・・」
「イチローちゃん。これが日本代表の厳しさや。
個の力伸ばしていかんとあかん。
気持ちではなく、何をするかですわ。そういう気持ちが大事になってくるんですわ。
僕はそう思いますね」
何をいってるんだ木田さんは?
△さん、どうしたんですか?
これが世界レベルという事なのだろうか。
日常から厳しい駆け引きをして生きている人の強さだろうか。
彼の勝負強さはここから来ているかもしれない。
本番の試合。極限状態になった時にきっと活かされるのだろう。
「さすが木田さん。感激しました」
「イチローちゃんは分かっちゃったか。
伸び白ですね!ほな行こか」
俺は△さんにつれられて行く。
テクテク テクテク テクテク
唖然としながらも。
俺のサッカー日本代表生活が始まった。
俺は興味を抑えきれずに、ついついこっそり木田さんを鑑定した。
すると。
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名前 :木田ケースケ(愛称:△)
ポジション :OHF
総合評価 :81/100
年齢 :29
身長 :182cm
体重 :74kg
利き足 ;左足
オフェンスセンス :79/100
ボールコントロール:82
ドリブル :79
グランダーパス :80
フライパス :76
決定力 :73
プレースキック :84
カーブ :89
ヘディング :69
ディフェンスセンス:58
ボール奪取力 :69
キック力 :80
スピード :74
瞬発力 :74
ジャンプ :77
スタミナ :72
GKセンス :40
キャッチング :40
クリアリング :40
コラプシング :40
ディフレティング :40
逆足速度 :3/10
逆足精度 :3
コンディション安定度 :5
ケガ耐性 :3
スキル :ルーレット、無回転シュート
称号スキル :ビックマウス、伸びしろ、意識高い、召還術(リトル本田)
称号プレースタイル :ミドルシューター
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平均的な高校サッカー部員のステータスが20ぐらいなので。
その凄さが伺える。
やはり、日本代表はレベルが高いようだ。
珍しく、スポーツものでした。