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「よって本法案を可決する!」  作者: ミスター&ミセスX
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第1のケース(24歳・男)①

胸クソ注意。今回、胸クソ展開で止まりますので、ざまぁ?(若しくはぎゃふん)ですっきりしたい方は次回、出来ればケース毎に完結してからお読みいただいた方がよりストレス少なくお読みになれるかと思います。


詳細描写は極力控えておりますが作品の性質上、“虐待”や“レイプ”といった人道にもとる行為、表現等が出てきます。読むか否かは読者様ご自身の判断にお任せしますが、読了後の苦情等は一切受け付けておりませんので、その点くれぐれもご注意ください。

【第一のケース】


三島 亜季人、24歳、男性。

身長178㎝、体重63㎏。窃盗、傷害等前科三犯、妻子有り。現在離婚協議中。


罪状、幼児虐待、暴行、婦女暴行、育児責任放棄、傷害致傷等。



天井が高く、天然木をふんだんに使用した格式高い法廷内の空気は粛然としており、無駄なお喋りなど一切させないような、自然と息を潜めさせるような一種独特な雰囲気が漂っていた。


そんな中、人々の視線を一身に集めながら、腰縄を付けた俺は被告人席へと足を進める。



罪状を読み上げる。

「主文、被告人、三島亜季人、現住所……―――」



俺はその声をどこか他人事のように聞きながら、一体どこで間違えたのか、未だ反省の色一つ無く、俺を此処に立たせた糞ったれ共に、内心ありったけの罵詈雑言を浴びせ掛け続けていた。



俺の人生は順風満帆のはずだった。そこそこもてる容姿で学生の時から女に不自由した事は無い。

その時、同棲していた彼女(オンナ)が孕んで、ここが年貢の納め時かと少し落ち着くのが早過ぎるような気もしたが入籍だけして結婚した。


今流行りのデキ婚だったが俺は彼女(オンナ)の事を愛していたし、今まで散々やんちゃしてきたけど、いつまでも若くないんだから、ここらで一度人生締めとくのも悪くないか、そんな気分だった。


金は無いが、うちの親は『どうにかなる』が口癖だったから、きっとどうにかなるものなんだろう。

実際、結婚の祝い金が結構な額、集まって暫くは何の苦労も無かった。


入籍した日は彼女名義の1ルームで、小さなテーブルの上にコンビニで買ってきたショートケーキを二つ並べてお祝いしたっけ。思えばあの時がふたりの幸せ絶頂期だったのかもしれない。


ふざけてケーキ入刀の真似事をして、誓いの言葉、生クリーム味のキスをして…。

あの時、誓った言葉も、幸せにしたいと願った気持ちも決して嘘なんかじゃ無かった。はずだ。

けど、

子ども(ガキ)が生まれてから全ては狂い始めた。



ガキが出来てから就職した建設現場の仕事は朝が早い。だと言うのに、夜中中びぃびぃぎゃあぎゃあ泣かれたら当然、次の日仕事になんかならない。欠伸ばっかしてたら怒られた。


(くそっ。何で俺がこんな糞じじいに怒鳴られなきゃなんねえんだ)



結局、寝坊、遅刻と欠勤を繰り返して仕事は半年程でクビになった。ま、学校と一緒だな。

「俺は家でガキの面倒看るから、お前代わりに外で働いてきて」

女がキャバで働き始めて、そこからだ。女が可愛くなくなってきたのは。



「ねえ、この痣なに?」

「あきるの面倒看るって約束だったじゃん」

「私だって外で働いてきて疲れてるんだよ?」


「うるせえよ」


カチンときた。

何だその言い草は。


「何だそりゃ。俺へのあてつけか?ああ?」


お前は黙って俺の言う事だけ聞いてりゃ良いんだよ。


気付いた時には手が出てた。女が吹っ飛ぶ。ガキが泣き喚く。

ああ、まじ煩え。ぶっ殺すぞ、てめえら!


「くそが!本当っ可愛げが無え女だな!」


その後、泣いて嫌がる女を無理矢理抱いた。やってる最中にも何度が叩いたらようやく諦めたのか大人しくなった。



一度叩いたら後はもうなし崩しだった。と言っても手加減はしてるし―――そもそも手加減してなきゃ骨が折れてる―――こんなの痴話喧嘩の内だ、と思っていたら近所の誰か(ばか)が警察に通報したらしい。


「こんばんは。ご近所の方から通報がありまして」

と夜中、警官がやって来た。

「はあ?ただの夫婦喧嘩ですよ?つうか、夫婦の問題、あんたに関係あります?」


そう言いながら、多分あのばばあだ、と俺は目星を付ける。

いるんだ。何度か外で会った時、こっちをじろじろ見てきてたから間違いない。

ばばあ、まじでぶっ殺すか。

「とにかくご近所迷惑になってますので、以後お気を付け下さい……」


と、その時はそれで収まったが、そんな事が何度か続いて警察沙汰になるのはこれで4…ああ、5度目だっけか?

とにかく一度は捕まって更生プログラム何ちゃらってやつを受けて、俺は真面目になった振りをした。まあ、実際大した事やってないから刑なんてそんなもんだ。


けど、その時対応した奴が、今度捕まったら本当に拙い事になるぞ、なんて脅かしやがるから、表向きは平静を装ってたけど、内心じゃ結構、俺びくついてた。

ちくしょう。


その弱気を誤魔化す為にも俺は今この瞬間、俺を此処に立たせた馬鹿女と通報したババアに対して復讐を誓う。

当然、仕返しは百倍返しだ。




「○○年、×月×日、被告人、三島亜季人、二十四歳は被害者である妻、三島るう二十二歳に対して遊ぶ金欲しさに売春を強要、被害者がこれを拒否すると腹を立て殴る蹴るの暴行を加え、全治二週間の大怪我を負わせた…


また、警察が突入時に保護した父親三島亜季人、母親三島るうの実子として○○年×月×日に産まれた長男、三島亜来琉、二歳に対しても普段から食事を与えない、首を絞める、わざと床に落とすなど日常的な虐待を加えていたものとして……


…被告人は前回、更生プログラムを受け一時は改善の兆しが見られたものの、実際には再び罪を重ねており、反省の色もまったく見られない。社会的責任能力は極めて低く、今後も再犯の可能性は極めて高いものと予測される…


以上の事を踏まえた上で被告人、三島亜季人には求刑、懲役五年の実刑判決を申し渡す。また服役中、被告人には薬物療法及び更なる人格矯正プログラムを実施するものとし、これにより一定以上の効果が見られなかった場合、科学的去勢手術を実施。これを出所時の絶対条件と定める」




以上で本当呆気なく裁判は閉廷した。






お読みいただきましてありがとうございます。

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