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第1羽


「マスター、バーボンを一つ。ボーイは何を飲むんだい?」


「あ、僕はお酒飲めないので、ミルクでお願いします」


 今日はウサギ人間ジョージとオシャレなバーに来ている。ジョージに命を助けてもらったあの日から、僕はジョージと酒場で時々会うようになった。


「ハハハ、相変わらずボーイはお子ちゃまだな。男なら酒くらい飲めないと、ガールにモテないぞ」


 ジョージは豪快に、ケラケラと笑いながら度数の高いお酒を一口で飲み干した。


「ジョージはお酒、強いんだね」


「そんなことないさ。俺だって昔は弱かったんだぜ。酒を飲むと直ぐに全身赤くなってさ、いわゆる“下戸”ってやつさ。でもさ、俺は酒に負けたくなかった」


 ジョージの中で“語りたいスイッチ”が入ったらしく、酒と語りのスピードが上がった。


「人間誰しも、平等に生まれやしない」


 “人間”という言葉に疑問を持ち、「ウサギ人間のお前が、人間を語るのか!?」と突っ込みを入れたくなったが、僕は必死に我慢して、話の続きに耳を傾けた。


「他の人より肌が白かったり、他の人より毛深かったり、他の人より耳が長かったり……。それは良く言えば『個性』だけど、それが劣悪な特徴であればあるほど『ハンデ』であり、『差別』の対象となってしまう」


 肌が白いのも、毛深いのも、耳が長いのも、ウサギの特徴だろうが!! 僕はそう突っ込みたかった。でも、必死で我慢した。


「“下戸”もそう。生まれ持って酒の強い人と弱い人がいて、それは遺伝子が決めていることだからしょうがない。誰かがそんなことを言っていたけど、俺はそれが許せないのさ。なんで遺伝子なんかに俺という存在を決められないといけないんだ! 俺は遺伝子なんかに絶対に負けない! ……そんな思いで、俺は毎日毎日飲めない酒を飲み続けた。そのおかげで、今では酒がないと生きていけなくなってしまったがな」


 それはアルコール中毒だろうがぁ!!!! 医者のところへいけ!!! お前は獣医だけどな! ウサギだから!!


「でも、ジョージさんほんとにお酒強くなったんですね。全然体赤くなっていませんよ。僕も少しずつお酒に慣れるよう、努力してみようかな」


「お! いいぞボーイ。いい心がけだ。よし! じゃあまずこの店で一番度数の低いカクテルでも飲んでみるか? マスター、頼むよ!」


 こんな感じで、ウサギ人間ジョージとの会話を楽しみながら、夜は更けていった。





「ちなみに、顔や体は酒を飲んでも赤くならなくなったんだけど、目だけは未だに赤くなるんだよなぁ……どうしてだろう?」


「それはウサギだからぁああぁあぁあああ!!!!」


 僕は我慢ができず、ついに突っ込んでしまった。



……続く?

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