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~プロローグ~


~プロローグ~


 それは、突然の出来事。


「赤信号でも大丈夫だろう。ここは交通量も少ないし、車なんかきやしないさ」

 そんなちょっとした気の緩みが、壮大な悲劇の第一歩だったりすることを、僕らは知らずに生きている。


「キキー!!」


「うわぁーーーーーーー!!!!!」


 気付いたときには遅かった。もう、トラックとの衝突は避けられない。あぁ、僕は死ぬんだ。そう思ったとき、いろんな思い出が浮かんでは消えた。所謂いわゆる走馬灯だ。あぁ、この走馬灯ははなんて速いんだろう。こんなに速い馬なら、馬券を買っておけばよかったなぁ……。そんな戯言ざれごとを思うほど、僕の20年という歳月が、一瞬で頭の中を駆け巡った。そして、僕の体感でだいたい十秒くらいの時間で、20年の思い出は消費された。20年間の思い出なんてものは、圧縮すれば十秒にも満たないものなんだなぁ。さて、もうこれ以上回想する思い出もないし、そろそろ普通の時間軸に戻って、トラックに衝突して死のうかぁ。


 そんなふうに、僕が自分の人生をあきらめた刹那せつな、奇跡が起きた。


「ウサ!」


 なんと、僕の目の前に、身の丈2メートルほどの筋肉マッチョなウサギ人間が、巨大な木槌を持って現れたのだ。そして、


「え!?」


 と思う間もなく、ウサギ人間はその巨大な木槌でトラックを叩き、吹き飛ばした。


「ガシャーン!!」


 トラックは2,3度横転し、ガラス片を辺りに撒き散らして止まった。僕は状況を飲み込めなかったが、どうやら助かったらしいことだけは理解できた。


「大丈夫かい? ボーイ」


 そのウサギ人間は口に葉巻をくわえながら、ニヒルな笑顔で僕に手を差し出してきた。


「あ、あ、ありが……と……う…………」


 僕はとりあえず、感謝の言葉を述べて、ウサギ人間の手を握った。その白い手は、モフモフしていて気持ちよかった。


 これが、ウサギ人間“ジョージ”との出会いだった。


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