(1)・8 歳をあれこれ言ってはいけません
あとがきのほうでちょっとめんどくさいこと言ってるので嫌な方はとばしていいです。
「それで相手はどんな人なんですか?」
「さっきも言ったけどとても素敵な人よ。幼なじみでね、結婚の約束もしてるの。あとすっごく優しくて………残念なところは、ちょっとわがままなところかしら。あ、次の突き当たりに三匹のゴミがいるわ」
「じゃああっちから行きましょうか」
彼女にとってここのメイドさんはみんな「彼に近づくゴミ」らしい。
優しい。相手が師匠かもという可能性はこれで消えた。じゃあ侯爵様の息子だろうか?
侯爵様見た目高齢だからいないとは言い切れない。
あの後、私はこの方と一時的に行動を共にすることにした。万が一師匠に見つかっても彼女なら何とかしてくれそうだ。
この人、見た目は子供なのに、剣を軽々と持ったり、耳や鼻が私よりもすごかった。
……何となく自信喪失します。だってこれが『彼を追いかけるための修業の結果』ですよ!?
ヤンデレに、年下に、負けた!しかも彼女の修業目的『彼を追い掛ける』が私となんか似ている。
「…ところで、私聞いてなかったけど、あなたは、まさか、あの人にねえ…?」
「ないです、むりです、ありえません、却下。さっきも長々と話しましたように、私はそんな人に付き合ってる暇ありませんから!」
「確かお師匠さんについていくんだったわよね。…そうよねえ、あなたはあの人の女にはなりそうもないわよねぇ。あなた結構若いし、汚いし」
さりげなくひどい。しかもあなたのほうが若いですから。
私人間年齢で14歳くらいだけどあなたは8歳前後でしょ?
「…歳はあなたに言われたくありませんよ」
「……?…あ、あぁ。言い忘れてたわ〜。私はこれでも三十路よ?姿を変えてるの〜!」
大人びてるのではなく大人だったのか!
その口調もおばさんだから?
…口にしただけで、殺されそうだ……。
「あなたも聞いたことがあるでしょうけど、魔法具の中には見た目を変えるものがあるのよぉ。といってもただの幻覚で本当に若返ってるわけではないのだけれど。今の私は八歳のころの私。この方が行動しやすいのよねぇ」
確かに。
剣さえなければ見た目はただのか弱くかわいらしい美少女。
だが、その実態は彼のためにと心も体も鍛え上げられたヤンデレおばはん。
「…何か失礼なこと、考えてない?」
「いえいえいえいえいえ!何も何も何も!!」
この世界は、「普通の生き物」か「人と生き物のハーフの『獣人』」しかいません。
つまりただの人間はいないんです。
寿命は人間と同じで産まれた子どももみんな獣人です。
<半A+半B→半Aor半B>
獣人たちも、変化してからなる『変化タイプ』と、
見た目からすでに人間にも生き物にもみえる『混ざりタイプ』がいます。




